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4章
根性のすばらしさ
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「それでカモメさん、一体どういう作戦ですの?」
「うんとね・・・」
私は、思い付いた攻撃方法をエリンシアとディータに伝える。
「それはまた・・・本当に出来ますの?」
「わかんない、でも・・・たぶんできると思う」
「また、無茶苦茶ね・・・普通なら出来るわけないわと言うところだけど、カモメのセンスに期待しましょう」
「となると、どうやってあの魔族の隙を作るかですわね」
そうなのだ、この攻撃方法なら残った魔力で最大限の威力を出せるのだが、如何せん、相手がそれをまともに喰らってくれる保証はない。
馬鹿正直に真正面から撃って倒せるほど、容易い相手ではないのだ。
「まあ、私が隙を作るしかないでしょうね」
「大丈夫ですの?」
「・・・・・・」
リザードマンたちの魔石を食べて、以前よりパワーアップしているとはいえ、女神だった頃と比べると弱い。この状態であの化け物みたいに強い魔族の隙を作ることが出来るのだろうか?いや、恐らく無理だろう。
ディータはそう思ってはいたが、やらなければ全滅するだけである、出来ないとは口が裂けても言えなかった。
「・・・やってみせるわ」
ディータが真剣な顔で相手を見据えると、後ろから力の籠った声が聞こえる。
「ミャア、復活ニャ!!」
後ろを振り向くと、すでに根性スパーク状態のミャアがこちらに向かって走ってきていた。
ミャアは私達に近づくと、声を掛けるでもなく私たちの上をジャンプ一番で飛び越えて、グランめがけて突進をする。
「ミャア!?」
「一人では危険ですわ!」
「私が行くわ!二人は準備を!」
慌てて追いかけようとする、私とエリンシアを制止し、ディータはミャアの後を追いかける。
(ミャアと一緒になら・・・隙を作れるかもしれないわね)
ディータはそう考え、ミャアのフォローに回る為、全速力でミャアの後に続いた。
「ほお、さっきの猫娘か・・・まだそれだけ元気があるとはおもしれぇ」
「根性ニャ!」
ミャアの拳とグランの拳が衝突する、凄まじい威力同士のぶつかり合いなのが発生した衝撃波でわかる。
だが、全力で放ったミャアの拳をグランは余裕の表情で撃ち返していた。
「おお、なかなかやるじゃねぇか、ならこいつはどうだ?」
グランはそう言うと、蹴りを繰り出す、ミャアはその蹴りを横に回転しながら躱し、裏拳をグランの顔面へと叩き込んだ。
「ちっ」
予想外の動きだったのだろう、避けることが出来ずグランはその裏拳を喰らってしまう、ミャアの放った裏拳の風圧で近くにあった瓦礫が砕けちる。・・・それ程の威力だったのだ――――――――だが、その威力にもかかわらず、グランは少し顔を歪める程度であった。
「死にな!」
ダメージを喰らったことに腹を立てたのか、今度は拳ではなく持っていた剣を大きく振りかぶってミャアに振り下ろす。
「させないわよ!闇の刃!」
ディータの放った闇の刃がグランの剣を弾き返した。
「スキありニャ!」
剣を持った腕が弾き返され、少し仰け反った状態になったグランを見たミャアが猛然と拳を叩き込む。
「ぐお!」
一発一発では顔を歪める程度のダメージでも、これだけのラッシュを喰らえば、さしものグランも声を漏らした。
「こっちも行くわよ!闇の刃!」
再び闇の刃を放ったディータ、グランはその闇の刃を喰らうまいと掌から光弾を放ち迎撃しようとする。
だが、闇の刃はその光弾を裂ける為、軌道を変えた。
「悪いわね、狙いはあなたではないのよ!」
軌道を変えた、闇の刃はグラン本人ではなく、グランの持っている剣へと向かって行った。
グランも自分の武器を狙われるとは思っていなかったのだろう、警戒しておらず無防備になっていたその剣は闇の刃と共に砕け散った。
「よし!」
グランから武器を奪い、多少とはいえ戦力をダウンさせる。
そして、拳を武器として戦うミャアにとって相手の武器は警戒すべきものだったのだが、その武器が無くなったことにより、より深く相手の懐へと飛び込んだ。
「ど根性ニャ―!!」
「ぐはっ」
ミャアの放った蹴りはグランの鳩尾あたりに決まる、そして、初めてグランが膝を付いたのだった。
「チャンスニャ!」
「一気に行くわよ!闇の刃!」
同時に攻める二人、膝を付いたグランはこれを躱すことは出来ないだろう・・・そう思っていたのだが。
「・・・・・・なめるんじゃねぇ」
突如、魔力のようなものを身体の周りに発生させたグランは闇の刃を片手で握りつぶし、拳を放ったミャアをこれまた片手で投げ飛ばした。
「何が起きたニャ!」
「魔力で体を強化したのよ!」
まずい、あの状態では私たちが奥の手を放っても耐えられてしまうかもしれない。
何とかあの状態を解除させないと・・・それにはダメージを与えて、相手の集中を切らないといけないのだが・・・。
「マズいわね・・・」
ディータの額から、汗が落ちる、先ほど放った闇の刃でディータの魔力が切れてしまったのだ。
「さっきので決めれると思ったのだけれど・・・」
「ミャアに任せるニャ!」
「ミャア、危険よ!」
ディータの制止を聞かず、再び特攻するミャア。魔力で体を強化しているグランに攻撃の術があるの?
「根性ニャあああああ!」
ちょっ、いくら何でも根性でなんとかなるレベルじゃないよ!?
無策で突進するミャアを見て、私たちは慌てる。
「はっ、馬鹿が!」
「ニャっと!」
「何!?」
何も考えず、突進していたと思ったミャアはグランの拳をひらりと躱す。
「喰らえニャ!」
「ちっ」
グランの拳を躱し、頭上へと飛んだミャアはかかと落としをグラン目掛けて放つが、強化状態のグランにはダメージにすらならなかった。
それを見て、後ろへと跳ぶミャア、その姿を見たグランはニヤリと笑った。
「蚊に刺されたほどの痛みもねぇぜ?」
「みゃあ~、ならもっと根性だすニャ!」
ミャアはそう言うとおもむろに地面に腕を突き刺す、そして・・・。
「こんっじょううううにゃあああ!」
「・・・すごっ」
腕を持ち上げると、地面ごとひっくり返した。
そして、その地面の中にあった岩盤に攻撃を浴びせると、大きな岩の塊がいくつかに割れ、勢いそのままにグランへと襲い掛かる。
「あん?何のつもりだ?」
グランはその岩をまるで飛んでくる雨粒のように片手で目をガードしただけで物ともしない。
「目くらましのつもりニャ」
「なっ!」
岩に隠れながら近づいたミャアが思いっきり、拳を叩き付ける。
「なにっ!?」
強化状態のグランが悲鳴を上げた。
「効いたの?」
拳を喰らったグランは今度はその勢いに負けて後ろへと転がる。
ダメージを与えたのか顔を歪めながらミャアを睨みつけた。
「何だこの威力は・・・っ!」
「根性パワーニャ!」
うん、意味がわからない。
だけど、確かにさっきまでよりさらに威力が上がっているようだ。その証拠に一緒にグランの近くへ飛んでいた岩たちが、ミャアがグランを殴ったその衝撃波で粉々になり、空中を舞っていた。
その中に立つ、ミャアの姿を見た私は思わず、カッコいいと思ってしまった。
「うんとね・・・」
私は、思い付いた攻撃方法をエリンシアとディータに伝える。
「それはまた・・・本当に出来ますの?」
「わかんない、でも・・・たぶんできると思う」
「また、無茶苦茶ね・・・普通なら出来るわけないわと言うところだけど、カモメのセンスに期待しましょう」
「となると、どうやってあの魔族の隙を作るかですわね」
そうなのだ、この攻撃方法なら残った魔力で最大限の威力を出せるのだが、如何せん、相手がそれをまともに喰らってくれる保証はない。
馬鹿正直に真正面から撃って倒せるほど、容易い相手ではないのだ。
「まあ、私が隙を作るしかないでしょうね」
「大丈夫ですの?」
「・・・・・・」
リザードマンたちの魔石を食べて、以前よりパワーアップしているとはいえ、女神だった頃と比べると弱い。この状態であの化け物みたいに強い魔族の隙を作ることが出来るのだろうか?いや、恐らく無理だろう。
ディータはそう思ってはいたが、やらなければ全滅するだけである、出来ないとは口が裂けても言えなかった。
「・・・やってみせるわ」
ディータが真剣な顔で相手を見据えると、後ろから力の籠った声が聞こえる。
「ミャア、復活ニャ!!」
後ろを振り向くと、すでに根性スパーク状態のミャアがこちらに向かって走ってきていた。
ミャアは私達に近づくと、声を掛けるでもなく私たちの上をジャンプ一番で飛び越えて、グランめがけて突進をする。
「ミャア!?」
「一人では危険ですわ!」
「私が行くわ!二人は準備を!」
慌てて追いかけようとする、私とエリンシアを制止し、ディータはミャアの後を追いかける。
(ミャアと一緒になら・・・隙を作れるかもしれないわね)
ディータはそう考え、ミャアのフォローに回る為、全速力でミャアの後に続いた。
「ほお、さっきの猫娘か・・・まだそれだけ元気があるとはおもしれぇ」
「根性ニャ!」
ミャアの拳とグランの拳が衝突する、凄まじい威力同士のぶつかり合いなのが発生した衝撃波でわかる。
だが、全力で放ったミャアの拳をグランは余裕の表情で撃ち返していた。
「おお、なかなかやるじゃねぇか、ならこいつはどうだ?」
グランはそう言うと、蹴りを繰り出す、ミャアはその蹴りを横に回転しながら躱し、裏拳をグランの顔面へと叩き込んだ。
「ちっ」
予想外の動きだったのだろう、避けることが出来ずグランはその裏拳を喰らってしまう、ミャアの放った裏拳の風圧で近くにあった瓦礫が砕けちる。・・・それ程の威力だったのだ――――――――だが、その威力にもかかわらず、グランは少し顔を歪める程度であった。
「死にな!」
ダメージを喰らったことに腹を立てたのか、今度は拳ではなく持っていた剣を大きく振りかぶってミャアに振り下ろす。
「させないわよ!闇の刃!」
ディータの放った闇の刃がグランの剣を弾き返した。
「スキありニャ!」
剣を持った腕が弾き返され、少し仰け反った状態になったグランを見たミャアが猛然と拳を叩き込む。
「ぐお!」
一発一発では顔を歪める程度のダメージでも、これだけのラッシュを喰らえば、さしものグランも声を漏らした。
「こっちも行くわよ!闇の刃!」
再び闇の刃を放ったディータ、グランはその闇の刃を喰らうまいと掌から光弾を放ち迎撃しようとする。
だが、闇の刃はその光弾を裂ける為、軌道を変えた。
「悪いわね、狙いはあなたではないのよ!」
軌道を変えた、闇の刃はグラン本人ではなく、グランの持っている剣へと向かって行った。
グランも自分の武器を狙われるとは思っていなかったのだろう、警戒しておらず無防備になっていたその剣は闇の刃と共に砕け散った。
「よし!」
グランから武器を奪い、多少とはいえ戦力をダウンさせる。
そして、拳を武器として戦うミャアにとって相手の武器は警戒すべきものだったのだが、その武器が無くなったことにより、より深く相手の懐へと飛び込んだ。
「ど根性ニャ―!!」
「ぐはっ」
ミャアの放った蹴りはグランの鳩尾あたりに決まる、そして、初めてグランが膝を付いたのだった。
「チャンスニャ!」
「一気に行くわよ!闇の刃!」
同時に攻める二人、膝を付いたグランはこれを躱すことは出来ないだろう・・・そう思っていたのだが。
「・・・・・・なめるんじゃねぇ」
突如、魔力のようなものを身体の周りに発生させたグランは闇の刃を片手で握りつぶし、拳を放ったミャアをこれまた片手で投げ飛ばした。
「何が起きたニャ!」
「魔力で体を強化したのよ!」
まずい、あの状態では私たちが奥の手を放っても耐えられてしまうかもしれない。
何とかあの状態を解除させないと・・・それにはダメージを与えて、相手の集中を切らないといけないのだが・・・。
「マズいわね・・・」
ディータの額から、汗が落ちる、先ほど放った闇の刃でディータの魔力が切れてしまったのだ。
「さっきので決めれると思ったのだけれど・・・」
「ミャアに任せるニャ!」
「ミャア、危険よ!」
ディータの制止を聞かず、再び特攻するミャア。魔力で体を強化しているグランに攻撃の術があるの?
「根性ニャあああああ!」
ちょっ、いくら何でも根性でなんとかなるレベルじゃないよ!?
無策で突進するミャアを見て、私たちは慌てる。
「はっ、馬鹿が!」
「ニャっと!」
「何!?」
何も考えず、突進していたと思ったミャアはグランの拳をひらりと躱す。
「喰らえニャ!」
「ちっ」
グランの拳を躱し、頭上へと飛んだミャアはかかと落としをグラン目掛けて放つが、強化状態のグランにはダメージにすらならなかった。
それを見て、後ろへと跳ぶミャア、その姿を見たグランはニヤリと笑った。
「蚊に刺されたほどの痛みもねぇぜ?」
「みゃあ~、ならもっと根性だすニャ!」
ミャアはそう言うとおもむろに地面に腕を突き刺す、そして・・・。
「こんっじょううううにゃあああ!」
「・・・すごっ」
腕を持ち上げると、地面ごとひっくり返した。
そして、その地面の中にあった岩盤に攻撃を浴びせると、大きな岩の塊がいくつかに割れ、勢いそのままにグランへと襲い掛かる。
「あん?何のつもりだ?」
グランはその岩をまるで飛んでくる雨粒のように片手で目をガードしただけで物ともしない。
「目くらましのつもりニャ」
「なっ!」
岩に隠れながら近づいたミャアが思いっきり、拳を叩き付ける。
「なにっ!?」
強化状態のグランが悲鳴を上げた。
「効いたの?」
拳を喰らったグランは今度はその勢いに負けて後ろへと転がる。
ダメージを与えたのか顔を歪めながらミャアを睨みつけた。
「何だこの威力は・・・っ!」
「根性パワーニャ!」
うん、意味がわからない。
だけど、確かにさっきまでよりさらに威力が上がっているようだ。その証拠に一緒にグランの近くへ飛んでいた岩たちが、ミャアがグランを殴ったその衝撃波で粉々になり、空中を舞っていた。
その中に立つ、ミャアの姿を見た私は思わず、カッコいいと思ってしまった。
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