3 / 412
1章
友達
しおりを挟む
グランルーン王国の王都、グランルーンの首都であり様々な種族が行きかい活気ある街
『王都グランルーン』。
多くの人で賑わっているグランルーンは漁業が盛んなため海の男や商人たちも多い。私達はその首都でも有名な宿、まごころ亭に宿をとっている。この宿の値段はかなり高いがその分、いい食事にいい部屋を提供してくれる。
なぜ、私がこんなにいい宿に泊まれるかというとお父さんのおかげである。お父さんはその昔、王都でも伝説と呼ばれる冒険者のパーティに所属していた。今はもう解散してしまっているがその時に手に入れたアイテムや魔導具を売って稼いだお金のおかげでかなり裕福なのだ。
だが、その宿のベッドに寝ているのは私ではなく少年であった。
この少年は王都の近くの森でたった一人ダイアーウルフ7匹と戦ってその時の傷で倒れた。
私の治癒魔法で傷は塞がっているが流した血が多かったからかまだ目覚めてはいない。
「起きないね・・・」
「ああ、大分血を流していたからな」
「どうしよう?」
「そうだな、とりあえずギルドに彼のような冒険者が登録していないか確認してこよう。登録されていれば身元がわかるはずだ」
「わかった、じゃあ、私はここでこの子を見てるね」
「頼んだぞ」
そう言って、お父さんは扉を開け出ていった。見た感じ、亜人ではなく人間であるこの子は歳で言えば12歳の私と同じくらいだと思う。そんな間違いなく子供であるこの少年が、なぜ、あんな場所で一人で魔物と戦っていたのか。
そういう意味では私も外で魔物と戦ってはいたんだけど、私はお父さんの監督の元、冒険者になる為の修練を積んでいたのだ。だが、彼は一人で危険な森にいて、しかも7匹のダイアーウルフを怪我をしたとはいえ倒している。
戦闘力で言えば私と同じくらい強いんじゃないだろうか。
ダイアーウルフはランクDの魔物、私でも1対1なら問題なく倒せる相手ではある、だけど7匹相手となると負けはしないだろうが苦戦するだろう。ランクDの魔物は一般的な冒険者が戦う相手としても十分強い敵である、まして7匹ならちゃんとしたパーティを組んだ冒険者でなければ命がない。そんな相手をこの子は一人で倒したのだ。私も12歳にしては規格外と言われるがこの子もきっと規格外の強さなんだろうな。
「・・・・ん」
私が考えながら眺めていると、少年の眉がピクリと動く。どうやら目が覚めたようだ。
「・・・ここは?」
「ここは、『まごころ亭』グランルーン王都の宿屋だよ」
「君は・・・」
「私はカモメ、あなたはダイアーウルフと戦った時の傷で倒れたんだよ」
「・・・そうか・・・あれ?」
少年は自分の左腕を見て傷がないことに気づく。
「傷は私が治癒魔法で治したよ、あのままだと死んじゃうかもしれなかったし」
「君は魔法が使えるの?」
「まあね、これでも冒険者目指してるからね♪」
「そうなんだ・・・ありがとう」
「・・・わっ」
「?」
少年は宝石箱のようなキラキラした笑顔で私にお礼を言った。
余りにキラキラしていたからか私の心臓はなぜか跳ねる。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
少年の夜空のように濃い青の髪の毛と、髪の色に会う白銀色の星のように明るい瞳が夕陽の光を浴び、その笑顔をさらに輝かせていた。世の少年好きの女性が見たら確実にお持ち帰りされるであろう美貌である。
「迷惑をかけてごめん、それじゃ、僕は行くね」
「・・・・はい?」
いきなり立ち上がろうとする少年に私は素っ頓狂な声を出してしまう。まだ、フラフラと覚束ない足に力を入れようと踏ん張る少年。だが、かなりの血を失っている為、思うように立てないでいた。
「ちょっとそんな状態でどこいくつもりなの!?」
「君には・・・関係ない」
「なっ!」
ひどい言いようだ。確かに、たまたま森で出会ったばかりで、目の前で倒れたから回復させて連れてきただけだ。
