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序章-学園編
決意
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目を覚ます……
夢は……続いている。
「……やっちまったな」
レインの住む……アクア家。
彼女の家にあたり前のように住み着いている。
「……本当に許せなかったんだよ」
そう言い訳するように、独り言を呟いた。
「まったく……転入早々問題起こさないでよね」
独り言に反応が有ったことに驚き、慌てて身体を起こす。
「私は素敵だと思いましたよ、クリアさんを想い、凶悪な相手に立ち向かう姿、賞賛致します」
俺が寝ている間、二人で団らんしていたのだろう。
部屋のテーブルのあたりでくつろぐように二人がこちらを見ている。
「まぁ……あのクラスのお山の大将を黙らせたのは、私もちょっとだけ評価してあげるわ」
少し上からの目線でそうレインが言う。
「……あの後、お嬢様、自分の事のように嬉しそうにレス様のこと絶賛していたんですよ」
光景を思い出すようにリヴァーは笑いながら……
「おい、見たかリヴァー、レスがスパーンッとあのヴァニをぶっ飛ばしたぞ!さすが私が召喚した男だって」
そうレインのモノマネをするように笑いながら語る。
「馬鹿……言うなっ、ちょっと褒めただけだ、まだ認めたわけじゃないっ、ちょっとだけ認めただけだ」
片目を瞑り、両手を両脇に沿え、偉そうな姿勢でそうレインが言う。
あの、ヴァニという男がどれ程の奴かは知らない。
それでも……俺の防御特化の魔力。
あの転生屋の女に、俺に100の数値の魔力を振り分けろと言われた時。
どうすれば……100以上の魔力を引き出せるかを考えた。
防御値をもし……攻撃に変換するような方法があるのなら……
そう考えたとき……
その防御魔力を身にまとう事ができれば……
上手くいったのだろうか……
わからないが、少なくともあの男を吹き飛ばせるだけの変換能力はあったことになる。
「……兄様とやらは、あの不良より強いのか?」
その答えは……魔力というものに馴染みが無い自分にも解る。
あの殺気のような鋭い魔力。
「……別次元だ」
そうレインがぼそりと言う。
「兄様と比較される事がどれほどのプレッシャーか……」
そう……遠い目でレインが言う。
「プレッシャーか……」
誰に望まれるわけでもない……
きっと誰でも無い自分自身に……認められたいのだろう。
そうすれば……あの男と彼女は解りあえるのだろうか?
・
・
・
3時限目の授業を終える。
一人寂しくトイレで用をすませると、すぐに教室へと向かう。
「あぁ、なめんじゃねーぞっ!」
聞き覚えのある、威圧的な罵声。
教室の前で何やら当クラスの問題児が別のクラス数名ともめているようだった。
「俺は君たちのために良心的に言ってあげてるんだよ」
メガネで知的……何やら上級民臭あふれる男……
もっとも、あのヴァニと言われる男が嫌いそうなタイプだ。
「君たちに、3日後のクラス対抗の交流戦……てめぇら恥晒しは出ないほうがいいよって言う忠告をしてあげてんだよ」
見下すような目で……ヴァニという男を軽くあしらっている。
「……魔力、知力、チームワークどれ一つも優れない劣勢なお前たち……ねぇ、生きてて恥ずかしくないの?」
そうメガネの男が言った瞬間、ヴァニの右腕が燃え上がるように魔力が解放され、魔力の手甲が装着されると同時にその顔面を目掛けパンチを繰り出す。
メガネの男は一瞬焦ったような表情を見せるが……
ヴァニの拳は男の寸前で止まる。
取り巻き数人がヴァニを取り囲み、どうやら魔力によりその動きを拘束されているようだった。
「残念だったね……これで目を覚ませよ」
そう男が言うと、目の前に銀色の巨大な拳が創り出される。
「製造……魔法?」
俺はぼそりと呟きながら様子を見ていた。
拘束され身動き取れないヴァニ……黙って自分にその巨大な拳が迫るのを待つ。
思わずヴァニがその衝撃に備え顔を伏せるが……
「なっ……何だ?」
ヴァニの拳が迫ったときに見せた嘘の表情を、今度は偽りなく表情を作る。
「残念だったね……悪いけど通してくれ……教室に戻れない」
防御結界でその一撃を防ぐと、俺はそれ以上かかわるつもりもなく通り過ぎようとする。
「噂の……異世界からの召喚者という奴か……まぁいい、君からも言っておくのだな……交流戦で恥をかきたくないなら辞退しろと」
そう、再び冷静さを取り戻す。
「……そうだな、気が向いたら言っておく……それはそうと、あんたはさ、自分より劣勢だと思う奴を捕まえて、わざわざ自分は優勢ですと誰でも無い自分に言い聞かせて自分自身を騙すことでしか、自分を優勢だと評価できないのか?それ……生きてて恥ずかしくないの?」
そう捨て台詞を吐いて教室へ戻る。
怒り狂う声が外からするが、教室の中まで追ってくる様子は無さそうだ。
自分の席に戻ると……
ヴァニも同じように俺の方に向かってくる。
あいつの席は別のような気がするが……
ヴァニは俺の前の席の椅子を掴むと俺の席の前に置き、
椅子に跨るように座り、背もたれの部分を腹をつけ、
背もたれの上部に両腕を置くように俺と向き合うように座った。
「2、3発殴ったって文句いわれねーだろ」
「おぃ!レス、悔しくねーのかよっ」
イライラした様子でヴァニが言う。
「……えっ?」
なに、この状況?
思わず?が浮かんでいる。
いや……恐らく教室全体がそうだろう。
「なぁ……レス、俺とお前ならあんな奴らに絶対に負ねーって」
昨日の……険悪が嘘のような……
昨日の敵は……今日の友、そんな熱い奴なのか……こいつは?
「……なに、固まってんだよ?」
不思議そうにヴァニが聞いてくる。
「あ……そっか、俺はヴァーニング=フレイム」
そうヴァニが名乗る。
「まぁ、呼びにくいだろ……ヴァニでいいぜ」
一方的に会話が続いていく。
「レス……お前と俺が組めば、クラス交流戦、絶対いいとこまでいけるって」
そう嬉しそうにヴァニが言う。
「……その、なんだ……交流戦?」
俺の知る、運動会や球技大会のような類のものだろうか?
「そっか……レスはまだしらねーのか」
そう一人納得している。
「3日後に……クラス対抗の競技がある、あんな奴らにコケにされたままなんて納得いかねー、なぁ、レス俺と手を組もうぜ」
そう……熱く語られるが……
チャイムが鳴り、ヴァニが席に戻るため、立ち上がる。
「まぁ……レスもまだこっちに着て、情報が混乱してるんだろうからな、また勧誘しにくるわ」
そうヴァニが背を向け立ち去る。
「それと……さっきはありがとな」
……惚けるように何の事?という顔を返す。
先ほど、廊下での出来事だろう。
「レス……お前も見ておくべきだったぜ、レスに生きてて恥ずかしくない?って返された時のあの野郎の顔、傑作だったぜ!」
ヴァニは思い出すように笑いながら席に戻る。
「……っと」
そして、ヴァニはクリアの席の前で立ち止まると……
「……ケジメだけはつけとかないとな」
そうヴァニが呟く。
「その……昨日はすまなかった……」
そうクリアに頭を下げる。
「……いえ、昨日の台詞はヴァニさんが言った言葉じゃないの知ってますから」
クリアも笑顔で、ヴァニを許す。
クラス対抗の交流戦……
どんな内容かはわからない……
正直、それほど興味も無い。
俺はそこで目立とうとは思わない。
それでも……俺の力で……
守ることしかできない力で……
この劣勢と呼ばれた者たちに……
少しくらい、陽を浴びる景色を見せてやれないだろうか……
ガラッと教室のドアが開き、教師が入ってくる。
……と、教科書を見せてもらうため、席をクリアの側に近づける。
クリアは少し恥ずかしそうに教科書を俺の席に半分渡した。
「いつまでも迷惑かけてごめんな……」
そう謝罪する……が、この世界の金も教科書の買い方もわからない。
呼び出されたとはいえ、住む場所と食べ物を与えられてる宿主にそれを強請るわけにもいかない。
「いえ、ぜんぜん迷惑じゃありませんっ!!」
なぜか力強くクリアが返す。
「……そうだな、明日の休みにでも、レスを街を案内すると同時に教科書を買いに行くとしよう」
放課後……事情を知ったレインはそう告げる。
「そうですね、最低限案内しておいた方がいい場所はいくつかありますから」
そうリヴァーも付け加える。
「え……教科書……買ってしまうの?」
何故か困ったように会話を聞いていたクリアが尋ねる。
「それはな……教科書が無いとレスも今後困るだろ」
そうレインが返すが……
「……わたしと一緒に、見るので困りません」
何故かそっぽを向いてぼそりとクリアが返す。
「そんなもん、いつまでも続けるのを許すわけなかろうっ」
レインが少し叫ぶように言う。
「そもそも、コイツの所有者はこの私な、の、だっ!」
俺を指でさしそうクリアに告げる。
「……いつも自宅で一緒に居られるんだから、別に少しくらいいいじゃないですか」
また、顔を反らし、クリアが言う。
「どいつも、こいつも、私のモノを無断で使用しようとしおって」
そう不機嫌な様子でレインが言う。
「……人を物みたいに言うな」
取り敢えずそう突っ込むが誰にも届かない。
「どいつも……こいつも……?」
自分以外にいったい誰を指しているのか……クリアが疑問に思う。
「第3のヒロイン、ヴァニさんですね」
何故かリヴァーが嬉しそうに胸の前で手を叩きながら言う。
謎めいた事を言うので取り敢えず今度は俺が聞こえてないふりをする。
どちらにしても、街の案内をしてもらうのは必要だろう。
ギャーギャーと喚くレイン。
少しキャラに似合わずそれにムキに受け答えするクリア。
それに時たま楽しそうに合いの手を入れるリヴァー。
何をそんなに言い争っているのかはわからないが……
それは何だか凄く楽しそうに見えた。
夢……を見ているのだろうか。
知らない世界に来てしまったのだろうか。
わからない……
俺にこの世界に英雄になれるような……大きな力はない。
俺にあるのは、何かを守るための魔力。
守れるだろうか……
この風景を……
いや……表には立てない俺のこの魔力……
「守ってやる……レイン、クリア……リヴァー」
そう呟いた。
「……?」
ギャーギャーと騒いでいた3人が不思議そうにこちらを見ている。
「あぁ、ごめん……なんでもない」
この世界に来てまだ数日……
それでも……
「本気で守りたいものが……できたんだ」
ありがとう……
俺は彼女たちに感謝する。
夢は……続いている。
「……やっちまったな」
レインの住む……アクア家。
彼女の家にあたり前のように住み着いている。
「……本当に許せなかったんだよ」
そう言い訳するように、独り言を呟いた。
「まったく……転入早々問題起こさないでよね」
独り言に反応が有ったことに驚き、慌てて身体を起こす。
「私は素敵だと思いましたよ、クリアさんを想い、凶悪な相手に立ち向かう姿、賞賛致します」
俺が寝ている間、二人で団らんしていたのだろう。
部屋のテーブルのあたりでくつろぐように二人がこちらを見ている。
「まぁ……あのクラスのお山の大将を黙らせたのは、私もちょっとだけ評価してあげるわ」
少し上からの目線でそうレインが言う。
「……あの後、お嬢様、自分の事のように嬉しそうにレス様のこと絶賛していたんですよ」
光景を思い出すようにリヴァーは笑いながら……
「おい、見たかリヴァー、レスがスパーンッとあのヴァニをぶっ飛ばしたぞ!さすが私が召喚した男だって」
そうレインのモノマネをするように笑いながら語る。
「馬鹿……言うなっ、ちょっと褒めただけだ、まだ認めたわけじゃないっ、ちょっとだけ認めただけだ」
片目を瞑り、両手を両脇に沿え、偉そうな姿勢でそうレインが言う。
あの、ヴァニという男がどれ程の奴かは知らない。
それでも……俺の防御特化の魔力。
あの転生屋の女に、俺に100の数値の魔力を振り分けろと言われた時。
どうすれば……100以上の魔力を引き出せるかを考えた。
防御値をもし……攻撃に変換するような方法があるのなら……
そう考えたとき……
その防御魔力を身にまとう事ができれば……
上手くいったのだろうか……
わからないが、少なくともあの男を吹き飛ばせるだけの変換能力はあったことになる。
「……兄様とやらは、あの不良より強いのか?」
その答えは……魔力というものに馴染みが無い自分にも解る。
あの殺気のような鋭い魔力。
「……別次元だ」
そうレインがぼそりと言う。
「兄様と比較される事がどれほどのプレッシャーか……」
そう……遠い目でレインが言う。
「プレッシャーか……」
誰に望まれるわけでもない……
きっと誰でも無い自分自身に……認められたいのだろう。
そうすれば……あの男と彼女は解りあえるのだろうか?
