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異世界編ー創造者
夜空
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リヴァーの足が唐突に止まる。
「……どうした?」
黒尽くめの男が一人リヴァーに言うが……
「ここか……」
長い草が生える視界の悪い場所で……
「どこだ?」
その目的の場所まで教えろと拳を構えリヴァーを脅すが……
これ以上はリヴァーは答えない。
「いい……後はこいつで吐かせる」
そうフレアの身体を地面に投げ捨てる。
リヴァーが口を開くか、目的のものが姿を出すか……
「なるほど……」
フレアの髪を乱暴に引っ張り上げ、身体を無理やり起こすと、
容赦なく殴り飛ばされ再び地面に転がる。
「やめてくださいっ」
そうリヴァーが叫ぶ。
「だったら、さっさと吐けよ」
再びフレアの髪を引っ張りあげる。
そして、容赦なく再び殴られた身体が地面を転げ回る。
ガサガサと、目の前の草木が揺れて……
ゆっくりと茶髪の少年が現れる。
「……だめ……出てきたら……」
かすれる声で……フレアが目の前に現れる少年に告げる。
「……だめ……だめ……おねがい……だ……おねが……い」
そう繰り返しながら……
拘束された手で起き上がることすら許されない身体で……
「……逃げて……おね……がい……はやく……にげて……」
そう目の前の少年に乞う。
「……おねがい……手を出さないで……おねがい……にげて……」
そう両者に願う……
拘束された両手で地面を這うように……
「大変そうだな……先生」
そう男は再びフレアの髪を引っ張るように起き上がらせると、少年の胸にフレアを投げ飛ばす。
「ねぇ……フィ……ル……こっち……こっちから……」
全員が教師《かのじょ》が何をしようとしているのか理解ができなかった……
歩くのがやっとな身体でその少年《からだ》を……
制服の肩のあたりを自由な頭の歯で噛みながら……
懸命に少年をどこかに導こうとしている。
「ふはははっ……だっせぇ、だっせぇな、これがあの凶悪だったアルファかよ?」
そのフレアのしていることを理解した男が言う。
ただ、全てを投げ捨てて全てに背を向けて……ただ、その少年と情けなく逃げ出そうと、そんな無駄な抵抗をしている。
「おいっガンマっ!!」
そう短剣使いの男が拳を振りかざす男とは別の男を呼びかける。
ガンマと呼ばれた男にはボウガンが握られている。
「先生……ごめん……ごめんなさい……」
僕のせいで……こんな……
こんな……
ずっと大嫌いだった瘴気《ちから》が……
今になって無いことに……
この数時間で戻った瘴気《まりょく》だけでは……
それでも、このたった数時間で戻った力に……
やはり、世界は彼という存在に恐怖する。
「……いいから……に……げよう……ど…こ…か……に……」
そう、ただ……ここから逃れようと必死に……
かっこ悪くても情けなくても……
ただ、なりふり構わず、そうしようとする。
「先生……ありがとう……そしてごめんっ!」
そう言って、フレアの身体を乱暴に突き飛ばすように……
それと同時に赤黒く光る矢がフィルの胸に突き刺さる。
「……かはっ」
突き刺さった矢が消滅することなく、胸元に残り……
フィルの残る魔力を吸い上げるように……
「く……」
苦しそうに矢を抜こうとするが……握った手のひらから逆に突き刺さった矢が魔力を奪い取るように……
「もう、やめてくださいっ!」
そう懸命にリヴァーが叫ぶが……
「シグマ……ガンマが魔消の矢でその目的を果たした」
そう拳を振るい続ける男に言うが……
「ベータ、てめぇもこいつには恨みがあるんだろ」
そう言いながら、再びフレアを引っ張りお越す。
「……その手を離せ」
そう、フィルがシグマと呼ばれた男の手をつかむ。
「安心しろ、てめぇも同じだけ殴ってやるよっ」
そうフレアに向いていた拳がフィルに向かう。
残る魔力で魔王の鎌を作り出す。
「くっ……」
が、形取った鎌が……数秒持たずに崩れるように消滅する。
「ガンマの……というか、てめぇ用に国が極秘開発していた特注の矢を受けたんだ……てめぇの魔力を吸い尽くして、その命すら吸い尽くされるぜ?」
そうシグマが助言し、その拳がフィルが殴り飛ばされる。
そして、さらに足音が迫ってくる……
「ミュー、ニュー、クシー……魔法部隊か」
特殊部隊だろうマントとフードを被った者が多くの兵を引き連れて現れる。
ベータはそんな3人に向かい言う。
「安心しな、魔王……矢に魔力を吸い尽くされる前に、てめぇの処刑開始だ」
そう……シグマがフィルに告げる。
フィルの身体がクシーの能力で拘束される。
全てを諦めるように無気力に俯く……
「フィル……にげ…て……フィ……ル」
シグマは懸命に地面を張ってフィルの元に向かうフレアの身体を、再び引っ張り起こすと、
顔を無理やりフィルの方へと向け。
「ほら、特等席で俺と一緒に魔王様の最後を見届けようぜ?」
「……憎いのは……私だろ……私なら……どうなってもいい……から」
そう懸命にフレアが請うが……
「てめぇが憎いのは俺の個人的な理由だ……魔王への恨みは世界中の人間の願いだよ」
そうシグマが返す。
膝をつくフィルの元にベータがゆっくりと歩み寄る。
「どうだ……魔王、最後に世界に残す言葉はあるか?」
そう情けをかけるようにベータがフィルに言う。
・・・。
少しだけ沈黙して……フィルが天を仰ぎ……
「夜空が……綺麗だ……ねぇ……見えている?」
そう……たった一人の人間に語りかけるように……
「んっ……」
固定された頭を必死に振りほどき、フレアが空を見る。
「おかしいな……もっと、もっと……話したかったことあったのにな……」
必死に言葉を探りながら……
「もっと……感謝の言葉を……贈りたいのに……」
そう、フィルは言葉を探しながら……
「どうしても、これくらいしか思いつかないや……」
「……ありがとう……あなたが好きでした……」
そう正面《フレア》に顔を向けたフィルは優しく微笑む。
「時間の無駄だったな」
そうベータは手にした短剣でフィルを斬りつけると、
その衝撃で、フィルの身体がその場に転がる。
「撃《や》れっ」
その言葉でミュー、ニュー、クシーの手のひらからそれぞれの魔法が飛び交い、
裏の魔法部隊からも一斉に魔法の攻撃が発射される。
その爆風で視界が閉ざされる。
「壱の型……」
煙が少しずつ薄れ……
「炎舞……終焉《チェックメイト》っ」
ベータの頬を激しい炎を宿した黒い手甲がとらえ、そのまま地面に叩きつけられるように吹っ飛んでいく。
「……悪い……遅くなった……」
薄い透明な壁が周囲に展開させてある……
「ヴァニさん……に、……レスさん……」
その二人の登場に思わず涙を流すリヴァー。
「レス……来てくれた……」
そう立ち上がる余力も無い状態でフィルがその姿勢のまま俺に言う。
「友達だ……当たり前だろ……」
そう、再び繰り返される魔法《こうげき》を防ぎながら……
「うん……」
そう嬉しそうに言う。
「最後に会えて良かった……」
そう嬉しそうに言う。
「ふざけるな……これからお前は俺たちと一緒に学園生活を送るんだ……普通に普通の学生として……」
俺は止め処なく襲ってくる魔法を防ぎ続ける。
魔力が許す限り……それを防ぐ。
「……まずは、そうだな……学生生活といえば修学旅行だ……」
もちろん、俺は異世界《こちら》の学校行事など知らない。
修学旅行として周るような場所すら知らない。
俺はフィルの顔すら見れず、ただ……迫る攻撃を防ぎながら語り続ける。
「旅先で、宿施設で皆で泊まって、男同士、裸で温泉に使って……その後は、同じ部屋で布団を並べて、枕投げしたりして騒いでさ……皆寝静まった頃に、こっそり二人で話したりするんだ……お前、好きな奴いるのか?とかってさ……」
俺のそんな妄想に……
「……先生《フレア》」
そう隠すことなくフィルが答える。
「馬鹿……今、バラすな……修学旅行での一大イベントの一つだって言ってるだろ」
そう……フィルの方を見れず言う。
「……そっか……ごめん」
そうフィルが楽しそうに誤る。
「……それだけじゃないぞ……修学旅行の後はだ……」
俺は話を続ける……
「ねぇ……レス……ありがとう」
そう……話をさえぎるように……
パリンッと張り巡らせていた結界の一つが破壊される。
止め処なく続く攻撃に……それでも俺は魔力を結界に送り続ける。
「……話は終わってないって言ってるだろ」
今話す事じゃないのは理解している……
それでも……
「学園祭とか……クラスで出し物したりしてな……事前に皆で準備してさ……なぁ、フィル……特別組《うちのクラス》は何がいいだろうな」
俺の言葉に、ただ……フィルは頷いて……
パリンっ……パリンっと一枚、また一枚と結界が破壊され……
その度に、魔力の強い消耗を身体で実感する。
「……それから……」
俺はただ、フィルに話かけ続ける。
「ねぇ……レス……」
そうフィルが俺に手を伸ばし……
ようやく、フィルの方に目を向けた俺と目が合うと、
たったそれだけで嬉しそうに……
「……楽しみだね」
左手をおろした事で、結界の半分が半壊する……
フィルの右手を握るが……
嬉しそうに笑うフィルの手を握ると同時に……
以前同様に、何かが俺の中に流れ込む感覚と同時に……
フィルの右手が重力に逆らう事を放棄する。
「フィル……おい…フィル、話は終わってないって言ってるだろ」
「おいフィル……フィルっ!!」
懸命に名前を呼び続ける。
魔法《こうげき》が直撃しようが……かまうことなく……
「くそぉーーーーーーーーーーーーーっ」
俺はただ、その場で崩れるように叫び……
「ふんっ……俺たちの勝ちだ」
そう漏らすシグマに……
右手に全魔力を集中させる……
フィルから授かった魔力をほぼ攻撃力に振り当てる。
地面を蹴り上げ、飛んでくる魔法《こうげき》を気に留めず、
目の前の男《シグマ》を……
シグマはフレアの身体を投げ飛ばすと、その拳を俺に向ける。
互いにぶつかる拳……
ただ……何も考えることなくその一撃を……
気がつけば地面に転がったその身体《シグマ》に馬乗りになり……
何度も何度もその拳を振り下ろす。
いつの間にか駆けつけたクレイに両脇から手を入れられ、動きを制御される。
「やめておけ、あんたは人殺しにはなるな……」
そう横でツキヨが俺に言う。
歯のほとんどが抜け落ち、ほぼ原型をとどめていない顔……
その顔を見ながら……
そして、次々と集まってくる仲間と……
そんな仲間が新たに引き連れてきた、
最強母《イロハ》と人斬《ユーキ》の手でこの争いは終結する。
今は……ただ、その怒りで俺の中にある何かに気がつけず……
そうして……それに気がつくのも……
もう一つの問題にたどり着くのも……
数日後の話だ……
「……どうした?」
黒尽くめの男が一人リヴァーに言うが……
「ここか……」
長い草が生える視界の悪い場所で……
「どこだ?」
その目的の場所まで教えろと拳を構えリヴァーを脅すが……
これ以上はリヴァーは答えない。
「いい……後はこいつで吐かせる」
そうフレアの身体を地面に投げ捨てる。
リヴァーが口を開くか、目的のものが姿を出すか……
「なるほど……」
フレアの髪を乱暴に引っ張り上げ、身体を無理やり起こすと、
容赦なく殴り飛ばされ再び地面に転がる。
「やめてくださいっ」
そうリヴァーが叫ぶ。
「だったら、さっさと吐けよ」
再びフレアの髪を引っ張りあげる。
そして、容赦なく再び殴られた身体が地面を転げ回る。
ガサガサと、目の前の草木が揺れて……
ゆっくりと茶髪の少年が現れる。
「……だめ……出てきたら……」
かすれる声で……フレアが目の前に現れる少年に告げる。
「……だめ……だめ……おねがい……だ……おねが……い」
そう繰り返しながら……
拘束された手で起き上がることすら許されない身体で……
「……逃げて……おね……がい……はやく……にげて……」
そう目の前の少年に乞う。
「……おねがい……手を出さないで……おねがい……にげて……」
そう両者に願う……
拘束された両手で地面を這うように……
「大変そうだな……先生」
そう男は再びフレアの髪を引っ張るように起き上がらせると、少年の胸にフレアを投げ飛ばす。
「ねぇ……フィ……ル……こっち……こっちから……」
全員が教師《かのじょ》が何をしようとしているのか理解ができなかった……
歩くのがやっとな身体でその少年《からだ》を……
制服の肩のあたりを自由な頭の歯で噛みながら……
懸命に少年をどこかに導こうとしている。
「ふはははっ……だっせぇ、だっせぇな、これがあの凶悪だったアルファかよ?」
そのフレアのしていることを理解した男が言う。
ただ、全てを投げ捨てて全てに背を向けて……ただ、その少年と情けなく逃げ出そうと、そんな無駄な抵抗をしている。
「おいっガンマっ!!」
そう短剣使いの男が拳を振りかざす男とは別の男を呼びかける。
ガンマと呼ばれた男にはボウガンが握られている。
「先生……ごめん……ごめんなさい……」
僕のせいで……こんな……
こんな……
ずっと大嫌いだった瘴気《ちから》が……
今になって無いことに……
この数時間で戻った瘴気《まりょく》だけでは……
それでも、このたった数時間で戻った力に……
やはり、世界は彼という存在に恐怖する。
「……いいから……に……げよう……ど…こ…か……に……」
そう、ただ……ここから逃れようと必死に……
かっこ悪くても情けなくても……
ただ、なりふり構わず、そうしようとする。
「先生……ありがとう……そしてごめんっ!」
そう言って、フレアの身体を乱暴に突き飛ばすように……
それと同時に赤黒く光る矢がフィルの胸に突き刺さる。
「……かはっ」
突き刺さった矢が消滅することなく、胸元に残り……
フィルの残る魔力を吸い上げるように……
「く……」
苦しそうに矢を抜こうとするが……握った手のひらから逆に突き刺さった矢が魔力を奪い取るように……
「もう、やめてくださいっ!」
そう懸命にリヴァーが叫ぶが……
「シグマ……ガンマが魔消の矢でその目的を果たした」
そう拳を振るい続ける男に言うが……
「ベータ、てめぇもこいつには恨みがあるんだろ」
そう言いながら、再びフレアを引っ張りお越す。
「……その手を離せ」
そう、フィルがシグマと呼ばれた男の手をつかむ。
「安心しろ、てめぇも同じだけ殴ってやるよっ」
そうフレアに向いていた拳がフィルに向かう。
残る魔力で魔王の鎌を作り出す。
「くっ……」
が、形取った鎌が……数秒持たずに崩れるように消滅する。
「ガンマの……というか、てめぇ用に国が極秘開発していた特注の矢を受けたんだ……てめぇの魔力を吸い尽くして、その命すら吸い尽くされるぜ?」
そうシグマが助言し、その拳がフィルが殴り飛ばされる。
そして、さらに足音が迫ってくる……
「ミュー、ニュー、クシー……魔法部隊か」
特殊部隊だろうマントとフードを被った者が多くの兵を引き連れて現れる。
ベータはそんな3人に向かい言う。
「安心しな、魔王……矢に魔力を吸い尽くされる前に、てめぇの処刑開始だ」
そう……シグマがフィルに告げる。
フィルの身体がクシーの能力で拘束される。
全てを諦めるように無気力に俯く……
「フィル……にげ…て……フィ……ル」
シグマは懸命に地面を張ってフィルの元に向かうフレアの身体を、再び引っ張り起こすと、
顔を無理やりフィルの方へと向け。
「ほら、特等席で俺と一緒に魔王様の最後を見届けようぜ?」
「……憎いのは……私だろ……私なら……どうなってもいい……から」
そう懸命にフレアが請うが……
「てめぇが憎いのは俺の個人的な理由だ……魔王への恨みは世界中の人間の願いだよ」
そうシグマが返す。
膝をつくフィルの元にベータがゆっくりと歩み寄る。
「どうだ……魔王、最後に世界に残す言葉はあるか?」
そう情けをかけるようにベータがフィルに言う。
・・・。
少しだけ沈黙して……フィルが天を仰ぎ……
「夜空が……綺麗だ……ねぇ……見えている?」
そう……たった一人の人間に語りかけるように……
「んっ……」
固定された頭を必死に振りほどき、フレアが空を見る。
「おかしいな……もっと、もっと……話したかったことあったのにな……」
必死に言葉を探りながら……
「もっと……感謝の言葉を……贈りたいのに……」
そう、フィルは言葉を探しながら……
「どうしても、これくらいしか思いつかないや……」
「……ありがとう……あなたが好きでした……」
そう正面《フレア》に顔を向けたフィルは優しく微笑む。
「時間の無駄だったな」
そうベータは手にした短剣でフィルを斬りつけると、
その衝撃で、フィルの身体がその場に転がる。
「撃《や》れっ」
その言葉でミュー、ニュー、クシーの手のひらからそれぞれの魔法が飛び交い、
裏の魔法部隊からも一斉に魔法の攻撃が発射される。
その爆風で視界が閉ざされる。
「壱の型……」
煙が少しずつ薄れ……
「炎舞……終焉《チェックメイト》っ」
ベータの頬を激しい炎を宿した黒い手甲がとらえ、そのまま地面に叩きつけられるように吹っ飛んでいく。
「……悪い……遅くなった……」
薄い透明な壁が周囲に展開させてある……
「ヴァニさん……に、……レスさん……」
その二人の登場に思わず涙を流すリヴァー。
「レス……来てくれた……」
そう立ち上がる余力も無い状態でフィルがその姿勢のまま俺に言う。
「友達だ……当たり前だろ……」
そう、再び繰り返される魔法《こうげき》を防ぎながら……
「うん……」
そう嬉しそうに言う。
「最後に会えて良かった……」
そう嬉しそうに言う。
「ふざけるな……これからお前は俺たちと一緒に学園生活を送るんだ……普通に普通の学生として……」
俺は止め処なく襲ってくる魔法を防ぎ続ける。
魔力が許す限り……それを防ぐ。
「……まずは、そうだな……学生生活といえば修学旅行だ……」
もちろん、俺は異世界《こちら》の学校行事など知らない。
修学旅行として周るような場所すら知らない。
俺はフィルの顔すら見れず、ただ……迫る攻撃を防ぎながら語り続ける。
「旅先で、宿施設で皆で泊まって、男同士、裸で温泉に使って……その後は、同じ部屋で布団を並べて、枕投げしたりして騒いでさ……皆寝静まった頃に、こっそり二人で話したりするんだ……お前、好きな奴いるのか?とかってさ……」
俺のそんな妄想に……
「……先生《フレア》」
そう隠すことなくフィルが答える。
「馬鹿……今、バラすな……修学旅行での一大イベントの一つだって言ってるだろ」
そう……フィルの方を見れず言う。
「……そっか……ごめん」
そうフィルが楽しそうに誤る。
「……それだけじゃないぞ……修学旅行の後はだ……」
俺は話を続ける……
「ねぇ……レス……ありがとう」
そう……話をさえぎるように……
パリンッと張り巡らせていた結界の一つが破壊される。
止め処なく続く攻撃に……それでも俺は魔力を結界に送り続ける。
「……話は終わってないって言ってるだろ」
今話す事じゃないのは理解している……
それでも……
「学園祭とか……クラスで出し物したりしてな……事前に皆で準備してさ……なぁ、フィル……特別組《うちのクラス》は何がいいだろうな」
俺の言葉に、ただ……フィルは頷いて……
パリンっ……パリンっと一枚、また一枚と結界が破壊され……
その度に、魔力の強い消耗を身体で実感する。
「……それから……」
俺はただ、フィルに話かけ続ける。
「ねぇ……レス……」
そうフィルが俺に手を伸ばし……
ようやく、フィルの方に目を向けた俺と目が合うと、
たったそれだけで嬉しそうに……
「……楽しみだね」
左手をおろした事で、結界の半分が半壊する……
フィルの右手を握るが……
嬉しそうに笑うフィルの手を握ると同時に……
以前同様に、何かが俺の中に流れ込む感覚と同時に……
フィルの右手が重力に逆らう事を放棄する。
「フィル……おい…フィル、話は終わってないって言ってるだろ」
「おいフィル……フィルっ!!」
懸命に名前を呼び続ける。
魔法《こうげき》が直撃しようが……かまうことなく……
「くそぉーーーーーーーーーーーーーっ」
俺はただ、その場で崩れるように叫び……
「ふんっ……俺たちの勝ちだ」
そう漏らすシグマに……
右手に全魔力を集中させる……
フィルから授かった魔力をほぼ攻撃力に振り当てる。
地面を蹴り上げ、飛んでくる魔法《こうげき》を気に留めず、
目の前の男《シグマ》を……
シグマはフレアの身体を投げ飛ばすと、その拳を俺に向ける。
互いにぶつかる拳……
ただ……何も考えることなくその一撃を……
気がつけば地面に転がったその身体《シグマ》に馬乗りになり……
何度も何度もその拳を振り下ろす。
いつの間にか駆けつけたクレイに両脇から手を入れられ、動きを制御される。
「やめておけ、あんたは人殺しにはなるな……」
そう横でツキヨが俺に言う。
歯のほとんどが抜け落ち、ほぼ原型をとどめていない顔……
その顔を見ながら……
そして、次々と集まってくる仲間と……
そんな仲間が新たに引き連れてきた、
最強母《イロハ》と人斬《ユーキ》の手でこの争いは終結する。
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数日後の話だ……
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