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好きな人の好きな人
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「わかった。それはちゃんと聞いとくから。今日は俺の話を聞く会じゃなかった?」
「ああ、そうでした。でも失恋て?」
村岡さんが不思議そうに聞く。
「恋人いたんだよ」
「あ! 前話してた人だよね? ゆうこさんだっけ?」
「うん。でもそうなんだけど違うんですよ。聞き間違いだった。ゆうこじゃなくて裕杜だった」
「裕杜?」
「うん。隣に住んでる人」
「え? 友達の?」
「そう。高校の同級生で、親友で、仕事仲間で、恋人だってさ。俺の入る隙なんて1ミリもないって知ったんだ」
「樫尾さん。諦めちゃうんですか?」
「うん。諦めるというか、ただの友達としてこれからもやってく」
「何も伝えず?」
「そう。伝えたら……きっと終わっちゃうからね」
「そう……ですね」
「なに? 村岡ちゃんまで暗い顔して……わかった! みんな飲もう! お姉さん奢っちゃるから!」
「あざす」
「ありがとうございます」
「てか、このあと樫尾んち行こう!」
「何で先輩が仕切って……」
「家なら泣けるでしょ!」
「泣きませんよ」
「いや、泣くね!」
「泣きませんて」
「泣くのよ! 私が!」
先輩は子供みたいな顔で、涙を堪えている。
「ぶっさいくな顔して……しかも何で先輩が泣くんですか?」
「あんたぶっさいくって。酷いこと……言うわね。涙引っ込んだわ」
先輩はおしぼりの角で目頭を軽く抑える。
でも明日はみんな休みだし、1人でいると色々考えてしまいそうだから、俺はその提案を受け入れることにした。
「どうぞ」
俺は部屋に2人を招き入れ、グラスを用意した。
「ごめん。まだ来客用のスリッパとか用意してないんだ。いつまでここにいるかわからないし。あ、そこのソファ2人で座ってください」
「何でよ。ずっと居ればいいじゃない?」
「でも……」
「わかります。ちょっと複雑な気持ちですよね」
「だよね。さすが村岡さん。デリケートな俺の気持ちわかってくれてるよ」
「まぁ? 私はどうせデリケートではないですけど!」
「そんなことないです、佳苗さん!」
「村岡ちゃん……あんたほんと良い子ね」
「そうですよ? 優良物件ですよ?」
「ねぇ。ほんと。樫尾はともかく、村岡ちゃんに恋人が居ないことの方が不思議よ」
おい。あんたのせいだよ。
「さあ! 飲み直しますよ」
俺はそんな2人の会話を遮るように、コップと缶ビールをテーブルに置き、2人の前に座布団を敷いて座った。
「ああ、そうでした。でも失恋て?」
村岡さんが不思議そうに聞く。
「恋人いたんだよ」
「あ! 前話してた人だよね? ゆうこさんだっけ?」
「うん。でもそうなんだけど違うんですよ。聞き間違いだった。ゆうこじゃなくて裕杜だった」
「裕杜?」
「うん。隣に住んでる人」
「え? 友達の?」
「そう。高校の同級生で、親友で、仕事仲間で、恋人だってさ。俺の入る隙なんて1ミリもないって知ったんだ」
「樫尾さん。諦めちゃうんですか?」
「うん。諦めるというか、ただの友達としてこれからもやってく」
「何も伝えず?」
「そう。伝えたら……きっと終わっちゃうからね」
「そう……ですね」
「なに? 村岡ちゃんまで暗い顔して……わかった! みんな飲もう! お姉さん奢っちゃるから!」
「あざす」
「ありがとうございます」
「てか、このあと樫尾んち行こう!」
「何で先輩が仕切って……」
「家なら泣けるでしょ!」
「泣きませんよ」
「いや、泣くね!」
「泣きませんて」
「泣くのよ! 私が!」
先輩は子供みたいな顔で、涙を堪えている。
「ぶっさいくな顔して……しかも何で先輩が泣くんですか?」
「あんたぶっさいくって。酷いこと……言うわね。涙引っ込んだわ」
先輩はおしぼりの角で目頭を軽く抑える。
でも明日はみんな休みだし、1人でいると色々考えてしまいそうだから、俺はその提案を受け入れることにした。
「どうぞ」
俺は部屋に2人を招き入れ、グラスを用意した。
「ごめん。まだ来客用のスリッパとか用意してないんだ。いつまでここにいるかわからないし。あ、そこのソファ2人で座ってください」
「何でよ。ずっと居ればいいじゃない?」
「でも……」
「わかります。ちょっと複雑な気持ちですよね」
「だよね。さすが村岡さん。デリケートな俺の気持ちわかってくれてるよ」
「まぁ? 私はどうせデリケートではないですけど!」
「そんなことないです、佳苗さん!」
「村岡ちゃん……あんたほんと良い子ね」
「そうですよ? 優良物件ですよ?」
「ねぇ。ほんと。樫尾はともかく、村岡ちゃんに恋人が居ないことの方が不思議よ」
おい。あんたのせいだよ。
「さあ! 飲み直しますよ」
俺はそんな2人の会話を遮るように、コップと缶ビールをテーブルに置き、2人の前に座布団を敷いて座った。
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