幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城

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魔族の襲来②

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 魔族が現れたのはまだ日が昇る前に俺たちが馬車に乗り村を出ようとしたその時だった。
 後ろの村では大きな爆発音と共に1軒の家が四散した。

「!? なんだ今の!?」
「……え?」
「何が起こった!?」

 馬車から降りて村に戻った。
 そこで見た光景を僕は一生忘れないだろう。
 爆発した一軒目から左右の家に炎が燃え移っている。その時、偶々起きていた少女が外に出ていてその子だけ爆発に巻き込まれずに済んでいた。だからこそ、大きな声で泣いていた。その隣では弟と思える少年が今にも走り出そうとしていた。それを、大人の男性が必死に止めていた。

「お父さんが!! お母さんが!! まだ中にいるの!!」
「分かった! 分かったから、止まれ!! 止まるんだ!!」
「離してよ! 助けるんだ!! 僕が……!!」

 今すぐにでも助けに行きたいが、至る所で爆発が起きていてその子を助けることが出来ない。
 それに、未だに魔法が使えないから消化も出来ない。ってか、カリーナどこ行った?

「ごめん、そこ良い」
「誰だお前?」
「私? 私は……」
「あー!! カリーナ! ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁ!」

 あ、危ない。急に居なくなったと思ったら、勇者であることをばらされるところだった。

「どうしたの? そんなに、急いで」
「いやいや、違うじゃん。カリーナ、それは違うじゃん」
「? 何、良く分からないこと言ってるの? それより、早く助けないと」

 そう言って、カリーナは目の前の建物に向き直った。
 次の瞬間、大量の水が現れて火が消えた。

 それでも、大量の瓦礫が邪魔をして助けに行けない。
 近くにいた大人の男性が瓦礫を動かそうとするが、ビクともしない。

「おじさん、どいて」

 リュクスが手のひらを下に向けて、ゆっくりと握った。その瞬間、そこにあった瓦礫が一瞬で消え去った。

「ほら、これで良いだろう?」
「お、お父さん!! お母さん!!」

 少年は、そこに倒れこんでいる両親のもとに駆け出した。
 息はしているようで、泣いて喜んでいた。やけどだけで済んだのは不幸中の幸いだった。
 
「ケケケ。さてさて、魔王は何処かな?」

 その声は突然空から聞こえた。みんなが空を見るとそこには黒い魔族が飛んでいた。

「……お前が!! お前がやったのか!?!?」

 村人の1人がその魔族に向かって叫んだ。

「あ? うるせぇな」

 魔族はその村人の方向を見て、手を横にスライドするとその村人の首が地面に転がった。
 その光景に、村人たちは恐怖で体が震えてその場から動けなくなった。

「なぁ? お前たちここに魔王居ないか?」

 その魔族の言葉に誰も答える事は出来なかった。それはそうだ、魔王は魔王城で勇者を待つ存在で、そんな人をただの村人であるこの人たちが知ることは無い。そんな存在を知ってるか聞かれても困るというもんだ。

「あぁ? 知らないのか? じゃ、死ね」

 その魔族が手を空に向けた。すると、掌の少し上に3匹の炎の蛇が現れた。

「燃やし尽くせ。『火炎三蛇ドライスネーク』」

 3匹の炎の蛇は意志があるかのように村人たちに向かって動き出した。

「カリーナ!! リュクス!!」
「分かってる!!」
「……あ、あぁ」

 それぞれが一体の炎の蛇を倒せば被害はもう広がらない。筈……。

 一体目の炎の蛇が向かったのは村の重要な食料が保管されている食糧庫だった。そこには身を潜めていた村人たちが居た。そこにはカリーナが向かった。

「これ以上、村人たちは殺させない!」

 食糧庫の前にカリーナが立ち塞ぐと炎の蛇は動きを止めた。

「相手は、私だよ」

 カリーナは魔力で剣を作り出し蛇に向かって構えた。カリーナの準備を待っていたかの様に蛇はカリーナに向かって動き始めた。

 もう1匹の炎の蛇は家が密集している住宅地に向かった。そこには、逃げ遅れた人たちが集まっていた。そこに向かったのはリュクスだ。槍をくるくると回しながら蛇の前に立った。

「フォレスには敵わないんでね。逆らえないんだよ。死ねよ、駄蛇」

 炎の蛇は大きな口を開けてクリュスに襲いかかった。

 最後の炎の蛇が向かったのは、村長の家だった。

「なんだあれは!?」
「炎が……炎が迫って来る!?」
「お前たち逃げろ!! みんなも連れて行け!!!」
「そんな!? 父さんは!?!?」
「俺は、あれをどうにかする!」
「どうにかって、どうするのよ!? 父さんは強くないじゃない!!」
「うるさい!! いいから逃げろ!!! 妻を……よろしく頼む」

 炎の蛇が口を開けて村長、そして、妻と娘も一緒に炎に呑まれた。
 そう思えたが、間一髪で間に合った。

「お前は!? あの時の……」
「貴方たちは早く逃げて下さい!」
「そんな事……出来るわけないだろ! 大事な村なんだ!!」
「分かってます! だから、これ以上被害を出さない為に逃げて下さい!! 他に二箇所もこんな蛇に攻撃されてるんです。それに、その魔法を使った奴は上から村を見てるんだ。村の人たち全員逃げてください!」
「いや、しかし……」
「早く!! 村の人たちを死なせたいんですか!?!?」
「わ、分かった!!」

 そして、村長一家はみんなを集める為に走り出した。
 それから、数分間その炎の蛇の攻撃をいなして、時間を稼いだ。村長たちが村の人たち全員逃がして一か所に集めたことを確認して今仕える魔法を使った。

「さて、出し惜しみはいけないよな。『鉄壁』」

 そう言うと、村人たちの身体が緑色に光った。

「よし、これで一応村人のみんなは大丈夫だな。さて、やろうか。蛇」

 そして、それぞれがそれぞれの炎の蛇と勝負を始めた。
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