異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。

文字の大きさ
134 / 213
異世界編-神の遊戯

神聖六賢者

しおりを挟む
 真っ白な部屋……

 まるで作られたような空間。


 真っ白なドレスを着たフィーリアが王座のような椅子の前に立ち、
 真っ白な制服を着た男女が6人集められている。


 「フィーリア最高司祭様、お呼びでございますか……」

 絶対なる忠誠を誓うように膝をつき旨に右の拳をあてながら、
 白の制服を着る金髪の青年がフィーリアに尋ねる。


 「あのさぁ……さいこー司祭様ぁ、あたしらもさぁ、そんな暇じゃねーんだよなぁ、まださ、三つの勢力だか決着ついてねぇんだろ?」

 制服のズボンのポケットに両手を突っ込み、制服についているフードを深くかぶりながらも、黒い前髪と、目つきの悪い顔と、顔には少し黒い刺青が入っている女性。


 「態度を慎め、最高司祭様の前だっ!」

 先に発言した金髪の青年がその黒い髪の女性の態度を改めるよう睨むように言う。


 「ほんと、我らがリーダー様は、フィーリア司祭様、ラブだよなって」

 ちゃら目の見た目のオレンジ色の髪、顔にはサングラスのようなものをかけた青年が金髪の男に向け言う。


 「急なおよびお呼び立てをして、ごめんなさい」

 フィーリアは目の前の6人にそう呼びかけながら、全員を見る。


 「ルーセウス……」

 「はっ!」

 金髪の青年がフィーリアにその名を呼ばれ、再び膝を突いた低い姿勢のまま頭を下げる。


 「ソルテ……」

 「……」

 フードをかぶる黒髪の女性が黙って返事をするように右手をあげる。


 「ディアス……」

 「はぁーい」

 同じように右手をだらしなくあげて、オレンジ色の髪の男が返事をする。


 「ティセ……」

 「ん……!」

 真っ白な部屋の真っ白な柱に背をつけるように、ソルテと同じように深くフードをかぶっている女性が短く返事をする。


 「マフィリド……」

 「はいはい、ここに……」

 かぶっていた白いシルクハットを右手で取り外し、自分の目の前で逆さにするような紳士的なポーズをとる、この中では一番の年配である。
 というよりは、マフィリドと呼ばれたこの男以外は、ほとんどが見た目は20代前後といったところだ。


 「ノウト……」

 「……」

 白い制服に、不釣合いの顔面を覆い隠すフルフェイスの兜だけを装着している。
 男女の判断すらできない。
 その感情も読み取れない。


 最高司祭と呼ばれた、フィーリアはそんな全員を見渡しその名を読み上げていく。


 「命令があれば、斬るだけだ……」

 ティセと呼ばれた女性がフィーリアの方を少しだけ顔を上げてみる。
 黒い影でかくれていた、美形な顔と赤茶色の前髪が見える。

 
 「あー、だからさぁ、まだ……神様のお遊びだかなんだかの3つの勢力の争いがさ、決着ついてだいだろって」

 ソルテが蛙のような姿勢でしゃがみながら、顔だけをティセに向ける。


 「フィーリア様、考えあっての事、その命令《おつげ》を聞きましょう」

 マフィリドが二人の会話を阻止するように割って入る。


 「そうですね、ソルテの言うとおり、3勢力の決着はついていません」

 フィーリアはその前置きをしながら……


 「水晶による聖域の魔力もほとんど弱っていません、それでも彼らは近いうちに攻め込んできます」

 そう確信するように全員に目線を送る。


 「全く、何の意味があんの……神遊戯《これ》?」

 ソルテがふて腐れたような顔でフィーリアを見る。


 「意味など必要ない……必要なのは我々がフィーリア最高司祭様をお守りした結果だけ……ご安心下さい、私が最高司祭様に指一本触れさせはしません」

 金髪の青年、ルーセウスがその忠誠心を誓う。


 「ほんと……気持ち悪いほどの忠誠しんだなって」

 小ばかにするような、呆れたような顔でディアスがルーセウスに言う。


 「失礼しますっ!」

 一人の女性兵が入ってくる。


 「この国の勢力が、この教会へと押し寄せて来ているようです、見張りの部隊が応戦しておりますが、その数が多く、また中にはそれなりの手馴れの能力者も居るようで……」

 状況はよくないのだと、その口ぶりから全員が察するが……


 「我ら、神聖六賢者……最高司祭様に与えられた、誇り高き称号に恥じるな、各部隊を率いて絶対にここまで、侵入者を通すなっ!」

 ルーセウスが全員に呼びかけるように叫ぶ。


 「はいはい、ご苦労様だなって……点数稼ぎご苦労様だなって」

 ディアスはそう言いながらも、それらを向かいうつために部屋の外へと歩いていく。


 「命令があれば斬る……それだけだ」

 ティセもこれ以上、ここで馴れ合う気がないように部屋の外へと歩き出す。


 「………」

 ノウトもただ、黙ってそれに習うように外へと歩いていく。


 「必ずや、最高司祭様のめがねにかなう働きをご報告いたしましょう」

 紳士的に頭を下げながらマフィリドがその場から姿を消す。


 「はぁーい、あたしもめがねをかけてはたらきまぁーす」

 真面目に間違えているのかふざけて間違えているのか、
 ソルテが立ち上がると、眠そうにあくびをしながら部屋の外に歩き出す。


 「ご安心を……我々がフィーリア様を必ずお守りします」

 ルーセウスだけがその場に残り、その忠義の姿勢のままフィーリアに告げる。


 「期待しています……」

 フィーリアはただそう答えた。



 ・

 ・

 ・


 3つの勢力、その圧倒的な火力の前に神聖教会の門は簡単に破られる。

 だが、神聖教会その兵隊一人ひとりが、鍛錬されており、
 そして、聖域の魔力がさらにその兵隊を強化しているのだろう。

 その勢力を前に進軍が止まる。


 「ちっ……」

 ツキヨは繰り出される魔法を回避、初桜で防ぎながら交戦していたが、強力な魔法により地面が崩れ地下に落下する。

 「ここは……?」

 運良く、教会の中に進入出来たのかもしれないが……

 目の前の入り口には上に繋がる階段が見えていて……
 カツンカツンと階段を一歩一歩、音を立てるように下りてくる足音が聞こえる。

 「何者だ……」

 白い制服にフードをかぶった赤茶色の髪をした女性。

 ティセと呼ばれていた女性がツキヨの前に現れる。


 「命令だ……私はお前を斬る、それだけ」

 ティセがツキヨを見る。


 「呪えっ……まさむねっ!」

 ツキヨが一度鞘に収めた刀を再び抜く。
 黒い瞳が赤色に変色する。


 「……瘴気《のろい》の類か」

 その魔力を見ながら……


 「……抜刀っ……霧幻《むげん》っ」

 抜いた刀が、暗い地下で眩く輝いている。
 輝きが収まるように刀の形に収束しまるで透明のような輝きの刀が表れる。

 隙をあたえる暇もなく、先にツキヨが動くが、
 動きをすでに読み取っていたように、霧幻がまさむねの刃を受け止める。


 「うつせ……」

 ティセがつぶやく様に言う。


 勇者《ライト》ほどの効果は無い、それでもその瞳に宿る力は、
 ある程度の敵の動きを読むことができる。

 動きさえ見えれば……予測は……


 「……なっ!?」

 真正面から刃を交えていた相手……
 確かに手ごたえもあった……
 そこから動きもその瞳は見ていない。

 頭を後ろに向ける。

 刃を構えたティセの姿がある。

 持ち前の運動神経で急速で身体を回転させ、後ろに振り返るとまさむねで霧幻を受け止める。


 「へぇ……反応できるんだ」

 ティセが少しツキヨに感心するように言う。


 「霧幻連武っ」

 「ちっ」

 繰り出される素早い連撃をツキヨがまさむねの刃で合わせるようにガードするが……


 「……なんで……」

 その瞳で追い、刃を受け止めたはずが、そのまさむねをすり抜けるように霧幻の刃がツキヨを何度も斬りつける。

 斬撃が衝撃に変換されるように、ツキヨの身体が突き飛ばされる。


 「まだ……立つ?それなら斬るだけだ」

 黙って立ち上がるツキヨとティセが睨みあう。


 再び、コツコツと足音が聞こえる。
 暗闇に二人が目線を送る。


 「犠牲となった命の数だけ、誰かを救いましょう……奪われた命の数だけ……誰かを斬りましょう」

 「抜刀……大蛇《おろち》」

 ほっそりとした目の瞳が、ツキヨと同じように真っ赤に染まる。


 「あんたは?」

 ツキヨが現れたセキラを見る。


 「……争う事は好きじゃないんです……なぜかと申しますと、命を粗末にするなど、愚かな選択だと思いますから……それでも、奪い、奪われる……私もそんな愚かな人間《ひとり》に成り下がるしかないのでしょうか……」

 ツキヨが思わず生唾を飲み込む。
 恐怖に近い何かを、セキラの奥底に見る。


 「一人増えたところで……もう一人斬るだけだ」

 それだけだと、つまらなそうにティセがツキヨとセキラを流すように見る。


 「……のっとられるようで……好きじゃないんだ……」

 能力の奥深くに踏み込むように、ツキヨもそのまさむねの瘴気を強く取り込む。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow
ファンタジー
 1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。  各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。  ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。  その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。  彼らは通称カーヴァント。  カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。  カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。  しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。  また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。  探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。  つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。  数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。  月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。  彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。  そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。  勿論二世だ。  斗枡が持っている最大の能力はカード合成。  それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。  彼はその程度の認識だった。  実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。  単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。  つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。  また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。  斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?  女子が自然と彼の取り巻きに!  彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

処理中です...