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愛(毒)をください
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「愛しています、あなたの愛をください。あなたの愛で私を殺して。」
「やめろ、近寄るな変態が。」
------
きっかけは私のこれまでの人生だったと思う。
私は、「いらない子」で「居てはいけない子」で「邪魔な子」だったらしいが、立場があるから表立って殺されることはなかったし、外出も厳しいので事故を装って殺すことも難しかった。
そんな私を依頼を受けた暗殺者達がこぞって裏で殺そうとしてきていた。
しかし、幼少期から数えきれないくらい食事に毒を盛られても生き残ってきてしまった私に、痺れを切らせて暗殺者が武器で殺そうとしてきたこともあるが、立場上護衛がいるので結局暗殺者が捕まって終わりだった。
それが私にとって普通だったし日常でもあった。
そりゃ、苦しいし辛いし泣いてしまうけれど、助けを期待する方が私にとってよっぽど辛かった。
だから、私は狂ってしまったんだと思う。
いや、狂ってしまうのは必然だったんだろう。
こんな私に長い間ずっと愛(毒)を与えてくれる人を、愛しているとさえ思うほどに。
誰にも見つからないように抜け出し、その毒を与えてくれる人を探し出し、ついに私は相手を見つけだせたのです。
どこかの誰かに依頼され、毒を作っている暗殺者さんを。
運命だろうと思うほどに、神は祝福してくれるのだと錯覚してしまうほどに、スムーズに見つかったのです。
隠れ家だろう場所に訪ねてきた私を見た暗殺者さんは、目を白黒させてしばらく驚愕した後に私の腕を掴んで強引に家の中に招待してくれた。
彼は混乱しているらしく私から手を離してしまったが、逆に私はその手を掴み思いの丈をぶつけました。
「あなたが好きです。愛しています。だから、あなたの愛で私を殺してください。」
「なにいってるんだお前。」
私の告白に、冷静を取り戻してしまったみたい。
混乱しているまま肯定してくれれば良いのに。
蔑みながらこっちをみているわ。
「なにかおかしいかしら?毎回私がギリギリ死なないような毒の配合で、幼い頃から私に与え続けてくれているあなたを愛することがおかしいかしら?」
「俺は悪人じゃない限り殺さないようにしているだけだ。お前を殺すように言ってくるやつはめんどいやつだから不定期的にやっているふりをしているだけだ。
だから、お前が言う愛とかは意味がわからん。」
心から呆れ返ってこっちを見向きもしなくなってしまった。
見てくれないことが寂しいと思う。
誰かになにか感情を向けることも無くなっていた私が、この人に対して寂しいと感じる。
そして、寂しいと思えることが嬉しいと思う。
初対面とか気にしない。
いっそ、運命ではないかとも錯覚してしまいそうだ。
だって、私はこの人の行動で一喜一憂しているのだから。
だから、あなたの愛で私を愛してほしい...殺してほしいと思う。
「私はもう何処にも居場所がありません。なので、あなたに私を殺してほしいのです。」
「断る。」
冷たい物言いで断られてしまった。
悲しいけれど、そのまま終わるわけにはいかない。
「私を殺してくれないのなら...殺してくれるまでここに居座らせてもらいますね。」
私はその場にペタンと座り込み、動かないとアピール。
彼はついに諦めたようだった。
うふふ、ちょっと罪悪感があるけれど一緒に居られて嬉しい。
「早く私を殺してくださいね(私を愛してくださいね)」
彼のほうからため息が聞こえた。
------
そして私はまた今日もあなたに言うだろう。
「あなたの愛で私を殺してください。」
------
おわり
「やめろ、近寄るな変態が。」
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きっかけは私のこれまでの人生だったと思う。
私は、「いらない子」で「居てはいけない子」で「邪魔な子」だったらしいが、立場があるから表立って殺されることはなかったし、外出も厳しいので事故を装って殺すことも難しかった。
そんな私を依頼を受けた暗殺者達がこぞって裏で殺そうとしてきていた。
しかし、幼少期から数えきれないくらい食事に毒を盛られても生き残ってきてしまった私に、痺れを切らせて暗殺者が武器で殺そうとしてきたこともあるが、立場上護衛がいるので結局暗殺者が捕まって終わりだった。
それが私にとって普通だったし日常でもあった。
そりゃ、苦しいし辛いし泣いてしまうけれど、助けを期待する方が私にとってよっぽど辛かった。
だから、私は狂ってしまったんだと思う。
いや、狂ってしまうのは必然だったんだろう。
こんな私に長い間ずっと愛(毒)を与えてくれる人を、愛しているとさえ思うほどに。
誰にも見つからないように抜け出し、その毒を与えてくれる人を探し出し、ついに私は相手を見つけだせたのです。
どこかの誰かに依頼され、毒を作っている暗殺者さんを。
運命だろうと思うほどに、神は祝福してくれるのだと錯覚してしまうほどに、スムーズに見つかったのです。
隠れ家だろう場所に訪ねてきた私を見た暗殺者さんは、目を白黒させてしばらく驚愕した後に私の腕を掴んで強引に家の中に招待してくれた。
彼は混乱しているらしく私から手を離してしまったが、逆に私はその手を掴み思いの丈をぶつけました。
「あなたが好きです。愛しています。だから、あなたの愛で私を殺してください。」
「なにいってるんだお前。」
私の告白に、冷静を取り戻してしまったみたい。
混乱しているまま肯定してくれれば良いのに。
蔑みながらこっちをみているわ。
「なにかおかしいかしら?毎回私がギリギリ死なないような毒の配合で、幼い頃から私に与え続けてくれているあなたを愛することがおかしいかしら?」
「俺は悪人じゃない限り殺さないようにしているだけだ。お前を殺すように言ってくるやつはめんどいやつだから不定期的にやっているふりをしているだけだ。
だから、お前が言う愛とかは意味がわからん。」
心から呆れ返ってこっちを見向きもしなくなってしまった。
見てくれないことが寂しいと思う。
誰かになにか感情を向けることも無くなっていた私が、この人に対して寂しいと感じる。
そして、寂しいと思えることが嬉しいと思う。
初対面とか気にしない。
いっそ、運命ではないかとも錯覚してしまいそうだ。
だって、私はこの人の行動で一喜一憂しているのだから。
だから、あなたの愛で私を愛してほしい...殺してほしいと思う。
「私はもう何処にも居場所がありません。なので、あなたに私を殺してほしいのです。」
「断る。」
冷たい物言いで断られてしまった。
悲しいけれど、そのまま終わるわけにはいかない。
「私を殺してくれないのなら...殺してくれるまでここに居座らせてもらいますね。」
私はその場にペタンと座り込み、動かないとアピール。
彼はついに諦めたようだった。
うふふ、ちょっと罪悪感があるけれど一緒に居られて嬉しい。
「早く私を殺してくださいね(私を愛してくださいね)」
彼のほうからため息が聞こえた。
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そして私はまた今日もあなたに言うだろう。
「あなたの愛で私を殺してください。」
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おわり
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