トリックスターティル

うさぎ蕎麦

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第一章「冒険者ティル」

3話「白猫盗賊団とティルと」

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-夕暮れ時-
 
 街外れの人通りが乏しい場所にミルティー一団が居た。
「ミルティー様ッ、ここが現場で御座います」
 ミルティーの部下1が敬礼しながら言った。
「色々ありがとね☆」
 ミルティーはくるりと回ってぴーすさいんをみせた。
「勿体無いお言葉であります」
 部下2がヒレフしていた。
「はいはい……この作戦まずはあたしが行くわよ?」
 彼等のやり取りに呆れているシロが淡々と告げた。
「何を言う、ここはリーダーであるミルティー様が先陣を切るべきだろうが!?」
「しょうがにゃいわよ、貴方達見て任せられるとおもわにゃいもの」
「何をッこの、猫の分際でっ」
 部下1が拳を振り上げながら言った。
「そもそもリーダーを前線に出す事自体間違ってるわよ……」
 シロは華麗なステップを見せながら冷静に回答した。
「うぐっ、た、確かにそうだな」
 部下3はシロの意見を冷静に聞いた様だ。
「アイドル様にゃんだから尚更安全な場所で応戦させれば良いじゃにゃいのかしら?」
「そうだ」
「では、ミルティー様、我々が先陣を切りますが故に……」
「あはっそんなので良いの~?」
「はい、ミルティー様をお危険な目に遭わせる訳には行きませぬ」
「そっかぁーじゃあ、みんな頑張ってね☆」
 ミルティーは笑顔で手を振りみんなを見送った。


 


―ティル宅―

 一方のティルはと言うと、先日のナンパ作戦に大失敗した事など気にも止める事もなく何時も通りの朝を迎えた。
「よぉフラッド、朝だぜ?」
 なんてダメ元でフラッドに声を掛けてみたが珍しく布団の上にある筈のフラッドの姿が無かった。
「おんや?珍しいねぇ?」
 深い事を考えるのがめんどいと考える俺はひとまずリビングへ向かった。
「フラッド先生、こんな朝早くからげーむをやらないなんてどうしたんっすか?」
 俺に気付いたフラッドが、手にしたニュース誌の一覧を指差しながら振り向いた。
 うーん、ここまでのレアケースって3年に1度歩かないかだけども?
「どれどれ?」



【白猫盗賊団現る!?】

『先日夜頃、善良な一般家庭で白猫盗賊団と思われる組織による窃盗事件が発生、被害額はそれなりの額となり被害者は泣き崩れている模様、また犯行現場には白い猫の形をしたペンダントが置かれており、犯人の特徴の解析を急がせている』



 フラッドが指さしたところにはその様に書かれた記事があった。
 白猫盗賊団?怪盗黒猫団と言い、盗賊業界では何でもかんでも猫つけるのが流行ってるのか?
「は?そんな角っこに……つーかそんなゴミカスみたいに小さい記事をよー見つけたなぁ」
 それにしても、こんな下らないことを見つける為に早起きしたのかぁ?
 いや?そもそも見て探さなきゃわからないのにどーして?
「……」
 フラッドがドヤ顔を見せた。
「白猫盗賊団だぁ?」
 まー、考えてもしかたねーわな。
「……」
「つーか、怪盗黒猫団と言い、この街の盗賊って奴はそんなに猫が好きなのかねぇ?」
「……」
「え?猫が好きって事はきっと可愛い女の子が沢山居るって?」
「……」
「んな事言われてもなぁ、盗賊やってる女の子……」
 ふと俺はリッツを思い浮かべて、
「どうせ盗賊団なんざ貧乳女しかしいねーんじゃねーの?」
 なんて、本人に聞かれたら1日中シバき倒されそうな事を口にすると。



「洗濯板で悪かったわね!!!!」
 俺の家の外から聞き覚えのある、基、リッツの怒鳴り声が聞こえた。
「って、なんでテメーがそこに居るんだよ!!」
 俺に張り付いてなければ有り得ない位な逆奇跡じゃねーかよ。
「うっさい、美人が、モテ無いナンパ師に会いに来てやったのよ!!何か悪い事があって!?」
「ある、すっげーある、俺とフラッドの会話を盗み聞きしたってすっげー悪い事があんだよ!!」
「なんですって!?誰があんた見たいな非モテ男の盗聴をする訳!?」
「オメーだろーがっ」
 リッツに指さしながら言った。
「なっ……違うわよっ!!偶々アンタの家の近くに来たら偶々あんたが話す声が聞こえただけよっ!!」
 リッツは俺に向けていた視線を泳がせながらしどろもどろにさせながら言った。
「じゃー俺の家の近くに何しに来たんだい?」
 ここで少しだけテンポを緩めて見せようか。
「アンタの生態を調べる為よ!!」
「俺の生態……っておい!!」
「ぐ……」
 よしっ、敵将討ち取ったり♪
 あーやそんな失言しちゃったら答え言っちゃってる様なモンですよねー?
「う、うるさい!!誰が不健康な物しか食べてない奴の為に朝ごはんを作ってやるもんですかっ!!」
 なんて滅茶苦茶な事を抜かしてきた。
 うん?待てよ?今朝ごはん作るって言ったよな?
 そういや最近まともなモン食って無かった様な?
 仕方ないここは作戦変更だ。
「フラッド」
 俺はフラッドにアイコンタクトも使い確認を取る。
「……」
 賛成2、反対0。
 満場一致の賛成可決となったようです。
「リッツ様、小生はお腹が大変お空きになりました」
「はぁぁぁ!?いきなりなによ、急に」
 なんて言葉はキツイけども、猫の爪の様に尖っていたリッツの声が和らいだ。
「わたくしティル君は美人が作った手料理が食べたいと所望しております」
 よしよし、ここまで言えば後少しで作戦成功だろうね。
「な……」
 爪を研がれた猛獣からその威圧感が消えた。
「だ……だめだ、2日前から何も食って無いからたおれ……」
 とどめの一撃、この一言できっとリッツの同情を誘えるハズさ。勿論嘘だけど☆
「そ、そこまで言うなら仕方無いわね、き、きょうだけ特別に作ってあげるわよ?」
 来ました、通算両手で数えきれない程の『今日だけ』
「おお優しき女神リッツ様……」
 作戦成功です。
 でも、ここできっちりと最後の詰めも施しましょう。

『バタッ』
 
 と言う音と共に俺は空腹のあまりその場に倒れた事にした。
 
 -街の中心部-
 
『犯行が行われ、現場には白い猫の形をしたペンダントが残されて……』

「るぅぅぅなさまっ!!いぃぃぃちだいじですぞっ!!」
 ルーナの従者その1がニュース誌を片手に肛門様のピンチを抱えたよーなすっげー形相してすっげーダッシュをしながらやって来た。
「ハムサンドおいしーなー♪」
「そのアングル!!素敵ですぞッ」
 などと抜かしながら従者その2が記録媒体をかしゃかしゃ動かして撮影していた。
「ぐへっへっへ、ルーナ様秘蔵コレクションがこれでまた一つ……」
 従者その2がヘブンモードに入った。
「じゃあああがしぃ!!うぬは我等のルーナ様に何晒すんじゃい!!」
 従者その1が従者その2に怒鳴り散らしても。
「ルーナたん……ハァハァ」
「それで、どーしたのー?」
「しぃぃろねこっとぅぅぅ賊団と言う輩が罪無き一般人の家から盗みを働いた模様ですぞッ」
「また盗賊さんー?」
「許されぬ……罪なき一般人が苦労を賭して手にした財を略奪するなど言語両断!!我等が勇者、ルーナ様がこの悪党共に天誅を下すのじゃッ」
 従者その1は右手拳を力強く握りしめ力説した。
『それだけ言っておいてお前が討伐しに行くんじゃないのかよ!?』と言うツッコミはしないでおきましょう。
「白猫さんのペンダント?ボクも欲しいナー」
 ルーナがお茶を飲みながら惚けた事を言った。
「ルーナ様!今こそ正義の鉄槌を悪党共にっ!!」
「えーやだよぉ、ボクはこれからお布団さんと戯れるんだぃ」
 ルーナが拗ねながら返事した。
「喝!!」
「おねんねしたいんだよぅ」
「従者殿、ルーナ様は敢えて弱い盗賊を倒さないのでありますぞ、弱き冒険者達の為に敢えて残してるのでありますぞ」
 従者その2が初めてまともな事を言った。
「ぬぅ、貴様の言う事も間違っておらぬ、弱き冒険者を救うのも勇者の仕事であろう」
(あ、その手があるんだね☆)
 ルーナはハムサンドを食べ終えると、宿に帰った様だった。


―ティル宅―


「はああああ?白猫盗賊団ですってーーー!?」
 ついさっきまで最上級にご機嫌であったリッツ嬢が物凄い叫び声を上げた訳であります。
「いつつ……耳元で怒鳴らないでくれ」
 いやまぁ、リッツが振舞ってくれた手料理のお陰で俺も割と機嫌は良くなった筈なんだが……。
「猫は黒よ黒っ、白なんて邪道よ!!」
 リッツがニュース誌を掴んだまま両手をワナワナと震わせていた。
(つーか、着眼点はソコかよ!?)
「ね~てぃるくぅ~ん?」
 リッツ嬢から、間違ってでもNOと解答したらその3秒後どうなるか分からないオーラをぶつけられたワケでありまして。
「お、おう、そうだよな、猫は白にかぎ……」
 ヤベッ、NOと言わない事だけに意識を集中していたらついつい自分が好きな猫の色が口から出ちまった!?
「え?てぃるくーん、今なーんて言いましたかっ?」
 すっげー笑顔で俺を見つめるリッツ。
 すっげー引きつった目をしながら見つめるリッツ。
 ティル君超ピンチって奴です。
「……」
 フラッドが俺の肩を右手で叩いて。
「え?何々?こう言う時は、ヒロインの肩にそっと右手を寄せて」
 ををー、流石はギャルゲーマスターフラッド君、女性の攻略は任せろって感じですな。
 そんな訳で俺はフラッド大先生から貰ったアドバイスを実行したワケでありまして。
 
「ネコハクロニカギルゼ、ヒロイン、キミハボクトキガアウミタイダネ☆」

「……」
 フラッドきゅんが絶対零度の視線を僕に突き付けてくれました。
「……ばか」
 リッツ嬢様はあまりに呆れてしまったのか先程まで纏っていた威勢が失われてしまったようでした。
「はい?俺なんか変なこと言った?」
 これって作戦成功じゃないですか?
「……」
「え?僕と二人で居る時と言葉に出てたよって?」
「……せめてヒロインじゃなくて、リッツ様って言いなさいよ……」
 リッツが物凄い溜息を吐いた。
 やっべ!?いつもの癖でついつい……って、さり気にリッツ様とか言ってんじゃねーよ!?
「でさぁ……、白猫盗賊団って輩が一般宅に盗みに行ったんだけどぉ?」
 地底人の餌食となったテンションでリッツが言った。
「へぇー」
 まー絶体絶命の危機を乗り越えたワケだしこまけー事はどーでもいいや。
 うん?リッツの話に一切興味が無いだなんて絶対に言うなよ?
「犯行現場には必ず白猫のペンダントが置かれる訳よ」
「へぇ」
 あーはいはい、そうですか?うん超絶きょーみありません。
「でもそれって、態々私がやりましたって言ってる訳でしょ?」
「うん」
「ばっかじゃないの?」
「そうだね」
 あ、やべ、今の言い回しだと適当な相槌じゃさばけねーぞ?
「あのー?てぃるくーん、私の話きーてますかぁ?」
 デスヨネー☆
「アイデデデデ、ほっへらひっはるな」
 鋭い目付きでをしながら俺のほっぺたひっぱるの止めてください超痛いんですから。
 ……いや、めんどくせーからつって話聞いて無かった俺もわる……。
 くない、下らない話をするリッツが全部悪りーんだよ。
「兎も角、白猫盗賊団って何かムカつかない?」
「いや、別に」
 はっきり言って全然きょーみない。
 そりゃー、白猫盗賊団に美人できょにゅーなおねーさんが居たら考えるぜ?
「なんか、ムカつかない?」
「全然」
 こんなひんにゅーが頼んでもなー、これがボンってしてたら同じお願いも喜んできーてあげますぜっ!!
 なんだけどー。
「私がムカツクって言ってるから(みんな)ムカツクの!!」
「そら(リッツがムカくと思うのは)そーだ」
 話半分で聞いてる俺が主語を略して答えたワケだけど。
「でしょ、でしょ~?」
「は?何でいきなり上機嫌になったの?」
 あれ?まてよ?
「何よ、私の賛同者が居たから特別に優しくしてあげたのに何が不満なわけぇ?」
「え?いや、まー良いや、不満はねーよ?」
「……ほんとう?」
 何その疑ってる言葉。
「ナイナイ」
 めんどくさい事になりそうだからテキトーに誤魔化そうそうしよう。


「白猫盗賊団が何かムカツクからなんかするわよ、良いわね?」
 と改めてキツく言いやがる。
 ……やっぱテキトー誤魔化し大作戦ばれちゃったかなー。
 逆らってもめんどくせーだけだから、付き合ってやるよ、ああティル君って超優しいですね。
 ……って可愛い女の子から言われてー気分だぜ、全く。

「で?今度は何処狙うんだよ?」
「知らない」
「は?知らないって?」
「可愛い女の子の願いを叶えるのはアンタの仕事でしょ?」
「は?」
「そう言う事だから頑張ってね☆」
 あの野郎、言いたい事だけ言ってさっさと何処かにいきやがりやがった。
 つっても、聞かなかった事にして何もしなきゃ、後でどーなるか。
 チッ、めんどくせーな。
 俺は嫌々ながらもリッツ様のご機嫌を損ねぬ様白猫なんちゃらかんちゃらをどうにかする作戦を考える事にした。
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