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2章
冒険者登録
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私達は今、ツァインの冒険者ギルドの前に立っている。
バルコニーでの一件が終わり、改めて冒険者になる許可をもらった私たちは翌日冒険者ギルドに行ってみようということになった。
できるなら、その日のうちに行きたかったのだが、さすがにあのフワッフワの服のまま行く気にはならず、新しい服が届くまで待ったのだ。
冒険者にやっとまたなれると思って昨日の夜は興奮でほとんど眠れないくらいだった。
やっと・・・やっと、また冒険ができる!!
まずは、近くのダンジョンに入る許可をもらってダンジョン探索をしたいなぁ。
あ、でもでも、王様には依頼をこなして国民から信頼を得て欲しいとも言われてるし。
ダンジョン探索の依頼なんてないかなぁ?あったら飛びついちゃうのに。
まあ、無くても魔物討伐の依頼とかあったらいいなぁ。
それで依頼の報酬と手にいれた魔石を買い取ってもらえれば普通の生活が出来るし!
野宿とかもうしなくてもいいんだ!
今の私たちの格好は私は白をベースにした軽装の冒険者の格好である。
王様は出来ればヒラヒラのエリンシアみたいな恰好でいて欲しいと言われたが、あんな服を着て戦闘なんて私には出来ないよ。
スカートが捲れ上がらないように動くなんて出来ないし、気になって戦闘に集中できない。
エリンシア、よくあれで動けるよね・・・しかも鉄壁だし。
なので私の服装はスカートの下にハーフパンツを履いている格好になっている。
多少、オシャレな格好になった。
というのも、野暮ったい冒険者の格好だと一般市民は話しかけづらいらしい、なので明るいオシャレな感じにし話しかけやすくして欲しいとのことだ。
なので私は今、ちょっとオシャレな格好をした女の子らしい冒険者である。
クオンは青をベースにした軽装の冒険者風の服を着ている。
こちらは騎士というよりも剣士と言った服装で、バルコニーにいたときのように重量のある鎧はつけていない。
肩の部分の無い軽装の鎧を服の上から付けているだけである。
ただ、かなり良いものなのかそれでも風格のある勇者みたいに見えるのは私だけなのかな?
結構カッコいいと思う。
エリンシアは特に服装は変わりない、というのもあの服が気に入っているので変えるつもりはなかったらしい。
まあ、私達みたいにボロボロになってたわけじゃないしね。
「ああ・・・冒険者ギルド・・・この感じ四年ぶりだよ」
「前にいた国とは違うけど戻ってきたって感じがするね」
「あら、お二人が冒険者だったのは数日ではありませんの?」
う・・・そ、そうだけど、でもでもやっぱり懐かしい感じがするんだよ!
私がそう言うとエリンシアはそういうものですのと呆れた感じで言った。
エリンシアはどうやらまだ冒険者登録をしていないらしい。
ずっと夢だったら冒険者になることを後回しにしてまで私たちを探しててくれたというのだ。
「ところで、中に入りませんの?」
「うん・・・入ろうか・・・入っていいんだよね?」
『許可は貰ったし大丈夫でしょう』
私は恐る恐る、ギルドの門を開いた。
開けたらいきなり襲い掛かってきたりしないかな?
するわけない・・・とは思うけど、逃亡生活中にそう言う事が無かったわけじゃないので疑心暗鬼になっている。
いや、バルコニーで紹介されて英雄扱いされるなんてことはなかったけどね・・・。
「ごめんくださーい・・・」
私が恐る恐る入っていくと、ギルドの中は朝だというのに人の数が多くすごい騒ぎであった。
「ちょっとー、今日はどこいくのー?」
「ウェアウルフの襲撃がなくなったって本当かよ!」
「なら、街を離れてもいいんだよな!!!」
「よっしゃー、今日はダンジョン行こうぜ!」
「馬鹿野郎、アタシたちのランクじゃはいれねーよ!」
「おねーちゃん、俺たちとパーティ組まねぇ!」
グランルーンのギルドはここまで活気が無かった。
どちらかというとみんな落ち着いた感じで、たまに絡んでくるような人はいたがここまで活き活きとしてはいなかったと思う。
国によってここまで違うものなのかと驚いた。
「ねえ、あれって・・・」
「魔女だ・・・」
その喧騒がピタりとやむ。
冒険者の1人が私に気づき他の人たちもそれに続いて気付いたようだ。
うう・・・なんか注目されてるよう。
怖がられるのかな?それとも敵視される?
昨日、まるで私がこの街を救った英雄みたいに言ってたけど正直それを信じてもらえるとは思っていない。
そんな簡単に信じてもらえるならずっと逃げ続けたりしてないよ・・・。
静まり返った周りに緊張しながら私は足を進める。
目的地は少し離れた受付だ。
「ここに来ってことはやっぱり・・・」
昨日王様が大々的に私が冒険者になることを発表しているので私がここに来た理由はみんなしっているだろう。
と、とにかく受付まで行かないとっ!
みんなに注目されているせいか受付まで大した距離はないのに長く感じてしまう。
ぎこちない動きでやっとこさ受付まで辿り着くと受付には猫耳が生えた女性が座っていた。
『まったく、もう少し心も鍛えなさい。これくらいで緊張するようじゃまだまだよ』
ディータが私を嗜めるも、緊張しちゃうんだからしょうがないよ・・・。
「あ、あの・・・」
「は、はい、どういったご用件でしょう?」
お互いに緊張しながら会話する。
私は、注目されてることに緊張をし、受付の彼女は私に緊張しているのだろう。
まあ、目の前に闇の魔女がいれば緊張する。
だって、噂だと私と話をすると呪われるとかあるらしいしね・・・呪わないよ・・・っていうか呪い方なんて知らないよ。
「冒険者登録をしたいんだけど・・・いいかな?」
「・・・・・」
静寂が辺りを包む。
やっぱり・・・駄目なのかな・・・。
「おおおおおおおおおおお!!」
「本当に冒険者になってくれるんだ!」
「あの子って本当に闇の魔女なんだよね??」
「小さくてかわいい!」
いきなり、周囲が沸き立つ。
っていうか誰かな?今小さいっていったの・・・私小さくないよ?普通だよ?
「ありがとうございます、では、すぐに登録証をお持ちしますのでお待ちください、3人分でよろしいですか?」
「あ、はい」
猫の獣人であろう受付の女性はトタトタと奥へ走っていった。
「ど、どういうこと?」
「すんなりいきましたわね?」
「昨日の王様の演説のお陰かな?」
確かに、昨日王様は私たちの事を信用しろみたいな事言ってたけど本当にそれだけで?
いくら王様が言ったとはいえ、そんな簡単に信じられるのかな?
あの王様、確かに国民に慕われてる感じはしたけど・・・うーん。
「よう、あんたら本当にここの冒険者になってくれるのか?」
「え、あ・・・うん、そのつもりだよ?」
「助かるぜ!あんたらみたいな凄腕がいてくれるとよ」
「凄腕?」
んと、確かに普通の冒険者と比べても私たち三人の実力はかなり高いと思う。
でも、なんで今そのことを?
この人たちの前で私達、実力見せたっけ?
「なぜ、僕らの腕をご存じなのですか?」
私が思っていることをクオンが聞いてくれた。
うんうん、どうして?
「ああ、俺たち冒険者もウェアウルフの襲撃の時、門を護ってたんだよ。何度も何度もウェアウルフの襲撃を受けて、もう駄目だと俺ぁ思ったね。そんな時、一瞬であの犬どもをなぎ倒したあんたらを俺は神様の使いかと思ったよ」
『あら、なかなか見所のあるやつね、顔は厳ついのに』
顔は関係ないと思うよ、ディータ。
でも、そっか、あの場にいたなら私とクオンが戦っているところを見ているはずだ。
「で、でも、なら余計怖がったりしないの?」
「あん?なんでだ?」
「だって私、闇の魔女って言われてるし」
「ああ、あんたが滅びの象徴だの歩いた後はどんな雑草だろうと残らないだのいう噂の事か?」
そんなことまで言われてるの!?
初耳!初耳だよそれ!
それじゃ、私、唯の歩く災害じゃない!
「そんな奴が、俺たちの国や王様を救ってくれるわけねぇじゃねぇか・・・なあ、そうだよな!」
厳つい顔の冒険者が周りの冒険者に同意を求めると、他の人たちも口々にそうだそうだと同調した。
「そもそも、あれだけの実力があって噂通りの魔女なら、すでにこの国はないだろうよ」
まあ、確かにそうである。
でも、今までの国ではそんなこと言ってくれる人はいなかった。
私を見れば逃げ出すか、捕まえようとするか、罠に嵌めようとするかである。
「まあ、魔女の嬢ちゃんが悪い奴じゃねぇってのあんたの眼を見りゃわかるってもんよ」
「あ、ありがとう」
「それによ、ここにいる冒険者の連中はあんたと大して変わりねぇんだよ」
「どういうこと?」
「殆どの奴らが他の国で厄介者扱いされて流れてきた奴らでな、そんな厄介者を拾ってくれたのがこの国ってわけだ」
男が言うと、周りの冒険者たちが「おめーだってそうだろうがよ!」「一番王様に迷惑かけてんのはお前だろうが!」とかヤジを飛ばす。
「ま、俺たちみたいな厄介者を拾ってくれたこの国に俺たちは感謝してんだ。そして、その国を護ってくれたあんたにもな。だから俺たちは歓迎するぜ!」
「ああ、ようこそツァインの冒険者ギルドに!」
「良かったら今度一緒に冒険いこーぜ!」
「抜け駆けすんな!魔女ちゃんは俺たちんとこで冒険すんだよ!」
冒険者の人たちが口々に私たちを歓迎してくれた。
「クオン・・・」
「ああ、よかったね・・・カモメ」
四年・・・ずっと、人とできるだけ関わらないように逃げてきた。
色んな人に追われて、いろんな人に傷つけられることもあった。
でも、やっと、暖かい場所を見つけた・・・そんな気がして私は目頭が熱くなった。
「おいおい、てめぇーらの顔が怖いから魔女ちゃん泣いちまったじゃねぇか!」
「一番顔が怖いのはアンタでしょ!」
私は目頭が熱くなっただけではなく、そのまま涙まで零してしまっていたようだ。
慌てて、涙をふいて声を出す。
「ち、ちがっ、嬉しくて・・・ありがとう・・・よろしくお願いします」
「「「よろしくな」」」」
冒険者の皆が笑顔で迎えてくれた。
居場所が出来るって嬉しいね。
「お待たせしました、こちらが冒険者の登録証になります」
登録証をとりにいっていた獣人の受付嬢が戻ってくる。
そういえば、よく見ると周りの冒険者にもチラホラと獣人の人がいる。
ウサギの獣人や熊の獣人、犬の獣人と多種多様だ。
グランルーンも獣人差別のない国ではあったけどこれだけの数がいるのは珍しい。
帝国などだと獣人の差別がひどく奴隷のように扱われると言う話を聞くけど、この国はそんなことはないようだ。
「では、こちらの魔導具に魔力を流してください。そうすると魔女様のランクや使える魔法や武器などが自動的に登録証に記入されます」
「え?ランク?」
ランクってなんだろう?モンスターランクみたいな感じかな?
四年前まではそんなのなかったと思ったけど。
「そういえば、カモメさんの冒険者の知識は四年前で止まってますわよね?」
「え、うん」
「この四年で魔導具も進歩しましたのよ、その為、冒険者の情報が以前より細かく判別できるようになりましたの」
「そうなんだ、すごいね」
「はい、そして、その冒険者によってランクが分かれるようになったんです、そのランクで受けれる依頼や入れるダンジョンも変わってくるんです」
簡単に説明をしてくれた受付嬢が私の判定を早く見たいのか判別の魔導具をこちらに差し出してくる。
たった四年なのに日々人間は進歩してるんだね。
「ちなみにランクDの冒険者であればランクDの魔物とソロで戦える強さがあることになります」
おお、魔物のランクと同じなんだ。
それなら、自分の力を過信したりしなくていいね。
「それじゃ、やってみよっか。誰から行く?」
「先ずは僕がやるよ」
そう言って、クオンが手を上げる。
こういう時クオンはいつも先にやろうとしてくれる。
何かあったときは自分が引き受ける為なのだろう・・・相変わらず優しい。
でも、クオンに何かあったら嫌だなぁ・・・今回はそんなことはないと思うから止めたりはしないけど。
クオンは判別の魔導具に近づき、手をかざした。
すると、魔導具が青く光る。
「おお!」
「こんなに光ってるの初めて見た!」
どうやら人によって、輝き方が違うらしい。
って、いつの間にか周りに人だかりが・・・みんな私たちがどんなランクになるのか知りたいようだ。
光が収まり、登録証に文字が浮かび上がってくる。
その登録証を受付嬢が手に取り一つをクオンへ渡した。
登録証は二枚あり、一枚は冒険者に、もう一枚はギルドで保管するらしい。
そして、その保管用の登録証を見た受付嬢が目を見開いた。
「ク、クオン=ドースティン様・・・ランクSです」
「「「なにいいいいいいいいい!!!」」」
ランクS・・・えーっとつまり、ランクSの魔物とソロで戦えるってことだよね。
まあ、クオンなら当然かな?
得意武器等は冒険者として人に知られたくないこともあるだろうということで受付嬢の人は口に出さない。
「えっと、この魔法適正ってところが風になってるけどこれは?」
「そこに書かれている属性の魔法は習得できるということです」
「おお、クオン風の魔法使えるんだ?」
「みたいだね、僕も知らなかったよ」
そう言えば、クオンが魔法を使っているところを見たことはない。
まあ、使わなくても剣でほとんどの敵を倒しちゃうので必要ないのかもしれないけど、風の魔法なら結界魔法とかもあるし覚えておいて損ないかもね。
「風の属性ならどんな魔法もつかえるの?」
「どれくらいの魔法が覚えられるかはその方の才能次第ではありますが、初級の魔法であれば確実に使えるかと」
私が聞くと受付嬢はそう答えてくれた。
そっか、だったら今度クオンに風の魔法教えてみようかな?
「しかし、驚いたな・・・ランクSなんて世界に数えるほどしかいないってのに」
「俺は初めて見たよ」
「大国でもなければまずお目に掛かれねぇからな」
へー、でも大国ならクオンくらい強い人がいるんだね。
そういえば、英雄のパーティって呼ばれてたお父さんのパーティの人って今どうしてるのかな?
お父さんとお母さんはもういないけど、ラインハルトさんとあと二人いる筈だよね。
その人たちってランクどれくらいなんだろう?
「では、次はワタクシが行きますわ」
私が考えているとエリンシアが魔導具に近づいた。
エリンシアはどんな感じなんだろうね。
エリンシアが手をかざすと再びクオンと同じように青く輝く。
その輝きに周りの冒険者が再び騒ぐ。
光が止むと受付の女性がクオンの時と同じように二枚のうちの一枚の登録証をエリンシアへと渡した。
「エリンシア=グラシアール様・・・ランクSです」
「「うそだろおおおお!」」
どうやらエリンシアもランクSらしい。
クオンと同じくらい強いって事か・・・エリンシアもこの四年でかなり強くなっているんだね。
まあ、ランクAのルー・ガルーをあっさり倒していたしね。
でも、こうやってランクで表されると分かりやすくていいね。
今までは戦った敵のランクから大体これくらいはいけるというアバウトな感じでしかなかったけどこれならランクSの敵が来ても怖くないかも。
この間のウェアウルフの親玉、おそらくランクS以上であろう相手もあの時あのまま攻め込んでも大丈夫だったかもしれないね・・・いや、あの時はソフィーナさんもいたし、無理をする必要はないか。
「あら、結構詳細に書かれますのね、得意武器は銃、適正魔法は火、風、氷、光ですのね、当たってますわ」
受付の女性が気を使って言わないでいたことをあっさりというエリンシア。
自分に自信があるからなんだろうけど堂々と言っちゃっていいんだろうか?
あ、でも格闘も得意だとは言わないし、魔法も銃に乗せて撃つってことを言わない当たりちゃんと考えてるのかな。
「まあ、ワタクシは魔法はそれほど得意ではありませんけど・・・さあ、カモメさん次はあなたですわよ」
そう言って、私の背中を押し、魔導具の前へと連れてくるエリンシア。
うう、二人が凄かったから周りが期待した目で私を見ているよ・・・これでBとかだったらどうしよう。
あ、そういえば、冒険者のランクの平均ってどれくらいなんだろうね。
「さあ、魔女様、こちらに手をかざしてください」
受付の女性はよっぽど楽しみなのか尻尾を振りながら魔導具を出してくる。
平均を教えてもらうのは後にして、判別をやってしまおう。
私は魔導具に手をかざした。
すると、魔導具はやはり輝きだす・・・が、先ほどまでのクオンやエリンシアは青い光だったのだが私の時は黒く光り出した。
「うお!なんだぁ!?」
「あ、あれ、大丈夫なの!?」
周りの冒険者たちが予想外の出来事に驚きだす。
しかし、そっか、これ魔力の光なんだ・・・普通、魔力は青い、だが私はディータから闇の魔法を受け継いだ時、魔力が黒へと変わった。ついでに髪と瞳も。
黒い輝きがだんだんと収束していき、登録証に文字が浮かび出た。
「驚かしてごめん、たぶん私の魔力が黒いから黒く光ったんだと思うよ」
「魔力が黒い?」
「そういえば、そうでしたわね」
黒い魔力と聞いて驚く他の冒険者たちと、あまり気にしていない私の仲間たち・・・温度差がひどい。
「そんなことより、判定はどうなってますの?」
エリンシアはそんなことより私のランクが気になるらしい。
「カ、カモメ=トゥエリア様・・・」
「トゥエリア・・・やっぱり英雄ヴィクトールと同じ姓なのね」
「ああ、あの王様の言葉も本当だったってことだな」
私の姓を聞いて冒険者たちが納得している、そっか、これで自称英雄の娘じゃなくなるんだね。
魔導具様々だ。
「おい、アイナちゃん、どうした?魔女ちゃんのランクはいくつなんだよ?」
私の名前を言った後、受付の人が固まっている。
どうやら猫の獣人の受付の人はアイナというらしい。
「カモメ様のランクは・・・・・・SSです」
「「「なんだってええええええええ!」」」
おお、ランクSSよかった、Bとかじゃなくて・・・って、およ?
ってことは私はランクSSの魔物とソロで戦えるって事?・・・・・・・マジ?
エンシェントドラゴンとか伝説級の魔物と戦えちゃうの!?・・・私、すごくない?
まあ、多分、闇の魔法のおかげなんだろうけど。
「すげぇ、さすが魔女ちゃんだ・・・」
「ウェアウルフの群れをあんなに簡単に倒せるわけだわ・・・」
私は登録証を貰って自分のパラメータを確認する。
名前 カモメ=トゥエリア
得意武器 魔法棒《マジックバトーネ》
適正魔法 火、水、風、氷、土、雷、光、闇、合成<ユニーク>
冒険者ランクSS
身長152 たいじゅ
どわわわわわ!!!ちょっと、こんなに細かく書いてあるの!?
ってか、私の身長もっと高いよ!間違ってるよこの魔導具!!!
チラっとクオンの登録証をみると身長が178になっている。
ホラ!頭一つ分くらいしか違わないクオンが178なら私の身長は165くらいはあるはずだよ!!
私が見ている景色が見えるディータが私が何を見て慌てているのか察して『カモメ、かわいいわよ』と言ってきた。
あるもん・・・165くらいあるもん・・・。
「身長や体重なども変動するとちゃんと反映される優れものです、間違いなどはありませんので大事にしてくださいね」
アイナが私にとどめを刺した・・・スリーサイズが無かっただけマシだったと思おう・・・うん。
ちなみにエリンシアの身長は165と私の理想の身長だった・・・くっそう。
バルコニーでの一件が終わり、改めて冒険者になる許可をもらった私たちは翌日冒険者ギルドに行ってみようということになった。
できるなら、その日のうちに行きたかったのだが、さすがにあのフワッフワの服のまま行く気にはならず、新しい服が届くまで待ったのだ。
冒険者にやっとまたなれると思って昨日の夜は興奮でほとんど眠れないくらいだった。
やっと・・・やっと、また冒険ができる!!
まずは、近くのダンジョンに入る許可をもらってダンジョン探索をしたいなぁ。
あ、でもでも、王様には依頼をこなして国民から信頼を得て欲しいとも言われてるし。
ダンジョン探索の依頼なんてないかなぁ?あったら飛びついちゃうのに。
まあ、無くても魔物討伐の依頼とかあったらいいなぁ。
それで依頼の報酬と手にいれた魔石を買い取ってもらえれば普通の生活が出来るし!
野宿とかもうしなくてもいいんだ!
今の私たちの格好は私は白をベースにした軽装の冒険者の格好である。
王様は出来ればヒラヒラのエリンシアみたいな恰好でいて欲しいと言われたが、あんな服を着て戦闘なんて私には出来ないよ。
スカートが捲れ上がらないように動くなんて出来ないし、気になって戦闘に集中できない。
エリンシア、よくあれで動けるよね・・・しかも鉄壁だし。
なので私の服装はスカートの下にハーフパンツを履いている格好になっている。
多少、オシャレな格好になった。
というのも、野暮ったい冒険者の格好だと一般市民は話しかけづらいらしい、なので明るいオシャレな感じにし話しかけやすくして欲しいとのことだ。
なので私は今、ちょっとオシャレな格好をした女の子らしい冒険者である。
クオンは青をベースにした軽装の冒険者風の服を着ている。
こちらは騎士というよりも剣士と言った服装で、バルコニーにいたときのように重量のある鎧はつけていない。
肩の部分の無い軽装の鎧を服の上から付けているだけである。
ただ、かなり良いものなのかそれでも風格のある勇者みたいに見えるのは私だけなのかな?
結構カッコいいと思う。
エリンシアは特に服装は変わりない、というのもあの服が気に入っているので変えるつもりはなかったらしい。
まあ、私達みたいにボロボロになってたわけじゃないしね。
「ああ・・・冒険者ギルド・・・この感じ四年ぶりだよ」
「前にいた国とは違うけど戻ってきたって感じがするね」
「あら、お二人が冒険者だったのは数日ではありませんの?」
う・・・そ、そうだけど、でもでもやっぱり懐かしい感じがするんだよ!
私がそう言うとエリンシアはそういうものですのと呆れた感じで言った。
エリンシアはどうやらまだ冒険者登録をしていないらしい。
ずっと夢だったら冒険者になることを後回しにしてまで私たちを探しててくれたというのだ。
「ところで、中に入りませんの?」
「うん・・・入ろうか・・・入っていいんだよね?」
『許可は貰ったし大丈夫でしょう』
私は恐る恐る、ギルドの門を開いた。
開けたらいきなり襲い掛かってきたりしないかな?
するわけない・・・とは思うけど、逃亡生活中にそう言う事が無かったわけじゃないので疑心暗鬼になっている。
いや、バルコニーで紹介されて英雄扱いされるなんてことはなかったけどね・・・。
「ごめんくださーい・・・」
私が恐る恐る入っていくと、ギルドの中は朝だというのに人の数が多くすごい騒ぎであった。
「ちょっとー、今日はどこいくのー?」
「ウェアウルフの襲撃がなくなったって本当かよ!」
「なら、街を離れてもいいんだよな!!!」
「よっしゃー、今日はダンジョン行こうぜ!」
「馬鹿野郎、アタシたちのランクじゃはいれねーよ!」
「おねーちゃん、俺たちとパーティ組まねぇ!」
グランルーンのギルドはここまで活気が無かった。
どちらかというとみんな落ち着いた感じで、たまに絡んでくるような人はいたがここまで活き活きとしてはいなかったと思う。
国によってここまで違うものなのかと驚いた。
「ねえ、あれって・・・」
「魔女だ・・・」
その喧騒がピタりとやむ。
冒険者の1人が私に気づき他の人たちもそれに続いて気付いたようだ。
うう・・・なんか注目されてるよう。
怖がられるのかな?それとも敵視される?
昨日、まるで私がこの街を救った英雄みたいに言ってたけど正直それを信じてもらえるとは思っていない。
そんな簡単に信じてもらえるならずっと逃げ続けたりしてないよ・・・。
静まり返った周りに緊張しながら私は足を進める。
目的地は少し離れた受付だ。
「ここに来ってことはやっぱり・・・」
昨日王様が大々的に私が冒険者になることを発表しているので私がここに来た理由はみんなしっているだろう。
と、とにかく受付まで行かないとっ!
みんなに注目されているせいか受付まで大した距離はないのに長く感じてしまう。
ぎこちない動きでやっとこさ受付まで辿り着くと受付には猫耳が生えた女性が座っていた。
『まったく、もう少し心も鍛えなさい。これくらいで緊張するようじゃまだまだよ』
ディータが私を嗜めるも、緊張しちゃうんだからしょうがないよ・・・。
「あ、あの・・・」
「は、はい、どういったご用件でしょう?」
お互いに緊張しながら会話する。
私は、注目されてることに緊張をし、受付の彼女は私に緊張しているのだろう。
まあ、目の前に闇の魔女がいれば緊張する。
だって、噂だと私と話をすると呪われるとかあるらしいしね・・・呪わないよ・・・っていうか呪い方なんて知らないよ。
「冒険者登録をしたいんだけど・・・いいかな?」
「・・・・・」
静寂が辺りを包む。
やっぱり・・・駄目なのかな・・・。
「おおおおおおおおおおお!!」
「本当に冒険者になってくれるんだ!」
「あの子って本当に闇の魔女なんだよね??」
「小さくてかわいい!」
いきなり、周囲が沸き立つ。
っていうか誰かな?今小さいっていったの・・・私小さくないよ?普通だよ?
「ありがとうございます、では、すぐに登録証をお持ちしますのでお待ちください、3人分でよろしいですか?」
「あ、はい」
猫の獣人であろう受付の女性はトタトタと奥へ走っていった。
「ど、どういうこと?」
「すんなりいきましたわね?」
「昨日の王様の演説のお陰かな?」
確かに、昨日王様は私たちの事を信用しろみたいな事言ってたけど本当にそれだけで?
いくら王様が言ったとはいえ、そんな簡単に信じられるのかな?
あの王様、確かに国民に慕われてる感じはしたけど・・・うーん。
「よう、あんたら本当にここの冒険者になってくれるのか?」
「え、あ・・・うん、そのつもりだよ?」
「助かるぜ!あんたらみたいな凄腕がいてくれるとよ」
「凄腕?」
んと、確かに普通の冒険者と比べても私たち三人の実力はかなり高いと思う。
でも、なんで今そのことを?
この人たちの前で私達、実力見せたっけ?
「なぜ、僕らの腕をご存じなのですか?」
私が思っていることをクオンが聞いてくれた。
うんうん、どうして?
「ああ、俺たち冒険者もウェアウルフの襲撃の時、門を護ってたんだよ。何度も何度もウェアウルフの襲撃を受けて、もう駄目だと俺ぁ思ったね。そんな時、一瞬であの犬どもをなぎ倒したあんたらを俺は神様の使いかと思ったよ」
『あら、なかなか見所のあるやつね、顔は厳ついのに』
顔は関係ないと思うよ、ディータ。
でも、そっか、あの場にいたなら私とクオンが戦っているところを見ているはずだ。
「で、でも、なら余計怖がったりしないの?」
「あん?なんでだ?」
「だって私、闇の魔女って言われてるし」
「ああ、あんたが滅びの象徴だの歩いた後はどんな雑草だろうと残らないだのいう噂の事か?」
そんなことまで言われてるの!?
初耳!初耳だよそれ!
それじゃ、私、唯の歩く災害じゃない!
「そんな奴が、俺たちの国や王様を救ってくれるわけねぇじゃねぇか・・・なあ、そうだよな!」
厳つい顔の冒険者が周りの冒険者に同意を求めると、他の人たちも口々にそうだそうだと同調した。
「そもそも、あれだけの実力があって噂通りの魔女なら、すでにこの国はないだろうよ」
まあ、確かにそうである。
でも、今までの国ではそんなこと言ってくれる人はいなかった。
私を見れば逃げ出すか、捕まえようとするか、罠に嵌めようとするかである。
「まあ、魔女の嬢ちゃんが悪い奴じゃねぇってのあんたの眼を見りゃわかるってもんよ」
「あ、ありがとう」
「それによ、ここにいる冒険者の連中はあんたと大して変わりねぇんだよ」
「どういうこと?」
「殆どの奴らが他の国で厄介者扱いされて流れてきた奴らでな、そんな厄介者を拾ってくれたのがこの国ってわけだ」
男が言うと、周りの冒険者たちが「おめーだってそうだろうがよ!」「一番王様に迷惑かけてんのはお前だろうが!」とかヤジを飛ばす。
「ま、俺たちみたいな厄介者を拾ってくれたこの国に俺たちは感謝してんだ。そして、その国を護ってくれたあんたにもな。だから俺たちは歓迎するぜ!」
「ああ、ようこそツァインの冒険者ギルドに!」
「良かったら今度一緒に冒険いこーぜ!」
「抜け駆けすんな!魔女ちゃんは俺たちんとこで冒険すんだよ!」
冒険者の人たちが口々に私たちを歓迎してくれた。
「クオン・・・」
「ああ、よかったね・・・カモメ」
四年・・・ずっと、人とできるだけ関わらないように逃げてきた。
色んな人に追われて、いろんな人に傷つけられることもあった。
でも、やっと、暖かい場所を見つけた・・・そんな気がして私は目頭が熱くなった。
「おいおい、てめぇーらの顔が怖いから魔女ちゃん泣いちまったじゃねぇか!」
「一番顔が怖いのはアンタでしょ!」
私は目頭が熱くなっただけではなく、そのまま涙まで零してしまっていたようだ。
慌てて、涙をふいて声を出す。
「ち、ちがっ、嬉しくて・・・ありがとう・・・よろしくお願いします」
「「「よろしくな」」」」
冒険者の皆が笑顔で迎えてくれた。
居場所が出来るって嬉しいね。
「お待たせしました、こちらが冒険者の登録証になります」
登録証をとりにいっていた獣人の受付嬢が戻ってくる。
そういえば、よく見ると周りの冒険者にもチラホラと獣人の人がいる。
ウサギの獣人や熊の獣人、犬の獣人と多種多様だ。
グランルーンも獣人差別のない国ではあったけどこれだけの数がいるのは珍しい。
帝国などだと獣人の差別がひどく奴隷のように扱われると言う話を聞くけど、この国はそんなことはないようだ。
「では、こちらの魔導具に魔力を流してください。そうすると魔女様のランクや使える魔法や武器などが自動的に登録証に記入されます」
「え?ランク?」
ランクってなんだろう?モンスターランクみたいな感じかな?
四年前まではそんなのなかったと思ったけど。
「そういえば、カモメさんの冒険者の知識は四年前で止まってますわよね?」
「え、うん」
「この四年で魔導具も進歩しましたのよ、その為、冒険者の情報が以前より細かく判別できるようになりましたの」
「そうなんだ、すごいね」
「はい、そして、その冒険者によってランクが分かれるようになったんです、そのランクで受けれる依頼や入れるダンジョンも変わってくるんです」
簡単に説明をしてくれた受付嬢が私の判定を早く見たいのか判別の魔導具をこちらに差し出してくる。
たった四年なのに日々人間は進歩してるんだね。
「ちなみにランクDの冒険者であればランクDの魔物とソロで戦える強さがあることになります」
おお、魔物のランクと同じなんだ。
それなら、自分の力を過信したりしなくていいね。
「それじゃ、やってみよっか。誰から行く?」
「先ずは僕がやるよ」
そう言って、クオンが手を上げる。
こういう時クオンはいつも先にやろうとしてくれる。
何かあったときは自分が引き受ける為なのだろう・・・相変わらず優しい。
でも、クオンに何かあったら嫌だなぁ・・・今回はそんなことはないと思うから止めたりはしないけど。
クオンは判別の魔導具に近づき、手をかざした。
すると、魔導具が青く光る。
「おお!」
「こんなに光ってるの初めて見た!」
どうやら人によって、輝き方が違うらしい。
って、いつの間にか周りに人だかりが・・・みんな私たちがどんなランクになるのか知りたいようだ。
光が収まり、登録証に文字が浮かび上がってくる。
その登録証を受付嬢が手に取り一つをクオンへ渡した。
登録証は二枚あり、一枚は冒険者に、もう一枚はギルドで保管するらしい。
そして、その保管用の登録証を見た受付嬢が目を見開いた。
「ク、クオン=ドースティン様・・・ランクSです」
「「「なにいいいいいいいいい!!!」」」
ランクS・・・えーっとつまり、ランクSの魔物とソロで戦えるってことだよね。
まあ、クオンなら当然かな?
得意武器等は冒険者として人に知られたくないこともあるだろうということで受付嬢の人は口に出さない。
「えっと、この魔法適正ってところが風になってるけどこれは?」
「そこに書かれている属性の魔法は習得できるということです」
「おお、クオン風の魔法使えるんだ?」
「みたいだね、僕も知らなかったよ」
そう言えば、クオンが魔法を使っているところを見たことはない。
まあ、使わなくても剣でほとんどの敵を倒しちゃうので必要ないのかもしれないけど、風の魔法なら結界魔法とかもあるし覚えておいて損ないかもね。
「風の属性ならどんな魔法もつかえるの?」
「どれくらいの魔法が覚えられるかはその方の才能次第ではありますが、初級の魔法であれば確実に使えるかと」
私が聞くと受付嬢はそう答えてくれた。
そっか、だったら今度クオンに風の魔法教えてみようかな?
「しかし、驚いたな・・・ランクSなんて世界に数えるほどしかいないってのに」
「俺は初めて見たよ」
「大国でもなければまずお目に掛かれねぇからな」
へー、でも大国ならクオンくらい強い人がいるんだね。
そういえば、英雄のパーティって呼ばれてたお父さんのパーティの人って今どうしてるのかな?
お父さんとお母さんはもういないけど、ラインハルトさんとあと二人いる筈だよね。
その人たちってランクどれくらいなんだろう?
