闇の魔女と呼ばないで!

遙かなた

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2部 1章

秘密

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 クオンが一瞬にしてその場から消える……いや、消えるように見えた。
 クオンは目にも止まらないスピードで一瞬にしてガリオンの懐に潜り込んだのだ。


「なにぃ!?」


 驚くガリオンに、クオンの口元はにっこりと笑う……そう、笑っているのは口元だけである。
 クオンの眼は怖い程、怒りに燃えていた、いや、眼だけではない、放たれる殺気もどんどんと増している。


「クソガキがぁ!!!」


 ガリオンが持っていたハンドアクスを振り下ろす。
 もちろん、クオンはそれを余裕で躱す……が、驚いたことにガリオンの振り下ろされたハンドアクスは地面へと激突したかと思うと、その瞬間、ギルドの床がまるでクレーターのように凹んだ。


「……何あれ?」
「あれが、ガリオンの天啓スキル『怪力』さ」


 私が驚いているとクルードが教えてくれる。
 ……なるほど、いや、意外と厄介かもしれないね天啓スキル。
 ガリオン自体はお世辞にも強いと思える動きをしていない、その為、かなり私は侮っていた。
 だが、侮ったまま今の一撃を受け止めようとしようものなら、私は押しつぶされていただろう……。
 相手を動きだけで弱いと判断するのは危険ってことか……、結界の中での常識が通用しない……それを忘れないようにしないといけないね……もっと色々な天啓スキルっていうのがあるだろうし。



「ちっ、ちょこまかと……がっ!?」


 攻撃を外したガリオンの顔面に、クオンの拳が炸裂する。
 クオンが格闘をするなんて珍しいね……クオンなら怪我をさせずに剣でガリオンに負けを認めさせることも出来るだろうに……。


「よっぽどイラついたのね」
「ええ、殴りたかったんですのね……」


 ああ、剣だと怒りを発散できないからか……やっぱり、いつも冷静なクオンにしては珍しいね。


「くそがっ!!」


 今度は持っているハンドアクスを横薙ぎするガリオン、だがそれも、クオンは軽々と躱し、殴る。
 そして、殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る。

 ガリオンの顔面だけを、何度も何度も殴り倒した。


「ひゅごっ……」


 ただでさえゴツゴツしていた、ガリオンの顔は、クオンに殴られ、その凹凸を増やす。
 腫れあがった顔で、まだ諦めていないの、ハンドアクスを振り続けるガリオン。


「くそっ、当たりさえすれば一撃だってのによぉ!」


 恐らく、魔物のほとんどを一撃で倒してきたのだろう。
 あの『怪力』というスキルには確かにそれだけの威力がある。
 だけど、本能で動く唯の魔物とクオンを一緒にしてはいけない。
 クオン相手に、あんな単調な攻撃が当たるわけがないのだ。


「当たりさえすれば……?」
「そうさ!テメェみたいなモヤシ野郎、当たりさえすれば一発なんだよ!!」


 誰が、モヤシ野郎だよ!
 むぅ……クオンはアンタなんかよりずっとカッコいいのに。


「ふぅ……まだ、解らないみたいですね……そんな攻撃、避けなかったとしても僕を倒すことは出来ませんよ?」
「ざけんなっ!俺の攻撃は当たれば一撃必殺なんだよ!てめぇも、あっちの女共も、俺のこの怪力のスキルの前じゃ、抵抗できねぇんだ!」
「…………」
「テメェに一発当てれば、それで俺の思うがままなんだよぉお!!!」
「………クレイジュ」
(おうよ、相棒、問題ねぇぜ!)


 ガリオンが、叫びながら思いっきりハンドアクスを振り上げる。
 あーあ、あんな大振りじゃクオンじゃなくったって当たらないよ……。
 私がそう思っていると、クオンは避けるそぶりを見せない……え!?


「ちょっ、クオン!?」


 クオンはクレイジュに手をかけている……まさか。
 

「死ねぇエ!!!」


 ガリオンのハンドアクスが、クオン目がけて振り下ろされた。
 クオンはやはり、避けようとしない、それどころか、自分の愛剣であるクレイジュを抜き放っていた。
 そして、クオンはクレイジュを目の前に掲げる。
 やっぱり、受け止める気だ……あの怪力のスキル見たというのに、クオンは真っ向からあの攻撃を受け止める気である。


「おい、坊主、それは無茶だ!避けろ!!!」


 クルードが慌てて叫ぶ。
 確かに、普通に考えれば無茶である、体の大きさも違う、相手には怪力のスキルがある。
 誰もが、クオンがガリオンの攻撃で潰される未来を想像しただろう。
 だが、その未来は訪れることはない。
 大きな金属音と共に、ガリオンの振り下ろされたハンドアクスはその動きを止めるのであった。


「う、嘘だろ?」


 クルードが、いや、周りの冒険者やギルドの職員すらも驚いていた。
 ガリオンより一回りは小さい身体のクオンが、怪力のスキルを持ったガリオンの攻撃を剣術のスキルしかもっていないクオンが…………受け止めたのだ。


「ば、馬鹿なっ、ありえねぇ……俺の攻撃が受け止められるなんて!」
「自慢の一撃必殺の攻撃も大したこと無いですね……これでもう、打つ手なし……ですか?」
「……ひっ!?」


 初めてガリオンが恐怖の声を上げる、目の前の優男に自分の攻撃が軽々と受け止められたのだ。
 今まで、どんな魔物であったても一撃で倒してきた攻撃が……そう考えると目の前にいる少年が化け物のように見えてきたのだ。
 先ほどまで感じ取れていなかった殺気も、今はハッキリと感じ取れる。
 恐怖がガリオンを支配したのだ。


「ひ、ひぃいい、く、来るなぁ!?」


 腰を抜かしながらも、後ろに必死に下がるガリオン、そんなガリオンにクオンはクレイジュを抜いたまま、近寄っていく。無表情に、淡々と……ガリオンにはまるで死神が近づいてきているように見えるのだろう。


「く、くるなぁあああ!」
「終わりです」


 クオンがクレイジュを振るった。
 誰もが、ガリオンの命が立たれたと思ったかもしれない。
 だが、クオンはウチの常識人だ、いくら何でも、命を奪ったりはしない。
 その証拠に、目の前には泡を吹きながら転がる、ガリオンの姿があった。
 恐らく、自分が殺されたと思って、気絶したのだろう、みっともない姿である。
 いや、みっともないのは泡を吹いているからだけではない、その恰好……クオンの剣で、服を斬られて、パンツ一丁のあられもない姿になっているのだ。うん、服着てなかったらさらにゴリラみたいだね。


「さあ、そこの怪力自慢を連れて帰ってください、それとも、まだやりますか?」
「ひ、ひいいいいいい!?」


 ガリオンの取り巻き?いや、パーティメンバーかな?
 ガリオンと共にギルドに来ていた人たちにクオンが言い放つと、その人たちは慌ててガリオンを担ぎ、ギルドから逃げていった。


「ふう……」
「「「うおおおおおおお!」」」


 クオンが息を一つ吐くと、周りの冒険者が盛り上がった。


「す、すげぇ、なんだ今の!?」
「あのガリオンを完全に負かしちまいやがった!」
「いやぁ、俺アイツ嫌いだったんだよ!」
「はは、好きな奴なんていねぇって!いつも威張りやがって!」


 どうやら、ガリオンは他の冒険者にもあまり好かれていなかったようだ。
 新参者の私たちが我が物顔であんなことをしたから、非難を浴びるかなと思っていたんだけど、どうやら、そうはならなかったみたい。


「ごめんね、ミオン、ギルドで騒いじゃって」
「ホントですよ……ギルド内は揉め事禁止ですから、気を付けてくださいね……まあ、今回は仕掛けてきたのがガリオンさんの方だったので注意だけにしますけど、次はありませんよ?」
「あはは、ありがとー♪」


 それでいいのだろうか?……いや、ミオンも余り、ガリオンを好いていなかったのかもしれない。
 この街で二人しかいないCランク冒険者の一人だというのに、余っぽど人徳がないんだね、あのガリオンって……。


「あ、あの、カモメさん、皆さん」
「ん、シルネア、どったの?」
「ごめんなさい、私のせいであんな事に……」
「へ?いやいや、シルネアのせいじゃないでしょ、私達に喧嘩売ってきたのはさっきのゴリラさんだし」
「ですわね、シルネアさんが気にすることではありませんわ……それに、あの性格でしたら、シルネアさん関係なく遅かれ早かれ、同じ結果になっていましたわよ」
「でしょうね」


 ああ、確かに、今回はシルネアを無能呼ばわりしたことが切っ掛けだったけど、別の時だったとしても別の切っ掛けで争いが起きていただろう。今回偶々、シルネアが切っ掛けだっただけである。


「ありがとう……ございます」
「お礼なんかいらないよ、友達馬鹿にされて黙ってなんていられないって!」
「あう……」
「へっ、良い友達を持ったな、シルネア!」


 友達と言われて、恥ずかしかったのか、顔を赤くして俯くシルネアに兄のクルードが肩を叩いて喜ぶ。


「アンタらには今日一日で色々迷惑をかけちまって悪かったな、この借りはちゃんと返すからよ」
「別に気にしなくていいよ、冒険者は困った時はお互い様でしょ♪」
「はは、そんなの初めて聞いたぜ、だが、了解、何かあったら言ってくれ、力を貸すからよ」
「あはは、期待してる」


 特にダンジョンに挑戦したくなった時にはクルードに頼ろう。


「さて、それじゃあどうする?」


 とりあえず、ギルドへの報告も終わり、次はどうしようかと悩む私、宿を見つけに行かないといけないし、ご飯も食べたいしなぁ……。


「まずはカモメの武器を探しに行かない?」
「それがいいわね、さっきも持ってもいないバトーネを取り出そうとしていたし」
「そのうち、何も持たずに敵に突っ込みそうで怖いですわ」


 たはは、全員にバレてたよ……とほほ。


「あはは、お願い……シルネア達はどうする?」
「俺たちは今日はもう帰って寝るぜ」
「そうですね、色々あって、疲れが溜まっていますし」
「そっか、じゃあ、また機会があったら一緒に冒険しよ♪」
「ええ、是非」


 そう言うと、私達はギルドを後にした。
 まだいろいろ、解らない事が多いけど、それはまた少しずつ覚えていこう。
 私達は、とりあえず、武器屋のある場所をミオンに聞いて、そちらの方へと歩いていく、そして、その道中、ディータが疑問に思っていたのか口を開いた。


「しかし、意外だったわね……」
「ん、何が?」
「いや、あのシスコンよ」


 シスコンと言うのはクルードの事だろう、妹大好きなのは森であった時に知っている。
 まあ、確かにあれはシスコンと言われても仕方ないかもね。


「クルードがどうかしたの?」
「ええ、真っ先にキレると思っていたのだけど……」


 うん?どういうこと?


「確かに、シルネアを無能なんて言われて怒りもしないなんて思わなかったよ」
「ですわね、真っ先に殴りかかってもおかしくないですのに」


 ああ、確かに、そう言えば、そうだね……あんなに妹を大事にしているお兄さんが、妹を無能呼ばわりされて黙っているなんて……それどころか怒っている気配すらなかったような……。


「まあ、どこかの根暗坊主と違って、分別をわきまえているのかもしれないけれど」
「なっ、自分だって真っ先に喧嘩を売ってたじゃないか!」
「あら、私はあんなにみっともなくブチギレてはいないわよ♪」
「嘘つけ、眉間に皺寄せて、鬼のような形相になっていたじゃないか!……あ、鬼のような形相は元からか」
「言ってくれるじゃない、ヘタレ根暗坊主が!」
「誰がヘタレだ!」


 ああ、うん、この二人ちょくちょく喧嘩を始めるよね………最初の頃は私もエリンシアも戸惑っていたけど、最近はさすがに慣れてきたよ……。


「ほら、二人とも、私の武器を一緒に見に行ってくれるんでしょ、喧嘩しないで早く行こうよ」
「「がるるるるるるる」」
「猛獣が二人もいますわね……」


 溜息を吐きながらも私達は武器屋へと向かうのだった。






「良い奴らだったなぁ……」


 場所は変わり、ラリアスの街の西にある通りを2人の男女が歩いている。


「はい、天啓スキルが無いと言っても変わらず話しかけてくれました」
「普通は、見下すか、興味をなくすかなのにな」
「はい、変わった人たちです……あんな人たちもいるんですね」
「だな、まあ、縁があればまた冒険出来るだろうよ」
「はい、是非したいです」


 シルネアとクルードである。
 二人は自分たちが泊まっている宿屋に向かって歩いていた。
 その足取りはどこか軽い。
 いつもは、ガリオンや他の冒険者に嫌味を言われて足取り重く、宿に戻るシルネアであったが、今日は違う、自分の事を友達とまで言ってくれる人と出会えたのだ。


「でもよぉ、やっぱり悔しくねぇか?シルネアは無能じゃねぇのに……やっぱり本当の事をいっちまうってのはどうだ?」
「……兄さん」
「わりぃ、今のは無かったことにしてくれ」


 一瞬にして、先ほどまで、浮かれていたシルネアの顔が曇る。


「私のこれは人に見せられるものではないんです……ですから、兄さんも私が無能と呼ばれても我慢してくださいね」
「はあ、正直、そう言われるたびに相手の顔面を殴りたくなるんだがな……まあ、今日は代わりにクオンの奴が殴ってくれたからスッキリしたけどよぉ」
「うふふ、あれはすごかったですね……私も少しすっきりしちゃいました」


 ガリオンがボコボコに殴られる光景を思い出しながら二人して笑う。
 そして、二人は、泊っている宿屋へと戻っていくのであった。

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