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3時限目の授業を終える。
一人寂しくトイレで用をすませると、すぐに教室へと向かう。
「あぁ、なめんじゃねーぞっ!」
聞き覚えのある、威圧的な罵声。
教室の前で何やら当クラスの問題児が別のクラス数名ともめているようだった。
「俺は君たちのために良心的に言ってあげてるんだよ」
メガネで知的……何やら上級民臭あふれる男……
もっとも、あのヴァニと言われる男が嫌いそうなタイプだ。
「君たちに、3日後のクラス対抗の交流戦……てめぇら恥晒しは出ないほうがいいよって言う忠告をしてあげてんだよ」
見下すような目で……ヴァニという男を軽くあしらっている。
「……魔力、知力、チームワークどれ一つも優れない劣勢なお前たち……ねぇ、生きてて恥ずかしくないの?」
そうメガネの男が言った瞬間、ヴァニの右腕が燃え上がるように魔力が解放され、魔力の手甲が装着されると同時にその顔面を目掛けパンチを繰り出す。
メガネの男は一瞬焦ったような表情を見せるが……
ヴァニの拳は男の寸前で止まる。
取り巻き数人がヴァニを取り囲み、どうやら魔力によりその動きを拘束されているようだった。
「残念だったね……これで目を覚ませよ」
そう男が言うと、目の前に銀色の巨大な拳が創り出される。
「製造……魔法?」
俺はぼそりと呟きながら様子を見ていた。
拘束され身動き取れないヴァニ……黙って自分にその巨大な拳が迫るのを待つ。
思わずヴァニがその衝撃に備え顔を伏せるが……
「なっ……何だ?」
ヴァニの拳が迫ったときに見せた嘘の表情を、今度は偽りなく表情を作る。
「残念だったね……悪いけど通してくれ……教室に戻れない」
防御結界でその一撃を防ぐと、俺はそれ以上かかわるつもりもなく通り過ぎようとする。
「噂の……異世界からの召喚者という奴か……まぁいい、君からも言っておくのだな……交流戦で恥をかきたくないなら辞退しろと」
そう、再び冷静さを取り戻す。
「……そうだな、気が向いたら言っておく……それはそうと、あんたはさ、自分より劣勢だと思う奴を捕まえて、わざわざ自分は優勢ですと誰でも無い自分に言い聞かせて自分自身を騙すことでしか、自分を優勢だと評価できないのか?それ……生きてて恥ずかしくないの?」
そう捨て台詞を吐いて教室へ戻る。
怒り狂う声が外からするが、教室の中まで追ってくる様子は無さそうだ。
自分の席に戻ると……
ヴァニも同じように俺の方に向かってくる。
あいつの席は別のような気がするが……
ヴァニは俺の前の席の椅子を掴むと俺の席の前に置き、
椅子に跨るように座り、背もたれの部分を腹をつけ、
背もたれの上部に両腕を置くように俺と向き合うように座った。
「2、3発殴ったって文句いわれねーだろ」
「おぃ!レス、悔しくねーのかよっ」
イライラした様子でヴァニが言う。
「……えっ?」
なに、この状況?
思わず?が浮かんでいる。
いや……恐らく教室全体がそうだろう。
「なぁ……レス、俺とお前ならあんな奴らに絶対に負ねーって」
昨日の……険悪が嘘のような……
昨日の敵は……今日の友、そんな熱い奴なのか……こいつは?
「……なに、固まってんだよ?」
不思議そうにヴァニが聞いてくる。
「あ……そっか、俺はヴァーニング=フレイム」
そうヴァニが名乗る。
「まぁ、呼びにくいだろ……ヴァニでいいぜ」
一方的に会話が続いていく。
「レス……お前と俺が組めば、クラス交流戦、絶対いいとこまでいけるって」
そう嬉しそうにヴァニが言う。
「……その、なんだ……交流戦?」
俺の知る、運動会や球技大会のような類のものだろうか?
「そっか……レスはまだしらねーのか」
そう一人納得している。
「3日後に……クラス対抗の競技がある、あんな奴らにコケにされたままなんて納得いかねー、なぁ、レス俺と手を組もうぜ」
そう……熱く語られるが……
チャイムが鳴り、ヴァニが席に戻るため、立ち上がる。
「まぁ……レスもまだこっちに着て、情報が混乱してるんだろうからな、また勧誘しにくるわ」
そうヴァニが背を向け立ち去る。
「それと……さっきはありがとな」
……惚けるように何の事?という顔を返す。
先ほど、廊下での出来事だろう。
「レス……お前も見ておくべきだったぜ、レスに生きてて恥ずかしくない?って返された時のあの野郎の顔、傑作だったぜ!」
ヴァニは思い出すように笑いながら席に戻る。
「……っと」
そして、ヴァニはクリアの席の前で立ち止まると……
「……ケジメだけはつけとかないとな」
そうヴァニが呟く。
「その……昨日はすまなかった……」
そうクリアに頭を下げる。
「……いえ、昨日の台詞はヴァニさんが言った言葉じゃないの知ってますから」
クリアも笑顔で、ヴァニを許す。
クラス対抗の交流戦……
どんな内容かはわからない……
正直、それほど興味も無い。
俺はそこで目立とうとは思わない。
それでも……俺の力で……
守ることしかできない力で……
この劣勢と呼ばれた者たちに……
少しくらい、陽を浴びる景色を見せてやれないだろうか……
ガラッと教室のドアが開き、教師が入ってくる。
……と、教科書を見せてもらうため、席をクリアの側に近づける。
クリアは少し恥ずかしそうに教科書を俺の席に半分渡した。
「いつまでも迷惑かけてごめんな……」
そう謝罪する……が、この世界の金も教科書の買い方もわからない。
呼び出されたとはいえ、住む場所と食べ物を与えられてる宿主にそれを強請るわけにもいかない。
「いえ、ぜんぜん迷惑じゃありませんっ!!」
なぜか力強くクリアが返す。
「……そうだな、明日の休みにでも、レスを街を案内すると同時に教科書を買いに行くとしよう」
放課後……事情を知ったレインはそう告げる。
「そうですね、最低限案内しておいた方がいい場所はいくつかありますから」
そうリヴァーも付け加える。
「え……教科書……買ってしまうの?」
何故か困ったように会話を聞いていたクリアが尋ねる。
「それはな……教科書が無いとレスも今後困るだろ」
そうレインが返すが……
「……わたしと一緒に、見るので困りません」
何故かそっぽを向いてぼそりとクリアが返す。
「そんなもん、いつまでも続けるのを許すわけなかろうっ」
レインが少し叫ぶように言う。
「そもそも、コイツの所有者はこの私な、の、だっ!」
俺を指でさしそうクリアに告げる。
「……いつも自宅で一緒に居られるんだから、別に少しくらいいいじゃないですか」
また、顔を反らし、クリアが言う。
「どいつも、こいつも、私のモノを無断で使用しようとしおって」
そう不機嫌な様子でレインが言う。
「……人を物みたいに言うな」
取り敢えずそう突っ込むが誰にも届かない。
「どいつも……こいつも……?」
自分以外にいったい誰を指しているのか……クリアが疑問に思う。
「第3のヒロイン、ヴァニさんですね」
何故かリヴァーが嬉しそうに胸の前で手を叩きながら言う。
謎めいた事を言うので取り敢えず今度は俺が聞こえてないふりをする。
どちらにしても、街の案内をしてもらうのは必要だろう。
ギャーギャーと喚くレイン。
少しキャラに似合わずそれにムキに受け答えするクリア。
それに時たま楽しそうに合いの手を入れるリヴァー。
何をそんなに言い争っているのかはわからないが……
それは何だか凄く楽しそうに見えた。
夢……を見ているのだろうか。
知らない世界に来てしまったのだろうか。
わからない……
俺にこの世界に英雄になれるような……大きな力はない。
俺にあるのは、何かを守るための魔力。
守れるだろうか……
この風景を……
いや……表には立てない俺のこの魔力……
「守ってやる……レイン、クリア……リヴァー」
そう呟いた。
「……?」
ギャーギャーと騒いでいた3人が不思議そうにこちらを見ている。
「あぁ、ごめん……なんでもない」
この世界に来てまだ数日……
それでも……
「本気で守りたいものが……できたんだ」
ありがとう……
俺は彼女たちに感謝する。
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