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第1章
第8話 急展開
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映画の後、私達はたびたびお店以外で会うようになった。利子ちゃんの捜索会議という名目だったけど、それとは関係なく映画を見たり、ショッピングしたり、食事をしたり。1カ月ほどそんな時間を過ごしていた頃、事態は急展開を迎えた。
その日も利子ちゃんの捜索会議の名目で弁護士と喫茶店で待ち合わせ。少し早く来て待っていると、弁護士が慌てた様子でやってきた。
「これ、見てください」
見てくださいと言わ
れても、例の暗号なので何が書いてあるのか分からない。
「あのうっ?」
と、わからないと目で訴えると、弁護士が
「あっ、〇月〇日〇時、〇倉庫」
と、単語だけを事務的に並べた文章を読み上げた。
〇日って明後日じゃないですか。
私の戸惑いなど神様には爪の垢ほどの意味もないのか、と、天に向かって暴言を吐く余裕もなく、明後日が今日になり、私はなぜか弁護士の車に乗って〇倉庫に来ていた。
こんな状況でも2人で車に乗っていることにドキドキしてしまう心臓を戒めるのが大変だった。
が、ここへ来て、事の重大さに改めて震えが来る。
「あ、あの、今更なんですが、こういうことは警察にお任せしたほうが」
「そのほうがよければ彼女がそうしているはずです。そうできないのはそうできないわけがあるからです」
なんかすごい信頼度なんだけど。なんでそんなこと言いきれるんだろうか。この感情が不安なのか嫉妬なのか、それとも別の感情なのか、自分で判断できないまま、事は進んでいた。
「 あの☆のマークのある倉庫です。月の方向に☆が光ったら飛び込みます」
「と、飛び込むって、どうやって」
と言い終わらないうちに☆が光り、弁護士はすごい速さで倉庫に向かって走り、銃でシャッターをぶち破って中に入っていった。
うん、銃? なんで持ってんのー?
すごい物音がしたと思ったら数秒して、弁護士が倉庫の中から私を見て手招きした。
恐る恐る行ってみると、中には利子ちゃんと縛られた数人の年若い女性と倒れてる男性数人がいて、利子ちゃんが女の子たちの縄をほどいてた。
「もう、自分で逃げられただろう。そもそもなんで捕まってんだよ」
「馬鹿ね、わざと捕まったに決まってるでしょ。この子たちを助けて、こいつら使って組織ごとぶっ潰すのよ」
「そ、組織って?」
もう、頭がパニック過ぎて何から聞けばいいのか分からないけど、まず聞いたことから聞くしかない。
「ま、売春の人身売買屋さんね」
すごーく軽くすごいことを言われて、耳と頭と心が一緒に動いてくれない。これを人はパニックと呼ぶのだろうか・・・。
ああ、夢だと思いたい。
「あの、この人たち死んでるんですか」
今、何を聞いて何をするべきなのか、この状況でその答えを正確に出せる一般人はこの星の中に何人いるだろう。
「生きてるわ。正確に言うと仮死状態」
「この人たち、どうなるんですか」
利子ちゃんがちらっと弁護士を見て、2人が目で会話してから、弁護士が意を決して話はじめた。
「基地に連れて行って、魂を入れ替え、地上に戻し、我々の任務をサポートしてもらう」
(?????????? !!!!!!! 基地ってなんの? 任務ってどんな? あなた達何者なのお!!!)
いや、冗談かな、冗談だよね。
「あはは、こんな時に冗談言えるなんてさすがですねえ」
そりゃあ、信じないよな、と表情で答えながら弁護士が空を指さした。指の先に見えたのは、私がいわゆるUFOとして認識している物体。
そして弁護士が倒れている男たちをさっきの銃で浮き上がらせ、UFOの下へ移動させると、UFOから光が出て、男たちをUFOの中に吸い込んでいった。
ああ、映画やテレビで見たことのある映像が現実に目の前で起こっているという非現実的な状況に、自分さえも虚像なのではという錯覚のアクアチューブの中で転がされているような気分になった。
その日も利子ちゃんの捜索会議の名目で弁護士と喫茶店で待ち合わせ。少し早く来て待っていると、弁護士が慌てた様子でやってきた。
「これ、見てください」
見てくださいと言わ
れても、例の暗号なので何が書いてあるのか分からない。
「あのうっ?」
と、わからないと目で訴えると、弁護士が
「あっ、〇月〇日〇時、〇倉庫」
と、単語だけを事務的に並べた文章を読み上げた。
〇日って明後日じゃないですか。
私の戸惑いなど神様には爪の垢ほどの意味もないのか、と、天に向かって暴言を吐く余裕もなく、明後日が今日になり、私はなぜか弁護士の車に乗って〇倉庫に来ていた。
こんな状況でも2人で車に乗っていることにドキドキしてしまう心臓を戒めるのが大変だった。
が、ここへ来て、事の重大さに改めて震えが来る。
「あ、あの、今更なんですが、こういうことは警察にお任せしたほうが」
「そのほうがよければ彼女がそうしているはずです。そうできないのはそうできないわけがあるからです」
なんかすごい信頼度なんだけど。なんでそんなこと言いきれるんだろうか。この感情が不安なのか嫉妬なのか、それとも別の感情なのか、自分で判断できないまま、事は進んでいた。
「 あの☆のマークのある倉庫です。月の方向に☆が光ったら飛び込みます」
「と、飛び込むって、どうやって」
と言い終わらないうちに☆が光り、弁護士はすごい速さで倉庫に向かって走り、銃でシャッターをぶち破って中に入っていった。
うん、銃? なんで持ってんのー?
すごい物音がしたと思ったら数秒して、弁護士が倉庫の中から私を見て手招きした。
恐る恐る行ってみると、中には利子ちゃんと縛られた数人の年若い女性と倒れてる男性数人がいて、利子ちゃんが女の子たちの縄をほどいてた。
「もう、自分で逃げられただろう。そもそもなんで捕まってんだよ」
「馬鹿ね、わざと捕まったに決まってるでしょ。この子たちを助けて、こいつら使って組織ごとぶっ潰すのよ」
「そ、組織って?」
もう、頭がパニック過ぎて何から聞けばいいのか分からないけど、まず聞いたことから聞くしかない。
「ま、売春の人身売買屋さんね」
すごーく軽くすごいことを言われて、耳と頭と心が一緒に動いてくれない。これを人はパニックと呼ぶのだろうか・・・。
ああ、夢だと思いたい。
「あの、この人たち死んでるんですか」
今、何を聞いて何をするべきなのか、この状況でその答えを正確に出せる一般人はこの星の中に何人いるだろう。
「生きてるわ。正確に言うと仮死状態」
「この人たち、どうなるんですか」
利子ちゃんがちらっと弁護士を見て、2人が目で会話してから、弁護士が意を決して話はじめた。
「基地に連れて行って、魂を入れ替え、地上に戻し、我々の任務をサポートしてもらう」
(?????????? !!!!!!! 基地ってなんの? 任務ってどんな? あなた達何者なのお!!!)
いや、冗談かな、冗談だよね。
「あはは、こんな時に冗談言えるなんてさすがですねえ」
そりゃあ、信じないよな、と表情で答えながら弁護士が空を指さした。指の先に見えたのは、私がいわゆるUFOとして認識している物体。
そして弁護士が倒れている男たちをさっきの銃で浮き上がらせ、UFOの下へ移動させると、UFOから光が出て、男たちをUFOの中に吸い込んでいった。
ああ、映画やテレビで見たことのある映像が現実に目の前で起こっているという非現実的な状況に、自分さえも虚像なのではという錯覚のアクアチューブの中で転がされているような気分になった。
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