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8章
魔獣
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「やってくれましたねぇ……完全に魂を消滅させたと思ったんですけどねぇ……」
「これでも女神ですから、そう簡単にはやられません」
「ちっ……どいつもこいつも私の邪魔をしてくれますねぇ……!」
起き上がった『魔』がリーンに目掛けて炎を放つ。
だが、光の魔法が得意なリーンだ、これくらいの攻撃なら……そう思っていたのだが、リーンは私の治療を続けたまま、それを防ごうとしなかった。
「リーン!?」
「……大丈夫です」
大丈夫なわけがない、なんで一旦治療を中断して『魔』の攻撃を防がなかったのか、私の傷はもう大分癒えている、治療を中断しても大丈夫なはずだ。
「大丈夫じゃないよっ、どうして……どうして防ごうとしないの!」
「余り、魔力が残っていませんから………」
「どういうこと?」
「アラアラアラ、なるほどなるほど、そう言う事ですか♪」
私には何が何だか分からないけど、『魔』は今の言葉で何かを気付いてしまったらしい。
「そら、もう一発です!」
「リーン、防いで!!」
私が叫ぶも、リーンはまたも防ごうとせず、私の治療を続けた。
そのおかげか、私の傷は殆ど塞がり、動けるようになる。
再び、炎を放つ『魔』の攻撃を、私はリーンと『魔』の間に入り、光の壁を出し護る。
「なんで、なんで防がなかったの!?」
「ふふ、回復してよかった……」
「良くないよ!いったん中止して攻撃を防げばそんなに傷つかなかったのに!」
「いえ、それをすると、貴方を治すだけの魔力が残らないといけないですので」
「どういうこと?」
いくら、先ほどラピュリオンを放っているとはいえ、女神と呼ばれる人物だ、そんな簡単に魔力が底をついたりしないだろう……しないよね?
「残念ながら、私の魂は限界が近いのです……なんとか、完全に消されずに済みましたが……長くはないでしょう……そして、魔力もほんのわずかしか残ってなかった……だから、私の身体を護るような無駄な魔力を使うわけにはいかなかったんです」
「無駄って……そんな……」
自分は消滅するから、自分を護る必要がないってこと……そんなの……。
「おはなししてる余裕はないんじゃないですか?影魔召喚!!」
「くっ、風よ!!」
私は『魔』の攻撃を風の魔法を展開させて、リーンごと護る。
「カモメさん、私は気にせず、『魔』を倒すことを考えてください!」
「出来るわけないでしょ!!」
自分を見捨てろというがそんなこと出来るわけがない……今さっき、私の命を救ってくれて、体を張って治療をしてくれた……慈愛の女神とも呼ばれる存在……そして……私にとっては祖母でもあるのだ……見捨てるなんて出来ない。
「威勢よく出て来たのに早速、足手纏いですか……リーンさんは情けないですねぇ」
「……黙れ」
「ん?カモメさん、何か言いました?」
「黙りなさいよ!!……増幅版、暴風轟炎!!」
私は怒りに任せて、増幅版の合成魔法を放つ、その炎を纏った風は『魔』に襲い掛かり、炎の竜巻と変わる。
「ちょっ、くっ……がああああああああああああ!?」
炎の竜巻は『魔』に襲い掛かると、その鋭い風で、切り刻み、焼き払う。
普通の生物であればそれだけでこの世から消えてしまいそうなほど、恐ろしい暴力である。
「レナ!皹一つ入れないわよ!全力で強化しなさい!」
「はい!!」
結界の中で暴れる炎の竜巻にディータとレナはちからの限り結界を維持する。
その結果、なんとか結界は壊れることはなかった。
だが、その暴力ともいえる炎の竜巻を受けた『魔』もまた、消滅することはなかった。
「ぐっ……人間の癖に……なんて魔法を使うんですか……」
「あれ、忘れてるの?私には女神とアンタの血も流れているんだよ?」
「ちっ……厄介な存在ですね……出来るなら逃げたいんですけど……そうもいきませんか」
周りの結界を見渡し、どこにも逃げるような隙間がないことを確認する『魔』。
やっぱり、隙があれば逃げるつもりなのだろう。
「仕方ありませんねぇ……なら、私も全力で……コロシニイキマスヨ」
「いけないっ、気を付けてカモメさん!」
「……え?」
結界の外から、青髪の少女が私に注意を促す、その次の瞬間、目の前の『魔』の姿が変わる。
先ほどまで幽霊のような紫の霧のような状態ではあったが、まだ人の形をしていた『魔』であるが、今目の前にいるのはまるで、魔獣のようだ、四足歩行の顔が悪魔の化け物のような……。
「イメチェンにしては変わりすぎなんじゃ……」
「気を付けてカモメさん!それが奴の本来の姿です!そして、その姿のそいつは理性なんてものがない!」
青髪の少女が言うが早いか、一瞬にして、魔獣は私の眼の前へと迫った。
「なっ!?」
「ガアアアアアアアアアア!」
魔獣の前足が、私に襲い掛かる。
避けると、リーンが巻き込まれる……避けるわけにはいかない。
「避けなさい、カモメ!」
「嫌だよ!氷牙咆哮!!」
氷と風の合成魔法が、魔獣の前足に襲い掛かり凍らせる。
お陰で、魔獣の行動を止めることが出来た……が。
「グガァアアアア!」
魔獣が吠えると、前足の氷が砕け散り、再び、進行を始めた。
とはいえ、私もそう簡単に止められるとは思ってなかったので、すぐさま、体を強化し、リーンを抱きかかえてその場を離れ、攻撃を躱している。
それにしても……ちょっとまずい?
思った以上にヤバい存在になってしまった『魔』に私は冷や汗をながすのだった。
「これでも女神ですから、そう簡単にはやられません」
「ちっ……どいつもこいつも私の邪魔をしてくれますねぇ……!」
起き上がった『魔』がリーンに目掛けて炎を放つ。
だが、光の魔法が得意なリーンだ、これくらいの攻撃なら……そう思っていたのだが、リーンは私の治療を続けたまま、それを防ごうとしなかった。
「リーン!?」
「……大丈夫です」
大丈夫なわけがない、なんで一旦治療を中断して『魔』の攻撃を防がなかったのか、私の傷はもう大分癒えている、治療を中断しても大丈夫なはずだ。
「大丈夫じゃないよっ、どうして……どうして防ごうとしないの!」
「余り、魔力が残っていませんから………」
「どういうこと?」
「アラアラアラ、なるほどなるほど、そう言う事ですか♪」
私には何が何だか分からないけど、『魔』は今の言葉で何かを気付いてしまったらしい。
「そら、もう一発です!」
「リーン、防いで!!」
私が叫ぶも、リーンはまたも防ごうとせず、私の治療を続けた。
そのおかげか、私の傷は殆ど塞がり、動けるようになる。
再び、炎を放つ『魔』の攻撃を、私はリーンと『魔』の間に入り、光の壁を出し護る。
「なんで、なんで防がなかったの!?」
「ふふ、回復してよかった……」
「良くないよ!いったん中止して攻撃を防げばそんなに傷つかなかったのに!」
「いえ、それをすると、貴方を治すだけの魔力が残らないといけないですので」
「どういうこと?」
いくら、先ほどラピュリオンを放っているとはいえ、女神と呼ばれる人物だ、そんな簡単に魔力が底をついたりしないだろう……しないよね?
「残念ながら、私の魂は限界が近いのです……なんとか、完全に消されずに済みましたが……長くはないでしょう……そして、魔力もほんのわずかしか残ってなかった……だから、私の身体を護るような無駄な魔力を使うわけにはいかなかったんです」
「無駄って……そんな……」
自分は消滅するから、自分を護る必要がないってこと……そんなの……。
「おはなししてる余裕はないんじゃないですか?影魔召喚!!」
「くっ、風よ!!」
私は『魔』の攻撃を風の魔法を展開させて、リーンごと護る。
「カモメさん、私は気にせず、『魔』を倒すことを考えてください!」
「出来るわけないでしょ!!」
自分を見捨てろというがそんなこと出来るわけがない……今さっき、私の命を救ってくれて、体を張って治療をしてくれた……慈愛の女神とも呼ばれる存在……そして……私にとっては祖母でもあるのだ……見捨てるなんて出来ない。
「威勢よく出て来たのに早速、足手纏いですか……リーンさんは情けないですねぇ」
「……黙れ」
「ん?カモメさん、何か言いました?」
「黙りなさいよ!!……増幅版、暴風轟炎!!」
私は怒りに任せて、増幅版の合成魔法を放つ、その炎を纏った風は『魔』に襲い掛かり、炎の竜巻と変わる。
「ちょっ、くっ……がああああああああああああ!?」
炎の竜巻は『魔』に襲い掛かると、その鋭い風で、切り刻み、焼き払う。
普通の生物であればそれだけでこの世から消えてしまいそうなほど、恐ろしい暴力である。
「レナ!皹一つ入れないわよ!全力で強化しなさい!」
「はい!!」
結界の中で暴れる炎の竜巻にディータとレナはちからの限り結界を維持する。
その結果、なんとか結界は壊れることはなかった。
だが、その暴力ともいえる炎の竜巻を受けた『魔』もまた、消滅することはなかった。
「ぐっ……人間の癖に……なんて魔法を使うんですか……」
「あれ、忘れてるの?私には女神とアンタの血も流れているんだよ?」
「ちっ……厄介な存在ですね……出来るなら逃げたいんですけど……そうもいきませんか」
周りの結界を見渡し、どこにも逃げるような隙間がないことを確認する『魔』。
やっぱり、隙があれば逃げるつもりなのだろう。
「仕方ありませんねぇ……なら、私も全力で……コロシニイキマスヨ」
「いけないっ、気を付けてカモメさん!」
「……え?」
結界の外から、青髪の少女が私に注意を促す、その次の瞬間、目の前の『魔』の姿が変わる。
先ほどまで幽霊のような紫の霧のような状態ではあったが、まだ人の形をしていた『魔』であるが、今目の前にいるのはまるで、魔獣のようだ、四足歩行の顔が悪魔の化け物のような……。
「イメチェンにしては変わりすぎなんじゃ……」
「気を付けてカモメさん!それが奴の本来の姿です!そして、その姿のそいつは理性なんてものがない!」
青髪の少女が言うが早いか、一瞬にして、魔獣は私の眼の前へと迫った。
「なっ!?」
「ガアアアアアアアアアア!」
魔獣の前足が、私に襲い掛かる。
避けると、リーンが巻き込まれる……避けるわけにはいかない。
「避けなさい、カモメ!」
「嫌だよ!氷牙咆哮!!」
氷と風の合成魔法が、魔獣の前足に襲い掛かり凍らせる。
お陰で、魔獣の行動を止めることが出来た……が。
「グガァアアアア!」
魔獣が吠えると、前足の氷が砕け散り、再び、進行を始めた。
とはいえ、私もそう簡単に止められるとは思ってなかったので、すぐさま、体を強化し、リーンを抱きかかえてその場を離れ、攻撃を躱している。
それにしても……ちょっとまずい?
思った以上にヤバい存在になってしまった『魔』に私は冷や汗をながすのだった。
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