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本編
第35話 レティシア様たちとお茶会 〜もしかして初めてできたお友だち
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数週間後、レティシア様のアラベルト公爵邸にお呼ばれしました。そのあいだ、お母さま、テッシーさんとドレス作りに忙しかった。今までのドレスはピンクばかりだったので、ドレスを作ることになった。
お母さまはかわいいドレスがいい、私は落ち着いたドレスがいいと、意見が一致しないので、中間の、大人しいかわいいドレスにした。色は水色になった。紺がよかったのに。
さて、ドレス、髪型、お土産を持ち,いざ初お茶会へ。
「ようこそ、アイリ様」
「レティシア様、お招きいただきありがとうございます。こちらは、お土産のケーキ類です。どうぞ」
「お茶会に来ていただき、ありがとうございます。と、もう堅苦しい挨拶はなしにしましょう。気軽に話しましょう。ねっ、アイリ様」
「ありがたいです。どうも、ご令嬢言葉は苦手でして。」
「ふふふふっ、どうぞこちらにいらして」
庭園のガゼボに案内された。花が色とりどりに咲き乱れ、綺麗な庭園だ。
「綺麗ですね」
うちの野菜畑の庭園とは違うなぁ。これぞ、お貴族さまの、ザ、庭という感じだ。
「お母さまが手塩にかけて育てている花々なのよ。アイリ様に見ていただきたくて、ガゼボに用意しましたのよ」
マリアナ様が先に座っていた。ありゃ、お待たせてしまったか。
「マリアナ様、遅くなり申し訳ございません。」
「そんなことはないわよ。今日は堅苦しい言葉は不要よ、わかったかしら」
「あっ、はい」
無礼講で良いのか?違うか?
「アイリ様、お土産ここでみても良いかしら。これマジックバックなのマジックバックから取り出せば良いの」
「そうです。嫌いなものがあったら、持ち帰るので言ってください」
「うわぁ、美味しそう。」
「その器のは、プリンです。あと、アップルパイ、ベリータルト、バナナオムレット、クッキー、チーズケーキ。」
「ちょっと、ちょっと待ってアイリ様。すごく多いけど」
「マジックバックに入れておけば、賞味期限が維持できます。マジックバックは後で返してくださいね。こっちがマリアナ様のお土産です。どうぞ」
「わたくしにも。ありがとう」
「こっちの袋が今日の食べる分です。サンドイッチとかもこっちは入ってます。メイドさんに渡せば、今日、これを出してもらえますか」
「そ、そうね、サマンサ。これを取り分けできるように並べてちょうだい」
「かしこまりました。こ、これはどのように取り出せばよろしいのでしょうか」
「簡易マジックバックだから、手を入れれば取り出せるわよ」
別テーブルで、ケーキやサンドイッチ、サラダなどが並べられていった。
「ア、アイリ様。すごい料理ね」
「マリアナ様、様はめんどくさいからアイリで、いいわよ。同い年だし。料理多かったかしら」
「では、わたくしもマリアナと呼んでください。同い年で学園も一緒なので、マリアナでお願いします」
「私もレティシアでいいわよ」
「いえ、公爵令嬢のレティシア様には様はつけます」
「気にしないので、ぜひレティシアかレティ、シアと呼んで欲しいわ」
「それでは、レティと内輪では呼びますね。公の場ではレティシア様と、呼びます。ただ、公の場でも、レティと言ってしまったらごめんなさい。先に謝っておきます」
「アイリは公の場でも言いそうよね、ふふふ」
もしかして、これは私に友達ができたと言うことなのかしら。異世界初のお友だち。お・と・も・だ・ち。
聞いていいのかしら、これっておともだちでいいのか。でも、恥ずかしい。聞いてビミョーな顔をされたらどうしよう。
「どうしたの、アイリ。ソワソワして、挙動不審よ」
「ねぇ、レティ、マリアナ、聞いていい?これって、これって、おともだちになったということでいいの?私とレティ、マリアナはお友だち関係でいいの?私とお友達になってください。お願いします」
「もう、お友達よ。前のアイリとは全く違うし、今のアイリならみんなに受け入れてもらえるわよ。アイリはどうしたいの?私たちだけではなく、色々な人と交流をしたいなら、私たちは自信を持ってアイリを紹介するわよ」
「そうよ、アイリ、お茶会とかいっぱい誘ってしまうわよ。あー、今、めんどくさいという顔をしたわね」
「えっ、顔に出ていた?」
「アイリは感情が顔にですぎよ」
「そうなのよ、マリアナ、レティ、聞いて。お母さまったら、これから淑女教育をみっちりしますからって言うのよ。自分では敬語も使っているし、令嬢として大丈夫と思っているのよ」
「アイリ、敬語を使っているから、淑女と言うわけではないのよ。仕草、立ち回り、人を見る観察力、回避力、言い回しなど色々あるのよ。私とマリアナで淑女教育しましょうか。アイリのお母様よりは楽しくできるのではないかしら。アイリのお母さま、厳しそうだしね」
「そうよ、アイリ、レティと一緒にやりましょう。あっ、また顔にでているわよー」
「淑女教育って大変なのね。やっていけるかしら、私。やっぱりまだ、2人との交流だけでいいわ。無理だわ。オーホッホッホッなんていえないわ」
「アイリ、そんなこと言う人いないわよ」
「えっ、いないの?そ、そうか。気を取り直して、食べましょう。お腹空いてしまったわ」
「アイリ、フフフッ、淑女はお腹空いてしまったわ、と言葉にしないことよ。アイリがいっぱい作ってきた料理、美味しそうね。この黄色いものが挟んであるパンはなあに」
「淑女教育ムリだわ。あっ、レティ、それは卵サンドイッチよ」
「マリアナ、それはコーンスープよ」
「「おいしい」」
「レティは学園でどんなコースを取っているの?」
「私は、淑女コースを専攻しているわ。アイリとマリアナはどのコースにしようとしているの?」
「私も、淑女コースよ」
「マリアナは、淑女コースなのね。私は錬金か薬師コースかなぁ」
「えっ、アイリ、錬金コース、薬師?にするの?」
「私は,実はダンスができないのです。だから、あまり社交会などには出たくないなぁと、病弱設定で領地に籠もりたいと思っているのです。」
「病弱設定って設定と言っているわよ。あはは、アイリ、ダンスができないの?」
「得意ではない。今はこうだけど、前はあーだし」
「ふふふっ。そうねぇ、ダンスかぁ。アレクセイ様は練習一緒にしてくださるの?」
「お父さま、お兄さま、執事のジェラードに特訓されているわ。でも、足捌きがわからない。もう、相手の足を踏まないようにするので精一杯よ。それに淑女コースより、錬金や薬師などの、作ることがしてみたいの。手に職をつける方が人生に便利だし。私、ほんとに、腹の探り合いはできないよ」
「腹の探り合い。そうね、それこそが淑女教育の一環でもあるのよ。女性同士の派閥のしがらみなど大変よね。私のお母さまも公爵夫人だから、周りの動向を探っていたり、他の派閥の女性集団に対して、言葉の応酬をしてあるわね」
「うわぁ、大変そう」
ガクブルである。そういう女性のしがらみってめんどくさいから、やっぱり領地に籠ってスローライフするのが得策よね。
「レティは、第二王子殿下が、婿に来て、公爵家を継いで領地経営するのでしょ。マリアナは、ロベルト様が嫡男だから、ゆくゆくは侯爵夫人か。大変だね」
「そうね、私と第二王子殿下であるカイデール様とは番なのよ。」
「えっ、番?」
「そうよ、この国の王家は龍人が礎となっているのよ、アイリ、これは誰でも知っていることよ。男性だけが引き継がれる血なのよ。だから女性も生まれるけど、女性は龍人の血は引き継がない。王家から降嫁する王女やスタンフォート公爵家に産まれた女性から生まれる男性は、龍人の血は引き継がないとなっているの。カイデール殿下には龍人の血が引き継がれているの。だから、私たちが男の子を授かれば龍人の血は引き継がれるとなるのよ。責任重大だけど、番としてとても愛してくれるし、子供は授かりものだから、気にしないでいこうと2人で話し合っているのよ」
「ロベルト様のお母さまはスタンフォート公爵から出ているけど、女性だから龍人の血は引き継いでいないの。だから、ロベルト様は龍人ではないの。そういえば、スタンフオート公爵様には、まだ番が現れないのですよね」
「そうなのよ、国王陛下もみんな心配しているのよ」
「大変なのね、番が現れないのも」
「必ずこの国の国民の中から番は運命付けられているから、まだ現れないのが不思議なのよ」
スタンフォート公爵って、アイリが癇癪を起こしたあのパーティで、頬を叩いた人か。厳格そうな男性だったなぁ。迷惑をかけてしまったから、もう顔を合わせることはないでしょう。近寄らない。君子危うきに近寄らず、である。
「ところでアイリは結婚についてどう考えているの」
「いやー、私は結婚できないよ。お兄さまには領地の片隅で、生活させてとは言ってあるので大丈夫、大丈夫。あとは傷があってもいいと言ってくれるような寛大な心を持った男性があればいいけど、要は容姿ではなく心、性格を重視してくれる人。いるかなぁ」
「アイリのタイプってロベルト様のような人よね?」
「マリアナ、今はね、40歳ぐらいのダンディーなイケてるおじさんが良いと思っていたけど、20歳から30歳ぐらいの男性で、できれば、スマートな人。うちのお父さまのようなスラっとした人がいいなぁ。ギトギト脂ぎったデブはやだ。変態もやだ。でも、そういう人なんでいるかしらねぇ」
「ギトギト脂ぎったデブって、アハハハ、なぜ、年上?」
「笑いすぎじゃない、レティ。今は年上が良いのよ」
なんせ前世41歳。16、17の若造では、ムリよ。若すぎる。前世でいう高校生よ。ムリムリ。
「でも、アイリ、これから社交界デビューして、色々な人と会うから、じっくり決めていけばいいのではないの。頭ごなしに、結婚しないではなく、人をよく見た方がいいわよ」
レティ、さすが第二王子妃教育もしているのね。視野が広いというか、人間ができている。
私、前世41歳だったのに、この人間性の違いなのかしらね。自分の性格が軽い人に思えてきた。
やっぱり淑女教育は必要なのかしら。
そうよね、これから人との交流でいい人がいるかもしれない。前向きに考えていこう。
ありがとう、レティ、マリアナ。
そんなこんなの女子会トーク。楽しい。友だちができた。そして女子トークしている。うれしい。楽しい。
今流行りのファッションや王都の美味しいお店の話。
「そうなの。ファッションとかも、髪飾り一つ、小物一つで感じが変わるじゃないの。そういうことを考えるのが好きなのよ」
ファッション談義はまだまだ続く。
お母さまはかわいいドレスがいい、私は落ち着いたドレスがいいと、意見が一致しないので、中間の、大人しいかわいいドレスにした。色は水色になった。紺がよかったのに。
さて、ドレス、髪型、お土産を持ち,いざ初お茶会へ。
「ようこそ、アイリ様」
「レティシア様、お招きいただきありがとうございます。こちらは、お土産のケーキ類です。どうぞ」
「お茶会に来ていただき、ありがとうございます。と、もう堅苦しい挨拶はなしにしましょう。気軽に話しましょう。ねっ、アイリ様」
「ありがたいです。どうも、ご令嬢言葉は苦手でして。」
「ふふふふっ、どうぞこちらにいらして」
庭園のガゼボに案内された。花が色とりどりに咲き乱れ、綺麗な庭園だ。
「綺麗ですね」
うちの野菜畑の庭園とは違うなぁ。これぞ、お貴族さまの、ザ、庭という感じだ。
「お母さまが手塩にかけて育てている花々なのよ。アイリ様に見ていただきたくて、ガゼボに用意しましたのよ」
マリアナ様が先に座っていた。ありゃ、お待たせてしまったか。
「マリアナ様、遅くなり申し訳ございません。」
「そんなことはないわよ。今日は堅苦しい言葉は不要よ、わかったかしら」
「あっ、はい」
無礼講で良いのか?違うか?
