8 / 100
第8話
しおりを挟む
「お待たせしました」
月城さんが戻ってきた、手にはダンボールと数枚のお札と小銭が一緒に載せられたトレイを持っている。それをカウンターの上に置かれた。
「今回の買取は『ブルーシェル』のみが対象です、買取価格はこちらになります」
トレーに置かれた札束と小銭を確認する。
2万3620円。電子マネーとか慣れていない私は現金支給がとても助かります。
マジか、元手タダの貝殻だぞ。
それを集めただけで前の仕事を日当を軽く超えてしまった。
内心物凄く嬉しい自分。
自然と作ってる笑みが変な感じにならないように結構頑張って我慢してるくらいだ。
月城さんはそんな自分の心の中の葛藤など全く気付いていないようで事務的に仕事を進めていく。
「こちらの買取価格で問題ないのでしたら買い取らせていただきます」
「…はい、お願いします」
買取は無事終了した。
今回のことで分かったことが一つある、私の『ダンジョン』というスキルはとんでもない可能性をマジで秘めている。
これはダンジョンを守るためにモンスター戦ってダンジョンを育成させる価値あると思います。
ぶっちゃけあの貝殻を全部取りつくしちゃってもダンジョンの特性上、そのスポットの資源は数日ほど時間を置けば復活する。
つまりあの砂浜にあった『ブルーシェル』を全て採り尽くしてお金に換えても何も問題はないのだ。
実際に採取スポットが復活することを確認する必要はある。
そして採取スポットの復活が本当ならもうお金の心配をする生活からおさらばできちゃうかもしれないな。
いやまだあのダンジョンは育成が始まったばかりだ、今後も採取スポットが増えて行けば……。
私の人生、本当にダンジョンで逆転出来るかもしれない。
「……あの~どうかしましたか?」
やべっ妄想が物凄く膨らんで顔が変な感じにでもなってたかな?
さっさと席を立って、お金を忘れないようにっと。
あ~~恥ずかしい恥ずかしい何をやってるんだ私は。
「すっすいませんつい…」
「つい何ですか」
「つい…あなたに見入ってしまいましたね、はははっ…申し訳ありません」
月島さんが目を見開いてこちらまっすぐ見る。
その瞳は青い。
今完全に余計なことを言ってしまった、恥の上塗りである。こんな冴えないアラサーがなにを身の程を弁えない事を言ってるんだよ。
仕事してる相手に下手くそなナンパでもしてるとか思われたら死ぬほど恥ずかしいぞ。
もう帰ろ、さっさとダンジョンセンターを出て行くことにした自分だ。
考えなしに話そうとすると、本当にバカなことを言ってしまうな、恥ずかしい。
そして私は帰る、あの狭いアパートへと。するとそこに妙な奴らを発見した。
「ずいぶん狭くて汚い部屋だわ……」
「そうかしら、ワタシはこれくらいの方が人間味ってやつを感じていいと思うけど~?」
しまった。ダンジョンの入り口を開けっぱなしにしていた、ドアを開けて玄関入った時点でハルカとアヤメの会話が聞こえてきたのだ。
自分の失敗に呆れつつ中に入る。
するとそこには宙に浮く銃ではなく、宙に浮く黒いブレスレットが2つあった。
「なぜブレスレットが?」
「何故ってさすがにこちらの世界で銃の姿でいるのはヒロキさんの迷惑になるでしょう?」
「そうそう、そこら辺はちゃんと空気を読むダンジョンコアなのよワタシたちは」
「……ありがとう…ございます?」
そもそもこちらに現れないでほしいという言葉を言う前になぜかお礼を言ってしまった。
て言うかダンジョンコアって普通にこっちの世界にも来れるんだね。
まあ見た感じこっちの世界に来たからと言って暴れてやろうみたいな気配はハルカからもアヤメからも感じないので今のところは気にしないでおこう。
それよりもダンジョンセンターでの成果について話そうと思う。
「このアパートの壁をそこまで厚くないので、話す時は少し小声でお願いするよ」
「分かったわ」
「了解」
話をする前にまずはこのアパートでの注意事項である。
壁ドンとかされたらリアルじゃ怖いだけだから、宙に浮くブレスレットにかくかくしかじかと今回の成功について説明する。
「……なるほどつまりあんなものでもこの世界ではお金になるのね」
「いいじゃない。人間の世界ってお金ってのに余裕を持てれば大抵のことにも余裕を持てるんでしょう?」
「その通り。お金に余裕があれば労働時間を減らせる。そして労働時間を減らして自分の時間を多く持てる上に懐にも余裕がある人間は自ずと余裕のある人間ということになるんだ」
無論人間社会には様々な人間がいるのでそうでもない人間もいるだろう。
ただ私はお金と時間に余裕が生まれれば余裕を持った人間というものが出来上がると考えている。
実際にお金にも時間にも余裕を持った経験などないので絶対とは思わないけど。
「何より今回のことで私自身もお金に関してそこまで厳しく考える必要がなくなったかもっというのは大きいな。これならダンジョンに現れるモンスターの対処を優先してダンジョンの育成の方に時間を割くことができるからね」
「それは素晴らしいことね、私たちも協力するわ」
「ハルカが協力するならワタシも協力するよ~何しろダンジョンが成長してくれるのがダンジョンコア であるワタシらにとって一番の喜びだから」
「私もダンジョンというのが成長する姿というの見てみたいな…」
ダンジョン育成計画。
最初はだいぶ荒唐無稽な話だったが今の私は端的に言ってかなりやる気を出しているのだ。
月城さんが戻ってきた、手にはダンボールと数枚のお札と小銭が一緒に載せられたトレイを持っている。それをカウンターの上に置かれた。
「今回の買取は『ブルーシェル』のみが対象です、買取価格はこちらになります」
トレーに置かれた札束と小銭を確認する。
2万3620円。電子マネーとか慣れていない私は現金支給がとても助かります。
マジか、元手タダの貝殻だぞ。
それを集めただけで前の仕事を日当を軽く超えてしまった。
内心物凄く嬉しい自分。
自然と作ってる笑みが変な感じにならないように結構頑張って我慢してるくらいだ。
月城さんはそんな自分の心の中の葛藤など全く気付いていないようで事務的に仕事を進めていく。
「こちらの買取価格で問題ないのでしたら買い取らせていただきます」
「…はい、お願いします」
買取は無事終了した。
今回のことで分かったことが一つある、私の『ダンジョン』というスキルはとんでもない可能性をマジで秘めている。
これはダンジョンを守るためにモンスター戦ってダンジョンを育成させる価値あると思います。
ぶっちゃけあの貝殻を全部取りつくしちゃってもダンジョンの特性上、そのスポットの資源は数日ほど時間を置けば復活する。
つまりあの砂浜にあった『ブルーシェル』を全て採り尽くしてお金に換えても何も問題はないのだ。
実際に採取スポットが復活することを確認する必要はある。
そして採取スポットの復活が本当ならもうお金の心配をする生活からおさらばできちゃうかもしれないな。
いやまだあのダンジョンは育成が始まったばかりだ、今後も採取スポットが増えて行けば……。
私の人生、本当にダンジョンで逆転出来るかもしれない。
「……あの~どうかしましたか?」
やべっ妄想が物凄く膨らんで顔が変な感じにでもなってたかな?
さっさと席を立って、お金を忘れないようにっと。
あ~~恥ずかしい恥ずかしい何をやってるんだ私は。
「すっすいませんつい…」
「つい何ですか」
「つい…あなたに見入ってしまいましたね、はははっ…申し訳ありません」
月島さんが目を見開いてこちらまっすぐ見る。
その瞳は青い。
今完全に余計なことを言ってしまった、恥の上塗りである。こんな冴えないアラサーがなにを身の程を弁えない事を言ってるんだよ。
仕事してる相手に下手くそなナンパでもしてるとか思われたら死ぬほど恥ずかしいぞ。
もう帰ろ、さっさとダンジョンセンターを出て行くことにした自分だ。
考えなしに話そうとすると、本当にバカなことを言ってしまうな、恥ずかしい。
そして私は帰る、あの狭いアパートへと。するとそこに妙な奴らを発見した。
「ずいぶん狭くて汚い部屋だわ……」
「そうかしら、ワタシはこれくらいの方が人間味ってやつを感じていいと思うけど~?」
しまった。ダンジョンの入り口を開けっぱなしにしていた、ドアを開けて玄関入った時点でハルカとアヤメの会話が聞こえてきたのだ。
自分の失敗に呆れつつ中に入る。
するとそこには宙に浮く銃ではなく、宙に浮く黒いブレスレットが2つあった。
「なぜブレスレットが?」
「何故ってさすがにこちらの世界で銃の姿でいるのはヒロキさんの迷惑になるでしょう?」
「そうそう、そこら辺はちゃんと空気を読むダンジョンコアなのよワタシたちは」
「……ありがとう…ございます?」
そもそもこちらに現れないでほしいという言葉を言う前になぜかお礼を言ってしまった。
て言うかダンジョンコアって普通にこっちの世界にも来れるんだね。
まあ見た感じこっちの世界に来たからと言って暴れてやろうみたいな気配はハルカからもアヤメからも感じないので今のところは気にしないでおこう。
それよりもダンジョンセンターでの成果について話そうと思う。
「このアパートの壁をそこまで厚くないので、話す時は少し小声でお願いするよ」
「分かったわ」
「了解」
話をする前にまずはこのアパートでの注意事項である。
壁ドンとかされたらリアルじゃ怖いだけだから、宙に浮くブレスレットにかくかくしかじかと今回の成功について説明する。
「……なるほどつまりあんなものでもこの世界ではお金になるのね」
「いいじゃない。人間の世界ってお金ってのに余裕を持てれば大抵のことにも余裕を持てるんでしょう?」
「その通り。お金に余裕があれば労働時間を減らせる。そして労働時間を減らして自分の時間を多く持てる上に懐にも余裕がある人間は自ずと余裕のある人間ということになるんだ」
無論人間社会には様々な人間がいるのでそうでもない人間もいるだろう。
ただ私はお金と時間に余裕が生まれれば余裕を持った人間というものが出来上がると考えている。
実際にお金にも時間にも余裕を持った経験などないので絶対とは思わないけど。
「何より今回のことで私自身もお金に関してそこまで厳しく考える必要がなくなったかもっというのは大きいな。これならダンジョンに現れるモンスターの対処を優先してダンジョンの育成の方に時間を割くことができるからね」
「それは素晴らしいことね、私たちも協力するわ」
「ハルカが協力するならワタシも協力するよ~何しろダンジョンが成長してくれるのがダンジョンコア であるワタシらにとって一番の喜びだから」
「私もダンジョンというのが成長する姿というの見てみたいな…」
ダンジョン育成計画。
最初はだいぶ荒唐無稽な話だったが今の私は端的に言ってかなりやる気を出しているのだ。
16
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる