地の底から這い上がる

海月 結城

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地上

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ここから物語は大きく動き出す。
ーーーーー
 ダンジョンを出ると、目の前にはボロボロに壊れた神殿のようなところに出た。

「どこだここ?」
『我にも分からないな』
「そっか。まぁいいか。さ、俺たちをこんな事にした奴とそれに関わった全ての関係者に復讐を始めよう」

 それから少し歩くと何か呻き声が聞こえた。

「こっちからだ」
『ちょっと、何処に行く⁉︎』
「聞こえないのか? この声が?」
『……声? 我には何も聞こえないが?』
「え? なんか、泣いてるような声、聞こえない?」
『いや、聞こえないが』
「こっちからだ」

 呻き声?が聞こえる方向に進んでいくと、そこには小さな女の子が泣いているのを見つけた。

「君、大丈夫?」

 そこで泣いていたのは頭からツノを生やし、黒い翼、そして尻尾をヘニャヘニャにした悪魔だった。

「え? その声」

 なんと悪魔はいきなり俺に抱きついてきた。

「あー、久しぶりだ~」
「え、え⁉︎ なんで⁉︎ みいな⁉︎」
「うへへ~」

 そこに居たのは俺の妹、みいなだった。

「な、なんでお前が、こんなところに居るんだよ」
「えへへ、お兄ちゃんが居なくなっちゃったか世界なんてある意味ないから、自殺したら誰もいないこんな森に居たら、寂しくて泣いてたんだ。そしたらお兄ちゃんが助けに来てくれたんだ」
「なんか、凄いことを言ってた気がするけど、気にしないでおこう」
「そうだ。お兄ちゃんはどうしてこんなところに居るの?」

 今までのことを話した。

「は? 何そいつら、潰すわ」
「ちょっと待て、ちょっと待て。そいつらは俺がやるからみいなは手を出さないでくれ」
「う~、分かったよ」
「で、みいなのその姿はいったい」
「実はね、私サキュバスなんだ」
「まじで?」
「まじよ。私さ地球にいた頃、凄く人気だったでしょ?」
「そうだな」
「私の身体からそういうものが出てて、みんな私にメロメロだったんだよ。他にも色々あったけど、お母さんもお父さんも、お爺ちゃんもお婆ちゃんも人間では無かったんだよ」
「え? って事は俺は?」
「あ、お兄ちゃんは外見は人間だけど。中が分からないんだよね」
「え? どういう事?」
「んー、私たちにも分からなかったんだよね。ま、その内わかると思うよ」

 その後の話し合いで、ルガーノを紹介して、ほんの数秒で仲良くなっていた。

「みいなも一緒に来るだろ?」
「もちろん! あ、ルノ、後で私が居なかった時のお兄ちゃんのこと教えてね」
『良いぞ』

 新たにみいなが仲間に加わり次の街に向けて出発した。

「ルガーノ。「地図」」

 ルガーノに触れてそう言うと、目の前に自分を中心に半径二十キロの範囲の地図が現れた。

「ここから、一番近いのはえっと~」
「お兄ちゃん。ここだよ」
「お、そうだな。えっと名前が魔国ゾナンか。魔国?」
『そこは、魔王がいるところじゃないか』
「え、そうなの?」
『勇者の最終到着地点だな』
「へー。今勇者達は何してるんだろうな? ま、いっか。そこに行こうぜ」

 それから数時間で魔国ゾナンには到着した。だが、何故か空気がピリピリとしていた。

「おい、そこのお前ら止まれ」

 俺たちが門のところに近づくと、槍を持った二足歩行の狼が近づいてきた。

「旅をしてる最中で、ここに立ち寄ったんですけど」

 俺がそう言うと、そいつはこう言ってきた。

「それが真実か俺には知ることが出来ないんでね。ここから先には行かせないぞ」
「さっきから門の中が騒がしいが何かあったのか?」
「そんなことも知らないのか? お前もしかして人間か?」
「旅をしていたからな。分からないことだらけでな。そして、俺は人間だ」
「そうか。人間か。ならここで死んでもらおうか」
「物騒過ぎないですか?」
「しょうがないだろう。今勇者が魔王城に侵入しているんだ。これが物騒以外の何者でもないだろう?」

 俺はその言葉に驚きを隠せないでいた。

「魔王は、勇者にやられるのか?」
「いや、無理だろうな。勇者達は運が良かっただけであそこまで辿り着いている。門がたまたま開いていたり、門番が寝てたり、色々な偶然が重なっただけだ。だが魔王様はあんな奴らに負けるほど弱くない。一瞬チラ見したが、俺よりも弱そうな奴らだったからな。魔王様によって殺されるだろう」
「っまじ?」
「ああ」
「そっか。すまん」

 それだけを言い残し、そいつを気絶させた。

「すまんな。勇者は俺が殺さなきゃ行けないんだ。魔王には殺させない」

 そして、俺は魔王城に侵入しにいくのだった。
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