83 / 100
第83話
しおりを挟む
私たちはダンジョンセンター内にある喫茶店の一つに入った。
ダンジョンセンターにはこうやって食事をとるような施設がいくつも中に入っているのだ、コンビニも然りで他にも医療施設、あとは本屋とかも入っている。
まるで駅みたいだ、おっと今はそんな話はどうでもいいだろう。
問題は私の前の席に腰を下ろして気持ちの悪い笑みを浮かべる男、黒山である。
黒山はそんな笑みを浮かべながら口を開いた。
「さてっまず何を話そうか…」
「私から話を聞きたいことは一つです、月城さんの身に一体何が起きたんですか。嘘偽りなく答えて欲しい」
「フンッこちらとしてはあんな職員の話など特にする必要もないのだが、いいだろう、話をしてやろう」
そして黒山は月城さんについて話をしだした。
曰く私と一緒にダンジョンでストレスを発散しリフレッシュした後のこと。
月城さんは何やら大きな失敗をしたらしく、多くの職員と上司である黒山…特に自身が迷惑を被ったそうだその結果…。
心身が疲れて休んでるそうだ。
とにかくここしばらく職場であるここにも顔を出さないでいるらしい。
この男曰く何度か連絡を取り合って いるがまだ復帰には時間がかかるそうだ。
「……というわけだよ、あんな能力のない人間でも部下だからね、私は上司として部下にも紳士的に対応しているのさ」
お前の話なんてどうでもいいんです。
この男の話を聞いて思ったことは、噓偽りなくと言ってるのにどうやら何一つ 真実を話そうという気はないなということだ。
端から聞いていてもそれっどこら辺に本当のことが入ってるの?
ていうくらいの嘘臭い話である。
当事者ではないから全ての真実を知ることなんか出来はしないが、少なくともこの男の言葉を何一つとして信用できるものだとは思えない私がいる。
時間の無駄と判断した私は早々に席を立とうとした。
「話を聞けたことには感謝します、それでは失礼します」
「………月城の話などどうでもいいことだろう、それより問題なのはより大きな金の話…ビジネスの話をしようじゃないか」
「ビジネスの話? そんなものをする為に私はここに来ているわけではありませんよ」
「バカを言っちゃいけない、ダンジョンという金のなる木を君は個人で所有してるんだろう? しかも随分と我々人類に都合のいいようなダンジョンらしいじゃないか……月城から色々と聞いているよ?」
……月城さんがこの男に我がダンジョンについて情報をバラすね。
元から2人が繋がっていたのか、或いは この男が月城さんに何かをしたのかお伺い知る事は出来ないが…。
ただ一つわかるのは黒山は我がダンジョンを食い物にしてしようとしていることだけだ。
この黒山という男が私の目には実に薄汚く不快に映った。
眉をひそめる私に黒山は人差し指を一本立てる。
「100万だ」
「……………は?」
「ひと月に100万円をダンジョンの利用料として支払う、それでそのダンジョンの資源を我々ダンジョンセンターが用意した探索者たちの取り放題にしてもらう。どうだ? 悪い話じゃないだろう」
「…………」
何を言ってるんだこの脳足りん(脳味噌が足りないヤツ)は。
もう十分成長したであろう我がダンジョンなら、一ヶ月もあれば100万どころかその十倍以上の利益を出すことすら可能なのだ。
そもそも100万かそこでダンジョンの資源を取り放題とか、そんなバカな話がまかり通ると思ってるのか?
…いや本当にまかり通ると思ってるんだろう、この男は。
こいつはダンジョンは金のなる木と言ったが多分私がその価値を碌に理解できていないとでも思っているのだろう。
この男が頭の中だけでは自分以外の人間が全員等しく猿かそれ以下の能力しかないということにでもなっているのさ。
そういう人間がたまにいると聞くがこの黒山がそうなのだろう。
何かの本で読んだ記憶がある。
無能というのは自分の能力だけでなく 『他人の能力を評価するという能力』も持ち合わせていない、故に必然的に自分自身の能力を周囲の評価、或い実際の能力よりもだいぶ高く考えてしまう云々。
この男の横柄な態度はそこからくるものなのだろうか。
その後黒山は耳にするだけ不快な戯言を何度も言っていた。
私が再び席に着くことはない、ただ無言でその喫茶店も出ようとした。
「……ここまで私が下手に出ているのにその態度はなんだ? 後悔することになるぞ」
下手に出てる?
どの辺りがですかと聞きたい。
「そういえば先日、私の家に押し入ってきた不届き者がいましたが…」
「ふんっなるほど、それは不幸だったな。私とは何の関係もない話だが一つだけ忠告をしておこうか…そういった不幸がまだまだ序の口だったと知ることが近いうち訪れるかもな…」
随分とよく回る舌だ、ボロが出てるぞ。
表情こそ笑顔を浮かべているが若干苛立ちが抑えるのが限界に来てるらしい。
この男の頭の中だけでは今回この喫茶店のやり取りで全て自分の都合のいいように事が進むことが妄想の中だけの予定として決まってでもいたのだろうか…。
くだらない、ああっ心底くだらないな。
私は喫茶店を出てダンジョンセンターも後にした。
そして人通りがない場所にて。
「ハルカ、いる?」
「もちろんいるわ」
瞬間移動でハルカが現れる。
「月城さんと話がしたい、千里眼で彼女が今どこにいるか分かるかい?」
「容易い事ね…」
黒山なんていつでもどうとでも出来る、問題は月城さんの方だろう。
黒山が何を言ったところで何も信用していないのでどうでもいい、やはり本人と会って話をしたいからね。
「分かったわ、ここから電車で一時間くらいの所にあるマンションよ」
「そこに瞬間移動で移動してくれ」
ハルカは返事をすると同時にスキルを発動、私を連れてそのアパートへ向かってくれた。
ダンジョンセンターにはこうやって食事をとるような施設がいくつも中に入っているのだ、コンビニも然りで他にも医療施設、あとは本屋とかも入っている。
まるで駅みたいだ、おっと今はそんな話はどうでもいいだろう。
問題は私の前の席に腰を下ろして気持ちの悪い笑みを浮かべる男、黒山である。
黒山はそんな笑みを浮かべながら口を開いた。
「さてっまず何を話そうか…」
「私から話を聞きたいことは一つです、月城さんの身に一体何が起きたんですか。嘘偽りなく答えて欲しい」
「フンッこちらとしてはあんな職員の話など特にする必要もないのだが、いいだろう、話をしてやろう」
そして黒山は月城さんについて話をしだした。
曰く私と一緒にダンジョンでストレスを発散しリフレッシュした後のこと。
月城さんは何やら大きな失敗をしたらしく、多くの職員と上司である黒山…特に自身が迷惑を被ったそうだその結果…。
心身が疲れて休んでるそうだ。
とにかくここしばらく職場であるここにも顔を出さないでいるらしい。
この男曰く何度か連絡を取り合って いるがまだ復帰には時間がかかるそうだ。
「……というわけだよ、あんな能力のない人間でも部下だからね、私は上司として部下にも紳士的に対応しているのさ」
お前の話なんてどうでもいいんです。
この男の話を聞いて思ったことは、噓偽りなくと言ってるのにどうやら何一つ 真実を話そうという気はないなということだ。
端から聞いていてもそれっどこら辺に本当のことが入ってるの?
ていうくらいの嘘臭い話である。
当事者ではないから全ての真実を知ることなんか出来はしないが、少なくともこの男の言葉を何一つとして信用できるものだとは思えない私がいる。
時間の無駄と判断した私は早々に席を立とうとした。
「話を聞けたことには感謝します、それでは失礼します」
「………月城の話などどうでもいいことだろう、それより問題なのはより大きな金の話…ビジネスの話をしようじゃないか」
「ビジネスの話? そんなものをする為に私はここに来ているわけではありませんよ」
「バカを言っちゃいけない、ダンジョンという金のなる木を君は個人で所有してるんだろう? しかも随分と我々人類に都合のいいようなダンジョンらしいじゃないか……月城から色々と聞いているよ?」
……月城さんがこの男に我がダンジョンについて情報をバラすね。
元から2人が繋がっていたのか、或いは この男が月城さんに何かをしたのかお伺い知る事は出来ないが…。
ただ一つわかるのは黒山は我がダンジョンを食い物にしてしようとしていることだけだ。
この黒山という男が私の目には実に薄汚く不快に映った。
眉をひそめる私に黒山は人差し指を一本立てる。
「100万だ」
「……………は?」
「ひと月に100万円をダンジョンの利用料として支払う、それでそのダンジョンの資源を我々ダンジョンセンターが用意した探索者たちの取り放題にしてもらう。どうだ? 悪い話じゃないだろう」
「…………」
何を言ってるんだこの脳足りん(脳味噌が足りないヤツ)は。
もう十分成長したであろう我がダンジョンなら、一ヶ月もあれば100万どころかその十倍以上の利益を出すことすら可能なのだ。
そもそも100万かそこでダンジョンの資源を取り放題とか、そんなバカな話がまかり通ると思ってるのか?
…いや本当にまかり通ると思ってるんだろう、この男は。
こいつはダンジョンは金のなる木と言ったが多分私がその価値を碌に理解できていないとでも思っているのだろう。
この男が頭の中だけでは自分以外の人間が全員等しく猿かそれ以下の能力しかないということにでもなっているのさ。
そういう人間がたまにいると聞くがこの黒山がそうなのだろう。
何かの本で読んだ記憶がある。
無能というのは自分の能力だけでなく 『他人の能力を評価するという能力』も持ち合わせていない、故に必然的に自分自身の能力を周囲の評価、或い実際の能力よりもだいぶ高く考えてしまう云々。
この男の横柄な態度はそこからくるものなのだろうか。
その後黒山は耳にするだけ不快な戯言を何度も言っていた。
私が再び席に着くことはない、ただ無言でその喫茶店も出ようとした。
「……ここまで私が下手に出ているのにその態度はなんだ? 後悔することになるぞ」
下手に出てる?
どの辺りがですかと聞きたい。
「そういえば先日、私の家に押し入ってきた不届き者がいましたが…」
「ふんっなるほど、それは不幸だったな。私とは何の関係もない話だが一つだけ忠告をしておこうか…そういった不幸がまだまだ序の口だったと知ることが近いうち訪れるかもな…」
随分とよく回る舌だ、ボロが出てるぞ。
表情こそ笑顔を浮かべているが若干苛立ちが抑えるのが限界に来てるらしい。
この男の頭の中だけでは今回この喫茶店のやり取りで全て自分の都合のいいように事が進むことが妄想の中だけの予定として決まってでもいたのだろうか…。
くだらない、ああっ心底くだらないな。
私は喫茶店を出てダンジョンセンターも後にした。
そして人通りがない場所にて。
「ハルカ、いる?」
「もちろんいるわ」
瞬間移動でハルカが現れる。
「月城さんと話がしたい、千里眼で彼女が今どこにいるか分かるかい?」
「容易い事ね…」
黒山なんていつでもどうとでも出来る、問題は月城さんの方だろう。
黒山が何を言ったところで何も信用していないのでどうでもいい、やはり本人と会って話をしたいからね。
「分かったわ、ここから電車で一時間くらいの所にあるマンションよ」
「そこに瞬間移動で移動してくれ」
ハルカは返事をすると同時にスキルを発動、私を連れてそのアパートへ向かってくれた。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる