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第二章・あたし、美魔女からつづらを貰う

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「何が入っているんだろう……。この重さ、まさか死体じゃないよね?」

恐ろしい想像が脳裏をよぎったけど、きっと、それはない。うん。

この箱のどこかにさっきの美魔さんの名前とか、住所とか、電話番号とか書いてないかな?

彼女の情報が分かれば、警察に引き渡すときもきっとスムーズだし、宅配便で送り返すこともできる。

「これ、何?」

箱の蓋の端にメモ用紙が貼られていた。

『箱を開けてみて。素敵なプレゼントがこの中に★』

あっ……アヤシイ。

しかも最後の星マークが、余計アヤシイよ。

でも、素敵なプレゼントって何だろう?もしかしてかわいい洋服とか?

ううん!ダメダメ!知らない人から物を貰ったりしたらいけないんだもんっ!

それに本当に本当に、死体とか何かヤバいものかもしれないし!

もしホラーなものが入ってたらあたし、トラウマになっちゃうよぉ。

でも、でも、プレゼントの内容が気にならないといえばウソになる。

超有名なスポーツメーカーの新作ランニングシューズとか、おしゃれなファッションアイテムとか、それとも、お金とかっ!

「ちょっとだけ、ちょっとだけ開けてみようかな。変な匂いがしたりしたらすぐに閉める!」

怖い思いはあったものの、「中身を見たい。」という誘惑に逆らえず、蓋に手を添え、そーっと持ち上げた。


グギャギャギャー!


耳をつんざくような叫び声とともに黒い影や赤い何かが勢いよく飛び出して、その反動であたしは尻もちをついた。

な、何これ……。

あたしは自分の目を疑った。
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