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断罪イベント
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「令嬢!貴様!王子である私の大切なヒロインを虐めていたなんて、そんなことをする貴様は俺の婚約者として相応しくない!貴様とは婚約破棄し、ここにいるヒロインと婚約する!」
「王子様!」
卒業パーティーが開かれている会場に声が響き、何事かと視線がある一ヶ所に集まる。
そこには一人の令嬢と対立するように、王子とヒロインが身を寄せあって令嬢を睨んでいた。
しかし、対立している令嬢のほうは首をかしげ、不思議そうな顔をして二人のほうをみている。
「はぁ...なにか勘違いしてらっしゃるのでは?」
「貴様!とぼける気か!」
王子が大声を出し、ヒロインを包み込むように胸元に抱き抱える。
令嬢は、なにがなんだかわからないというような様子で不思議そうに首を傾げていた。
「とぼけるもなにも...そもそも私は2年前に飛び級で卒業していて、そちらの方を初めてみましたし...。
卒業後は様々な国を外交官として回ってまして、つい昨日帰って来たばかりですのよ?
本日の参加は、婚約者である貴方のために参加するように陛下に命じられてきているだけですし...。
そもそも国にいないのに、どうやって虐めるのです?」
王子は一瞬キョトンとなりましたが、慌てて叫びます。
「ど...どうせ取り巻きにでも命じたんだろう!それに国に居なかったと嘘じゃないのか!?」
その一言でどうやら証拠もないことや憶測で糾弾されていると悟った私は、反撃しても良さそうだと感じた。
「国に居なかったことが嘘だと...そうですか、では陛下にご確認下さい。私は陛下からの王命で各国を飛び回っていましたもの。毎日報告書も送っておりました。
それに取り巻きがいるとして...私は既に卒業済みですから、取り巻きの皆様も卒業しているはずだと思いますよ?
それに手紙を送ろうとも各国の方達に監視も兼ねて手紙を調べられてしまいますし、内容も見られてしまいますから滅多なことは書けませんのに...わかってらっしゃらないみたいですわね...何を学んでたのかしら?」
嫌みを交えて正論を言うと、王子は真っ赤な顔になった。
「あ、なるほど、私の取り巻きって誰だろうと思ったのですが、もしかして私の側近達ですの?
だとしたら、勘違いも甚だしいですわ。
私達よりも年上で優秀な方々達が、誰かさんがやらずに押し付けてくる公務を私達でやっているのですよ?
感謝すべきなのにも関わらず、冤罪を押し付けるなど...。」
頬に片手をつけてやれやれと呆れた表情をすると、王子は更に顔を真っ赤にしていた。
と、静かになっていた会場でコツコツと靴音が響く。
その靴音を立てている人物は令嬢の側まで歩いてきて、紙を差し出した。
「令嬢様、国王陛下からお届けものです。」
「ありがとうございます。」
王子や周りを無視して手紙を見る。
あらあら、召喚状みたい。
くるくると手紙を丸め、周囲に向かってカーテシーをする。
「皆様、大変申し訳ありません。陛下のもとへ向かいますので、これにて失礼致します。どうぞ、皆様はこのままお楽しみください。」
そう言い、私は会場を去った。
「王子様!」
卒業パーティーが開かれている会場に声が響き、何事かと視線がある一ヶ所に集まる。
そこには一人の令嬢と対立するように、王子とヒロインが身を寄せあって令嬢を睨んでいた。
しかし、対立している令嬢のほうは首をかしげ、不思議そうな顔をして二人のほうをみている。
「はぁ...なにか勘違いしてらっしゃるのでは?」
「貴様!とぼける気か!」
王子が大声を出し、ヒロインを包み込むように胸元に抱き抱える。
令嬢は、なにがなんだかわからないというような様子で不思議そうに首を傾げていた。
「とぼけるもなにも...そもそも私は2年前に飛び級で卒業していて、そちらの方を初めてみましたし...。
卒業後は様々な国を外交官として回ってまして、つい昨日帰って来たばかりですのよ?
本日の参加は、婚約者である貴方のために参加するように陛下に命じられてきているだけですし...。
そもそも国にいないのに、どうやって虐めるのです?」
王子は一瞬キョトンとなりましたが、慌てて叫びます。
「ど...どうせ取り巻きにでも命じたんだろう!それに国に居なかったと嘘じゃないのか!?」
その一言でどうやら証拠もないことや憶測で糾弾されていると悟った私は、反撃しても良さそうだと感じた。
「国に居なかったことが嘘だと...そうですか、では陛下にご確認下さい。私は陛下からの王命で各国を飛び回っていましたもの。毎日報告書も送っておりました。
それに取り巻きがいるとして...私は既に卒業済みですから、取り巻きの皆様も卒業しているはずだと思いますよ?
それに手紙を送ろうとも各国の方達に監視も兼ねて手紙を調べられてしまいますし、内容も見られてしまいますから滅多なことは書けませんのに...わかってらっしゃらないみたいですわね...何を学んでたのかしら?」
嫌みを交えて正論を言うと、王子は真っ赤な顔になった。
「あ、なるほど、私の取り巻きって誰だろうと思ったのですが、もしかして私の側近達ですの?
だとしたら、勘違いも甚だしいですわ。
私達よりも年上で優秀な方々達が、誰かさんがやらずに押し付けてくる公務を私達でやっているのですよ?
感謝すべきなのにも関わらず、冤罪を押し付けるなど...。」
頬に片手をつけてやれやれと呆れた表情をすると、王子は更に顔を真っ赤にしていた。
と、静かになっていた会場でコツコツと靴音が響く。
その靴音を立てている人物は令嬢の側まで歩いてきて、紙を差し出した。
「令嬢様、国王陛下からお届けものです。」
「ありがとうございます。」
王子や周りを無視して手紙を見る。
あらあら、召喚状みたい。
くるくると手紙を丸め、周囲に向かってカーテシーをする。
「皆様、大変申し訳ありません。陛下のもとへ向かいますので、これにて失礼致します。どうぞ、皆様はこのままお楽しみください。」
そう言い、私は会場を去った。
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