骸を喰らいて花を咲かせん

藍染木蓮 一彦

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一章〈道端の隅に咲く小さい花〉

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   馬乗りになられ、押さえられた両腕はびくともしない。

「はい、駄目。  今日も駄目。  今日のは特に駄目だろ、無駄が多いよな、エイキ」

   獲物、改めシンエイは、ベッドから起きようともせずに、一連の出来事を見ていたエイキに意見を求めた。

「駄目だね。  もうネタがないんじゃない?  僕が来る前からやってるんでしょ?」

   シンエイに組み敷かれたままのサイカは、二人からの辛辣な意見に、悔しさと恥ずかしさから小刻みに震えていた。

「サイカは完全に隠密の暗殺向きでしょ。  なんでそんなに近接戦闘の練習するのさ。 しかもここぞという危険関知ができている時のサイカの判断力は随一なのにね、考えすぎのサイカは一般軍人以下かもね」

   エイキのご最もで辛辣な発言に、返す言葉が見あたらない。ただ一つ、言える事はあるが。

「万事に対処できてこその特S部隊である。  だろ?」

   まだ組み敷かれて震えているサイカに代わり、シンエイが代弁するが、勘に障ったのか、大きく震え出した。

「誰だっけ、その言葉遺したの。  特S部隊を考案した人だっけ?」

   エイキは、サイカが怒るのを分かっていて、とぼけているが、シンエイもそれに乗る。

「第一世代の一期生のトップじゃなかったか?」

「一期生のトップって誰だよ。  そんな奴、僕知らないよ?  そんなに凄い人ならわかるはずなんだけどな」

   二人が和気あいあいと馬鹿にして笑っているが、まだ組み敷かれているサイカは、震えながら顔を真っ赤にしている。恥ずかしさで何も言えないようだが、泣きそうにも見える。

   エイキはようやく体を起こし、二人の元に寄ったかと思うと、ベッドに肘をついてサイカを観察し始めた。

   サイカは恥ずかしさからか、力いっぱい目を瞑り、身動ぎするが、シンエイに体重を掛けられ、腕が抜けないように押さえられているせいか、びくともしない。

「シンエイ、これってまさか泣きそうなんじゃないの?」

「それは無いだろ。  俺たちは、生理的に涙は出るが、感情で泣く事はないはずだろ。  そもそも涙を流した奴なんて見た事ない」

   二人が観察している間も、サイカは辱めを受けている気持ちで、恥ずかしさから震えている。

「それはそうなんだけどさ、そもそも僕らの身体は、流す程の涙の分泌は、されないようになっているからね。  目に傷がついてもすぐ治るしさ、なんたって、目にゴミが入っても涙が流れないのは予想外の出来事だったらしいから」

   エイキは、このまま追い詰めれば、涙を流すのではないかと期待して、目を輝かせている。シンエイに懇願するような視線を送った。
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