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序章

序章「怪盗黒猫団」

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 漆黒の闇の中に悪の気配あり。
 月明りだけが唯一の希望とされるこの宵闇の中に佇む怪しげな一軒屋。
 街の外れに見せる希望の光、否、悪が潜むアジトから零れる魔臭に溢れた障悪の光なり。
 

「ガーーーハッハッハ今宵も大儲けじゃッ!!」
 悪しき手法に生れしお金を愛しく囲うガマガエル在り。
「冒険者をコキ使ってワシはその上前はねるだけ!!」
 誰も居ないとタカを括り、手前の悪行を口走るその姿。
「これだからたまらんのぅ~~~」
 悪党が金の海に身を投じたその姿。
 
 誰が許そうその悪行。
 それを許さぬ正義あり。
 


『フッ』
 
 
 
 悪には眩光よりも漆黒の闇がお似合い也。
「ぬ!?どうしたのじゃ!?」
 不意に光を奪われた悪党が慌てふためくその姿。
「誰か、誰かおらぬか!?」
 都合の良い時に限って助けを求めるその性根、まったくもって気に入らない。
 
 行くぜ相棒!!
 
「この世に悪がある限り」
 どこからともなく響く男の声。
 声に反応した悪党は漆黒の闇で聞かぬ瞳を頼りに周囲を見渡す、しかし視界の聞かぬ漆黒の闇の前にその姿を瞳に写すこと非ず。
「光り輝く正義あり」
 そして響く女の声。
 悪党の焦りの色が強まった。

『怪盗黒猫団見参!!』
 
 何処からともなく舞い降りた二つの影。


「ななな、何奴!?」
 腰を地に付き慌てふためく悪党。
「へっ、悪党に名乗る名前なんざありゃしねーぜ」
 仮面の男がまとったマントから右手をだし指さした。
「わ、わしが悪党じゃとぉぅ!?」
 悪党が命の次に大事なお金を隠すかの様に覆い被さった。 
「あら?冒険者達に支払われるお金を存分に跳ねるお方の何処が悪党じゃないのかしら?」
 仮面の女がクスリと笑いながら冷淡に告げた。
「ぐぬぬ……」
 言い訳の出来ない悪党は唇を噛みしめ仮面の女を睨みつける。
「わーったか?不当に集めた金をみんなに返して貰うぜ?」
「な、なにおーー!?コレはワシが汗水垂らして手にした金じゃぞ!!」
 悪党が仮面の男に睨みを着せながら、我が子を守る親鳥の如しお金の前から離れない。 
「ほらよっと」
 この程度、と言わんばかりに仮面の男が悪党の上空を取る様に華麗な跳躍をし、彼の身体に右手をむけた。
 
 
『シュン!!』

 その直後、空気を引き裂く音と共に俺の右手付近から1本のワイヤーが悪党の身体目掛けて放たれた。
「なななな何をする!?」
 ワイヤーの放つ冷たい感触と共に自分の自由が奪われた事に気付く悪党。 
「何って?悪党の身動きを封じただけさ」
「さ、お金を回収してずらかりましょ♪」
 悪党の動きを封じた二人は彼の守るべきお宝をその手に収めた。
「兵、兵はどこにおる!!??」
 大声で館の中に居る兵士を呼ぶも、誰からの返事も無い。 
「そんなもの、眠らせてあげたわよ?」
 仮面の女が右手人差し指を立てながら言った。
「ななななんだとぉぉぉ!?このっ、使えない奴等め!?明日には全員クビだ、クビッ!!」
 悪党が、自分の身を拘束するワイヤーを振りほどこうと必死にもがきながら、先程よりも大きな声で叫び通した。
「じゃ、そう言う事でよろしくね☆」
「あばよ、おっさん」
 悪党のお金を十分に回収した二人は窓の外から華麗な跳躍と共に館の中からその姿を消した。
「な、この、ワシのお金を、ワシのお金を返せーーーー!!」
 静寂な闇夜に悪党の叫び声だけがただただ空しく木霊した。
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