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大阪到達
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秀信達は山崎を越え、大阪へたどり着く。
山崎を越えてからというもの伊達方の抵抗は無く、難なく大阪城に到達する。
平野部で数的不利のある状況で真っ向から戦をすれば確実に負けると分かっている政宗は籠城策を選んだ。
しかし、秀信は攻められずにいた。
それ所か包囲すらしていない。
「……大阪城に籠るは十万の敵。対する我らは十五万。真っ向から戦をすれば確実に負けまする」
「真田殿の言う通り、敵の城を攻め落とすには最低でも敵の三倍は必要と言われております。力攻めをするには兵が足りません」
勘助と昌幸の言葉の通り、確実に勝てる目が無かったのである。
状況が状況なだけに秀信は絶対に負ける訳には行かなかった。
「あの巨大な大阪城を無理に包囲しようとすれば、各所の兵が手薄になり、その状況で逆に打って出られたら壊滅いたしまする」
「……何か策は無いか?」
秀信がそう言うと、誰も何も言わなかった。
ここに集った将達は皆数々の戦を経験してきた強者。
それでも、あの大阪城を攻め落とす策が出てこなかった。
「……大阪は三方を川に囲まれ、南が最も手薄。攻めるならば南側からでしょうな」
「あぁ。勘助の言う通りだ。しかし、それは敵も知っている筈。容易に攻めさせてはくれぬだろうな」
勘助は考える。
そして口を開いた。
「……では、川を天然の堀として、北、東、西に布陣する兵力は一万ほどに抑え、兵力を南に集中させましょう」
「しかしそれでは少なく無いか? 打って出てこられたら……」
秀信の言葉を遮り、勘助は続ける。
「そこも考えてありまする。まず、全軍で東に川を天然の堀とした付城……いや、堤のような壁を築きまする。それが終われば一万ほど兵を残して今度は北。その次は西と、三方を壁で取り囲みまする」
「成る程……敵が逆に打って出てくる不安を取り除く訳か……打って出てくればそれは逆に城攻めをしているような物、という事か」
毛利輝元の言葉に勘助は答える。
「は。通常、敵の城を攻めるには三倍の兵力が必要と言われておりまする。つまり、我が方の付城を崩そうとするならば、敵は三万の兵を要するという事。敵は十万。一方向から打って出てきたとすれば、他の方面に兵を割く事も考えて城の南側に残るは五万。十二万の本軍で力攻めで確実に落とせまする」
軍議の場に集った各将から感嘆の声が上がる。
「たしかにそれならば各方面の兵は一万に抑えられますな」
「敵が打って出てこずとも、各方面に最低一万は割くとして……南側に七万。我等は十二万。あとは、戦い方ですな。儂ならば、守りの弱い南側に出城を築きますな」
黒田長政に続き、真田昌幸も答える。
「されどこの策、敵に気取られる訳には行きますまい。まず敵に不審がられずに壁を築くこと。そしてその次は敵の出陣を促す事。それが確実に勝つ条件にございますな」
真田昌幸が暫く考えた後、続ける。
「某に、考えがありまする。聞いて下され」
「成る程。しかし果たして上手くいくか……」
「そこは秀信様の手腕にかかっておりまする」
昌幸は笑いかける。
昌幸は秀信が征夷大将軍となってからもあまり態度は変わっていなかった。
「……いや、ここはまず秀則に任せよう。……そうだな、昌幸殿と有楽斎様に育てられた秀雄殿にも行かせてみるか。とう思う?」
秀信は勘助に聞く。
そして、勘助は頷く。
「良き策かと。でしたら、経験豊富な有楽斎様にもご同行願いましょう。確実にするためにも、織田家の人間を敵地に送り、こちらが本気だと思わせるのです」
秀信は頷き、指示を出す。
「よし、その三人に伊達に和平の使者として行くように伝えよ!」
山崎を越えてからというもの伊達方の抵抗は無く、難なく大阪城に到達する。
平野部で数的不利のある状況で真っ向から戦をすれば確実に負けると分かっている政宗は籠城策を選んだ。
しかし、秀信は攻められずにいた。
それ所か包囲すらしていない。
「……大阪城に籠るは十万の敵。対する我らは十五万。真っ向から戦をすれば確実に負けまする」
「真田殿の言う通り、敵の城を攻め落とすには最低でも敵の三倍は必要と言われております。力攻めをするには兵が足りません」
勘助と昌幸の言葉の通り、確実に勝てる目が無かったのである。
状況が状況なだけに秀信は絶対に負ける訳には行かなかった。
「あの巨大な大阪城を無理に包囲しようとすれば、各所の兵が手薄になり、その状況で逆に打って出られたら壊滅いたしまする」
「……何か策は無いか?」
秀信がそう言うと、誰も何も言わなかった。
ここに集った将達は皆数々の戦を経験してきた強者。
それでも、あの大阪城を攻め落とす策が出てこなかった。
「……大阪は三方を川に囲まれ、南が最も手薄。攻めるならば南側からでしょうな」
「あぁ。勘助の言う通りだ。しかし、それは敵も知っている筈。容易に攻めさせてはくれぬだろうな」
勘助は考える。
そして口を開いた。
「……では、川を天然の堀として、北、東、西に布陣する兵力は一万ほどに抑え、兵力を南に集中させましょう」
「しかしそれでは少なく無いか? 打って出てこられたら……」
秀信の言葉を遮り、勘助は続ける。
「そこも考えてありまする。まず、全軍で東に川を天然の堀とした付城……いや、堤のような壁を築きまする。それが終われば一万ほど兵を残して今度は北。その次は西と、三方を壁で取り囲みまする」
「成る程……敵が逆に打って出てくる不安を取り除く訳か……打って出てくればそれは逆に城攻めをしているような物、という事か」
毛利輝元の言葉に勘助は答える。
「は。通常、敵の城を攻めるには三倍の兵力が必要と言われておりまする。つまり、我が方の付城を崩そうとするならば、敵は三万の兵を要するという事。敵は十万。一方向から打って出てきたとすれば、他の方面に兵を割く事も考えて城の南側に残るは五万。十二万の本軍で力攻めで確実に落とせまする」
軍議の場に集った各将から感嘆の声が上がる。
「たしかにそれならば各方面の兵は一万に抑えられますな」
「敵が打って出てこずとも、各方面に最低一万は割くとして……南側に七万。我等は十二万。あとは、戦い方ですな。儂ならば、守りの弱い南側に出城を築きますな」
黒田長政に続き、真田昌幸も答える。
「されどこの策、敵に気取られる訳には行きますまい。まず敵に不審がられずに壁を築くこと。そしてその次は敵の出陣を促す事。それが確実に勝つ条件にございますな」
真田昌幸が暫く考えた後、続ける。
「某に、考えがありまする。聞いて下され」
「成る程。しかし果たして上手くいくか……」
「そこは秀信様の手腕にかかっておりまする」
昌幸は笑いかける。
昌幸は秀信が征夷大将軍となってからもあまり態度は変わっていなかった。
「……いや、ここはまず秀則に任せよう。……そうだな、昌幸殿と有楽斎様に育てられた秀雄殿にも行かせてみるか。とう思う?」
秀信は勘助に聞く。
そして、勘助は頷く。
「良き策かと。でしたら、経験豊富な有楽斎様にもご同行願いましょう。確実にするためにも、織田家の人間を敵地に送り、こちらが本気だと思わせるのです」
秀信は頷き、指示を出す。
「よし、その三人に伊達に和平の使者として行くように伝えよ!」
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