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15話 あなたの心を知りたい5
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カフェでレヴィは珈琲を注文し、エリンは季節のケーキセットを注文した。
レヴィが珈琲を飲んで、エリンは桃のケーキを食べる。
端正な顔立ちで珍しい紅の瞳を持つレヴィは、カフェの女性客の注目を集めていた。桃のケーキを食べることに集中していたエリンは、途中で隣の席の女性がレヴィをうっとり見ていることに気づいて不愉快になる。
(レヴィ様って本当に見た目はいいんだから! 何よ! いつもは婚約者に塩対応で実は耽美派の詩人が大好きなのよ!)
いらいらしている自分にエリンははっと気づく。
(私、もしかしてレヴィ様のことが好き?)
嬉しそうに桃のケーキを食べていたエリンの手が止まっていることにレヴィの目に留まる。
「エリン、どうした?」
レヴィの声にエリンは動揺する。
レヴィは、エリンのことが好きだ。心の中であれだけ好きだ、可愛いと言われているのだからエリンがレヴィを好きになるのは自然の流れだ。エリンの青の瞳がレヴィの紅の瞳と出会う。ボン!とエリンの顔が真っ赤になった。そして、レヴィの瞳から視線を逸らすと顔を俯かせる。
「……エリン?」
まだデートに慣れない美男美女のカップルが互いを意識しているのが傍目には微笑ましく映る。気づいていないのは当の本人たちだけ。
「こ、この桃のケーキ、美味しいです」
エリンは誤魔化すようにケーキを口に入れ、頬張る。
その婚約者の可愛らしい様子にレヴィがふっと微笑んだ。
(か、可愛い! レヴィ様が笑うとこんなに可愛いんだ!)
恋する乙女は無敵である。恋愛フィルターを通して相手を見るので、相手が良く見える。
「そんなに美味しいんだ」
「た、食べますか?」
エリンがケーキをフォークで取り分けると、フォークを差し出す。レヴィは、エリンが差し出した桃のケーキを口に入れると、また笑う。
「うん。美味い」
エリンの思考が停止した。
(ど、どうしよう。レヴィ様が可愛すぎて、見ていられない。尊い!)
レヴィが自分の差し出した桃のケーキを食べたのだ。
(や、やばい。これは恋人たちがするあーんという儀式!)
動揺したエリンは、自分の世界がぐるぐる回っていることに気づかない。
エリンの視界が暗転する。
さっきまで美味しそうに桃のケーキを食べていたエリンが倒れた。
レヴィは、慌ててエリンに近づくと、さっと抱き上げた。
意識のないエリンは、お人形のようで。
レヴィは心配で胸が張り裂けそうだった。
エリンは目を覚ました。
ソファに寝かされていて、横にレヴィが座っている。
「あ……」
いつもの心読みの薬を飲んだ副作用だ。最近は少なめに飲んでいたから倒れなかったが、今回はレヴィとのデートということで薬を多めに飲んでいたのだ。
顔を上げると心配そうな顔をしたレヴィと視線が合う。
「ここは?」
「カフェの従業員室だ。エリンが倒れたから貸してくれた」
少し青ざめた表情のレヴィは、エリンを凝視する。
「あ、また倒れちゃった……。ごめんなさい」
エリンの言葉を受けて、レヴィは怖い顔をする。
「エリン、俺の前でも二回倒れているだろう。まさか、それ以外にも倒れたのか?」
エリンはレヴィの科白にぎょっとした表情をする。
「あ、えーと」
「倒れたんだな」
ふうとレヴィは嘆息する。
「体調が悪いなら無理して今日来なくても」
「だって……レヴィ様とデートの約束できたから、嬉しくて!」
思わず自分の本音を漏らしたエリンは、自分の口を両手で押さえる。
「え……」
エリンから想いを寄せられているとは思いもしなかったレヴィは、驚愕する。
その紅の瞳を困惑の色に染め上げた。
「私はレヴィ様が好きです。私の気持ち、迷惑ですか?」
青の瞳を潤ませて、エリンはレヴィに問いかけた。
心読みの薬が切れたのだろう、レヴィの心の声は聴こえない。
レヴィの表情から感情が読み取れない。
レヴィが珈琲を飲んで、エリンは桃のケーキを食べる。
端正な顔立ちで珍しい紅の瞳を持つレヴィは、カフェの女性客の注目を集めていた。桃のケーキを食べることに集中していたエリンは、途中で隣の席の女性がレヴィをうっとり見ていることに気づいて不愉快になる。
(レヴィ様って本当に見た目はいいんだから! 何よ! いつもは婚約者に塩対応で実は耽美派の詩人が大好きなのよ!)
いらいらしている自分にエリンははっと気づく。
(私、もしかしてレヴィ様のことが好き?)
嬉しそうに桃のケーキを食べていたエリンの手が止まっていることにレヴィの目に留まる。
「エリン、どうした?」
レヴィの声にエリンは動揺する。
レヴィは、エリンのことが好きだ。心の中であれだけ好きだ、可愛いと言われているのだからエリンがレヴィを好きになるのは自然の流れだ。エリンの青の瞳がレヴィの紅の瞳と出会う。ボン!とエリンの顔が真っ赤になった。そして、レヴィの瞳から視線を逸らすと顔を俯かせる。
「……エリン?」
まだデートに慣れない美男美女のカップルが互いを意識しているのが傍目には微笑ましく映る。気づいていないのは当の本人たちだけ。
「こ、この桃のケーキ、美味しいです」
エリンは誤魔化すようにケーキを口に入れ、頬張る。
その婚約者の可愛らしい様子にレヴィがふっと微笑んだ。
(か、可愛い! レヴィ様が笑うとこんなに可愛いんだ!)
恋する乙女は無敵である。恋愛フィルターを通して相手を見るので、相手が良く見える。
「そんなに美味しいんだ」
「た、食べますか?」
エリンがケーキをフォークで取り分けると、フォークを差し出す。レヴィは、エリンが差し出した桃のケーキを口に入れると、また笑う。
「うん。美味い」
エリンの思考が停止した。
(ど、どうしよう。レヴィ様が可愛すぎて、見ていられない。尊い!)
レヴィが自分の差し出した桃のケーキを食べたのだ。
(や、やばい。これは恋人たちがするあーんという儀式!)
動揺したエリンは、自分の世界がぐるぐる回っていることに気づかない。
エリンの視界が暗転する。
さっきまで美味しそうに桃のケーキを食べていたエリンが倒れた。
レヴィは、慌ててエリンに近づくと、さっと抱き上げた。
意識のないエリンは、お人形のようで。
レヴィは心配で胸が張り裂けそうだった。
エリンは目を覚ました。
ソファに寝かされていて、横にレヴィが座っている。
「あ……」
いつもの心読みの薬を飲んだ副作用だ。最近は少なめに飲んでいたから倒れなかったが、今回はレヴィとのデートということで薬を多めに飲んでいたのだ。
顔を上げると心配そうな顔をしたレヴィと視線が合う。
「ここは?」
「カフェの従業員室だ。エリンが倒れたから貸してくれた」
少し青ざめた表情のレヴィは、エリンを凝視する。
「あ、また倒れちゃった……。ごめんなさい」
エリンの言葉を受けて、レヴィは怖い顔をする。
「エリン、俺の前でも二回倒れているだろう。まさか、それ以外にも倒れたのか?」
エリンはレヴィの科白にぎょっとした表情をする。
「あ、えーと」
「倒れたんだな」
ふうとレヴィは嘆息する。
「体調が悪いなら無理して今日来なくても」
「だって……レヴィ様とデートの約束できたから、嬉しくて!」
思わず自分の本音を漏らしたエリンは、自分の口を両手で押さえる。
「え……」
エリンから想いを寄せられているとは思いもしなかったレヴィは、驚愕する。
その紅の瞳を困惑の色に染め上げた。
「私はレヴィ様が好きです。私の気持ち、迷惑ですか?」
青の瞳を潤ませて、エリンはレヴィに問いかけた。
心読みの薬が切れたのだろう、レヴィの心の声は聴こえない。
レヴィの表情から感情が読み取れない。
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