9 / 23
脅し
しおりを挟む
俺の嫌な予想は的中した。
バーベキューのあと、俺たちはそれぞれの家に戻った。
先生も片付けを手伝うと言ってくれたけど、明日は仕事もあるから大丈夫と言って断った。
俺より多忙なはずの先生には週の始めから疲れを残してほしくなかったからだ。
一人でバーベキューセットを抱えてゆっくりと階段を上がっていくと、俺の部屋の前に人の気配がした。
ハイカットのスニーカーを履いた足が見えてくる。
俺は、最上段に座って笑う和哉を睨みつけた。
「おかえり」
和哉は全く悪びれもせず話しかけてくる。
「二度と来るな。
お前と話すことなんて何もない」
俺が和哉を通りすぎようとした瞬間、和哉は俺のよく知る冷徹な声で囁いた。
「あんたの母親どうにかしてよ。
義兄さんが出ていっちゃったから、やたら
俺に寄ってきてウザくて参ってんだよ」
「俺が帰ったって、どうにもならない………」
忘れらない。
和哉を好きだと言ったときの俺を軽蔑したあの母さんの冷たい目。
「義兄さんが子供でも作って家に戻ればご機嫌で気も紛れるって」
「お前………!」
「ずるいよ。
義兄さんの母親なのに逃げるなんて 」
「逃げた訳じゃない!」
俺は向き合おうとした。
拒絶したのは家族の方だ。
「嫌ならお前だって家を出ればいい」
和哉はうんざりした顔で言った。
「俺、春から大学だぜ?
学費とか自分で稼げって?
勘弁してよ」
知ったことか。
こんな奴と話していても時間の無駄だ。
俺は和哉の横をすり抜けて、鍵を開けようとした。
すると和哉はひとり言のように呟いた。
「そうそう。
さっき義母さんに電話したら、今度こっち に来るってさ」
思わず鍵を持つ手が止まった。
「何で」
「美人歯科医と仲良くやってたって言ったら
もう上機嫌でさ。
未来の嫁に会ってみたいって」
背筋がすっと凍りつく。
笑って話す和哉の事がおぞましくて身の毛がよだつ。
「義兄さんが会わないなら、あの人に相談しようかな」
勘違いした母さんが先生を見たら、一体何を口走るだろう。
どれくらいまた先生は傷つくんだろう?
「駄目だ。
会わせない 」
絶対に俺のせいで悲しませたくない。
和哉はにっこり笑った。
「じゃあ、どうする?」
バーベキューのあと、俺たちはそれぞれの家に戻った。
先生も片付けを手伝うと言ってくれたけど、明日は仕事もあるから大丈夫と言って断った。
俺より多忙なはずの先生には週の始めから疲れを残してほしくなかったからだ。
一人でバーベキューセットを抱えてゆっくりと階段を上がっていくと、俺の部屋の前に人の気配がした。
ハイカットのスニーカーを履いた足が見えてくる。
俺は、最上段に座って笑う和哉を睨みつけた。
「おかえり」
和哉は全く悪びれもせず話しかけてくる。
「二度と来るな。
お前と話すことなんて何もない」
俺が和哉を通りすぎようとした瞬間、和哉は俺のよく知る冷徹な声で囁いた。
「あんたの母親どうにかしてよ。
義兄さんが出ていっちゃったから、やたら
俺に寄ってきてウザくて参ってんだよ」
「俺が帰ったって、どうにもならない………」
忘れらない。
和哉を好きだと言ったときの俺を軽蔑したあの母さんの冷たい目。
「義兄さんが子供でも作って家に戻ればご機嫌で気も紛れるって」
「お前………!」
「ずるいよ。
義兄さんの母親なのに逃げるなんて 」
「逃げた訳じゃない!」
俺は向き合おうとした。
拒絶したのは家族の方だ。
「嫌ならお前だって家を出ればいい」
和哉はうんざりした顔で言った。
「俺、春から大学だぜ?
学費とか自分で稼げって?
勘弁してよ」
知ったことか。
こんな奴と話していても時間の無駄だ。
俺は和哉の横をすり抜けて、鍵を開けようとした。
すると和哉はひとり言のように呟いた。
「そうそう。
さっき義母さんに電話したら、今度こっち に来るってさ」
思わず鍵を持つ手が止まった。
「何で」
「美人歯科医と仲良くやってたって言ったら
もう上機嫌でさ。
未来の嫁に会ってみたいって」
背筋がすっと凍りつく。
笑って話す和哉の事がおぞましくて身の毛がよだつ。
「義兄さんが会わないなら、あの人に相談しようかな」
勘違いした母さんが先生を見たら、一体何を口走るだろう。
どれくらいまた先生は傷つくんだろう?
「駄目だ。
会わせない 」
絶対に俺のせいで悲しませたくない。
和哉はにっこり笑った。
「じゃあ、どうする?」
1
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる