【完結済】私の夫は闇の精霊王

curosu

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魔法披露

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会場いっぱいに私と精霊王達の魔力が広がる。

こっちを見てなかった人達も、座ってた人達もこちらを見る。


さぁ、幻想的な世界に招待しよう。

会場が暗くなり、大きい月が空に浮かぶ。

足元から徐々に芽が伸び、ほんのりと鮮やかな色とりどりの光る花が埋め尽くすように咲き、花の中から白い小さい光がふわふわ出て来て会場中を漂う。

私とマリアは、曲に合わせてゆっくりと身体を動かす。

動きは覚えてる。

この曲の為にいっぱいイメージしたし、いっぱい練習した。

この曲をやりたいが為に、皆を呼び出したことだってある。


そろそろ一番盛り上がるサビに入る。

私とマリアは向かい合い、手のひらを合わせあう。

観客の方側の合わせた手をお互いゆっくり上げ、開くように下に下ろす。

と、同時に会場の両側に桜色に光る桜並木がずらっと現れた。

桜色に光る花びらが白く光る光と共に、ひらひらと会場中を漂う。

幻想的な世界に入り込み、私は夢中で詠い、ゆっくり踊る。

ああ...幸せだ...。

皆と一緒に再びこうして楽しめるのは...。

この時をどれだけ待ったことか...。

幸せで、幸せで、ずっとこのまま詠って踊っていたい。


詠い終わり、演奏がラストを奏でる。

幻想的な世界は光の粒となって、空に消えていく...。

それを見守っていた私は、ふと隣に立つ気配を感じた。

私の夫だった。

幻想的な世界の中のルディークは、見惚れてしまうほど素敵だった。

そのまま唇を重ねあう。

短いキス。

それでも私はすごく幸せな気分になった。

ああ、幸せに上限なんてないんだ。

甘く微笑みあう。


幻想的な世界が終わりを告げ、通常の会場に戻った。

私の姿も5歳に戻る。

「私達は帰るけど、イチャイチャはほどほどにするんだよ。」

「またやりたいから呼んでね!」

「クロスを泣かせたら許さないから!」

「そうよそうよ、ルディーク以外の精霊達が頑張ってクロスを隠しちゃうからね!」

「「「「またねー」」」」


私の夫以外の精霊王達が帰っていった。

「さて、俺はまた小鳥の姿でずっと側にいるな。」

「うん、わかった。お願いね。」

ルディークは黒色の小鳥になって、私の肩に止まる。

私はゆっくりお辞儀をした後にステージを降りた。
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