5 / 213
学園編-交流戦
教師
しおりを挟む
学園……とある教室内。
「……おや、これは随分と恐ろしい顔ぶれだな……」
呼び出された、アストリア……
「ルンライト=ブレイブ……勇者の血筋を持つ英雄様に……」
美しい金髪の女性をトリアは眺め、目線をずらす。
「スコール=アクア……全て科目に置きトップクラスの成績……選ばれるべきして選ばれた生徒会長様に……」
青髪の冷酷そうな男……
「ナイツ=マッドガイア……実力もありながら、主への忠誠心と誇り高き志を持つ騎士様か」
少し体格の良い茶髪の男……
「この学園の現トップ3と言われる方々が私ごときに何ようだ?」
そんなすごいメンツを前に臆する事もなくトリアは逆に食ってかかるように切り出す。
「……ミストを逃がしたそうだな」
そうスコールがトリアに言う。
「……そんなつまらない話のために私を呼んだのか?」
そうトリアはスコールの言葉に臆する事無く返す。
「私に殺人鬼を捕らえる命があるわけでもない、貴様にその責任を問われる筋合いはないが」
スコールの冷たい視線を、薄笑みの冷徹な目でにらみ返す。
「ミストによる被害は、知っているだろう……アストリア、少しは事態を真剣に考えろっ」
そうナイツとアストリアが読んだ男が言う。
「ナイツ……そいつはお互い様というところだろう」
そう薄笑みの冷徹な目をそのままナイツとおいう男に移す。
「あの殺人鬼がみすみすその姿を、貴様等の前に現すとは思えぬが、貴様等がその事態とやらを真剣に考えているのならすでに事件は終結と思うがな」
そうトリアがナイツに言葉を返す。
「やめろ……」
今まで黙っていた金髪の女性……その言葉一つで一瞬でその場に緊張が走る。
「お前たちの会話には品がない……言葉で罵り合うだけなら弱者でもできる……それとも貴様等はその程度か?」
その場に居る全員が彼女の言葉で口を閉ざす。
そんな沈黙を破るようにコンコンとその部屋のドアが叩かれる。
誰一人と返事をしなかったが……その叩いた主はドアを開けその顔を現す。
灰色の髪の生徒……
そこに居る誰もがその身の程知らずの男が誰かを知らない。
「初めまして……1学年A組、ハイト=クロックタイム、やがて、この学園のトップに立つ男の名前です、以後お見知りおきを」
ハイトと名乗った男は得意げにその場に居合わせる強者を眺め不敵に笑う。
「去れ、お前ごときの相手をしてる暇は無い」
そうスコールが返す。
「それ……いいバッジですねぇ、少し借りていいです?」
徐に、スコールが制服の襟元につけている生徒会のバッジを指差す……
「二度言わせるな、去れ……貴様ごときが触れられる代物じゃ……」
その場にいる者が感じた……一瞬意識が飛んだ感覚……
「……ない」
そうスコールが台詞を言い終える。
「いやーーーカッコいいっすねぇ」
ちゃらちゃらと金色に輝くバッジをお手玉のように遊ぶハイト。
「!?」
スコールが自分の首元に手を置く……
あるべきバッジが無い。
「貴様っ……」
その屈辱に殺意の満ちた目をハイトに送る。
「冗談ですよ……でも、理解したでしょ、僕の実力……1学年にもあなたたちと同じ領域に居る人間が居る事を」
そうハイトが言う。
「笑わせるな……」
冷たく笑いトリアがハイトに告げる。
「少し特殊な能力を持っている……ようだが貴様はその能力に過ぎん」
そう謎めいたトリアの言葉に
「……何を言っている……」
そうハイトがトリアに返す。
「……お前があっての能力では無いと言っている、能力があっての貴様、むしろ……その能力に貴様という存在は必要がない」
トリアがそう返す。
「……ふん、今回の交流戦……僕は勝利しお前らに兆戦する……その寝首を狩る」
そのハイトの言葉にトリアがくくくと笑い
「無駄だ……お前は1学年……そこですら勝利を掴み取れん、断言してやろう、貴様はレスという男の前に無様に散る」
そうトリアが言う。
「レス……?誰だ……そいつ」
そうハイトは返すが……
「くだらん……アストリア、あんな男に一目置いているのか……」
スコールがそう口を挟む。
「……ふむ、スコール……奴の可能性を見極められぬのか……貴様の底も見えたな」
「くくくっ、今年の交流戦、少しは楽しめそうだな」
そうトリアが一人笑った。
・・・
5日目……変わらずアクア家の与えられたベッドで目を覚ます事に安堵する。
自分の知るRPGゲームのように、一晩眠ればHPとMPが満タンというような、簡単な仕組みでは無さそうだし、自分のステータスがどんなものかは解らない。
もしかすると、それに似たようなものがリヴァーには見えるのかも知れないが……
学園に着き、俺は席に座ると……
一人の男が俺に近寄ってくる。
俺の前の席の椅子を自分の席の椅子のように、
以前のように背もたれを前に跨り、俺と向かい合う。
「おっす、レス……交流戦、いよいよ明日だな」
そうヴァニは昔からのダチに話しかけるように言う。
「……あぁ、そういえば、もう明日なのか……」
以前の会話を思い返す。
「そろそろ、いい返事を聞かせてくれよ」
そうヴァニが笑顔で言う。
「……えっと、レスくん、君にお客さんみたい」
正直会話するのが初めてだと思う同クラスの女子生徒
そう言われた先に、立っている灰色の髪の男。
「ふーん、あんたが噂の転入生……レスくん?」
全く見覚えの無い男……
「……いい加減だなぁ、あの女……この僕とこんな男を比較するとか」
そう……薄笑みを浮かべ目の前の男が言う。
「なんだ、てめぇ」
すぐさま、クラスの問題児はその男に凄む。
「……レスくん、君をこの場で殺してあげよっか♪」
灰色の髪の男はナイフを取り出すと俺にその刃先を向ける。
「てめぇ……ぶっとば……」
ヴァニが拳を振りかざし、その男を殴り飛ばそうとするが……
「……すぞっ!!」
意識が一瞬飛んだ気がした……
拳を振りかざしたヴァニが対象にした男は、その横を何時の間にかすり抜け……
俺の頬にそのナイフを突きつけている。
「……なっ?」
ヴァニが驚いている。
当然、ヴァニだけではない……俺もそれを見ていた者も同様だった。
「僕は支配者だ……貴様等では僕の足元にも及ばない……3学年の連中も僕のこの能力の前に楯突く事なんて不可能だっ」
目の前の男はゲラゲラと笑う。
ゲラゲラと笑っていた顔が真顔になる……
「この僕がコイツに負ける?笑わせるな……今回は見逃してやるが……明日の交流戦、A組とのダブルス戦……参加しろ、そこで、てめぇを完膚なきまでにぶっ潰す」
そう男が言葉を放つと再び一瞬意識が飛ぶ感じがした。
気がつくと、頬に突きつけられたナイフが消え……
目の前から男の姿が消えていた。
教室の出入り口を見ると……男が立ち去るところだった。
「……決まったな、明日のA組とのダブルス戦……レスと俺であの野郎をぶっ飛ばすぜ」
そうヴァニが言う。
「……そう簡単に決めるなよ」
そう言ったものの……あんな危険な奴の相手を他の誰かにさせるか?
俺がもし、あいつとの対戦から逃げた場合……何をしでかすかわからない。
「……まぁ……それでダブルス戦ってのはなんだ?」
いろいろと考えたあげく、疑問はそこに行き着く。
「クラス対抗の2対2での対決……対抗戦初日の種目だ」
予鈴が鳴り、担任の女教師が入ってくる。
「よし、それじゃ……明日の交流戦……まずはダブルス戦に置ける各、クラスごとのチーム分けをするぞっ、一つ言っておく、たかが交流戦と高をくくるなぁ、負ければとんでもない罰ゲームつきだからなぁ」
教師はその罰ゲームの内容は説明しない。
誰もが……対してその言葉の意味を理解せず気にもしないようだったが……
なんだか……少し気になった。
チーム分けの話は進む。
A組には、もちろんヴァニが一人目で選ばれる。
B組には、クロハが選ばれる。
C組に、レインが選ばれた。
そういえば、レインの能力……まだ見たことが無かった。
そして……それぞれのパートナー。
A組、B組、C組の二人目……
「3人とも、レス……お前をご指名だ」
教師がそう告げる……
「はぁ?」
そんな間抜けな声をあげる……
「……ま、まて……1人が3回出場とか有りなのか?」
さすがにそれは想定外過ぎる展開だ。
「……反則にはあたらないな……なんせ、同じ人間が3回出場するなど普通に考えれば不利なだけだ」
そう教師が返す。
「だったら……止めろよ」
そう……返すが……
「……とんでもない罰ゲーム……受けたくないだろ?てめぇの本気を見せてみろ……転入生」
その教師の目……虚ろな目……最初からだっただろうか……
その言葉とは裏腹……何も期待などしていない……そうとも取れる。
「そんじゃ、解散……明日に備えろ」
そう言って教師は、教室の外に出る。
「待てよっ!!」
廊下に出た教師を追いかけそう声をかける。
「いや、お前だよ、先生!!」
一瞬足を止めたが再び歩き出した教師を慌てて止める。
「……教師に向かい、お前だの、タメ口とはぶっ飛ばされる覚悟はあるのか?」
少しだけ顔を後ろに向け睨むように教師が言う。
「……悪い……じゃなくてスイマセン」
そう修正する。
「……罰ゲームってのは……何なんですか?」
そう尋ねる。
「……聞いてどうする?」
少しだけ見える顔……寂しそうに笑ったように見える。
「……そりゃ、知る権利ありますよね?」
その俺の言葉に……
「……屋上、少し付き合え」
教師はそう言い……辿り付いた階段をどんどん登って行く。
黙って、俺はその後ろをついていった。
屋上に辿り着く。
「悪い……1本いいか……」
タバコ……?のようなものを口にすると火をつける。
実に美味そうにそれを吸っている。
何よりタバコが絵になる人だと少し関心さえしてしまう。
「……解散だ」
そして、徐に教師が言う。
「はぁ……あんた何言って」
ここに連れてきてその台詞……
「フレア=インストラクトだ」
教師は、またも唐突に名乗る。
「……そう何度も、目上に対し相応しくない二人称を使うな」
そうフレアと名乗った教師が言う。
「……負ければ晴れて、このクラスは解散だ」
そして、続けてフレアは言った。
「……はぁ?ただの交流戦だろ?」
「口実だろうな……私を追い出す、私をよく思わない奴がこの学園には居ると言う訳だ……はぐれ者の寄せ集めのクラスを受け持たされ、あげくそのクラスが功績をあげられなければ、クラスごと解散という訳だ」
……理解が追いつかない。
「……あんたはいったい誰に怨まれてるんだよ……」
すでに敬語を使う事すら忘れていた。
「……解散といえど、優秀な生徒はそれぞれ……3クラスの何処かに振り分けられるだろうが」
そんな事を聞いているわけじゃない……
「……今のクラスがバラバラになっちまうんだろ?」
たかだか……5日間……
それでも俺は……あいつらと。
どこまで……できるかはわからない……
何ができるか……わからない……
それでも……
「守るさ……このクラスは……」
口だけかもしれない……それでも……
「……そのついで……フレア《せんせい》の事も守るよ」
「……変な奴だよ、お前は……」
そう言いフレアは少し寂しそうに笑う。
「もう少し年を取って……もう少しイケメンだったら、間違いなく惚れてるよ」
そう少しだけフレアは笑顔になる。
「……絶望的に希望薄だな……」
俺の嫌味を込めた言葉に……
「違いないっ」
何が面白かったのか、フレアはゲラゲラと笑い出す。
この夢にはきっと意味があるのだろう……
俺が今……ここに居る……
それに意味があるというのなら……
必死で探せ、必死にそれを成せ……
意味の無い現世を知っている。
だからこそ……意味を与えられる事のその喜びを……
俺にそれを守る力があるというのなら……
掴んだ手を放すな……
この腕が引きちぎれても……
放すな……
欲張りと言われても構わない……
掴んだもの……
全部、全部、手放すな……
「……おや、これは随分と恐ろしい顔ぶれだな……」
呼び出された、アストリア……
「ルンライト=ブレイブ……勇者の血筋を持つ英雄様に……」
美しい金髪の女性をトリアは眺め、目線をずらす。
「スコール=アクア……全て科目に置きトップクラスの成績……選ばれるべきして選ばれた生徒会長様に……」
青髪の冷酷そうな男……
「ナイツ=マッドガイア……実力もありながら、主への忠誠心と誇り高き志を持つ騎士様か」
少し体格の良い茶髪の男……
「この学園の現トップ3と言われる方々が私ごときに何ようだ?」
そんなすごいメンツを前に臆する事もなくトリアは逆に食ってかかるように切り出す。
「……ミストを逃がしたそうだな」
そうスコールがトリアに言う。
「……そんなつまらない話のために私を呼んだのか?」
そうトリアはスコールの言葉に臆する事無く返す。
「私に殺人鬼を捕らえる命があるわけでもない、貴様にその責任を問われる筋合いはないが」
スコールの冷たい視線を、薄笑みの冷徹な目でにらみ返す。
「ミストによる被害は、知っているだろう……アストリア、少しは事態を真剣に考えろっ」
そうナイツとアストリアが読んだ男が言う。
「ナイツ……そいつはお互い様というところだろう」
そう薄笑みの冷徹な目をそのままナイツとおいう男に移す。
「あの殺人鬼がみすみすその姿を、貴様等の前に現すとは思えぬが、貴様等がその事態とやらを真剣に考えているのならすでに事件は終結と思うがな」
そうトリアがナイツに言葉を返す。
「やめろ……」
今まで黙っていた金髪の女性……その言葉一つで一瞬でその場に緊張が走る。
「お前たちの会話には品がない……言葉で罵り合うだけなら弱者でもできる……それとも貴様等はその程度か?」
その場に居る全員が彼女の言葉で口を閉ざす。
そんな沈黙を破るようにコンコンとその部屋のドアが叩かれる。
誰一人と返事をしなかったが……その叩いた主はドアを開けその顔を現す。
灰色の髪の生徒……
そこに居る誰もがその身の程知らずの男が誰かを知らない。
「初めまして……1学年A組、ハイト=クロックタイム、やがて、この学園のトップに立つ男の名前です、以後お見知りおきを」
ハイトと名乗った男は得意げにその場に居合わせる強者を眺め不敵に笑う。
「去れ、お前ごときの相手をしてる暇は無い」
そうスコールが返す。
「それ……いいバッジですねぇ、少し借りていいです?」
徐に、スコールが制服の襟元につけている生徒会のバッジを指差す……
「二度言わせるな、去れ……貴様ごときが触れられる代物じゃ……」
その場にいる者が感じた……一瞬意識が飛んだ感覚……
「……ない」
そうスコールが台詞を言い終える。
「いやーーーカッコいいっすねぇ」
ちゃらちゃらと金色に輝くバッジをお手玉のように遊ぶハイト。
「!?」
スコールが自分の首元に手を置く……
あるべきバッジが無い。
「貴様っ……」
その屈辱に殺意の満ちた目をハイトに送る。
「冗談ですよ……でも、理解したでしょ、僕の実力……1学年にもあなたたちと同じ領域に居る人間が居る事を」
そうハイトが言う。
「笑わせるな……」
冷たく笑いトリアがハイトに告げる。
「少し特殊な能力を持っている……ようだが貴様はその能力に過ぎん」
そう謎めいたトリアの言葉に
「……何を言っている……」
そうハイトがトリアに返す。
「……お前があっての能力では無いと言っている、能力があっての貴様、むしろ……その能力に貴様という存在は必要がない」
トリアがそう返す。
「……ふん、今回の交流戦……僕は勝利しお前らに兆戦する……その寝首を狩る」
そのハイトの言葉にトリアがくくくと笑い
「無駄だ……お前は1学年……そこですら勝利を掴み取れん、断言してやろう、貴様はレスという男の前に無様に散る」
そうトリアが言う。
「レス……?誰だ……そいつ」
そうハイトは返すが……
「くだらん……アストリア、あんな男に一目置いているのか……」
スコールがそう口を挟む。
「……ふむ、スコール……奴の可能性を見極められぬのか……貴様の底も見えたな」
「くくくっ、今年の交流戦、少しは楽しめそうだな」
そうトリアが一人笑った。
・・・
5日目……変わらずアクア家の与えられたベッドで目を覚ます事に安堵する。
自分の知るRPGゲームのように、一晩眠ればHPとMPが満タンというような、簡単な仕組みでは無さそうだし、自分のステータスがどんなものかは解らない。
もしかすると、それに似たようなものがリヴァーには見えるのかも知れないが……
学園に着き、俺は席に座ると……
一人の男が俺に近寄ってくる。
俺の前の席の椅子を自分の席の椅子のように、
以前のように背もたれを前に跨り、俺と向かい合う。
「おっす、レス……交流戦、いよいよ明日だな」
そうヴァニは昔からのダチに話しかけるように言う。
「……あぁ、そういえば、もう明日なのか……」
以前の会話を思い返す。
「そろそろ、いい返事を聞かせてくれよ」
そうヴァニが笑顔で言う。
「……えっと、レスくん、君にお客さんみたい」
正直会話するのが初めてだと思う同クラスの女子生徒
そう言われた先に、立っている灰色の髪の男。
「ふーん、あんたが噂の転入生……レスくん?」
全く見覚えの無い男……
「……いい加減だなぁ、あの女……この僕とこんな男を比較するとか」
そう……薄笑みを浮かべ目の前の男が言う。
「なんだ、てめぇ」
すぐさま、クラスの問題児はその男に凄む。
「……レスくん、君をこの場で殺してあげよっか♪」
灰色の髪の男はナイフを取り出すと俺にその刃先を向ける。
「てめぇ……ぶっとば……」
ヴァニが拳を振りかざし、その男を殴り飛ばそうとするが……
「……すぞっ!!」
意識が一瞬飛んだ気がした……
拳を振りかざしたヴァニが対象にした男は、その横を何時の間にかすり抜け……
俺の頬にそのナイフを突きつけている。
「……なっ?」
ヴァニが驚いている。
当然、ヴァニだけではない……俺もそれを見ていた者も同様だった。
「僕は支配者だ……貴様等では僕の足元にも及ばない……3学年の連中も僕のこの能力の前に楯突く事なんて不可能だっ」
目の前の男はゲラゲラと笑う。
ゲラゲラと笑っていた顔が真顔になる……
「この僕がコイツに負ける?笑わせるな……今回は見逃してやるが……明日の交流戦、A組とのダブルス戦……参加しろ、そこで、てめぇを完膚なきまでにぶっ潰す」
そう男が言葉を放つと再び一瞬意識が飛ぶ感じがした。
気がつくと、頬に突きつけられたナイフが消え……
目の前から男の姿が消えていた。
教室の出入り口を見ると……男が立ち去るところだった。
「……決まったな、明日のA組とのダブルス戦……レスと俺であの野郎をぶっ飛ばすぜ」
そうヴァニが言う。
「……そう簡単に決めるなよ」
そう言ったものの……あんな危険な奴の相手を他の誰かにさせるか?
俺がもし、あいつとの対戦から逃げた場合……何をしでかすかわからない。
「……まぁ……それでダブルス戦ってのはなんだ?」
いろいろと考えたあげく、疑問はそこに行き着く。
「クラス対抗の2対2での対決……対抗戦初日の種目だ」
予鈴が鳴り、担任の女教師が入ってくる。
「よし、それじゃ……明日の交流戦……まずはダブルス戦に置ける各、クラスごとのチーム分けをするぞっ、一つ言っておく、たかが交流戦と高をくくるなぁ、負ければとんでもない罰ゲームつきだからなぁ」
教師はその罰ゲームの内容は説明しない。
誰もが……対してその言葉の意味を理解せず気にもしないようだったが……
なんだか……少し気になった。
チーム分けの話は進む。
A組には、もちろんヴァニが一人目で選ばれる。
B組には、クロハが選ばれる。
C組に、レインが選ばれた。
そういえば、レインの能力……まだ見たことが無かった。
そして……それぞれのパートナー。
A組、B組、C組の二人目……
「3人とも、レス……お前をご指名だ」
教師がそう告げる……
「はぁ?」
そんな間抜けな声をあげる……
「……ま、まて……1人が3回出場とか有りなのか?」
さすがにそれは想定外過ぎる展開だ。
「……反則にはあたらないな……なんせ、同じ人間が3回出場するなど普通に考えれば不利なだけだ」
そう教師が返す。
「だったら……止めろよ」
そう……返すが……
「……とんでもない罰ゲーム……受けたくないだろ?てめぇの本気を見せてみろ……転入生」
その教師の目……虚ろな目……最初からだっただろうか……
その言葉とは裏腹……何も期待などしていない……そうとも取れる。
「そんじゃ、解散……明日に備えろ」
そう言って教師は、教室の外に出る。
「待てよっ!!」
廊下に出た教師を追いかけそう声をかける。
「いや、お前だよ、先生!!」
一瞬足を止めたが再び歩き出した教師を慌てて止める。
「……教師に向かい、お前だの、タメ口とはぶっ飛ばされる覚悟はあるのか?」
少しだけ顔を後ろに向け睨むように教師が言う。
「……悪い……じゃなくてスイマセン」
そう修正する。
「……罰ゲームってのは……何なんですか?」
そう尋ねる。
「……聞いてどうする?」
少しだけ見える顔……寂しそうに笑ったように見える。
「……そりゃ、知る権利ありますよね?」
その俺の言葉に……
「……屋上、少し付き合え」
教師はそう言い……辿り付いた階段をどんどん登って行く。
黙って、俺はその後ろをついていった。
屋上に辿り着く。
「悪い……1本いいか……」
タバコ……?のようなものを口にすると火をつける。
実に美味そうにそれを吸っている。
何よりタバコが絵になる人だと少し関心さえしてしまう。
「……解散だ」
そして、徐に教師が言う。
「はぁ……あんた何言って」
ここに連れてきてその台詞……
「フレア=インストラクトだ」
教師は、またも唐突に名乗る。
「……そう何度も、目上に対し相応しくない二人称を使うな」
そうフレアと名乗った教師が言う。
「……負ければ晴れて、このクラスは解散だ」
そして、続けてフレアは言った。
「……はぁ?ただの交流戦だろ?」
「口実だろうな……私を追い出す、私をよく思わない奴がこの学園には居ると言う訳だ……はぐれ者の寄せ集めのクラスを受け持たされ、あげくそのクラスが功績をあげられなければ、クラスごと解散という訳だ」
……理解が追いつかない。
「……あんたはいったい誰に怨まれてるんだよ……」
すでに敬語を使う事すら忘れていた。
「……解散といえど、優秀な生徒はそれぞれ……3クラスの何処かに振り分けられるだろうが」
そんな事を聞いているわけじゃない……
「……今のクラスがバラバラになっちまうんだろ?」
たかだか……5日間……
それでも俺は……あいつらと。
どこまで……できるかはわからない……
何ができるか……わからない……
それでも……
「守るさ……このクラスは……」
口だけかもしれない……それでも……
「……そのついで……フレア《せんせい》の事も守るよ」
「……変な奴だよ、お前は……」
そう言いフレアは少し寂しそうに笑う。
「もう少し年を取って……もう少しイケメンだったら、間違いなく惚れてるよ」
そう少しだけフレアは笑顔になる。
「……絶望的に希望薄だな……」
俺の嫌味を込めた言葉に……
「違いないっ」
何が面白かったのか、フレアはゲラゲラと笑い出す。
この夢にはきっと意味があるのだろう……
俺が今……ここに居る……
それに意味があるというのなら……
必死で探せ、必死にそれを成せ……
意味の無い現世を知っている。
だからこそ……意味を与えられる事のその喜びを……
俺にそれを守る力があるというのなら……
掴んだ手を放すな……
この腕が引きちぎれても……
放すな……
欲張りと言われても構わない……
掴んだもの……
全部、全部、手放すな……
32
あなたにおすすめの小説
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜
KeyBow
ファンタジー
1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。
各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。
ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。
つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。
数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。
月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。
彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。
そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。
勿論二世だ。
斗枡が持っている最大の能力はカード合成。
それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。
彼はその程度の認識だった。
実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。
単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。
つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。
また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。
斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?
女子が自然と彼の取り巻きに!
彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる