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第1話
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場所はダンジョンの入り口前。
巨大な石造りの門の所に私はいた。
他にも多くの若い男女が集まっている。
三十代中頃なのは私だけか。
それ以外のみんなは若さが溢れている人々だ。
私は今…探索者として新たな第一歩を踏み出そうとしていた。
数ヶ月前、上司の何の根拠もない自信のもと進められたプロジェクトが頓挫しその責任を押し付けられた。
その次の月にはクビである。
不当解雇まっしぐらだった。
当然できる限りの抵抗をしてどうしようもなくなったらパワハラやら何やらで訴えてやった。
音声データだったりだとかとにかく集められるだけの証拠を集めてその上司に一矢報いてやった。
しかしその代償は大きく、大してなかった貯金の大半を裁判やらで使い果たしてしまった。
その上その上司のそのまた上司あたりだろうか、ソイツが根回しをしたおかげで自分はそれまでしてきた職業関係での転職がうまくいかず。
というか大抵話すら聞いてもらえず追い返された。
そんなわけで納得がいかない理由でだが強制脱サラの憂き目にあった私は、この年でダンジョン探索者になる道を選んだ。
単純にアルバイト以外で資格もなしですぐに始められて収入を得られる仕事を探した場合これくらいしかなかったというのが理由である。
ダンジョン。
それはこの世界において突如出現する謎の異世界のことを指す。
まずこちらの世界に現れるのはその入り口だけなのだがその向こうには我々人間の想像したフィクションの中にしかいないような怪物たちが本当に存在しているのだ。
そんな怪物たちと戦いダンジョンを探索することで多くの資源を持ち帰る者たちがいる。
それがダンジョン探索者である。
シンプルに命の危険が大きく、その分才覚がある者はかなりの報酬を得ることができるとされる仕事だ。
正直アラサーの私にそんな才能はないだろうと言う事は分かっている。
自分の能力の有無などさすがにこの歳になると嫌でもわかるさ。
しかし残った僅かな貯金で最低限の装備を買い集めた以上もうこれ以外に道はない。
今後は探索者として一旗上げる以外には……私に残された道はないのだ。
「……必ず、探索者として一旗あげてやる!」
アラサー野郎でもその心はまだまだ週刊少年誌ばりに青く熱い物があるんだぜ。
あのクソ上司に倣うのはシャクだがここで根拠なんて求めたらなんも出来ないので自信だけで行ってやる。
石造りの門の前で先頭に立ち、教官役をしているダンジョンセンター職員の人の先導のもとその門をくぐる若者たち。
「それではダンジョンゲートを通過して下さーい!」
「いよいよだな!」「ここから俺たちの冒険が!」「楽して大金稼ぐぞ!」「あのブランド品のバックの為に!」「マネーイズマイライフ!」「一発……いや三発は当ててやるわ!」「ダンジョン探索者人生、それは究極のギャンブル…成功者となれば光の使徒と同義!」「いやっ光のクズじゃないか?」
若き世代もやる気に満ちて……ん?
後半の方、金のことした考えてない連中や訳の分からないのが居たような…まっまあいいか。
「次。探索者番号36番、一河広樹《いちかわひろき》さん。ダンジョンに入って下さーい」
金髪で女性の教官役のダンジョンセンター職員さんの言葉に従い門へとむかう。
気を取り直してまずはこの一番最初のダンジョンゲートをくぐる時が大事なのである。
何故なら初めてダンジョンに入った人間はダンジョンに入ったと同時にスキルを一つ得ることができるからだ。
それと何かのゲームみたいな話だが、ダンジョンの中ではあのゲームのメニュー画面とかのウィンドウが宙にブゥウンと現れる。
それにあなたはなんたらというスキルを得ましたっと表示されるのだそうだ。
そのスキルの有能さ如何によっては探索者として一気に成り上がる可能性も見えてくる。
正直言ってそれなりに生活できる稼ぎさえあれば私は満足なので何とかその水準に行けるスキルをと願わずにはいられない。
そしてここで残念なスキルを得た場合は大抵今回の研修だけでそれ以降は二度とダンジョンに戻ることはない。
そういう人間がだいたい八割くらいはいるらしい。
まあそんな強いスキル簡単に手に入るわけはないのって事だ。
今の私はさながら数千円分の宝くじを買って数億円の1等を夢想するような。
傍からみれば単なる馬鹿なのだろう。
しかしそれでも私は思う。
そんな奇跡に縋らなければ、今の私は道を切り開けないのだ。
若い男女たちが次々と門をくぐる。
外見は勤めて冷静に普通に。
しかし内心は焦りながらビビりながら…その門をくぐった。
そして自分の目の前にウィンドウが現れる。
他の人間のウィンドウを見ることはできないので自分がどんなスキルを取ったのかは自分にしかわからない。
そして自分のスキルを赤を他人にベラベラ言うような人間はまずいないだろう。
いやそんな話はどうでもいいのだ、問題は私はこのスキルガチャでどんなスキルを得たかである。
そしてウィンドウにはこう表示されていた。
【おめでとうございます、あなたはスキル『ダンジョン』を入手しました】
「……ダンジョン?」
なにスキルがダンジョンって聞いたことないぞ。
とりあえず歩きながらスマホでそのダンジョンというストレートなネーミングのスキルについて調べてみる。
すると驚くべきことがわかった。
巨大な石造りの門の所に私はいた。
他にも多くの若い男女が集まっている。
三十代中頃なのは私だけか。
それ以外のみんなは若さが溢れている人々だ。
私は今…探索者として新たな第一歩を踏み出そうとしていた。
数ヶ月前、上司の何の根拠もない自信のもと進められたプロジェクトが頓挫しその責任を押し付けられた。
その次の月にはクビである。
不当解雇まっしぐらだった。
当然できる限りの抵抗をしてどうしようもなくなったらパワハラやら何やらで訴えてやった。
音声データだったりだとかとにかく集められるだけの証拠を集めてその上司に一矢報いてやった。
しかしその代償は大きく、大してなかった貯金の大半を裁判やらで使い果たしてしまった。
その上その上司のそのまた上司あたりだろうか、ソイツが根回しをしたおかげで自分はそれまでしてきた職業関係での転職がうまくいかず。
というか大抵話すら聞いてもらえず追い返された。
そんなわけで納得がいかない理由でだが強制脱サラの憂き目にあった私は、この年でダンジョン探索者になる道を選んだ。
単純にアルバイト以外で資格もなしですぐに始められて収入を得られる仕事を探した場合これくらいしかなかったというのが理由である。
ダンジョン。
それはこの世界において突如出現する謎の異世界のことを指す。
まずこちらの世界に現れるのはその入り口だけなのだがその向こうには我々人間の想像したフィクションの中にしかいないような怪物たちが本当に存在しているのだ。
そんな怪物たちと戦いダンジョンを探索することで多くの資源を持ち帰る者たちがいる。
それがダンジョン探索者である。
シンプルに命の危険が大きく、その分才覚がある者はかなりの報酬を得ることができるとされる仕事だ。
正直アラサーの私にそんな才能はないだろうと言う事は分かっている。
自分の能力の有無などさすがにこの歳になると嫌でもわかるさ。
しかし残った僅かな貯金で最低限の装備を買い集めた以上もうこれ以外に道はない。
今後は探索者として一旗上げる以外には……私に残された道はないのだ。
「……必ず、探索者として一旗あげてやる!」
アラサー野郎でもその心はまだまだ週刊少年誌ばりに青く熱い物があるんだぜ。
あのクソ上司に倣うのはシャクだがここで根拠なんて求めたらなんも出来ないので自信だけで行ってやる。
石造りの門の前で先頭に立ち、教官役をしているダンジョンセンター職員の人の先導のもとその門をくぐる若者たち。
「それではダンジョンゲートを通過して下さーい!」
「いよいよだな!」「ここから俺たちの冒険が!」「楽して大金稼ぐぞ!」「あのブランド品のバックの為に!」「マネーイズマイライフ!」「一発……いや三発は当ててやるわ!」「ダンジョン探索者人生、それは究極のギャンブル…成功者となれば光の使徒と同義!」「いやっ光のクズじゃないか?」
若き世代もやる気に満ちて……ん?
後半の方、金のことした考えてない連中や訳の分からないのが居たような…まっまあいいか。
「次。探索者番号36番、一河広樹《いちかわひろき》さん。ダンジョンに入って下さーい」
金髪で女性の教官役のダンジョンセンター職員さんの言葉に従い門へとむかう。
気を取り直してまずはこの一番最初のダンジョンゲートをくぐる時が大事なのである。
何故なら初めてダンジョンに入った人間はダンジョンに入ったと同時にスキルを一つ得ることができるからだ。
それと何かのゲームみたいな話だが、ダンジョンの中ではあのゲームのメニュー画面とかのウィンドウが宙にブゥウンと現れる。
それにあなたはなんたらというスキルを得ましたっと表示されるのだそうだ。
そのスキルの有能さ如何によっては探索者として一気に成り上がる可能性も見えてくる。
正直言ってそれなりに生活できる稼ぎさえあれば私は満足なので何とかその水準に行けるスキルをと願わずにはいられない。
そしてここで残念なスキルを得た場合は大抵今回の研修だけでそれ以降は二度とダンジョンに戻ることはない。
そういう人間がだいたい八割くらいはいるらしい。
まあそんな強いスキル簡単に手に入るわけはないのって事だ。
今の私はさながら数千円分の宝くじを買って数億円の1等を夢想するような。
傍からみれば単なる馬鹿なのだろう。
しかしそれでも私は思う。
そんな奇跡に縋らなければ、今の私は道を切り開けないのだ。
若い男女たちが次々と門をくぐる。
外見は勤めて冷静に普通に。
しかし内心は焦りながらビビりながら…その門をくぐった。
そして自分の目の前にウィンドウが現れる。
他の人間のウィンドウを見ることはできないので自分がどんなスキルを取ったのかは自分にしかわからない。
そして自分のスキルを赤を他人にベラベラ言うような人間はまずいないだろう。
いやそんな話はどうでもいいのだ、問題は私はこのスキルガチャでどんなスキルを得たかである。
そしてウィンドウにはこう表示されていた。
【おめでとうございます、あなたはスキル『ダンジョン』を入手しました】
「……ダンジョン?」
なにスキルがダンジョンって聞いたことないぞ。
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