少女探偵

おまけ

池照刑事はLINEを開いて既読になってしまった事を少し後悔した。

相手は遠野日向からである。

(おつかれさまでーす！遠野であります！久しぶりな気がしますがお元気でした？無理しないで下さいね？あ、そんなことより、今、忙しいですか？もし忙しくなければ、質問したいことがあるであります！)

既読にした以上は返信しなければ相手は不快に思うかもしれない。

いや、ある程度の不快感を与えた方が距離を取るためには必要だろうか？

などと何回か逡巡《しゅんじゅん》した後に結局返信する事にした。

(何でしょう？)

(中川くんて、ぶっちゃけ何の犯人なんでしょう？何となく聞きそびれてしまって申し訳ござりませぬ)

あ、そういえば、その事は話してなかったか.......。

池照は改めて気がついた。

(いえ、中川くんは何の犯人でもなかったので安心して下さい)

(えー！うそ！)

(嘘ではありません)

(では、捜査終了でありますか？)

(そうなりますね)

ていうか、なんの犯人か、わからずに捜査してたのか。

すごいポテンシャルだな。

(でも、怪しいんですけどね)

(え？中川くんが？)

(そう！明らかに言動がおかしいんですよ！)

(どうおかしいんです？)

(女子部員より男子部員の方と話したがってる様に見えるんですよね。変でしょ？)

まさか、女装癖だけじゃなくて.......。

(そうなんだ、でも照れてるだけかもしれないし、そっとしてあげたらいいんじゃないかな？)

なんとなく、秘密を知っている身として庇ってしまった。

これは守秘義務ってやつだな.......。

(ふーん、そうなのかなー？)

(だと思いますよ。とりあえず、事件は解決しましたので、捜査は終了ですよ)

((・ω・)ゞらじゃ！(はーと))

(はーとってなんですか？)

(すみません！つい！助手の分際でつけてしまいました！)

いや、助手にしたつもりはないんだが。

(いえ、それではまたね)

(了解であります！)

池照はなんとなくホッとして通話終了の画面を見た。

｢だれや？｣

｢うわあ！｣

いきなり至近距離で岩井に声をかけられて池照は驚いた。

｢なんや！どないした！｣

｢なんでもないですねん！｣

｢なんやその変な関西弁は？｣

........アンタにだけは言われとうない。

刑事は心の中でそうツッコんだ。