異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

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異世界編-神の遊戯

英雄(ヒロイン)

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 再び、姿を現す神代理《フィーリア》の出現で、防衛戦《せんじょう》は解散となった……

 さすがにこの事態は神代理すら予測していなかった、由々しき事態のようだった。

 あの小惑星《しょうき》への対処が最優先され、
 その間の争い、魔力水晶への攻撃は禁止され、違反すれば水晶の解除《はくだつ》……結果、この世界での魔力を失うことになる。

 そして、その一時休戦と……全員が協力しその対処を命じられる。

 もちろん、そこには元学園長《マナト》の姿は無く、
 ナキの姿も無かった……


 ・
 ・
 ・



 「ぐっ……」

 高い場所から、レスたちの戦いを見ていたマナトが、一瞬苦しそうに蹲る。


 体内に埋め込まれるように収納されていた魔力水晶が音を立てて砕け、
 その場に散らばる。

 「……神代理の仕業か……」

 当然の対処……だろう。
 だが……関係ない……

 瘴気《あれ》はわたしの能力とはなんら関係ない……
 今更、わたしの能力が失われても……

 もう……誰にも止めることなどできない……


 そう……苦しそうな顔で無理やりにやけ顔を作る。

 「……邪魔はさせない……」

 「……頼んだよ……ニアン」

 そう……能力を失った自分に代わり……
 代役を任せるように……


 ・
 ・
 ・


 アクア邸……

 ここに住み着くようになり、どれくらいの時がたっただろう。


 それでも俺は、玄関から自分の部屋までの場所しかほとんど歩いたことが無い。


 そう、その日も自分の部屋に入ろうとしたところ……
 不自然に別の部屋の外から、心配そうに中を覗くリヴァーの姿を見つける。


 そんな、必要以上に屋敷を動き回らない自分ルールを破り、リヴァーの側に行くと……


 「どうかしたのか?」

 そう尋ね、その視線の先を見る。


 家族会議だろうか……

 アクアにスコール……そして、机を挟むように座る、
 父と母と思われる人物……


 「……父と母は、この地を捨て逃げると申されるのか……」

 そうレインが目の前の二人に言う。


 「事が去るまでだ……この戦争に……あの瘴気の落下に、アクア家が加担することに何の利益があると言うのだ」

 そう父らしき人物が言う。


 「育った場所だ……一緒に過ごした者たちとの居場所だ……それを守らぬというのですか?」

 そうレインが言う。


 「そんな事は、ブレイブ家などより優れた者達に任せればいい……出すぎた真似をするな」

 そう父らしき人物が返す。

 スコールは特に口を開くことはなく、父、母、レインに……ゆっくり目線を送る。


 「事態を弁えろ……スコールならともかく、お前に何ができると言うのだ」

 そうさらに父がレインに言う。


 「世界《あなたたち》を救いますよ……」

 「「レス!?」」

 そう、レインとスコールが頭を後ろに向け、現れた俺の姿にその名を口にする。


 「挨拶が遅れてすいません……レスです、異世界《ここ》では、そう名乗らせてもらっています」

 そう、目の前の二人に挨拶をする。


 「君か……それなりに活躍《はなし》は聞いている……」

 そう二人の父親に評価《ことば》を受ける。


 「瘴気塊《あんなもの》を……どうにかできる……当然、誰か一人に出来ることじゃない……でも、創造《イメージ》を具現化《かたち》にする能力《ちから》……多分、今回……一番に活躍《ひつよう》なのは……二人の力……そして、彼女の想像力《イメージ》です」

 そう俺はその場に居る者に告げる。


 「レス……」

 そう、少し嬉しそうにスコールが俺を見る。



 ・・・



 結局、話の決着はつかなかったが……

 俺は少し元気の無いレインを部屋に送り届ける。


 ベッドの布団を身体を包みながら……


 「……後悔……していないのか?」

 そう部屋を立ち去ろうとした俺の背中にレインが語りかける。


 「……何をだよ」

 そう俺は返す。


 「……私などに召喚され……この状況を……だ」

 そう俺の方は見ず、レインが言う。


 「異世界《ここ》に来るまでの俺は、ずっと無力《むかち》だった……何にもできない、何も産み出さない……誰の為にもなれない……」

 そう背中を向けたまま……言葉にする。


 「まぁ、別に今の俺が、それを成せてるなんて、欺瞞を言うつもりもないけどな」

 そう独り苦笑する。


 「レス……お前はずっと私の英雄《ヒーロー》だった……今の兄妹があるのも……私がこうして、今を過ごしているのも……」

 「それこそ……欺瞞だ……」

 そう俺は返す。


 「……そのついでに言うならさ……レインが俺をここに呼んだ事に意味があるのなら、俺がその意味を成すというのなら……」

 そう背中を向けながら……

 「俺が……レイン、お前を英雄にしてやるさ……それが俺の存在意味だ」

 そう言葉にする。


 「……後悔していないのか……それを後悔しないのか」

 そうレインが自信無さそうに……


 「レス……貴様《おまえ》は……私の私物《モノ》だ……私はこれからもそう……主張する……」

 全くそんな権利を主張する自信が無い……そんな口調でそう告げる。

 「でも……お主は、私だけではない……多くの誰かの想いを背負っておる……開放されたいのではないか……私の手元を離れたいのではないか?」

 そう……自暴自棄《かくご》を決めるように……


 「寂しいこと言うなよ……俺が今……お前と、クラスメイトと一緒に居られるのはお前のお陰だぜ?」

 そうレインに返す。


 「……私はレス……の……側《ヒロイン》の一人で居ていいのか……」

 ずっと……これまで、己のくだらぬプライドで……
 そう振舞って来れなかった……


 「それに返す言葉はよくわかんないけど……俺がお前を英雄《ヒロイン》にする……」

 そう、向けていた背中を回転させるようにレインの方へと振り返る。


 「そうか……だったら……」

 包まっていた布団を投げ捨て……ベッドから飛び離れるように……


 戸惑う俺の顔から目を反らしながら……

 俺の身体にレインが両腕を絡ませるように抱きつく。


 戸惑う俺を他所に、黙ったまま数秒俺に抱きついたまま……

 そして、何事も無かったように俺の身体を開放すると、
 投げ捨てた布団を深くかぶるように、顔を覆い隠し、
 眠りにつくように布団に潜り込む。
 その行為を少しだけ恥じるように……何事も無かったように……


 自分の部屋に戻る。

 部屋は真っ暗で……未だ契約が続いているのか……
 俺に与えられた布団の毛布を一つ奪うようにツキヨがベッドの側部に背を預けるように眠りについている。

 そんなツキヨに先ほどまで教育指導を受けていただろう、皇帝ペンギンのぬいぐるみが転がっている。


 「護るさ……」

 彼女達《ぜんぶ》、護るなどおこがましいとしても……

 俺は……俺の我侭のために……英雄《ヒロイン》を産む……


 だから、せめてそんな彼女《ヒロイン》の言葉《きたい》に共鳴してみせろ。
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