「アイリ様、お土産ここでみても良いかしら。これマジックバックなのマジックバックから取り出せば良いの」
「そうです。嫌いなものがあったら、持ち帰るので言ってください」
「うわぁ、美味しそう。」
「その器のは、プリンです。あと、アップルパイ、ベリータルト、バナナオムレット、クッキー、チーズケーキ。」
「ちょっと、ちょっと待ってアイリ様。すごく多いけど」
「マジックバックに入れておけば、賞味期限が維持できます。マジックバックは後で返してくださいね。こっちがマリアナ様のお土産です。どうぞ」
「わたくしにも。ありがとう」
「こっちの袋が今日の食べる分です。サンドイッチとかもこっちは入ってます。メイドさんに渡せば、今日、これを出してもらえますか」
「そ、そうね、サマンサ。これを取り分けできるように並べてちょうだい」
「かしこまりました。こ、これはどのように取り出せばよろしいのでしょうか」
「簡易マジックバックだから、手を入れれば取り出せるわよ」
別テーブルで、ケーキやサンドイッチ、サラダなどが並べられていった。
「ア、アイリ様。すごい料理ね」
「マリアナ様、様はめんどくさいからアイリで、いいわよ。同い年だし。料理多かったかしら」
「では、わたくしもマリアナと呼んでください。同い年で学園も一緒なので、マリアナでお願いします」
「私もレティシアでいいわよ」
「いえ、公爵令嬢のレティシア様には様はつけます」
「気にしないので、ぜひレティシアかレティ、シアと呼んで欲しいわ」
「それでは、レティと内輪では呼びますね。公の場ではレティシア様と、呼びます。ただ、公の場でも、レティと言ってしまったらごめんなさい。先に謝っておきます」
「アイリは公の場でも言いそうよね、ふふふ」
もしかして、これは私に友達ができたと言うことなのかしら。異世界初のお友だち。お・と・も・だ・ち。
聞いていいのかしら、これっておともだちでいいのか。でも、恥ずかしい。聞いてビミョーな顔をされたらどうしよう。
「どうしたの、アイリ。ソワソワして、挙動不審よ」
「ねぇ、レティ、マリアナ、聞いていい?これって、これって、おともだちになったということでいいの?私とレティ、マリアナはお友だち関係でいいの?私とお友達になってください。お願いします」
「もう、お友達よ。前のアイリとは全く違うし、今のアイリならみんなに受け入れてもらえるわよ。アイリはどうしたいの?私たちだけではなく、色々な人と交流をしたいなら、私たちは自信を持ってアイリを紹介するわよ」
「そうよ、アイリ、お茶会とかいっぱい誘ってしまうわよ。あー、今、めんどくさいという顔をしたわね」
「えっ、顔に出ていた?」
「アイリは感情が顔にですぎよ」
「そうなのよ、マリアナ、レティ、聞いて。お母さまったら、これから淑女教育をみっちりしますからって言うのよ。自分では敬語も使っているし、令嬢として大丈夫と思っているのよ」
「アイリ、敬語を使っているから、淑女と言うわけではないのよ。仕草、立ち回り、人を見る観察力、回避力、言い回しなど色々あるのよ。私とマリアナで淑女教育しましょうか。アイリのお母様よりは楽しくできるのではないかしら。アイリのお母さま、厳しそうだしね」
「そうよ、アイリ、レティと一緒にやりましょう。あっ、また顔にでているわよー」
「淑女教育って大変なのね。やっていけるかしら、私。やっぱりまだ、2人との交流だけでいいわ。無理だわ。オーホッホッホッなんていえないわ」
「アイリ、そんなこと言う人いないわよ」
「えっ、いないの?そ、そうか。気を取り直して、食べましょう。お腹空いてしまったわ」
「アイリ、フフフッ、淑女はお腹空いてしまったわ、と言葉にしないことよ。アイリがいっぱい作ってきた料理、美味しそうね。この黄色いものが挟んであるパンはなあに」
「淑女教育ムリだわ。あっ、レティ、それは卵サンドイッチよ」
「マリアナ、それはコーンスープよ」
「「おいしい」」
「レティは学園でどんなコースを取っているの?」
「私は、淑女コースを専攻しているわ。アイリとマリアナはどのコースにしようとしているの?」
「私も、淑女コースよ」
「マリアナは、淑女コースなのね。私は錬金か薬師コースかなぁ」
「えっ、アイリ、錬金コース、薬師?にするの?」
「私は,実はダンスができないのです。だから、あまり社交会などには出たくないなぁと、病弱設定で領地に籠もりたいと思っているのです。」
「病弱設定って設定と言っているわよ。あはは、アイリ、ダンスができないの?」
「得意ではない。今はこうだけど、前はあーだし」
「ふふふっ。そうねぇ、ダンスかぁ。アレクセイ様は練習一緒にしてくださるの?」
「お父さま、お兄さま、執事のジェラードに特訓されているわ。でも、足捌きがわからない。もう、相手の足を踏まないようにするので精一杯よ。それに淑女コースより、錬金や薬師などの、作ることがしてみたいの。手に職をつける方が人生に便利だし。私、ほんとに、腹の探り合いはできないよ」
「腹の探り合い。そうね、それこそが淑女教育の一環でもあるのよ。女性同士の派閥のしがらみなど大変よね。私のお母さまも公爵夫人だから、周りの動向を探っていたり、他の派閥の女性集団に対して、言葉の応酬をしてあるわね」
「うわぁ、大変そう」
ガクブルである。そういう女性のしがらみってめんどくさいから、やっぱり領地に籠ってスローライフするのが得策よね。
「レティは、第二王子殿下が、婿に来て、公爵家を継いで領地経営するのでしょ。マリアナは、ロベルト様が嫡男だから、ゆくゆくは侯爵夫人か。大変だね」
「そうね、私と第二王子殿下であるカイデール様とは番なのよ。」
「えっ、番?」
「そうよ、この国の王家は龍人が礎となっているのよ、アイリ、これは誰でも知っていることよ。男性だけが引き継がれる血なのよ。だから女性も生まれるけど、女性は龍人の血は引き継がない。王家から降嫁する王女やスタンフォート公爵家に産まれた女性から生まれる男性は、龍人の血は引き継がないとなっているの。カイデール殿下には龍人の血が引き継がれているの。だから、私たちが男の子を授かれば龍人の血は引き継がれるとなるのよ。責任重大だけど、番としてとても愛してくれるし、子供は授かりものだから、気にしないでいこうと2人で話し合っているのよ」
「ロベルト様のお母さまはスタンフォート公爵から出ているけど、女性だから龍人の血は引き継いでいないの。だから、ロベルト様は龍人ではないの。そういえば、スタンフオート公爵様には、まだ番が現れないのですよね」
「そうなのよ、国王陛下もみんな心配しているのよ」
「大変なのね、番が現れないのも」
「必ずこの国の国民の中から番は運命付けられているから、まだ現れないのが不思議なのよ」
スタンフォート公爵って、アイリが癇癪を起こしたあのパーティで、頬を叩いた人か。厳格そうな男性だったなぁ。迷惑をかけてしまったから、もう顔を合わせることはないでしょう。近寄らない。君子危うきに近寄らず、である。
「ところでアイリは結婚についてどう考えているの」
「いやー、私は結婚できないよ。お兄さまには領地の片隅で、生活させてとは言ってあるので大丈夫、大丈夫。あとは傷があってもいいと言ってくれるような寛大な心を持った男性があればいいけど、要は容姿ではなく心、性格を重視してくれる人。いるかなぁ」
「アイリのタイプってロベルト様のような人よね?」
「マリアナ、今はね、40歳ぐらいのダンディーなイケてるおじさんが良いと思っていたけど、20歳から30歳ぐらいの男性で、できれば、スマートな人。うちのお父さまのようなスラっとした人がいいなぁ。ギトギト脂ぎったデブはやだ。変態もやだ。でも、そういう人なんでいるかしらねぇ」
「ギトギト脂ぎったデブって、アハハハ、なぜ、年上?」
「笑いすぎじゃない、レティ。今は年上が良いのよ」
なんせ前世41歳。16、17の若造では、ムリよ。若すぎる。前世でいう高校生よ。ムリムリ。
「でも、アイリ、これから社交界デビューして、色々な人と会うから、じっくり決めていけばいいのではないの。頭ごなしに、結婚しないではなく、人をよく見た方がいいわよ」
レティ、さすが第二王子妃教育もしているのね。視野が広いというか、人間ができている。
私、前世41歳だったのに、この人間性の違いなのかしらね。自分の性格が軽い人に思えてきた。
やっぱり淑女教育は必要なのかしら。
そうよね、これから人との交流でいい人がいるかもしれない。前向きに考えていこう。
ありがとう、レティ、マリアナ。
そんなこんなの女子会トーク。楽しい。友だちができた。そして女子トークしている。うれしい。楽しい。
今流行りのファッションや王都の美味しいお店の話。
「そうなの。ファッションとかも、髪飾り一つ、小物一つで感じが変わるじゃないの。そういうことを考えるのが好きなのよ」
ファッション談義はまだまだ続く。
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