砂国女王記

苺魏

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11話

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「王城をご案内致します」

今気づいたけれど、リデンはここに着いてから私への対応がかなり変わっている。何故だろう。

私はリデンにエスコートされ、王城の扉の前まで来た。
今更かもしれないけど、すごく緊張してきた。ただの少女である私が王城に入ることになるなんて、と。だからか、少し手が震える。落ち着くために深呼吸しよう。リデンに気づかれないように小さく。
城に入って初めに案内されたのは薄桃色で統一された広い部屋。リデンは私を案内してすぐ別の場所へ行ってしまった。
部屋は掃除はされているものの使用された形跡はない。家具も全て新品のようだ。部屋を見回ってみる。するとトイレもお風呂も完備された部屋だとわかった。まるで高級ホテルのような凝った作りだった。一通り部屋を見終わったので、部屋の真ん中のソファに座る。とても柔らかい。そういえば、ここの国貧乏なんじゃなかったっけ?何でこんな高そうな家具があるんだろ?ここまでの廊下には調度品が置いてあった形跡はあるものの、それはなかったし。何故?と、考え事をしているとドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「失礼致しします」

そう言って白と黒のメイド服のような服をきた3人の少女が部屋に入ってきた。メイド服っぽいのを着てるから、多分侍女の身分なのだろう。さっき聞いたところによると『私』は16歳だそうだから、若干私よりは年上かな?
「太陽の雫、大神の愛し子にお目にかかります。シャヴィナ・デリトンと申します。」

3人の侍女の中で一際美しく輝く金髪の少女が、私の前に進み出て清廉なカーテシーを披露した。そのシーンはまるでファンタジー映画に出てくる1シーンのよう。まぁ、彼女は正真正銘の貴族令嬢であるのだろうけど……。
シャヴィナと名乗った彼女カーテシーのままその美しい姿勢を維持している。
「サリーネ・カルダナと申します」
「エリツァア・トルティでございます」

残り2人もカーテシーを行い、やっとシャヴィナは元の姿勢に戻る。シャヴィナがカーテシーを止めると同時にサリーネとエリツァアと名乗った少女もカーテシーを止めた。
「私たちは貴女様のお世話をさせていただくことになりました。なんなりとお申し付けください」
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