安瀬乃片敷六丁目六番地六号より

takaue.K

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第五十二話 生卵

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「あ、ラッキー。こんなところに卵が残ってた」

 朝飯の支度をしていた俺は、冷蔵庫の奥に転がる卵を手に取った。
 昨日ゲームを遅くまでやっていたせいで寝過ごしたので、さっと食べられる卵かけご飯は助かる。

 …まあいつの物かは分からないけど、腐ってるなら腐ってるで捨てればいいか。

 そう考えながら、適当なお椀を手に取った。

 こんこん、ぱかっ

「グニュウァエァエエエァ」
「うわっ?!」

 出てきたのは、よく知る卵黄と卵白のそれではなかった。

 毛のないハダカデバネズミのような、それでいて頭部がやけに大きい何か。
 それは叫びながらお椀の上に落ちると、まるで焼けた鉄板の上に落ちたかのようにひっくり返り手足をじたばたとさせている――十本近くの。
 そして、三つの大きな目が、じろりと俺をにらんだかと思うと。

「あっ」

 お椀を飛び出し、素早い動きで食器棚の後ろに逃げ込んでしまった。

「え……え? ええ…?」

 この間、一分もしていなかったろう。
 むしろ今起きたことを理解する方が時間が掛かった。

「な、なんなんだアレ…」

 幻覚?
 いや、手に持った空の卵殻が現実に起こったことを示している。

 なんだよあれ、気にはなる、すごく気になる。

 しかし、もう出社時刻だ。

 俺は後ろ髪をひかれる思いで泣く泣く家を後にした。



 帰宅後、家の中を大掃除した…が、結局卵の中身はどこにも見つけることができなかった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ツギハ31ニチ19ジ
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