だけど、関係ないと言われると、元来、負けず嫌いでお節介である私は、行かせてたまるかという気持ちになる。
関係ないと言われるなら関係なくないようになればいい、私は短絡的にそう思った。立とうとしている少年を片手でポンと押してベッドに戻す。
「あいたっ・・・なにするんだ」
「名前は?」
「はい?」
「私さっき名乗ったよ、名乗られたら名乗り返すのが礼儀だと思うんだけど?」
「はあ・・・一体なにがしたいのさ・・・」
「い・い・か・ら・な・ま・え!」
私はベッドに両手をついて前のめりになりながら少年を問い詰める。
「・・・はあ、クオン。僕はクオンだ」
「そっか、クオンよろしくね」
私は片手を前に出し握手を求める。その手を訝し気に見て、ため息を吐いた後、クオンは手を握った。
「これでもういいかな?僕は行くよ」
「何言ってるの、これで私たちはもう友達だよ。関係なくないよね?」
「・・・・・はい?」
キョトンとした顔で私の顔を見るクオン。その顔がかわいく私は口元を緩める。
「コホンっ、だってさっき、クオンは私には関係ないって言ったでしょ。さっきまではそうだったかもしれないけど、もう友達だし、関係ないなんて言わせないよ」
「いや、君と友達になった覚えは・・・」
「友達ったら友達なの!」
私の剣幕にクオンは後退る。自分でも強引で意味不明なのは承知しているが、ここで彼を行かせるとなんか負けた気がするのだ。なので、絶対に行かせない。
「私は友達をそんな状態で行かせたりしない」
「・・・はあ、友達だったとしても君には関係ない。僕は行かないといけないんだ」
「・・・なんでそこまで行きたいの?」
「話す必要はない」
「うがぁー!強情っぱり!理由言うまで絶対に行かせないからね!」
クオンの態度に私の我慢は許容量をオーバーする。・・・もともと少ない容量だが。
私はベッドから起き上がろうとするクオンに馬乗りになる。
「なっ!!・・・ちょっと!」
クオンは顔を赤くしながら慌てた。
別に取って食ったりはしないんだからそこまで慌てなくてもいいと思うんだけど・・・。
「大人しくするの!まだ、完全に回復してるわけじゃないんだから!」
「体が動けば十分だ、治療してくれたことは感謝するけど、これ以上は君に関係ない!」
「関係ある!」
「ない!」
「ある!」
お互いに一歩も引かず、終いには犬のようにガルルルと威嚇しあった。
「もういい!」
私がプイッっと視線を逸らし、クオンの上から降りた。クオンは私が退いたことでやっと諦めてくれたんだと思ったのだろう安堵の息を吐くのだった。
「君には感謝しているし、悪いとも思うけど理由を話す気はない、だから行かせ・・・て・・・・・・ちょ、ちょっと?」
クオンが立ち上がろうとしながらまだ分からず屋なことを言っている。
そんな彼が、なぜ言葉を途中で遮って戸惑いながらも疑問の声を上げたのかというと・・・。
「言うこと聞かないなら実力で休んでもらうよ!」
そう言いながら、私はバトーネを上に持ち上げ思いっきりクオンの頭に振り下ろした。
ゴチンという音を上げ、クオンはそのままベッドへと沈んだ。
「ふう、やっと安静にしてくれた」
私は満面の笑みを浮かべ、白目をむきながらベッドで眠るクオンを見て満足した。
窓の外ではたまたま散歩していた白猫がクオンを叩いた時の音に驚いたのか足を踏み外し、2階の高さから落ちた。・・・まあ、猫なら大丈夫だろう。
クオンが白目をむいて寝てしばらくした後に部屋の扉が開く。
扉から入ってきたのはオーガと見間違う大きな体をした男性・・・うちのお父さんである。
「ふむ、まだ起きないか・・・」
「ううん、さっき起きたよ」
私の言葉にお父さんは右眉毛をピクリと上げる。
そして、近寄ってくるとクオンの顔を見て自分の顔に手をやりながらため息を吐いた。
「なぜ、こうなった・・・」
「だって、出ていくって聞かないんだもん」
「そうか・・・まあ、無理をするよりはいいか」
・・・いいんだ?そういえば、お父さんはギルドにクオンの身元を確認に行ったんだっけ?
「クオンの事何かわかった?」
「ほう・・・名前を名乗ったのか」
「うん、素直に教えてくれたよ」
私は事実を述べる、多少馬乗りになったりしたけど素直に教えてくれたったら教えてくれたのだ。
「素直にかどうかはわからんが、どうやらクオン=ドースティンで間違いなさそうだな」
「ギルドに情報があったってことは冒険者だったの?」
冒険者ギルドは基本的に所属している冒険者の名前の名簿を持っている。
所属というのはそのギルドの専属契約になることである。所属になると魔石の買い取り値段や依頼の斡旋など様々な得があるのだ。だがその分、他の街のギルドの所属になる為には手続きが必要だったりするので面倒でもある。その為、冒険者は基本的には一度専属契約した街から動くことはない。あくまで基本的にではあるが。
「いや、冒険者ではなかった。だが、ギルドの職員が彼を知っていてな」
「へぇ、有名人?」
「ある意味・・・な」
お父さんが渋い顔をする。どうやら、あまりいい意味での有名人ではないようだ。
「悪いことしてるの?」
「いや、むしろ被害者だ。彼の家族は2年前盗賊に襲われ命を落としたそうだ・・・」
「・・・!っ」
それを聞いて私は言葉を失う。家族を失う悲しさは私でもわかる。私も7歳の時に母親を亡くしている。
大事な家族を失うことは身を斬られるような痛みを感じる事だ。それも、事故や病気でもなく誰かに命を奪われたとなったらとてもじゃないけど私はその相手を許すことは出来ないだろう・・・いや出来なかった。
そうか、クオンと会った時に見た眼。あの眼を見て不安になったのは昔の私と同じ眼だったからなのかもしれない。
・・・・・あれ?ということは。
「もしかして、クオンが一人で森にいたのって・・・」
「うむ、恐らく、家族の仇の盗賊を探していた・・・そうだろう、クオン君?」
「・・・・・」
お父さんが、眠っているはずのクオンの方を向く。
私に殴られ・・・説得されて大人しく寝ていたはずのクオンが意識を取り戻し・・・目を覚ましてた。
「・・・そうなの?」」
「・・・・・・・だとしたら、何だっていうんです?」
どうやら、お父さんの言う通りらしい。
つまり、クオンの家族を襲った盗賊はこの辺りにいるということだ。
「ギルドの職員は君の事を気にかけていたよ、まだ子供の君が盗賊に戦いを挑んでも返り討ちになるだけだ・・・とね」
「・・・そうですか」
そういうと、クオンは立ち上がろうとする。
「どこに行くんだ?」
「決まっています・・・あの森に」
「あそこに、盗賊がいるの?」
「・・・2週間前、あそこで商人が僕の探しているであろう盗賊に襲われたんです」
「2週間前では、すでにそこにはいないだろうな」
お父さんの言う通りだ、盗賊がいつまでも同じ場所にいるはずがない。
「だけど、足取りが掴めるかもしれない、近くにアジトがあるのかもしれない・・・可能性があるなら、僕は行く」
「行くにしても回復してからにしようよ・・・まだ、血が足りてないはずだよ」
「必要ないよ・・・これくらい、なんてことはない」
そう言ってまた立ち上がる。だけど、やはり血が足りていないのかその足取りは覚束なかった。
私はバトーネを取り出し、先ほどと同じように振りかぶる。
「待つんだカモメ」
私が何をしようとしたか理解したお父さんがそれを止める。
そして、その制止にクオンが振り返り、私がバトーネを振りかぶっていることに気づきギョっとする。
「だって、お父さん」
「クオン、君も少し待ちなさい」
力尽くで行くしかないよ?という私を無視してお父さんがクオンに話しかける。
私は無視するお父さんにバトーネの対象を変えてやろうかと思ったが、きっと何か考えがあるんだろうと思いとどまった。
「しばらく、私たちと行動を共にしないか?」
「?・・・そんなことをして何になるんです?」
「私と一緒ならば、ギルドから情報を得るのも楽になる。こう見えてもエンブレム持ちなのでな」
エンブレム持ちというのにクオンは一瞬驚く、だが、首を振りながら口を開いた。
「ギルドからの情報は特に必要ありません、すでにここでの情報は商人から聞いてますし」
そうだ、ここで商人が襲われたということをクオンはすでに知っていた。ということは情報収集はすでに済んでいて当然だ。
「ふむ、確かにそうかもしれんが、その後の盗賊の足取りはわからんのだろう?」
「ギルドならそれがわかると?」
「そうだ、私がギルドに依頼をすれば調べてもらえる。その後、その盗賊の目撃情報があれば私の所に入ってくるだろう・・・どうだ?」
お父さんが「ん?」と挑発的な目でクオンに言う。
クオンは迷ってるのか、お父さんから視線を床へとそらし考える。
考えが終わったのか視線を床からお父さんに戻す。
「申し訳ありませんが、やはり、お断りさせていただきます」
「え、なんで?」
お父さんの提案をクオンは丁寧に断る。私はお父さんと行動を共にしているからわかるけど、ギルドの情報網はかなりすごい。それもそのはずで、各街にあるギルドすべてが情報を共有しているのだ。
どうやって共有しているかというと遠く離れていても通信できる魔導具があるとか・・・。便利だよね。
「怪我を治療してくれたのは感謝してます・・・でも、僕はまだあなた達を信用してはいませんから」
「なっ!」
そう言って、クオンは再び後ろを振り向き扉へと歩き出した。
そして、次の瞬間、クオンは鈍い音と共にその場に倒れた。なぜかわからないが私のバトーネがクオンの頭に激突していたのだ。なぜかわからないが。
「お前というやつは・・・」
「バトーネが勝手に動いたんだよ・・・びっくりだね」
そう、バトーネが勝手に動いたのだ、決してクオンの態度に怒って私が振り下ろしたわけではない。決して!
「とりあえず、ベッドに戻しておこう・・・カモメ、お前ももう休みなさい」
その言葉に私は外を見る、いつの間にか外は暗くなっていた。
「私、ここにいる・・・またクオンが一人で出て行こうとするかもしれないし・・・」
「ほう・・・なんだ、惚れたか?」
「そんなわけないでしょ!?・・・・・なんか放っておけないだけだよ・・・」
おバカなことを言うお父さんの頭にバトーネを振り下ろす、力加減はクオンの時と同じなのにお父さんは頭にバトーネの直撃を受けながら全然効いていないのか「照れるな照れるな」と笑っていた。・・・むぅ。
別にクオンに惚れたというわけではない、まあ、確かに顔はちょっといいかなーとは思うけど・・・って、そうじゃなくてっ。・・・クオンを見てると不安になるのだ。まるで、闇に飲み込まれて消えてしまいそうなそんな感じが・・・。だから、見張っておきたいだけだ・・・私はそう心で呟きながら椅子に逆に座り背もたれに腕を乗っけてその上に顎を置き、クオンを見る。
さっきと違って白目は向いていないが、その顔はどこか苦しそうだった・・・強く叩きすぎた?
『王都グランルーン』。
多くの人で賑わっているグランルーンは漁業が盛んなため海の男や商人たちも多い。私達はその首都でも有名な宿、まごころ亭に宿をとっている。この宿の値段はかなり高いがその分、いい食事にいい部屋を提供してくれる。
なぜ、私がこんなにいい宿に泊まれるかというとお父さんのおかげである。お父さんはその昔、王都でも伝説と呼ばれる冒険者のパーティに所属していた。今はもう解散してしまっているがその時に手に入れたアイテムや魔導具を売って稼いだお金のおかげでかなり裕福なのだ。
だが、その宿のベッドに寝ているのは私ではなく少年であった。
この少年は王都の近くの森でたった一人ダイアーウルフ7匹と戦ってその時の傷で倒れた。
私の治癒魔法で傷は塞がっているが流した血が多かったからかまだ目覚めてはいない。
「起きないね・・・」
「ああ、大分血を流していたからな」
「どうしよう?」
「そうだな、とりあえずギルドに彼のような冒険者が登録していないか確認してこよう。登録されていれば身元がわかるはずだ」
「わかった、じゃあ、私はここでこの子を見てるね」
「頼んだぞ」
そう言って、お父さんは扉を開け出ていった。見た感じ、亜人ではなく人間であるこの子は歳で言えば12歳の私と同じくらいだと思う。そんな間違いなく子供であるこの少年が、なぜ、あんな場所で一人で魔物と戦っていたのか。
そういう意味では私も外で魔物と戦ってはいたんだけど、私はお父さんの監督の元、冒険者になる為の修練を積んでいたのだ。だが、彼は一人で危険な森にいて、しかも7匹のダイアーウルフを怪我をしたとはいえ倒している。
戦闘力で言えば私と同じくらい強いんじゃないだろうか。
ダイアーウルフはランクDの魔物、私でも1対1なら問題なく倒せる相手ではある、だけど7匹相手となると負けはしないだろうが苦戦するだろう。ランクDの魔物は一般的な冒険者が戦う相手としても十分強い敵である、まして7匹ならちゃんとしたパーティを組んだ冒険者でなければ命がない。そんな相手をこの子は一人で倒したのだ。私も12歳にしては規格外と言われるがこの子もきっと規格外の強さなんだろうな。
「・・・・ん」
私が考えながら眺めていると、少年の眉がピクリと動く。どうやら目が覚めたようだ。
「・・・ここは?」
「ここは、『まごころ亭』グランルーン王都の宿屋だよ」
「君は・・・」
「私はカモメ、あなたはダイアーウルフと戦った時の傷で倒れたんだよ」
「・・・そうか・・・あれ?」
少年は自分の左腕を見て傷がないことに気づく。
「傷は私が治癒魔法で治したよ、あのままだと死んじゃうかもしれなかったし」
「君は魔法が使えるの?」
「まあね、これでも冒険者目指してるからね♪」
「そうなんだ・・・ありがとう」
「・・・わっ」
「?」
少年は宝石箱のようなキラキラした笑顔で私にお礼を言った。
余りにキラキラしていたからか私の心臓はなぜか跳ねる。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
少年の夜空のように濃い青の髪の毛と、髪の色に会う白銀色の星のように明るい瞳が夕陽の光を浴び、その笑顔をさらに輝かせていた。世の少年好きの女性が見たら確実にお持ち帰りされるであろう美貌である。
「迷惑をかけてごめん、それじゃ、僕は行くね」
「・・・・はい?」
いきなり立ち上がろうとする少年に私は素っ頓狂な声を出してしまう。まだ、フラフラと覚束ない足に力を入れようと踏ん張る少年。だが、かなりの血を失っている為、思うように立てないでいた。
「ちょっとそんな状態でどこいくつもりなの!?」
「君には・・・関係ない」
「なっ!」
ひどい言いようだ。確かに、たまたま森で出会ったばかりで、目の前で倒れたから回復させて連れてきただけだ。
だけど、関係ないと言われると、元来、負けず嫌いでお節介である私は、行かせてたまるかという気持ちになる。
関係ないと言われるなら関係なくないようになればいい、私は短絡的にそう思った。立とうとしている少年を片手でポンと押してベッドに戻す。
「あいたっ・・・なにするんだ」
「名前は?」
「はい?」
「私さっき名乗ったよ、名乗られたら名乗り返すのが礼儀だと思うんだけど?」
「はあ・・・一体なにがしたいのさ・・・」
「い・い・か・ら・な・ま・え!」
私はベッドに両手をついて前のめりになりながら少年を問い詰める。
「・・・はあ、クオン。僕はクオンだ」
「そっか、クオンよろしくね」
私は片手を前に出し握手を求める。その手を訝し気に見て、ため息を吐いた後、クオンは手を握った。
「これでもういいかな?僕は行くよ」
「何言ってるの、これで私たちはもう友達だよ。関係なくないよね?」
「・・・・・はい?」
キョトンとした顔で私の顔を見るクオン。その顔がかわいく私は口元を緩める。
「コホンっ、だってさっき、クオンは私には関係ないって言ったでしょ。さっきまではそうだったかもしれないけど、もう友達だし、関係ないなんて言わせないよ」
「いや、君と友達になった覚えは・・・」
「友達ったら友達なの!」
私の剣幕にクオンは後退る。自分でも強引で意味不明なのは承知しているが、ここで彼を行かせるとなんか負けた気がするのだ。なので、絶対に行かせない。
「私は友達をそんな状態で行かせたりしない」
「・・・はあ、友達だったとしても君には関係ない。僕は行かないといけないんだ」
「・・・なんでそこまで行きたいの?」
「話す必要はない」
「うがぁー!強情っぱり!理由言うまで絶対に行かせないからね!」
クオンの態度に私の我慢は許容量をオーバーする。・・・もともと少ない容量だが。
私はベッドから起き上がろうとするクオンに馬乗りになる。
「なっ!!・・・ちょっと!」
クオンは顔を赤くしながら慌てた。
別に取って食ったりはしないんだからそこまで慌てなくてもいいと思うんだけど・・・。
「大人しくするの!まだ、完全に回復してるわけじゃないんだから!」
「体が動けば十分だ、治療してくれたことは感謝するけど、これ以上は君に関係ない!」
「関係ある!」
「ない!」
「ある!」
お互いに一歩も引かず、終いには犬のようにガルルルと威嚇しあった。
「もういい!」
私がプイッっと視線を逸らし、クオンの上から降りた。クオンは私が退いたことでやっと諦めてくれたんだと思ったのだろう安堵の息を吐くのだった。
「君には感謝しているし、悪いとも思うけど理由を話す気はない、だから行かせ・・・て・・・・・・ちょ、ちょっと?」
クオンが立ち上がろうとしながらまだ分からず屋なことを言っている。
そんな彼が、なぜ言葉を途中で遮って戸惑いながらも疑問の声を上げたのかというと・・・。
「言うこと聞かないなら実力で休んでもらうよ!」
そう言いながら、私はバトーネを上に持ち上げ思いっきりクオンの頭に振り下ろした。
ゴチンという音を上げ、クオンはそのままベッドへと沈んだ。
「ふう、やっと安静にしてくれた」
私は満面の笑みを浮かべ、白目をむきながらベッドで眠るクオンを見て満足した。
窓の外ではたまたま散歩していた白猫がクオンを叩いた時の音に驚いたのか足を踏み外し、2階の高さから落ちた。・・・まあ、猫なら大丈夫だろう。
クオンが白目をむいて寝てしばらくした後に部屋の扉が開く。
扉から入ってきたのはオーガと見間違う大きな体をした男性・・・うちのお父さんである。
「ふむ、まだ起きないか・・・」
「ううん、さっき起きたよ」
私の言葉にお父さんは右眉毛をピクリと上げる。
そして、近寄ってくるとクオンの顔を見て自分の顔に手をやりながらため息を吐いた。
「なぜ、こうなった・・・」
「だって、出ていくって聞かないんだもん」
「そうか・・・まあ、無理をするよりはいいか」
・・・いいんだ?そういえば、お父さんはギルドにクオンの身元を確認に行ったんだっけ?
「クオンの事何かわかった?」
「ほう・・・名前を名乗ったのか」
「うん、素直に教えてくれたよ」
私は事実を述べる、多少馬乗りになったりしたけど素直に教えてくれたったら教えてくれたのだ。
「素直にかどうかはわからんが、どうやらクオン=ドースティンで間違いなさそうだな」
「ギルドに情報があったってことは冒険者だったの?」
冒険者ギルドは基本的に所属している冒険者の名前の名簿を持っている。
所属というのはそのギルドの専属契約になることである。所属になると魔石の買い取り値段や依頼の斡旋など様々な得があるのだ。だがその分、他の街のギルドの所属になる為には手続きが必要だったりするので面倒でもある。その為、冒険者は基本的には一度専属契約した街から動くことはない。あくまで基本的にではあるが。
「いや、冒険者ではなかった。だが、ギルドの職員が彼を知っていてな」
「へぇ、有名人?」
「ある意味・・・な」
お父さんが渋い顔をする。どうやら、あまりいい意味での有名人ではないようだ。
「悪いことしてるの?」
「いや、むしろ被害者だ。彼の家族は2年前盗賊に襲われ命を落としたそうだ・・・」
「・・・!っ」
それを聞いて私は言葉を失う。家族を失う悲しさは私でもわかる。私も7歳の時に母親を亡くしている。
大事な家族を失うことは身を斬られるような痛みを感じる事だ。それも、事故や病気でもなく誰かに命を奪われたとなったらとてもじゃないけど私はその相手を許すことは出来ないだろう・・・いや出来なかった。
そうか、クオンと会った時に見た眼。あの眼を見て不安になったのは昔の私と同じ眼だったからなのかもしれない。
・・・・・あれ?ということは。
「もしかして、クオンが一人で森にいたのって・・・」
「うむ、恐らく、家族の仇の盗賊を探していた・・・そうだろう、クオン君?」
「・・・・・」
お父さんが、眠っているはずのクオンの方を向く。
私に殴られ・・・説得されて大人しく寝ていたはずのクオンが意識を取り戻し・・・目を覚ましてた。
「・・・そうなの?」」
「・・・・・・・だとしたら、何だっていうんです?」
どうやら、お父さんの言う通りらしい。
つまり、クオンの家族を襲った盗賊はこの辺りにいるということだ。
「ギルドの職員は君の事を気にかけていたよ、まだ子供の君が盗賊に戦いを挑んでも返り討ちになるだけだ・・・とね」
「・・・そうですか」
そういうと、クオンは立ち上がろうとする。
「どこに行くんだ?」
「決まっています・・・あの森に」
「あそこに、盗賊がいるの?」
「・・・2週間前、あそこで商人が僕の探しているであろう盗賊に襲われたんです」
「2週間前では、すでにそこにはいないだろうな」
お父さんの言う通りだ、盗賊がいつまでも同じ場所にいるはずがない。
「だけど、足取りが掴めるかもしれない、近くにアジトがあるのかもしれない・・・可能性があるなら、僕は行く」
「行くにしても回復してからにしようよ・・・まだ、血が足りてないはずだよ」
「必要ないよ・・・これくらい、なんてことはない」
そう言ってまた立ち上がる。だけど、やはり血が足りていないのかその足取りは覚束なかった。
私はバトーネを取り出し、先ほどと同じように振りかぶる。
「待つんだカモメ」
私が何をしようとしたか理解したお父さんがそれを止める。
そして、その制止にクオンが振り返り、私がバトーネを振りかぶっていることに気づきギョっとする。
「だって、お父さん」
「クオン、君も少し待ちなさい」
力尽くで行くしかないよ?という私を無視してお父さんがクオンに話しかける。
私は無視するお父さんにバトーネの対象を変えてやろうかと思ったが、きっと何か考えがあるんだろうと思いとどまった。
「しばらく、私たちと行動を共にしないか?」
「?・・・そんなことをして何になるんです?」
「私と一緒ならば、ギルドから情報を得るのも楽になる。こう見えてもエンブレム持ちなのでな」
エンブレム持ちというのにクオンは一瞬驚く、だが、首を振りながら口を開いた。
「ギルドからの情報は特に必要ありません、すでにここでの情報は商人から聞いてますし」
そうだ、ここで商人が襲われたということをクオンはすでに知っていた。ということは情報収集はすでに済んでいて当然だ。
「ふむ、確かにそうかもしれんが、その後の盗賊の足取りはわからんのだろう?」
「ギルドならそれがわかると?」
「そうだ、私がギルドに依頼をすれば調べてもらえる。その後、その盗賊の目撃情報があれば私の所に入ってくるだろう・・・どうだ?」
お父さんが「ん?」と挑発的な目でクオンに言う。
クオンは迷ってるのか、お父さんから視線を床へとそらし考える。
考えが終わったのか視線を床からお父さんに戻す。
「申し訳ありませんが、やはり、お断りさせていただきます」
「え、なんで?」
お父さんの提案をクオンは丁寧に断る。私はお父さんと行動を共にしているからわかるけど、ギルドの情報網はかなりすごい。それもそのはずで、各街にあるギルドすべてが情報を共有しているのだ。
どうやって共有しているかというと遠く離れていても通信できる魔導具があるとか・・・。便利だよね。
「怪我を治療してくれたのは感謝してます・・・でも、僕はまだあなた達を信用してはいませんから」
「なっ!」
そう言って、クオンは再び後ろを振り向き扉へと歩き出した。
そして、次の瞬間、クオンは鈍い音と共にその場に倒れた。なぜかわからないが私のバトーネがクオンの頭に激突していたのだ。なぜかわからないが。
「お前というやつは・・・」
「バトーネが勝手に動いたんだよ・・・びっくりだね」
そう、バトーネが勝手に動いたのだ、決してクオンの態度に怒って私が振り下ろしたわけではない。決して!
「とりあえず、ベッドに戻しておこう・・・カモメ、お前ももう休みなさい」
その言葉に私は外を見る、いつの間にか外は暗くなっていた。
「私、ここにいる・・・またクオンが一人で出て行こうとするかもしれないし・・・」
「ほう・・・なんだ、惚れたか?」
「そんなわけないでしょ!?・・・・・なんか放っておけないだけだよ・・・」
おバカなことを言うお父さんの頭にバトーネを振り下ろす、力加減はクオンの時と同じなのにお父さんは頭にバトーネの直撃を受けながら全然効いていないのか「照れるな照れるな」と笑っていた。・・・むぅ。
別にクオンに惚れたというわけではない、まあ、確かに顔はちょっといいかなーとは思うけど・・・って、そうじゃなくてっ。・・・クオンを見てると不安になるのだ。まるで、闇に飲み込まれて消えてしまいそうなそんな感じが・・・。だから、見張っておきたいだけだ・・・私はそう心で呟きながら椅子に逆に座り背もたれに腕を乗っけてその上に顎を置き、クオンを見る。
さっきと違って白目は向いていないが、その顔はどこか苦しそうだった・・・強く叩きすぎた?
10
あなたにおすすめの小説
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)
わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。
対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。
剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。
よろしくお願いします!
(7/15追記
一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!
(9/9追記
三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン
(11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。
追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる