Brain Nunber

藤岡 志眞子

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number.8 地下室

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「暗号解読なら、数学者に協力を願えば良いのでは。」

ブレインナンバーの解読チームのミーティングが開かれた。リリーグループの代表、菊本(きくもと)が当たり前のような事を言ってきた。

「もちろん協力を仰ぎました。実際、第一ロックの数列を見ていただき解いてもらったのですが…」

「誰も解けなかったのか。」

「解けるんです。ですが、三人に解いてもらって三人とも解答が違うのです。数字も違って、解答数にもばらつきが出たのです。実際三人の解答を入力してみたのですが、ロックは解除されませんでした。」

「なのに、連れてきた娘の解答は合っていた、と?」

「はい。もしかしたらなのですが…」

「何だ。」

「数学はたったひとつの解答を導き出すものですが、どうやってもひとつになりませんでした。しかし、絵菜の回答はそのひとつに該当した。絵菜は、解き方が違うのか、何か記憶のような…特殊なものがあるのでは、と。」

「小皆教授が教えたという事か。」

「わかりません。今のところ絵菜と教授の接点がないのです。しかし、そう考えるのが妥当かと。」

「…まぁ、身辺調査は後で構わない。とにかくロックを解除してくれ。タイマーはあとどれくらいだ。」

「七百二十五日と十時間…です。」

(…何ヶ月だ?)

「……まだ時間はある、慎重に解除してくれ。」

「…それが……、ブレインナンバーの中に人がいるのです。」

会議室がざわつく。

「し、死んでるのか?警察には。」

「生きているようです。警察にはまだ伝えていません。」

「その方がいい…な、なにを考えているんだ小皆教授は。」

本当にそうだ。
ブレインナンバーの中の女性は後ろ向きのため顔がわからない。無数の管が繋がっていて酸素や栄養などが送られていると思うが、タイマーが切れたらそれらもストップするのだろう。
…一体誰なんだ。


(ベース)

今までリビングのパソコンで数式を解いていたが、集中力を高めるために暖炉後ろに隠してある扉から繋がる、地下室でのミッションに変更になった。
地下室で数式を解いている間は、ひとりバディとしてサポートに入る。
地下室には三つ部屋があり、パソコンのあるメインの部屋、風呂、トイレ、そしてバディの控え室がある。ベッドも置いてあり缶詰には持って来いだが、コンクリート打ちっぱなしの床と壁、当たり前だが窓はなく閉鎖的だ。
解答が出た時点で、地下室のパソコンから解答を送信し地上に上がる。

第五ロックに必要な数式は制限時間六時間、いきなり増えた。ということは相当時間が掛かると思われる。前回のような無理難題はなかったものの、数式の難易度は高くなっているはず。
地下室には長くて半日籠るつもりで、絵菜とオレふたりで行く。

女とふたり。歳の差、五つ。餓鬼だし、本社の女達に比べて色気のかけらも魅力もない。興味はない、ない。

あの女にもそんなスタンスでいたけど、大丈夫だった。オレは本気にはならない。
オレは好きにはならない、何でも。
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