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主神
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「主神様方の情報は非常に少ないのです。 二の主神様のでしたらほかの方々に比べれば多いのですが……それでもあまり参考にはならないかと」
「情報を落とすのは弱みを晒すのと同義だと考える人は多いしね、それが権力者であればなおのことでしょ……それでも人であればどこからか漏れるものだけど、やっぱり神様ともなると変わってくるか……いいよ、ひとまず知ってることを教えてくれる?」
頷いて二の主神様について話し始めたロエナを見つめる。
金の髪に、緑の瞳。 僕と同じ、けれど僕のそれよりも濃い色。
僕がこの姿を作り上げるときに傍にいたのがロエナだったから、僕は彼女と同じような色合いを無意識のうちに選んだのかもしれないな。
あの時僕のそばにいたのが別の人だったなら、例えばガラハであったのなら、僕は彼のように青い髪に黒色の瞳になっていただろうか。
……ああ、いや、それは無いな。 なぜだろう。 酷く違和感がある。
それが別の色であっても、青と黒ではない別の色だと考えても、やっぱり違和感がある。
僕は、こうでなくてはならない。 この姿でなくては。
何故だかわからないが、強くそう思った。
「……と言ったところですかね。 あまり情報を出せずに申し訳ありません」
「そんなことないよ、情報がないって言うのも立派な情報だしね」
しかしそれにしても少ない。
見た目も性別もおおよその年齢すらも不明。
それでも主神の中ではかなり他の神との交流は多い方らしい。 ただ毎回姿が違う性別すらもそれどころか人でない姿の時もあるらしい。
わかっているのは話好きで気さくな性格の方であること。
自分のことは話さないのに他者の情報は異常なほど持っており、人に情報を話させるのが得意。 そしてその情報から相手の行動を読むことに長けている。
そのくらい。
「あってみれば少しはその核に触れることもできるかな」
「俺のこと?」
背後から聞こえた声に驚いて振り向く。
聞き覚えの無いはずの男の声。 それなのになぜだろう、僕はこの声を聞いたことがある気がする。
けれど振り返った先に居たのはやはり見たことが無い男で、この容貌には引っ掛かりすら感じないから確実に見たことは無い。
もっともこの姿もまた、仮初めのものにすぎないのかもしれないが。
このタイミング、そしてこんな簡単に他人の神域……揺り籠ではあるが、そこに侵入できる人物ならば、その特定は容易い。
二の主神、その人に違いないだろう。
「だーい正解! 俺の名前はレイン、恐れ多くも三の主神という尊位を戴いております。 以後お見知りおきを」
仰々しく片膝を付き敬意を表すように一礼をする。
今目の前にいる彼の見た目は、とりとめの無い、凡庸とか言いようのない容姿なのに、不可解なことにどことなく視線を引き付ける魅力があるように感じられた。
レインと名乗った彼はニコニコと微笑みながらこちらを見ている。
というか待て、今彼聞き捨てならないことを言わなかったか?
三の神?
まって、それだと―
ぐわりと、目が回るような衝撃が脳に走る。
記憶。私が、暗い道を歩いている、ここに来る、来た時の記憶。
そうだ、私は彼に会っている。
この声を、あの廻廊で聞いた。
でも、駄目だ、全部を思い出すことが出来ない。
相変わらず生前の記憶は一切戻らないし、あの廻廊での記憶の一部も、霞がかかっているかのようにぼんやりしている。
誰かに、会ったような気がするのに。 大切だった、誰かに。
「あなたに、廻廊で会いました……そうだ、あなたが神の回廊と言っていた、あの場所で……でも、何かを忘れているようで……」
「……まぁ、ちょっとイレギュラーがあったからね。 生前の記憶に関することは羽化が来ないと戻せないから、今の状態が正常さ」
彼はそう言って、肩をすくめた。
その仕草は少しだけ子供っぽくて、なんだか親しみやすい印象を受ける。
「イレギュラー?」
「気にしないで、羽化が終われば自然と思い出す。……まあ、その肝心の羽化に時間がかかりそうなのが気になるところだけどさー」
「情報を落とすのは弱みを晒すのと同義だと考える人は多いしね、それが権力者であればなおのことでしょ……それでも人であればどこからか漏れるものだけど、やっぱり神様ともなると変わってくるか……いいよ、ひとまず知ってることを教えてくれる?」
頷いて二の主神様について話し始めたロエナを見つめる。
金の髪に、緑の瞳。 僕と同じ、けれど僕のそれよりも濃い色。
僕がこの姿を作り上げるときに傍にいたのがロエナだったから、僕は彼女と同じような色合いを無意識のうちに選んだのかもしれないな。
あの時僕のそばにいたのが別の人だったなら、例えばガラハであったのなら、僕は彼のように青い髪に黒色の瞳になっていただろうか。
……ああ、いや、それは無いな。 なぜだろう。 酷く違和感がある。
それが別の色であっても、青と黒ではない別の色だと考えても、やっぱり違和感がある。
僕は、こうでなくてはならない。 この姿でなくては。
何故だかわからないが、強くそう思った。
「……と言ったところですかね。 あまり情報を出せずに申し訳ありません」
「そんなことないよ、情報がないって言うのも立派な情報だしね」
しかしそれにしても少ない。
見た目も性別もおおよその年齢すらも不明。
それでも主神の中ではかなり他の神との交流は多い方らしい。 ただ毎回姿が違う性別すらもそれどころか人でない姿の時もあるらしい。
わかっているのは話好きで気さくな性格の方であること。
自分のことは話さないのに他者の情報は異常なほど持っており、人に情報を話させるのが得意。 そしてその情報から相手の行動を読むことに長けている。
そのくらい。
「あってみれば少しはその核に触れることもできるかな」
「俺のこと?」
背後から聞こえた声に驚いて振り向く。
聞き覚えの無いはずの男の声。 それなのになぜだろう、僕はこの声を聞いたことがある気がする。
けれど振り返った先に居たのはやはり見たことが無い男で、この容貌には引っ掛かりすら感じないから確実に見たことは無い。
もっともこの姿もまた、仮初めのものにすぎないのかもしれないが。
このタイミング、そしてこんな簡単に他人の神域……揺り籠ではあるが、そこに侵入できる人物ならば、その特定は容易い。
二の主神、その人に違いないだろう。
「だーい正解! 俺の名前はレイン、恐れ多くも三の主神という尊位を戴いております。 以後お見知りおきを」
仰々しく片膝を付き敬意を表すように一礼をする。
今目の前にいる彼の見た目は、とりとめの無い、凡庸とか言いようのない容姿なのに、不可解なことにどことなく視線を引き付ける魅力があるように感じられた。
レインと名乗った彼はニコニコと微笑みながらこちらを見ている。
というか待て、今彼聞き捨てならないことを言わなかったか?
三の神?
まって、それだと―
ぐわりと、目が回るような衝撃が脳に走る。
記憶。私が、暗い道を歩いている、ここに来る、来た時の記憶。
そうだ、私は彼に会っている。
この声を、あの廻廊で聞いた。
でも、駄目だ、全部を思い出すことが出来ない。
相変わらず生前の記憶は一切戻らないし、あの廻廊での記憶の一部も、霞がかかっているかのようにぼんやりしている。
誰かに、会ったような気がするのに。 大切だった、誰かに。
「あなたに、廻廊で会いました……そうだ、あなたが神の回廊と言っていた、あの場所で……でも、何かを忘れているようで……」
「……まぁ、ちょっとイレギュラーがあったからね。 生前の記憶に関することは羽化が来ないと戻せないから、今の状態が正常さ」
彼はそう言って、肩をすくめた。
その仕草は少しだけ子供っぽくて、なんだか親しみやすい印象を受ける。
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「気にしないで、羽化が終われば自然と思い出す。……まあ、その肝心の羽化に時間がかかりそうなのが気になるところだけどさー」
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