42 / 42
おまけ
太郎くんと葉千子ちゃんの初デート~飛SIDE~
しおりを挟む
やぁやぁ、僕、飛だよ。
山姥事件以来、太郎くんは葉千子ちゃんを溺愛してて、もうこっちが恥ずかしくなっちゃうくらいなんだ。
生徒会の会議中でも、葉千子ちゃんを隣に座らせてるし、放課後は毎日迎えに行ってるみたいだし。
葉千子ちゃんに話しかけようとする男子生徒がいようものなら桃伐剣を発動させそうになっちゃうし。
それを止める僕は毎日大忙しだよっ。
今日だってね、日曜日だっていうのに朝からカフェに呼び出されているんだ。
コーヒーを頼むともれなくついてくるモーニング限定のトーストをかじりながら、僕は太郎くんを待っているところ。
自動ドアが開く音がして、太郎くんがカフェに入ってきた。
おぉ!今日は黒のジャケットにスリムパンツ!
大人っぽいじゃん!
「葉千子ちゃんと初デートだから、気合入れてきたんでしょ。」
カフェオレとサンドイッチをセルフで運んできた太郎くんにファッションチェックをしたら、「うるさい。」と怒られちゃったよ。てへ。
「で、休みの日のデート前に僕を呼びだした理由は何?」
「うっ……。それは……。恋愛経験豊富な飛に折り入ってお願いがあって……。ほら、飛は恋愛漫画も描いてるし、女の子が喜ぶデートプランを知ってるかなぁ、って思って。」
視線を逸らし、もじもじしている太郎くん、かわいいな。
ちょっとからかっちゃおう。
「最近のトレンドは、コスプレ写真館だね。」
「こっ……、コスプレ写真館とは?」
わわっ!太郎くん、メモ帳取り出しちゃったよ。どこまでピュアなのっ。
「彼氏が彼女に似合いそうな衣裳を選んで、一緒にコスプレして写真撮るのっ。楽しそうでしょー。」
まぁ、カップルで行ったら絶対に盛り上がるスポットだけど、初デートで行くのは中々ハードル高いよね。
「いっ……一緒にコスプレ?例えばメイドとご主人様とか、そんな感じか?」
太郎くんっ!どれだけ想像力豊かなのっ。
確かに葉千子ちゃんメイド姿似合いそうだし、太郎くんなんてどSなご主人様そのままだけどっ。
「そうそう、そんな感じだよっ。」
もう、ダメだ。想像したら笑いが止まらない。
「おい、飛、何を笑っている?」
「ひゃははは……ごほん、笑ってないよ。幻聴じゃない?」
あわてて、口角に力を入れて真顔を作る。
やっばー。太郎くんにバレるところだったよー。
「で、そのコスプレ写真館とやらは、どこにあるんだ?」
行く気だ!太郎くん、本気で行く気だ!
「えっとぉ、秋葉原とかじゃないかな。」
コスプレといえば秋葉原だよね、うん。
「そうか!ありがとう飛、秋葉原だな!助かった!」
伝票を持って席を立とうとする太郎くんを、僕は必死で止めた。
「ちょっと、ちょっと待って、本当に行くの?秋葉原?」
きょとん、とした表情で太郎くんは僕を見ている。
うわわ。ちょっとからかっただけなのに本気にされてしまったよぉ。
大変だ。初デートでコスプレ写真館なんかに女の子を連れて行ったら『太郎先輩、そんな趣味だったんデスカ……?』って葉千子ちゃんにひかれてしまうかもしれない。
それはそれで面白そ……じゃない、このままじゃマズい。
ごめんねー、太郎くん、僕ふざけすぎちゃったよ。
「まぁまぁ、落ち着いて、太郎くん。コスプレ写真館も良いんだけど、それよりももっとイチオシの場所があるんだよ。」
「イチオシの場所とは?」
よかったー、太郎くん、もう一度席に座ってくれたよ。
「それは、映画を観てからカフェでケーキを食べることですっ!」
「映画にケーキ?ベタだな。コスプレ写真館の方が個性的じゃないか?」
太郎くん、からかった僕が悪かった。コスプレ写真館のことはもう忘れてくれ……。
「初デートはベタでいいんだよ。はいこれ。マンガの担当さんからチケット4枚もらったから、そのうちの2枚あげるよ。アクション映画と、恋愛映画がそれぞれ2枚ずつあるんだけど……。」
「アクション映画をくれ。次また妖鬼と戦うときの参考になる。」
太郎くん……。ここは恋愛映画でしょ。
「デートなら、恋愛映画にしとこ。」
僕は太郎くんに『ツンデレふたりの恋愛大作戦☆』のチケットを渡す。
「ありがとう飛!この恩は忘れない!」
「ポップコーンとジュースも忘れずに買ってねー。」
いそいそとカフェを出る太郎くんの後ろ姿を見守る。
ああ見えて太郎くん、葉千子ちゃんが初彼女だから色々不安なんだろうな。
かわいいやつめ!
シャー
自動ドアが再び開く音がした。
「お!待ってたよー。」
黒の猫耳パーカーにジーンズを着た宵がやってきた。
「今日は付き合ってもらっちゃってゴメンねー。一人で映画観に行くのも寂しくてさ。」
「エエよ。ワイも映画観たかったし。飛とふたりで遊ぶの初めてやな。」
今日は良い天気!
楽しい日曜日になりそう!
山姥事件以来、太郎くんは葉千子ちゃんを溺愛してて、もうこっちが恥ずかしくなっちゃうくらいなんだ。
生徒会の会議中でも、葉千子ちゃんを隣に座らせてるし、放課後は毎日迎えに行ってるみたいだし。
葉千子ちゃんに話しかけようとする男子生徒がいようものなら桃伐剣を発動させそうになっちゃうし。
それを止める僕は毎日大忙しだよっ。
今日だってね、日曜日だっていうのに朝からカフェに呼び出されているんだ。
コーヒーを頼むともれなくついてくるモーニング限定のトーストをかじりながら、僕は太郎くんを待っているところ。
自動ドアが開く音がして、太郎くんがカフェに入ってきた。
おぉ!今日は黒のジャケットにスリムパンツ!
大人っぽいじゃん!
「葉千子ちゃんと初デートだから、気合入れてきたんでしょ。」
カフェオレとサンドイッチをセルフで運んできた太郎くんにファッションチェックをしたら、「うるさい。」と怒られちゃったよ。てへ。
「で、休みの日のデート前に僕を呼びだした理由は何?」
「うっ……。それは……。恋愛経験豊富な飛に折り入ってお願いがあって……。ほら、飛は恋愛漫画も描いてるし、女の子が喜ぶデートプランを知ってるかなぁ、って思って。」
視線を逸らし、もじもじしている太郎くん、かわいいな。
ちょっとからかっちゃおう。
「最近のトレンドは、コスプレ写真館だね。」
「こっ……、コスプレ写真館とは?」
わわっ!太郎くん、メモ帳取り出しちゃったよ。どこまでピュアなのっ。
「彼氏が彼女に似合いそうな衣裳を選んで、一緒にコスプレして写真撮るのっ。楽しそうでしょー。」
まぁ、カップルで行ったら絶対に盛り上がるスポットだけど、初デートで行くのは中々ハードル高いよね。
「いっ……一緒にコスプレ?例えばメイドとご主人様とか、そんな感じか?」
太郎くんっ!どれだけ想像力豊かなのっ。
確かに葉千子ちゃんメイド姿似合いそうだし、太郎くんなんてどSなご主人様そのままだけどっ。
「そうそう、そんな感じだよっ。」
もう、ダメだ。想像したら笑いが止まらない。
「おい、飛、何を笑っている?」
「ひゃははは……ごほん、笑ってないよ。幻聴じゃない?」
あわてて、口角に力を入れて真顔を作る。
やっばー。太郎くんにバレるところだったよー。
「で、そのコスプレ写真館とやらは、どこにあるんだ?」
行く気だ!太郎くん、本気で行く気だ!
「えっとぉ、秋葉原とかじゃないかな。」
コスプレといえば秋葉原だよね、うん。
「そうか!ありがとう飛、秋葉原だな!助かった!」
伝票を持って席を立とうとする太郎くんを、僕は必死で止めた。
「ちょっと、ちょっと待って、本当に行くの?秋葉原?」
きょとん、とした表情で太郎くんは僕を見ている。
うわわ。ちょっとからかっただけなのに本気にされてしまったよぉ。
大変だ。初デートでコスプレ写真館なんかに女の子を連れて行ったら『太郎先輩、そんな趣味だったんデスカ……?』って葉千子ちゃんにひかれてしまうかもしれない。
それはそれで面白そ……じゃない、このままじゃマズい。
ごめんねー、太郎くん、僕ふざけすぎちゃったよ。
「まぁまぁ、落ち着いて、太郎くん。コスプレ写真館も良いんだけど、それよりももっとイチオシの場所があるんだよ。」
「イチオシの場所とは?」
よかったー、太郎くん、もう一度席に座ってくれたよ。
「それは、映画を観てからカフェでケーキを食べることですっ!」
「映画にケーキ?ベタだな。コスプレ写真館の方が個性的じゃないか?」
太郎くん、からかった僕が悪かった。コスプレ写真館のことはもう忘れてくれ……。
「初デートはベタでいいんだよ。はいこれ。マンガの担当さんからチケット4枚もらったから、そのうちの2枚あげるよ。アクション映画と、恋愛映画がそれぞれ2枚ずつあるんだけど……。」
「アクション映画をくれ。次また妖鬼と戦うときの参考になる。」
太郎くん……。ここは恋愛映画でしょ。
「デートなら、恋愛映画にしとこ。」
僕は太郎くんに『ツンデレふたりの恋愛大作戦☆』のチケットを渡す。
「ありがとう飛!この恩は忘れない!」
「ポップコーンとジュースも忘れずに買ってねー。」
いそいそとカフェを出る太郎くんの後ろ姿を見守る。
ああ見えて太郎くん、葉千子ちゃんが初彼女だから色々不安なんだろうな。
かわいいやつめ!
シャー
自動ドアが再び開く音がした。
「お!待ってたよー。」
黒の猫耳パーカーにジーンズを着た宵がやってきた。
「今日は付き合ってもらっちゃってゴメンねー。一人で映画観に行くのも寂しくてさ。」
「エエよ。ワイも映画観たかったし。飛とふたりで遊ぶの初めてやな。」
今日は良い天気!
楽しい日曜日になりそう!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる