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第一章
2話 善行ミッション?
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「あの、で、殿下。怖い夢でも見られましたか?そ、その大丈夫でしょうか?」
メイドは俺のことが怖いのだろう。体を震えさせながら俺に尋ねてくる。
「いや、なんでもない。そうだな、少し夢見が悪かったのだ。下がれ」
「は、はい、失礼しました」
メイドは勢いよく部屋から出て行った。
『アンタ、メイドさんを怖がらせて何が楽しいのよ?』
「怖がらせてなどいないだろう。別に俺は何もしていない」
『アンタねぇ、そんな怖い顔で睨みつけた上にあんな低い声で下がれなんて言ったら誰だって怖いわよ!』
「この顔は生まれつきだ!それに怖がれているのは顔ではなく俺の力だ」
俺の力……『黒き炎』と呼ばれるこの力は一度炎に襲い掛かられればその対象を燃やし尽くすまで消えない。俺自身ですら一度炎をつけたら消せないのだ。つまり、俺に反感を買い、もしこの炎で攻撃されれば死は免れないという事だ。
誰もが俺を忌避するのは当たり前。機嫌を損ねたら死ぬ。そんな相手と関わりたくないだろう。
『バッカねぇ。アンタやっぱり脳みそ豆腐だわ』
「なんだと!」
『そんなのアンタに信用がないだけじゃない。アンタならそんなことはしないと思ってもらえればあんなに怖がれないわよ!』
「……人を信用など出来るものか。貴様は俺のような力を持っていないからそう言えるのだ」
『何言ってるのよ、私に負けたくせに』
「うぐっ」
そういえば、この女は俺の炎をいとも簡単に消していたな。何度燃やそうと笑いながらこちらに突っ込んできていた。この女の方が化け物では?
『まあでも、希望はありそうね』
「何がだ?」
『なんで私がわざわざアンタをタイムリープさせたと思ってんのよ?』
――――――――タイムリープ?時間を戻したことか?
「一体何の目的でこんなことをした?」
『決まってるでしょう?アンタの魔王化を防ぐためよ』
「なっ……出来るのか?いや、出来るはずがない!」
『出来る出来ないじゃないのよ。やるの』
何を言っているのだコイツは、そんなこと……出来るはずが…いや。
「そうか、魔王になる前の俺を殺すのだな?」
『んなわけないでしょ!それじゃ意味が無いの!』
「意味ならあるだろう、それで魔王は生まれない」
そうだ、魔王が生まれなければこの国は無くならず、父も母もこの国の人も……。
『駄目よ、そもそもなんで未来で私があなたを殺さなかったと思っているのよ』
確かに、未来のあの時俺は負けていた。時間を戻す意味はない。
『アンタの魂は呪われてるの』
「な…に?」
『仮に肉体を殺したところでまた復活する。何度倒しても意味ないのよ』
頭が真っ白になった。つまり俺は、永遠に人を殺し続ける。
いや、たとえすべての人間を殺してもさまよい続けるということだ……あの憎しみと怒りを抱きドス黒い感情だけが溢れかえっていたあの状態で。
『なに落ち込んでんのよ!だから魔王にならなければいんでしょうが!』
「そうだ、今の俺は魔王ではない。なら今の俺が死ねば蘇らないのでは!」
『どうやって?』
「誰かに殺してもらえば!」
『誰が黒き炎のアンタを殺せるのよ?私はいないのよ?』
ぐむ……確かにほとんどの人間は俺を殺そうにも黒き炎が怖くて出来ないだろう。かといってコイツのような人間をやめている規格外の存在は……。
『アンタ、失礼なこと考えてるでしょう人外魔王』
「誰が人外だ!それなら自分で死を選ぶ!」
『アンタ、絶望して自害した結果、魔王に覚醒したって聞いたんだけど?』
そ、そうであった。俺は父に母、そして国民すべての人間に嫌悪されその結果自害を選んだ……それなのになぜ魔王などに……。くそっ、それでは意味がないではないか!……だが、それでは。
「どうすることも出来ないではないか……仮に絶望しなかったとしてもどんなタイミングで魔王になるかもわからん」
『アンタねぇ、私が何も考えていないと思う?わざわざこんな状態になってここにいるのに意味が無いと思っているのかしら?』
「……どういうことだ?」
『アンタに私の力をあげる』
「聖女の力を?」
『そう、この清く美しい私の力を!そうすれば、アンタの黒き炎と打ち消しあえるはずよ』
つまり、俺の魔王化の原因はこの黒き炎の力にあるという事か?そして、聖女の力であればそれを打ち消せる……もし、本当にそうだというのなら。
「頼む、聖女セラティナよ。俺に力を貸してくれ」
『むぐ、いきなり真面目になるんじゃないわよ。調子狂うわね……頼まれなくてもその為に幽霊になってまでここにいるんじゃない』
「頼む。そういえば時間を戻したのは魔王化した後だと聖女の力でも打ち消せないからか?」
『そうね、それもあるわ。』
「それも、ということは他にも理由があるからか?」
『ええ、そうよ。聖女の力をあなたに上げるには時間がかかるの。それにあなたの協力も』
なるほど、その為の時間稼ぎに時間を巻き戻したという事か。こんな子供の頃まで戻したのだ、それだけ大変な試練が待っていると考えたほうがよさそうだな。
『ってことで悪行多き根暗魔王ちゃんには善行ミッションを行ってもらいまーす♪』
「……あん?」
誰が根暗魔王だ……いやそれより善行ミッションってなんだ?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2話目になります。
読んでいただきありがとうございます!
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メイドは俺のことが怖いのだろう。体を震えさせながら俺に尋ねてくる。
「いや、なんでもない。そうだな、少し夢見が悪かったのだ。下がれ」
「は、はい、失礼しました」
メイドは勢いよく部屋から出て行った。
『アンタ、メイドさんを怖がらせて何が楽しいのよ?』
「怖がらせてなどいないだろう。別に俺は何もしていない」
『アンタねぇ、そんな怖い顔で睨みつけた上にあんな低い声で下がれなんて言ったら誰だって怖いわよ!』
「この顔は生まれつきだ!それに怖がれているのは顔ではなく俺の力だ」
俺の力……『黒き炎』と呼ばれるこの力は一度炎に襲い掛かられればその対象を燃やし尽くすまで消えない。俺自身ですら一度炎をつけたら消せないのだ。つまり、俺に反感を買い、もしこの炎で攻撃されれば死は免れないという事だ。
誰もが俺を忌避するのは当たり前。機嫌を損ねたら死ぬ。そんな相手と関わりたくないだろう。
『バッカねぇ。アンタやっぱり脳みそ豆腐だわ』
「なんだと!」
『そんなのアンタに信用がないだけじゃない。アンタならそんなことはしないと思ってもらえればあんなに怖がれないわよ!』
「……人を信用など出来るものか。貴様は俺のような力を持っていないからそう言えるのだ」
『何言ってるのよ、私に負けたくせに』
「うぐっ」
そういえば、この女は俺の炎をいとも簡単に消していたな。何度燃やそうと笑いながらこちらに突っ込んできていた。この女の方が化け物では?
『まあでも、希望はありそうね』
「何がだ?」
『なんで私がわざわざアンタをタイムリープさせたと思ってんのよ?』
――――――――タイムリープ?時間を戻したことか?
「一体何の目的でこんなことをした?」
『決まってるでしょう?アンタの魔王化を防ぐためよ』
「なっ……出来るのか?いや、出来るはずがない!」
『出来る出来ないじゃないのよ。やるの』
何を言っているのだコイツは、そんなこと……出来るはずが…いや。
「そうか、魔王になる前の俺を殺すのだな?」
『んなわけないでしょ!それじゃ意味が無いの!』
「意味ならあるだろう、それで魔王は生まれない」
そうだ、魔王が生まれなければこの国は無くならず、父も母もこの国の人も……。
『駄目よ、そもそもなんで未来で私があなたを殺さなかったと思っているのよ』
確かに、未来のあの時俺は負けていた。時間を戻す意味はない。
『アンタの魂は呪われてるの』
「な…に?」
『仮に肉体を殺したところでまた復活する。何度倒しても意味ないのよ』
頭が真っ白になった。つまり俺は、永遠に人を殺し続ける。
いや、たとえすべての人間を殺してもさまよい続けるということだ……あの憎しみと怒りを抱きドス黒い感情だけが溢れかえっていたあの状態で。
『なに落ち込んでんのよ!だから魔王にならなければいんでしょうが!』
「そうだ、今の俺は魔王ではない。なら今の俺が死ねば蘇らないのでは!」
『どうやって?』
「誰かに殺してもらえば!」
『誰が黒き炎のアンタを殺せるのよ?私はいないのよ?』
ぐむ……確かにほとんどの人間は俺を殺そうにも黒き炎が怖くて出来ないだろう。かといってコイツのような人間をやめている規格外の存在は……。
『アンタ、失礼なこと考えてるでしょう人外魔王』
「誰が人外だ!それなら自分で死を選ぶ!」
『アンタ、絶望して自害した結果、魔王に覚醒したって聞いたんだけど?』
そ、そうであった。俺は父に母、そして国民すべての人間に嫌悪されその結果自害を選んだ……それなのになぜ魔王などに……。くそっ、それでは意味がないではないか!……だが、それでは。
「どうすることも出来ないではないか……仮に絶望しなかったとしてもどんなタイミングで魔王になるかもわからん」
『アンタねぇ、私が何も考えていないと思う?わざわざこんな状態になってここにいるのに意味が無いと思っているのかしら?』
「……どういうことだ?」
『アンタに私の力をあげる』
「聖女の力を?」
『そう、この清く美しい私の力を!そうすれば、アンタの黒き炎と打ち消しあえるはずよ』
つまり、俺の魔王化の原因はこの黒き炎の力にあるという事か?そして、聖女の力であればそれを打ち消せる……もし、本当にそうだというのなら。
「頼む、聖女セラティナよ。俺に力を貸してくれ」
『むぐ、いきなり真面目になるんじゃないわよ。調子狂うわね……頼まれなくてもその為に幽霊になってまでここにいるんじゃない』
「頼む。そういえば時間を戻したのは魔王化した後だと聖女の力でも打ち消せないからか?」
『そうね、それもあるわ。』
「それも、ということは他にも理由があるからか?」
『ええ、そうよ。聖女の力をあなたに上げるには時間がかかるの。それにあなたの協力も』
なるほど、その為の時間稼ぎに時間を巻き戻したという事か。こんな子供の頃まで戻したのだ、それだけ大変な試練が待っていると考えたほうがよさそうだな。
『ってことで悪行多き根暗魔王ちゃんには善行ミッションを行ってもらいまーす♪』
「……あん?」
誰が根暗魔王だ……いやそれより善行ミッションってなんだ?
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