出張!異世界研究所!〜異世界犯罪解決します〜

中村幸男

文字の大きさ
16 / 18

必要な犠牲 4

しおりを挟む
「やっぱり手薄ですね。」
「ああ。情報通りだ。」
 男からスムーズに情報を聞き出せた自分達は即座に坑道へと向かった。
 因みに男は騒がないようにクレアさんがもう一度眠らせた。
 あの男がかわいそうに見えて来る。
「じゃあ、行きましょう。」
「ああ。」
 男の情報によるとこいつらの組織は規模は大きくないが組織が細かく別れているせいで別の部署の人間の顔は全く分からないらしい。
「お疲れ様でーす。」
 自分達は男から教わった合言葉を言いつつ入っていく。
 どうやら最後の『です』を伸ばす言い方が合言葉らしい。
 自分達は拠点を建設している者達に挨拶をしながら坑道へと入っていく。
 挨拶された男達は軽く会釈した程度で、全く疑われていない様子だった。
 こんな合言葉で良いのだろうか。
「さて、自分の両親は最初の左の脇道の方に連れていかれた、ですよね。」
「ああ、時間的にはそろそろ立ち会いの時間だ。いつ感づいて追っ手が来るか分からない。急ごうか。」
 確かに追っ手が来てしまえば坑道内での地理が分からない自分達が不利になるだろう。
 不審がられないように気を付けつつ急ぐとしよう。
 坑道の中は例の電気で明るく、道もしっかりしており歩きやすい。
 幅もそれなりにあるので荷車も運べるだろう。
 様々な所に注意しながら自分達は奥へと進んでいった。

「大分進んだね。」
「はい。特に曲がり道も無かったので方角は真っ直ぐでしたね。」
 男からはどこに連れていかれたかは聞き出せなかった。
 坑道の地図についても詳しくはわからないと言っていたので、自分達はあの分かれ道からは手探りの状態だ。
 だが、足跡等の痕跡は簡単に消せるものではなく、それを追っている。
 幸いにもまだ分かれ道はなく、まっすぐこれているので、助かっている。
「……止まってくれ。」
「え?」
 先頭を歩いていたクレアさんに止まるように言われ、止まる。
 すると、自分達が行こうとしていた先に複数の武装した男達がいるのが見えた。
「やられたね。」
「っ!」
 後ろから気配がし、振り向くと前方の男達のように武装した者達が、退路をふさいでいた。
「ふむ、多分奴等は捕らえられ、尋問された時に答えるマニュアルがあるんだろう。いくつかパターンで分けて設定して、あの合言葉はこのシチュエーションに誘い込むための合言葉なんだろう。」
 ここまでの推測をしていると言うことはこのシチュエーションは想定内の出来事なのだろうか。
「うん、少し楽観視しすぎたかな。」
「おい!久しぶりだな!所長さんよ!残念だがこの先は行き止まりだぜ!」
 なにやらリーダーらしき男が鉄の筒のようなものをこちらに向けている。
 あれが何かは分からないが武器なのだろう。
 どうやらこの男とクレアさんは面識があるようだ。
「ああ、久しぶりだなフェン。やはり君の手口だったか。」
「おっと、動こうとするなよ。」
 すると、前方の男達の列を分けて1つの檻が運ばれてきた。
「父さん!母さん!」
 その中には自分の両親がいたのだ。
 2人から返事は無く、檻の中でぐったりとしている。
 2人ともあんなに強かったのに、何があったのだろうか。
「動くな!」
 すると、フェンと呼ばれた男は鉄の筒のようなものを両親へと向ける。
 何かは分からないがヤバイのはわかる。
「……我慢してくれ。私が何とかするから。任せて安心して見ていると良いよ。」
 クレアさんになだめられ、落ち着く。
 この人に任せろと言われるととても安心できる気がする。
「……分かりました。」
「よし。」
 こちらを向き、笑顔を見せてくれる。
「いいかい?私が合図を出したら君の両親を連れて逃げるんだ。後ろの奴等くらいなら君1人で何とかなるだろう?」
 肩を押さえ、まっすぐこちらを見つめてくる。
 この人の前で戦った事が無いというのに自分の実力を見透かされているようだ。
「この先何があろうとも必要な犠牲だと割りきって生きていくんだ。時には後ろを振り向くことも大事だ。だが、必ずもう一度前を向け。それさえできれば生きていけるさ。君なら大丈夫だ。」
 自分の頭を撫でると前へと出ていく。
 一体何をするつもりなのかは分からないがこの人の言う通りにしよう。
 この人の言うことに間違いないと言うことは分かる。
「フェン!一騎討ちをしろ!」
「ほう?面白い。」
 フェンは前へと出てくる。
「ああ、銃は使っていいぞ?」
「はっ!なめやがって!」
 クレアさんは丸腰だ。
 だが、それでも安心できる程の強さが彼女にはある。
 後はクレアさんの事を信じて合図を待つだけだ。
 そう、クレアさんなら大丈夫だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

処理中です...