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第四章・宵の鬼

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「あの、すみません。子どもの行方不明事件のことで調査しているのですが。」

母親たちの眉根が寄る。

中には子を呼び寄せてそそくさと帰り支度をはじめる人もいる。

あちゃー、そうだよね。

いくら同じ女性といっても、一介の女子中学生からこんな真昼間に「行方不明の子どもを知りませんか?」など聞かれたら不信感満載!

逆に通報されかねないよね。

とにかくお母さんたちの警戒心を解かなきゃ!

そうだ!

「待ってください!わたし、御伽草子中等学院の生徒会のものなんですけど、ちょっとみなさんに聞きたいことがありまして。」

最初は表情を硬くしていた母親たちも、『御伽草子中等学院生徒会』の名前を出すと顔がほころんだ。

さすが地域の名門校!

『御伽草子中等学院生徒会』っていうだけで大人たちから信用されちゃうんだよね。

ママさんたちに尋ねると、出るわ出るわ情報という名の噂話が。

「日焼けした若い男性が夕方に公園をウロウロしている。」

「頭部にはツノらしきものがある。」

「いや、猫耳の帽子を被っているイマドキの男の子だ。」

「いやいや、サングラスをかけた中年男だ。」

「ここ一週間くらいで小学生くらいの子どもが十人も行方不明になってるって、防犯メールが来た。」

「連続誘拐犯がいるって噂もある。」

など、たくさんの情報をゲットすることができた。

ママさんネットワークは恐ろしい。

あたしも、地域で変なことはできないな……。

「絶対にこの地域で真面目に生きていこう。」と決意をあらたにしながら、手に入れた情報を先輩たちに伝えに行く。
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