「では、次はワタクシが行きますわ」
私が考えているとエリンシアが魔導具に近づいた。
エリンシアはどんな感じなんだろうね。
エリンシアが手をかざすと再びクオンと同じように青く輝く。
その輝きに周りの冒険者が再び騒ぐ。
光が止むと受付の女性がクオンの時と同じように二枚のうちの一枚の登録証をエリンシアへと渡した。
「エリンシア=グラシアール様・・・ランクSです」
「「うそだろおおおお!」」
どうやらエリンシアもランクSらしい。
クオンと同じくらい強いって事か・・・エリンシアもこの四年でかなり強くなっているんだね。
まあ、ランクAのルー・ガルーをあっさり倒していたしね。
でも、こうやってランクで表されると分かりやすくていいね。
今までは戦った敵のランクから大体これくらいはいけるというアバウトな感じでしかなかったけどこれならランクSの敵が来ても怖くないかも。
この間のウェアウルフの親玉、おそらくランクS以上であろう相手もあの時あのまま攻め込んでも大丈夫だったかもしれないね・・・いや、あの時はソフィーナさんもいたし、無理をする必要はないか。
「あら、結構詳細に書かれますのね、得意武器は銃、適正魔法は火、風、氷、光ですのね、当たってますわ」
受付の女性が気を使って言わないでいたことをあっさりというエリンシア。
自分に自信があるからなんだろうけど堂々と言っちゃっていいんだろうか?
あ、でも格闘も得意だとは言わないし、魔法も銃に乗せて撃つってことを言わない当たりちゃんと考えてるのかな。
「まあ、ワタクシは魔法はそれほど得意ではありませんけど・・・さあ、カモメさん次はあなたですわよ」
そう言って、私の背中を押し、魔導具の前へと連れてくるエリンシア。
うう、二人が凄かったから周りが期待した目で私を見ているよ・・・これでBとかだったらどうしよう。
あ、そういえば、冒険者のランクの平均ってどれくらいなんだろうね。
「さあ、魔女様、こちらに手をかざしてください」
受付の女性はよっぽど楽しみなのか尻尾を振りながら魔導具を出してくる。
平均を教えてもらうのは後にして、判別をやってしまおう。
私は魔導具に手をかざした。
すると、魔導具はやはり輝きだす・・・が、先ほどまでのクオンやエリンシアは青い光だったのだが私の時は黒く光り出した。
「うお!なんだぁ!?」
「あ、あれ、大丈夫なの!?」
周りの冒険者たちが予想外の出来事に驚きだす。
しかし、そっか、これ魔力の光なんだ・・・普通、魔力は青い、だが私はディータから闇の魔法を受け継いだ時、魔力が黒へと変わった。ついでに髪と瞳も。
黒い輝きがだんだんと収束していき、登録証に文字が浮かび出た。
「驚かしてごめん、たぶん私の魔力が黒いから黒く光ったんだと思うよ」
「魔力が黒い?」
「そういえば、そうでしたわね」
黒い魔力と聞いて驚く他の冒険者たちと、あまり気にしていない私の仲間たち・・・温度差がひどい。
「そんなことより、判定はどうなってますの?」
エリンシアはそんなことより私のランクが気になるらしい。
「カ、カモメ=トゥエリア様・・・」
「トゥエリア・・・やっぱり英雄ヴィクトールと同じ姓なのね」
「ああ、あの王様の言葉も本当だったってことだな」
私の姓を聞いて冒険者たちが納得している、そっか、これで自称英雄の娘じゃなくなるんだね。
魔導具様々だ。
「おい、アイナちゃん、どうした?魔女ちゃんのランクはいくつなんだよ?」
私の名前を言った後、受付の人が固まっている。
どうやら猫の獣人の受付の人はアイナというらしい。
「カモメ様のランクは・・・・・・SSです」
「「「なんだってええええええええ!」」」
おお、ランクSSよかった、Bとかじゃなくて・・・って、およ?
ってことは私はランクSSの魔物とソロで戦えるって事?・・・・・・・マジ?
エンシェントドラゴンとか伝説級の魔物と戦えちゃうの!?・・・私、すごくない?
まあ、多分、闇の魔法のおかげなんだろうけど。
「すげぇ、さすが魔女ちゃんだ・・・」
「ウェアウルフの群れをあんなに簡単に倒せるわけだわ・・・」
私は登録証を貰って自分のパラメータを確認する。
名前 カモメ=トゥエリア
得意武器 魔法棒《マジックバトーネ》
適正魔法 火、水、風、氷、土、雷、光、闇、合成<ユニーク>
冒険者ランクSS
身長152 たいじゅ
どわわわわわ!!!ちょっと、こんなに細かく書いてあるの!?
ってか、私の身長もっと高いよ!間違ってるよこの魔導具!!!
チラっとクオンの登録証をみると身長が178になっている。
ホラ!頭一つ分くらいしか違わないクオンが178なら私の身長は165くらいはあるはずだよ!!
私が見ている景色が見えるディータが私が何を見て慌てているのか察して『カモメ、かわいいわよ』と言ってきた。
あるもん・・・165くらいあるもん・・・。
「身長や体重なども変動するとちゃんと反映される優れものです、間違いなどはありませんので大事にしてくださいね」
アイナが私にとどめを刺した・・・スリーサイズが無かっただけマシだったと思おう・・・うん。
ちなみにエリンシアの身長は165と私の理想の身長だった・・・くっそう。
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