異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。

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異世界編ー創造者

日常再び

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 開校式からの3日後から、
 通常通り学園の運営は再開される。

 3日前の出来事など無かったかのように、
 いつも通りの学園生活に戻る。

 がらりと扉が開き担任の教師が入ってくる。
 その教師《フレア》の顔にとりあえず安心する。
 まだ、少しだけ動きはぎこちないが、
 松葉杖も持たず歩いている。


 同時にもう一人、女性が入ってくる。
 多少ざわつく、教室の中で……

 「さっさと、自己紹介をしろ」
 そう面倒くさそうにフレアが隣の女に告げる。

 「レイヴィ=サイレス……教育実習生とかなんとか、そんなの」
 そう適当に名乗る。

 「あっ……レェス、みっけぇ」
 先ほどの低い声がうそのように、2か3オクターブくらい高い声で俺を見る。
 他の生徒も目もくれず、俺の机の前にやってくる。

 「おいっ……先生っ、わたし、この席でいいっ」
 俺の机の前で振り返り、入ってきた時のダルそうな顔は何処へやら、
 無邪気な笑顔でクリアの席を指差してフレアに請う。

 「絶対に嫌ですっ!!」
 その言葉に誰よりも早くクリアが反応し、
 両手で机の両脇を支えるように押さえつけ机が謎に動かないように固定しながら、
 今まで見たことのない誰かを呪うような目でレヴィを睨み付けている。

 「あぁっ?お前は学生をもう一度やり直しにでもきたのか?さっさと戻って来い、てめぇはこっち側で生徒を指導するんだよ」
 そう、フレアに言われ明らかに不貞腐れたようなような顔をして……
 再び、俺の方を向く。

 「レス……大丈夫?ちょっと最近元気無いって……私ね、お話聞くよ?」
 そう、なぜかレヴィが泣きそうな顔で俺を見ている。

 「もう大丈夫だって……逆に自分の不甲斐なさに皆に嫌な態度を取ってしまった事を後悔している」
 ……皆に、特にリヴァーにはきちんと誤らないとな……
 それにヴァニ……詳しくは聞いていないが、
 魔王の瘴気との戦いでいろいろとあったようだ……。

 「本当……?もしかして……私に遠慮してる?私じゃ……レスの支えになれない?」
 そう寂しそうに訴えてくる……
 教室の視線が痛い……

 「まじで大丈夫だから……きっちりケジメつけて元通りにするから……」
 そうレヴィに言ってフレアの元に追い返す。

 「うん……じゃぁ……お尻さわる?まだね、誰にも触らせたこと無いよ……元気出る?」
 ……たぶん、本気で言ってるだろう、真剣なまなざしでレヴィが言う。

 「うん……じゃない……後で……じゃなくて……大丈夫だからっ」
 そう……なぜか動揺して返す。

 「さっ……さっきから変な誘惑、レスさんにやめてくださいっ!」
 珍しく、クリアが教室に響く声で叫ぶ。

 「そんな事で元気になるんでしたら、私の胸もお尻でも触ってもらいますから、レヴィ先生は教卓にお戻りくださいっ!!」
 クラスの注目が自分に向かっていることも気づかず叫ぶクリアに……

 「黙れっビッチ……ねぇ、レス、他の女はね、誰にでも身体を触らせる女ばっかだけど、私のお尻も胸もレス専用だからね」
 クラスの目線が痛い……

 「私だって、まだ誰にも触らせてなんていませんっ!!私の胸もお尻もレスさん専用ですっ!!」
 恐らく、自分が何を口走っているかも理解していないクリアがそうムキになり叫ぶ。

 「……ク、クリアさん?」
 リヴァーが心配そうに声をかける。

 「あ……えっ?」
 そして、やっと自分が席を立ち上がり、とんでもないことを口にしていたことに気がつく。

 「い……今のは、間違いですっ!」
 謎の言い訳をして、顔を真っ赤にしたクリアはその場に両手を机に乗せ、
 顔を伏せるように机に突っ伏す。

 「じゃぁ、レス……また後でね」
 そうレヴィがフレアの方へと戻っていく。

 「……クリア、よくわからないけど、ごめんな?」
 彼女にしか聞こえない程度のトーンでクリアに言う。

 「うぅ……悪いと思っていただけるのでしたら、責任を取ってください」
 伏せた顔と腕の隙間から、ちらりと涙目の瞳が俺を見る。

 その少し拗ねた顔に思わずどきりとする。
 不謹慎ながら……
 この異世界《せかい》、可愛い、綺麗な女性が本当に多いが……
 本当……美人だと思う。

 そんな俺なんて人間がそんな彼女たちとこうして当たり前に話せるようになった環境に、少しだけ麻痺していた感覚に、その改めて見せた彼女の一面に少しだけ動揺してしまう。

 「(キスも)……はじめてだったんですからね」
 そう……ぼそりと口にする。

 あの場を凌ぐために……しかたなく……
 だったとしても……
 そんな俺の思考を読み取ったかのように、
 再びムスっと彼女は顔を伏せてしまった。

 「あだっ!!」
 教卓の方に戻ったレヴィにフレアが尻に蹴りを入れる。
 バチンッという良い音が教室に響き渡り……

 「……けっ……蹴りはノーカン……ね」
 そう、痛そうに腰のあたりをさすりながら、一人いい訳をし、
 この時間《ば》におちをつける。


 ・・・


 今日も再び屋上に向かう。

 そして今日も空に向かって煙を吐き出す教師に……

 「……どうした、まだ誤り足りないのか?」
 こちらを振り返らずにフレアが言う。

 「……いや……あの後のこと……いろいろ聞きたくて」
 そう俺がフレアに聞く。

 「……まだ、懲りずに首を突っ込むつもりか?」
 そう返される。

 「……元学園長は……あんたが所属していた国の特殊部隊とやらはどうなったのか……」
 そう尋ねる。

 「元学園長については不明だよ……まぁ、ブレイブ家にその城《ばしょ》まで奪われたんだ……しばらくは表に出てこないんじゃないのか?」
 そう答える。

 「特殊部隊……まぁ、もともと軍との関係が低かったものはあの件で手を引いている……そして、こちらに協力的だった者はブレイブ家が学園に引き込んでいる」
 そうフレアはこちらに振り返り言う。

 「……あいつらは」
 あの最後の場所に居合わせた連中。
 ベータ、ガンマ……シグマ……他数名……
 特にあの……3名は……

 「……聞いてどうする」
 深く煙を溜め込み、一気に吐き出す。

 「……気になるだろ、そりゃ」
 今の俺はどんな目をしているのだろう……

 「お前のせいで、一人はひどい有様だけどな……あくまでブレイブ家の協力者としてあの場に居た連中さ……そりゃ、魔王を倒した者として手柄《ひょうしょう》されるだろう……」
 そう狂気な瞳で……

 「今……そいつらは何処にいる?」
 その俺の問いに……

 「それを聞いてどうする?」
 再びそう繰り返す。

 黙って……俺はフレアと同じ瞳を向ける。

 「……馬鹿な事を考えているなら、先に私に言え……」
 そう少し呆れるように再び煙を吐き出しながら……

 「言ってどうなる……?」
 そんな俺の返しに……
 
 「……私が先に、その手柄《うらみ》を横取りするだけさっ」
 そんな言葉とは裏腹なすごく優しい笑顔でフレアは言った。
 
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