【完結済】私の夫は闇の精霊王

本番日

待ちに待った本番日が来た。

王家主催のパーティーの魔法発表会。

発表会でやることを考えすぎて、母上に言われるまでドレスとか装飾品とか忘れてて、着せ替え人形として1日過ごしたときは死んだ目になったわ。

どこの世界も着せ替え人形させるほど、服装とか拘る人達いるのね...。

私はほどほどでいいわ...。


思考を放棄してる間に、薄い紅色のふりふりドレスにさせられそうになってたわ。

断固として、黒か紺のシンプルなドレスにするように言ったわ。

あの人の色だもの。

あの人の色を纏いたいんだもの。

まだ5歳なのにもったいないと言われても、そんなの知らないわ。


あの人の色を纏い、あの人の色の宝石を身に付けて王宮へ向かう。


デビュー前の15歳以下でも王家主催のパーティーは出られる為、デビュー前の人脈作りや婚約者選びに役立つのだ。

それに今回は第一王子様の婚約者選びも兼ねてるらしいから、力入ってる令嬢達がいっぱいいるんだろうなー...。

私は関係ないけどね。


馬車でゆったりと揺られてたら王宮に着いたみたい。

今回は家族全員で参加するから、私は二番目のお兄様のエスコートで会場に入る。


会場はキラキラと輝いていて、華やかなドレスの波がすごかったわ。

埋もれたり流されたりしないようにしないと...不安だ。


父上と母上は挨拶があるため、ここでお別れ。

私は発表会があるから、ステージ近くに行き受付してもらう。

魔法発表会って、宮廷魔法師とか政治のお偉いさんの推薦状がないと発表会に参加できないようになってる。

私は短い間だけお世話になった先生の推薦状(ぜひ推薦状を出させてくれと懇願された)を持ってるから大丈夫。

私みたいに幼い年齢で発表会に参加する人はいない。

5歳で発表会に参加しようなんて無謀すぎるものね。

でも、受付の人は私の事を知ってたみたいで、丁寧に説明をしてくれた。

ありがたい。

私の発表の番号は最後だけど、今年は私を含めて6人しかいないみたい。

すぐに順番が来た。


私は深呼吸をしてステージに上がる。

周りを見渡すと、多くの人達が私の事を見ていた。

噂とかで聞いていて、興味を持ってるのだろうか？

探るような目線を感じる。


ふふ、こういう場は久しぶりね。

程よい緊張感と懐かしさに笑みが溢れる。

魔力を身体に巡回させ、準備は万端だ！

さぁ、やるぞ！