骸を喰らいて花を咲かせん

藍染木蓮 一彦

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一章〈道端の隅に咲く小さい花〉

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「エイキ、頭が良いのを隠してたの?  僕驚いて、まだ混乱してるんだけど」

「僕は元から僕なんだけど。  隠してたわけじゃないし、こんな真面目な話しする機会なかっただけだよ。  だって普段はこんな話ししないだろ。  言っとくけど、僕は頭は良くないし、戦場に出るようになる迄には、これくらいの知識はサバイバル術で詰め込まれるからね」

   サイカは喉を鳴らし、膝に置かれた拳を強く握りしめた。

「ちょ、ちょっと待って、話を戻すよ。  僕はまだ、エイキの質問に正しい答えを返せる自信が無いから、第四世代が来てからの事を話すから、それから汲み取って欲しい。  できるだけ詳しく話すから」

   サイカは、まだ呆けているシンエイのお腹を一発殴って正気に戻し、話を続けた。

「入校式だったね、校庭で行われたんだけど、趾行…でいいのかな。  まあその足が長いんだ、だから背が異様に高いのもあって、第四世代っていう新世代のプライドもあったんだと思う、完全に見下されてたよね。  精神的にも物理的にも。  教官達はそこまで気にしてる様子もなかったかな。  ね?」

   サイカがシンエイに同意を求めると、シンエイは慌てて頷いた。まだ戸惑っていたのか、ぎこちない様子が伺えるが、次はシンエイが話し始めた。

「でも教官も一枚岩じゃねえからさ、不満のある教官ももちろん居た。  第一世代とか第二世代の教官は特に顕著だったな。  ただ翌日から訓練が始まると一変したんだ。  もう反発する教官は、誰一人いなかった。  第四世代のフィジカルの高さは群を抜いていたんだ。  持久力、瞬発力、射撃、筋力、体術、反射。  戦闘技術においては、第四世代には敵わないだろうなと、誰もが思った」

   エイキは身を乗り出し、喉を鳴らし目を輝かせている。

「そんなに凄かったんだね。  じゃあ、今日の最後の訓練を第四世代がやったらどう?」

「四十キロ担いで、四十キロメートル走ると、一時間弱だったか、なあ?」

   サイカは大きく頷いた。

「とりあえず、俺たちは勝る所が何も無くて、一週間経つ頃には自信喪失、部屋に引きこもる奴が少数だが出始めた。  訓練も、明らかに第三世代の士気は落ちてたしな」

   シンエイは腕を組み、言葉を続けた。

「そんな時に、追い打ちをかけたのが教官達だった。  サイカはずっと、諜報科の誰かしらと組んでるからさ、嫌な情報も入ってくるわけよ。  第一、第二世代が使えるようになって二十年。  教官の中には前線を退いた世代の奴もいるだろ、そいつらがもう第四世代に期待しまくって、目を輝かせてるんだと。  それで入ってきた情報が、そいつらが俺らの事を見限ってるって話し 」

   エイキも腕を組み、話を聞いていたが、肩をすくませ、納得できないといった表情を浮かべた。

「待って、なんかおかしくない?  干渉出来ないように分けられてたんでしょ。  なんでそんなに第四世代に詳しいの?  まさか全部諜報員からの話だって事はないよね」

   サイカは気まずそうな顔をして頷いた。

「実はそうなんだ。  実践と同じようにチームリーダーは諜報員と接触して組まないといけない。  だから、あちこちのチームで同じ話しが出て、僕らは信じてしまった」

「なるほど、やっぱりおかしいよね。  だって表向き活躍してる軍人は普通の人間だけど、実質、軍功を上げまくって、裏で功績を認められてるのは特S部隊の第一から第三世代だよね。  第四世代なんて実戦投入もされてないよね?」

   エイキは腕を組んだまま、ぶつぶつと呟きながら考えをまとめている。
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