355 / 412
2部 3章
邪鬼の王の力
しおりを挟む
「はあああああああああ!」
私はさらに魔力を高め、体を強化し、私の体に纏わりついている氷を壊す。
氷から脱出した私は、何とか身を捻り、敵の影の槍を回避しようとするが、完全には回避できず肩を掠めていった。
「しぶといわね……っ」
「当然っ……エリンシアを救うまで死ねないよ」
「はっ!……やれるものならやってみなさい!」
災厄の魔女は再び影の槍を放ってくる。
私はそれを闇の刃で撃退すると、一気に距離を詰め、バトーネを振るった。
距離を詰めた私に、魔女は魔力を噴出し吹き飛ばそうとするが先ほどまでよりその威力が弱まっている。
しめた……魔力が少なくなってきているんだ!
これくらいの威力なら……っ!
「風よ!!」
私は風の魔法を展開し、魔女の魔力風を押し返す。
「なっ!?」
「でやあああああ!!」
「がはっ!」
私の一撃が魔女の方にめり込む。
かなり強烈な一撃を与えた為、魔女の表情が歪んだ。
ここで畳みかける!
「まだまだ行くよ!」
私はバトーネを自在に振るい、魔女のお腹、肩、そして最後に顎と次々と技を決めていった。
「………あ」
魔女は顎に一撃を貰うと、意識が一瞬飛んだのか、後ろへと倒れる。
チャンスだっ……ここで杖を破壊する!
私は大きくバトーネを振りかぶると全力で杖に向けて振り下ろした。
「ふざけるなぁっ!!!」
「きゃあ!!」
だが、あと一歩で杖に届くところで、再び魔女の赤い魔力風により吹き飛ばされてしまう。
く……まだ、あれだけの魔力が残ってたんだ……。
今私を吹き飛ばした魔力風は最初の時よりもはるかに強い魔力風であった。
てっきり、魔力が少なくなって弱まったのだと思ったんだけど……そうじゃなかったのかな……いや、あれは……?
「はあ……はあ……気に入らない……気に入らないわっ!なぜ、なぜ他人のためにそこまで出来るの!他人なんて結局、自分を裏切る!なぜそんな相手の為に頑張れるのよ!!」
「エリンシアは私を裏切ったりしない……私だってエリンシアを裏切ったりしないよ!」
「するわよ!人間なんてみんなそう!口では綺麗な事を並べるけど結局自分の事しか考えていないわ!それが人間よ!醜い生き物なのよ!」
「……そうだね、人間なんて自分の事しか考えてないよ……だから私も自分の為にエリンシアを助けるんだ!私はエリンシアに死んでほしくないから!私の親友だから!」
「あはははは!親友…?そう、親友なのね……?親友なんて最低よ!」
「最低じゃない!」
「最低よ!だって私の親友は自分が助かりたいがために、私を罠にはめて私の両親を殺した!口では私の味方だと言っていたのに……裏切った!!親友なんてそんなものよ!!」
「……っ!………そう、そんなことがあったんだ……でも、エリンシアは違う……私も貴方じゃない!だから、私は諦めないよ!!」
「いくら言っても聞かない馬鹿ね!!……いいわ……邪王……私にもっと力をよこしなさい!制御して見せるわ!」
邪王……さっきも言っていた、邪鬼たちの王……?
私はあたりを見回すがここには私と災厄の魔女以外は誰もいる気配がない。
よほど気配を消すのがうまい……?ううん、違う……恐らく。
「制御して見せるって言っているでしょう!ごちゃごちゃ言わないで力をよこしなさい!」
会話をしているよね……やっぱり、昔の私とディータの時と同じ状態……きっと、災厄の魔女の中に邪鬼の王がいるんだ……魂だけの状態で……つまりあの赤い魔力は邪鬼の王の魔力ってことだ。
どこからどこまでも私と似ている……唯一違うのは、私は仲間に恵まれていたのだろう……もし、私にディータが……クオンが……レディが……エリンシアがいなかったら私もああなっていたのかもしれない。
私は……あの人を止めてあげたい……なぜだか、そう思った。
「そうよ……それでいいのよ……」
魔女はにやりと笑うと、先ほどまでとは比べ物にならない魔力を溢れださせる。
私が息を飲むほどにその魔力は凄かった。
人間の扱える魔力とは到底思えない……それ程の魔力に包まれながらも魔女は笑い、こちらを見る。
その魔女の姿は先ほどまでと少し違う……髪の色が深紅のような赤へ変色していたのだ。
あれじゃあ……邪鬼だよ……。
その燃えるような赤色に私は邪鬼の姿を重ねる。
そして………。
「あははははは!!死ね!死んじゃえ!!!影牢針!」
私の周りに針のような形をした影が10本以上現れる。
それは私に向ってはこず、私の頭上に向けて伸びていく。
私の頭上でそれらが集まると、私はまるで牢に閉じ込められたような状態へとなってしまった。
閉じ込めるための魔法?……ううん、そんな生易しいものじゃないはず……まだ何か。
私が警戒していると、周りを囲った影からさらに無数の影の針がこちらへと向かってきた。
無数の針で串刺しにする気か……。
「風よ!!」
私は風の結界を張りそれらを防ごうとする。
だが、無数の針は風の結界に当たると、そのまま貫こうと突き刺さる。
徐々にこちらに向かってくる針に私は焦る……このままだと結界を破壊されて串刺しになっちゃうよ!
「変則合成魔法!!」
私は、その風の結界にさらに魔法を上乗せする。
上乗せするのは炎の魔法だ……あまり爆発力の高いものだと、洞くつ事壊しかねないのでそこも工夫する。風の結界を回転させ、そこに炎を乗せる。
回転力で針を弾き返し、さらに炎で燃やすのだ。
その考えは上手く行き、私の思惑通り、影の針を弾き返し蹴散らした。
それにしても……。
「さっきまでとは全然違う……」
威力もそうだが、あの魔法は今まで使ったことは無かった……出し惜しみしていた?
いや、恐らく今までは使えなかったのではないだろうか……魔力の上がった今だからこそ使える魔法なのだろう……とすると、もしかしたら、そう言う魔法はそれだけじゃないかもしれない。
「あら、小手調べだったのに随分と苦戦したじゃない……お嬢ちゃん!!あははははは!!」
マズいかもしんないね……。
私は頬に冷や汗を流しながら余裕に笑う魔女を見据えるのだった。
私はさらに魔力を高め、体を強化し、私の体に纏わりついている氷を壊す。
氷から脱出した私は、何とか身を捻り、敵の影の槍を回避しようとするが、完全には回避できず肩を掠めていった。
「しぶといわね……っ」
「当然っ……エリンシアを救うまで死ねないよ」
「はっ!……やれるものならやってみなさい!」
災厄の魔女は再び影の槍を放ってくる。
私はそれを闇の刃で撃退すると、一気に距離を詰め、バトーネを振るった。
距離を詰めた私に、魔女は魔力を噴出し吹き飛ばそうとするが先ほどまでよりその威力が弱まっている。
しめた……魔力が少なくなってきているんだ!
これくらいの威力なら……っ!
「風よ!!」
私は風の魔法を展開し、魔女の魔力風を押し返す。
「なっ!?」
「でやあああああ!!」
「がはっ!」
私の一撃が魔女の方にめり込む。
かなり強烈な一撃を与えた為、魔女の表情が歪んだ。
ここで畳みかける!
「まだまだ行くよ!」
私はバトーネを自在に振るい、魔女のお腹、肩、そして最後に顎と次々と技を決めていった。
「………あ」
魔女は顎に一撃を貰うと、意識が一瞬飛んだのか、後ろへと倒れる。
チャンスだっ……ここで杖を破壊する!
私は大きくバトーネを振りかぶると全力で杖に向けて振り下ろした。
「ふざけるなぁっ!!!」
「きゃあ!!」
だが、あと一歩で杖に届くところで、再び魔女の赤い魔力風により吹き飛ばされてしまう。
く……まだ、あれだけの魔力が残ってたんだ……。
今私を吹き飛ばした魔力風は最初の時よりもはるかに強い魔力風であった。
てっきり、魔力が少なくなって弱まったのだと思ったんだけど……そうじゃなかったのかな……いや、あれは……?
「はあ……はあ……気に入らない……気に入らないわっ!なぜ、なぜ他人のためにそこまで出来るの!他人なんて結局、自分を裏切る!なぜそんな相手の為に頑張れるのよ!!」
「エリンシアは私を裏切ったりしない……私だってエリンシアを裏切ったりしないよ!」
「するわよ!人間なんてみんなそう!口では綺麗な事を並べるけど結局自分の事しか考えていないわ!それが人間よ!醜い生き物なのよ!」
「……そうだね、人間なんて自分の事しか考えてないよ……だから私も自分の為にエリンシアを助けるんだ!私はエリンシアに死んでほしくないから!私の親友だから!」
「あはははは!親友…?そう、親友なのね……?親友なんて最低よ!」
「最低じゃない!」
「最低よ!だって私の親友は自分が助かりたいがために、私を罠にはめて私の両親を殺した!口では私の味方だと言っていたのに……裏切った!!親友なんてそんなものよ!!」
「……っ!………そう、そんなことがあったんだ……でも、エリンシアは違う……私も貴方じゃない!だから、私は諦めないよ!!」
「いくら言っても聞かない馬鹿ね!!……いいわ……邪王……私にもっと力をよこしなさい!制御して見せるわ!」
邪王……さっきも言っていた、邪鬼たちの王……?
私はあたりを見回すがここには私と災厄の魔女以外は誰もいる気配がない。
よほど気配を消すのがうまい……?ううん、違う……恐らく。
「制御して見せるって言っているでしょう!ごちゃごちゃ言わないで力をよこしなさい!」
会話をしているよね……やっぱり、昔の私とディータの時と同じ状態……きっと、災厄の魔女の中に邪鬼の王がいるんだ……魂だけの状態で……つまりあの赤い魔力は邪鬼の王の魔力ってことだ。
どこからどこまでも私と似ている……唯一違うのは、私は仲間に恵まれていたのだろう……もし、私にディータが……クオンが……レディが……エリンシアがいなかったら私もああなっていたのかもしれない。
私は……あの人を止めてあげたい……なぜだか、そう思った。
「そうよ……それでいいのよ……」
魔女はにやりと笑うと、先ほどまでとは比べ物にならない魔力を溢れださせる。
私が息を飲むほどにその魔力は凄かった。
人間の扱える魔力とは到底思えない……それ程の魔力に包まれながらも魔女は笑い、こちらを見る。
その魔女の姿は先ほどまでと少し違う……髪の色が深紅のような赤へ変色していたのだ。
あれじゃあ……邪鬼だよ……。
その燃えるような赤色に私は邪鬼の姿を重ねる。
そして………。
「あははははは!!死ね!死んじゃえ!!!影牢針!」
私の周りに針のような形をした影が10本以上現れる。
それは私に向ってはこず、私の頭上に向けて伸びていく。
私の頭上でそれらが集まると、私はまるで牢に閉じ込められたような状態へとなってしまった。
閉じ込めるための魔法?……ううん、そんな生易しいものじゃないはず……まだ何か。
私が警戒していると、周りを囲った影からさらに無数の影の針がこちらへと向かってきた。
無数の針で串刺しにする気か……。
「風よ!!」
私は風の結界を張りそれらを防ごうとする。
だが、無数の針は風の結界に当たると、そのまま貫こうと突き刺さる。
徐々にこちらに向かってくる針に私は焦る……このままだと結界を破壊されて串刺しになっちゃうよ!
「変則合成魔法!!」
私は、その風の結界にさらに魔法を上乗せする。
上乗せするのは炎の魔法だ……あまり爆発力の高いものだと、洞くつ事壊しかねないのでそこも工夫する。風の結界を回転させ、そこに炎を乗せる。
回転力で針を弾き返し、さらに炎で燃やすのだ。
その考えは上手く行き、私の思惑通り、影の針を弾き返し蹴散らした。
それにしても……。
「さっきまでとは全然違う……」
威力もそうだが、あの魔法は今まで使ったことは無かった……出し惜しみしていた?
いや、恐らく今までは使えなかったのではないだろうか……魔力の上がった今だからこそ使える魔法なのだろう……とすると、もしかしたら、そう言う魔法はそれだけじゃないかもしれない。
「あら、小手調べだったのに随分と苦戦したじゃない……お嬢ちゃん!!あははははは!!」
マズいかもしんないね……。
私は頬に冷や汗を流しながら余裕に笑う魔女を見据えるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
ファンタジー
ごく普通の女子高生である「武久 佳奈」は、通学途中に突然異世界へと飛ばされてしまう。
これは何の特殊な能力もチートなスキルも持たない、ただごく普通の女子高生が、自力で会得した魔法やスキルを駆使し、元の世界へと帰る方法を探すべく見ず知らずの異世界で様々な人々や、様々な仲間たちとの出会いと別れを繰り返し、成長していく記録である……。
設定
この世界は人間、エルフ、妖怪、獣人、ドワーフ、魔物等が共存する世界となっています。
その為か男性だけでなく、女性も性に対する抵抗がわりと低くなっております。
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる