異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。

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異世界編-スノー編

交換生

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 今まで居た真っ白な空間と同じ真っ白な空間の部屋。

 少女はきょろきょろと少し雰囲気の違うそこに違和感を覚える。


 「……神様に奉仕なんて聞いたから、どんなヒゲ親父の相手をさせられるのかと思ったけど……」

 巫女に選ばれた女性は彼女と顔の位置を合わせるようにしゃがみこむ。


 「……お名前は?」

 首を傾げた少女に長い赤紫色の髪は尋ねる。

 「……リーヴァ……」

 状況がわからないように少女はただ名を名乗る。


 「……私は、ミルザ……宜しくね、リーヴァ」

 娘を抱く、母のようにミルザは嬉しそうに笑い頭を撫でる。


 ・  ・  ・


 数日が過ぎて……

 リーヴァを授かる時に説明は受けた。


 何年先かわからない……

 リーヴァと共にこの世界に散りばめた何か……
 それが7つ交わる時に……

 神の遊戯が始まる。
 その勝者に……リーヴァが願いを適えるのだと。

 そんな人の私利私欲に……


 「なぁ……ミルザ」

 5歳くらいの白髪の少年。

 「どうした、クロノ……」

 「なんか……お客さんみたいだぜ」

 クロノと呼ばれた白い髪の少年が青い長い髪の女性を差し出す。


 「……ここに神様が居るって……お願いをしに来た」

 リーヴァと変わらぬ身体の大きさの少女。


 「……クリアとも同じくらいの年頃だよな」

 クロノは二人を眺めながら……

 「まぁ、あいつは引っ張っても部屋から出てこないけどさ」

 クロノがすでに諦めたように一人呟く。


 それから、また数日……友達と呼ぶには少し短い時間だったかもしれない……


 次第に課せられる自分たちの使命に……
 そんな人の欲望に……


 「ねぇ……リーヴァは、そんな人間《やつら》の願いを適えるために……此処に居たい?」

 そんなミルザの言葉に……

 「ねぇ……何処か行きたいところはある?」

 何かを覚悟するように……その決め手となる言葉を引き出すように……


 少女は……よくわからなかったけど……

 「会いたい……人が居る……」

 異世界を写す映像……そこに写っていた人物……
 
 「何処に居るか、わかる?」

 少女は首を振る。

 「どっか……遠いところ……」

 「……探しに行こうか……一緒に」

 ミルザは少女の手を取る。
 ここでは無い何処か遠くに……

 誰かも知らない人を探しながら……

 この世界の最果てを目指す。


 ・


 ・


 ・


 「帰ってくるなり……全員揃いに揃い、何を葬式帰りみたいな顔をしている?」

 自分の部屋のベッドに腰を下ろし、ボーとしている俺に暫く黙っていたツキヨもさすがに声を出す。

 数日ぶりに帰ってきたと思えば、抜け殻のような男《おれ》を呆れるような目を向けている。


 「……別に何かに悩んでいるわけじゃないんだけどな……」

 俺は整理のつかない何かを懸命に整理するように……

 「で……?」

 「でって……?」

 「で、私は……お前を慰めてやればいいのか?」

 ぐいっ……とその綺麗な顔が目の前に近づいてくる。


 「……いいのか?」

 そんな俺の欲望《ことば》に、ため息をついて……


 「……そんなくだらないことで自分の価値を下げるな」

 それは……たぶん、いろいろな価値を下げてしまう行動だろう……

 「もっと……自分を大事にしろ」

 そう、ツキヨに言い捨てられる。


 「……こっちの台詞だ」

 そのまま、目の前の女に言葉をそっくりと返す。


 「そういうところだ……」

 ドンッとベッドに押し倒されるような格好で、倒れこむ俺の顔に、その俺の頭の横に片手をつくように身体を支えたツキヨの顔が迫っている。

 「……そういう言葉《おまえ》に……私は弱い……」

 長い黒い髪を結び長いテールが彼女の背中を伝い、ベッドに垂れている。


 「人は誰かを騙し騙して……生きているんだよ」

 俺はそんな……目の前の美少女……眼鏡越しの瞳を見つめられながら……

 「あんたは、そうやって……自分を騙し騙して……生きているんだよ」

 言葉を返される。


 「それは……お前の優しさか……そんな私《かんけい》さえも騙していく……」

 その瞳はどこか……寂しそうに……そして俺を解放するように身体を起こす。


 「変なこと言って悪かった……随分とお疲れのようだからな、ゆっくり休め……」

 いつものように、ツキヨは俺のベッドから毛布を一枚奪いそれに包まるようにベッドを背に横たわる。



 ・  ・  ・


 次の日……

 いつものように学園に向かい……

 始まるホームルームの時間に……


 ガラガラと教室のドアを開き入ってくる人物。


 ピンク色の髪の女性が入ってくる。
 数日前に見覚えのある……

 見知らぬ制服のようなものに身を包み……

 他学生?

 学園というのは、学園長《マナト》が作ったここが唯一だと思っていたが……

 「隣国……バルナゼクの主を務める、サリス=アトリ、どうか構えないで欲しい、我は今日……貴公たちと交流を深めに来た」

 そして、目的のものを探し当てるように……

 「我が学園の生徒と貴国の学園の生徒……2名を一ヶ月の間、交換生制度を設けたい」

 そんな見知らぬ言葉を放ち、俺とクリアの前に立っている。


 「さぁ……手を貸してくれっ」

 サリスが俺とクリアに向かい手を差し伸べる。


 隣国に学園が存在していたこと……

 そして、交換生なんて制度があることにも驚きだが……


 「あんた……学生だったのか……」

 別に学生と言われれば、それ相応に見えるが……


 「交換生なんて制度も……そもそも、隣国に学園があるなんて聞いたことありませんけど……」

 クリアが俺の最初の疑問を真っ先に口にする。


 「……私が急遽、セナに言って作らせた、交換生その制度も私が設けさせてもらった」

 セナという人物が誰かは知らないが……
 ……あぁ……多分、強引な人なんだ……
 俺はいくつかの顔を思い浮かべながら心の中で諦める。


 「おい……ちょい、待てっ!」

 ヴァニが慌てて席を立ち叫ぶ。


 「……横暴……許さない」

 クロハが立ち上がり、刃の無い柄を取り出す。


 「悪いが……例え、これが貴国との戦争の引き金となろうと譲ることはできない……」

 一応、それを詫びるように、胸に手を当て頭をヴァニ、クロハや生徒に下げる。


 「まて……そんなんで戦争なんて始めるなよ」

 俺が慌てて彼女の暴走を止める。


 「しかし……レス、私はなっ」

 本気だと……胸に手を当てた身体を勢い良く向ける。


 「その……わかった、よくわかんないけど……そのわかった」

 俺はそんな適当な返事をする。

 「俺はわかったけど……(クリアは)どうする?」

 と、顔と瞳をクリアに向ける。


 「え……えぇ…っと……私ですか……それは、私だって一ヶ月だけとはいえ、レスさんの居ない学園よりかは……居る学園に……☆▲@×」

 最後の方は何を言っているのか全く聞き取れない。


 「では……決まりでいいのだな」

 サリスは嬉しそうに頷いている。


 「足は準備している……案内しよう」

 クラス全員が呆然とする中、俺とクリアはサリスの背中に続く。


 「あら……二人の代わりに誰が隣国から来るのかしら」

 早くもクラスに馴染んでいるフィーリアは一人楽しそうに笑いながら言う。
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