幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城

文字の大きさ
93 / 147

魔王軍襲来⑤

しおりを挟む
 エルフの森居住区
 リルーゼ率いるエルフvs魔王軍兵士

「急いで、我! 足をもっと速く動かすの!」

 リルーゼはフォレスと別れて急いで前線まで戻ってきていた。
 エルフの森自体そこまで広い場所ではないので、三分ほど全力で走ったら前線に戻ることが出来た。

「!! リルーゼ様!」
「長よ!」
「状況を報告いたします!」

 現在、エルフの民たちの状況は酷いものだった。
 何百年と戦ってこなかったエルフの民たちがいきなり、弓を持ちナイフを持って敵と戦えるかと問われれば首を横に振るしかない。
 そして、今の今まで指揮官が居なかった。
 居ないわけではないが、誰も年老いていて上から降りることすら出来ない。

「敵の数は一万と予想。こちらは三百、その内、一割が重症、二割が軽症。敵は居住区前まで敵は攻めてきています」
「そうか、分かった。回復魔法を使えるものは負傷者の手当てに回れ! それ以外は我に付いてこい!」

 今全線で戦っている者たち以外に後方で待機してくれていた民を連れて前線に向かった。その間に、戦闘の指示を出す。

「オドント隊とグロッサム隊に別れて、左右からの攻撃をお願い。アヤメとアルメリヤは我に付いてこい」
「「はい!!」」

 エルフの居住区前では激しい戦闘が行われていた。
 エルフたちはその長い耳の特徴である聴覚でリルーゼたちが応援に来たことを理解していた。
 まだ、リルーゼたちが到着したことに気が付いていない魔王軍は入り口を突破するのに必死だった。

「行けーーー!! エルフの森を焼き尽くすのだ!!!」

 敵の指揮官がそう叫ぶと、士気を上げた魔王軍との混戦が激化した。
 その時、リルーゼは腕を振り上げて思いっきり振り下ろした。
 左右に展開していたエルフたちが矢を放った。
 エルフたちは綺麗な身のこなしで飛んできた矢を避けるが、魔王軍はいきなり放たれた矢に驚き次々と倒れて行く。

「弓兵だと!?!? 今まで、何処に隠れていた!!」
「アヤメ、アルメリヤ、出番だよ。敵の指揮官を打ち取りな!!」
「「はい!!」」
「第二射用意!! 放て!!!」

 第二射が放たれると同時にアヤメとアルメリヤが走り出した。
 飛んでくる矢を避けながら敵の首をナイフで切り落とす。そんな離れ技を行いながら指揮官に近づいていく。

「く、来るな!! あ、あの二人を止めろ!!」
「第三射用意!! 放て!!」
「「「う、うわあああああああ」」」

 そして、アヤメとアルメリヤは同時に指揮官まで辿り着き、首を刎ねた。

「無念」

 そう言って、敵の指揮官は死んでいった。

「想像以上だな。負傷者を集めて後ろに運べ!! 生き残りは捕らえろ」

 その時だった。リルーゼが懐かしいと同時に憎悪を沸き上がらせる魔力がエルフの森を覆いだした。

「この魔力……!? まさか、姿が変わって分からなかったが、あいつだったのか!?!?」

 遥か昔、リルーゼが産まれたままの体を媒体に使っていた時のこと……。

「こ、こ、が、も、り……も、や、す」

 まだ、言葉もまともに喋れない『ヘルヘイム』が攻めてきたことがあった。
 あの時は、魔王に忠誠を誓い、命令によっては命を捧げる命令にただ従う精霊だった。
 それが、自分の意志でこの森を燃やしに来るなんて……あの時の失敗を今でも覚えているのか。

 リルーゼが勇者であるカリーナが戦っている場所に向かう途中、見てはいけないものを見た。

「!?!? ……うそ、森が燃えてる」

 そこには、赤黒い炎が燃え広がっている森の光景だった。
 近くには、若いエルフたちが水魔法で消火作業に入っているが、水を掛けると一瞬で蒸発して消火作業など無意味だった。

「お前たち!!」
「お、長!!」
「ここで、何している、早く非難しろ!」
「し、しかし、この火を止めなければ、私たちの森が燃えてしまいます!」
「そうですよ、僕たちがこの森を護るんです!!」

 若いエルフたちのその言葉に、リルーゼは涙腺が緩んでいた。

「お前たちみたいな若い奴らは、外に出たがっているとばかり思っていたが、ちゃんとこの森を愛していたんだな」
「当たり前ですよ」
「だってここは、唯一無二の僕たちの故郷ですから。無くすわけにはいきません」
「そうか……だが、お前たちは一刻も早く非難しろ。この炎は普通の炎じゃない。地獄の精霊『ヘルヘイム』の炎だ。奴を倒さない限りはこの炎は消すことが出来ない。安心しろ、レイを含む勇者たちが『ヘルヘイム』と対峙している筈だ」
「勇者様が……分かりました」
「長は、何処に行くんですか?」
「我も、あいつを倒すためにひと肌脱ごうかと思ってな、お前たち、気を付けて行くんだぞ、捕らえきれていない魔族が居る可能性があるからな」

 そこで消火作業を行っていたエルフたちを後ろに逃がして、リルーゼは『ヘルヘイム』の元に向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!

飼猫タマ
ファンタジー
貧乏準男爵家の三男トト・カスタネット(妾の子)は、13歳の誕生日に貴族では有り得ない『握手』スキルという、握手すると人の名前が解るだけの、全く使えないスキルを女神様から授かる。 貴族は、攻撃的なスキルを授かるものという頭が固い厳格な父親からは、それ以来、実の息子とは扱われず、自分の本当の母親ではない本妻からは、嫌がらせの井戸掘りばかりさせられる毎日。 だが、しかし、『握手』スキルには、有り得ない秘密があったのだ。 なんと、ただ、人と握手するだけで、付随スキルが無限にゲットできちゃう。 その付随スキルにより、今までトト・カスタネットの事を、無能と見下してた奴らを無意識下にザマーしまくる痛快物語。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

最弱Sランク冒険者は引退したい~仲間が強すぎるせいでなぜか僕が陰の実力者だと勘違いされているんだが?

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
冒険者のノエルはSランクパーティーの荷物もちだった。 ノエル自体に戦闘能力はなく、自分のことを足手まといだとすら思っていた。 そして、Sランクになったことで、戦うモンスターはより強力になっていった。 荷物持ちであるノエルは戦闘に参加しないものの、戦場は危険でいっぱいだ。 このままじゃいずれ自分はモンスターに殺されてしまうと考えたノエルは、パーティーから引退したいと思うようになる。 ノエルはパーティーメンバーに引退を切り出すが、パーティーメンバーはみな、ノエルのことが大好きだった。それどころか、ノエルの実力を過大評価していた。 ノエルがいないとパーティーは崩壊してしまうと言われ、ノエルは引退するにできない状況に……。 ノエルは引退するために自分の評判を落とそうとするのだが、周りは勘違いして、ノエルが最強だという噂が広まってしまう。 さらにノエルの評判はうなぎのぼりで、ますます引退できなくなるノエルなのだった。 他サイトにも掲載

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...