【完結】婚約から逃げた魔付き令嬢はエッチな人形作りを手伝う。※R18

かたたな

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渡せなかったプレゼント。

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 ◆◆◆◆


 月日は流れ、とある劇場の控え室。舞台脚本を務めたココをルナスと二人で訪ねていた。
 今日は『傾国の美女と醜い魔術師』の初舞台だった。

 「凄く、凄く良かったです!!」
 「ありがとうー!色々協力してくれたお陰だよ。」

 舞台は大きなホールにも関わらず満席で大盛況だった。

 内容は、貴族の婚約者を持つ美女と醜いゆえに人目を避けて生きてきた魔術師の恋物語。
 美女は不運にも魔物に取り憑かれ、婚約破棄されてしまう。醜い魔術師は依頼を受け、美女を献身的に支え、魔物と戦い祓う事に成功する。
 婚約破棄したはず男は盛大なパーティーを開催し、公の場で美女に改めてプロポーズするが、それを断り魔術師を選ぶ。そんな事許されないとゴタゴタした後、王族が二人の真実の愛に感銘を受け祝福して終る。

 いい感じにザマァ要素もあり、魔物と戦う魔術師も素敵だった。

 「それに最後の剣舞!!ローエンスコット様が?」

 ココと同じ控え室にいたローエンスコット様がコクリと頷く。

 舞台が終ると興奮冷めやらぬ中、ステージにスポットが当たるとこの世の者とは思えない美しい男女が舞い降り、剣舞を披露したのだ。
 ローエンスコット様がこの次回作の舞台で人形の動作を任されているそうだけど見事としか言えない美しく勇ましい剣舞だった。
 
 人間離れした動きに観客の全てが息を飲んだと思う。そしてソレは勿論、次回作の宣伝でココの目指すラブドール計画だ。

 「美しい男女。人形だから出来るアクション。そこには一ミリもエロ要素を感じさせない脚本を完成させたの!
 エロが無いからこそ、そこにエロを感じた時に感情と妄想が爆発するの。
 そしてグッズに追加で着せ替え衣装も用意したわ。普通の人間と変わらない大きさだから既存のお洋服を買っても良いのだけど、グッズとしても出ていた方が色々誤魔化しやすいしね。
 部屋で服を脱がせていたとしても『着せ替えしてたの』って言えば切り抜けられるわ!!完璧ね。」

 ココはエログッズがエロであることを隠す事に重点を置いている。
 購入者に寄り添った良い思考だと思う。

 「ふふふ、舞台直後だというのに人形購入の予約が既に何件か入っているの。元々人形好きで有名な貴族からなのだけど、ここから噂は確実に広まる。ロマはこの利益で好きな作品を作れるわ!!今から新作が楽しみで仕方ないー♪」

 ローエンスコット様をロマって呼んでるのか。名前がロマーゼルだからロマ。良いなぁそういうの。

 キャっキャと喜ぶココはとても嬉しそうだけど、そんなココを無表情だけど優しい眼差しで見てるローエンスコット様も嬉しそうに見える。

 二人の関係が気になるけども、他人が変に詮索すると良くないので温かく見守ろう。

 少し話してから疲れてるだろうからと早めに控え室を出ると、空から雪ふわりふわりと雪が降ってきていた。
 隣を見れば雪を少し悲しそうに見上げるルナスが居た。

 「最後のツァージルさんの言葉、嬉しかったですね。」
 「そうですね。」

 舞台最後の紹介でココも脚本家として話を求められていた。
 そこで軽い挨拶の後、

 『この舞台の元となった話題の二人は夫婦としての申請が仮のまま進まず何かの圧力で止められています。
 しかし私達は二人の真実の愛を知っています。
 この想いを知る私達は二人を仮などではなく本当の夫婦として交流を深めていけるでしょう。』

 と観客の前で話してくれた。

 その後、私達に気がついた何人かの観客に「応援してる。」と気遣ってくれた人もいた。

 第一王子は説得すると言っていたけど、あれから進展が無い。
 それに私達にまだ子供を授かる兆候も無い。家選びもなかなか進まない。
 それらの事に物語の強制力の様なものがあったりするのかも知れないと思うと気が気ではなかった。
 もし、酔っぱらい第一王子に迫られてしまったら・・・想像しただけで嫌だ。

 ルナスの表情をチラリと盗み見るとまだ雪をぼんやりと眺めている。

 「どうかしましたか?」
 「あぁ、すみませんボーッとして。僕が拾われた日はこんな風に雪が降る日だったそうです。雪が降ると、ついこんな風景だったのだろうかと何となく眺めてしまいまして・・・」

 その言葉を聞いてハッ!!とする。

 「ルナスは冬生まれだったんですね!」
 「そうだと思います。」

 この世界では誕生日を祝うというのは季節ごとの大雑把なものだ。
 そんなに誕生日を重視してない為、庶民だと祝わない家庭も多い。

 「それなら用意していて良かった!これ誕生お祝いという事でどうでしょうか?」

 私は最近では毎日、持ち歩いていたルナスへのプレゼントセットを出した。
 
 「恥ずかしながら、渡しそびれたプレゼントセットなのですが・・・」
 「僕に?ですか。」
 「そうなんです、コレが精霊祭で渡そうと思ったけどプロポーズで慌ててしまって渡しそびれたプレゼント。

 コレがルナスへ刺繍入りハンカチをと思って作ったけどハンカチってどういうタイミングで渡すの?って困ってしまって渡せなかった刺繍入りハンカチ。

 コレが、ミサンガ・・・紐を編んで作るブレスレットなのですが、ふと思い出したらお揃いで作ってみたくなって作ったんです。けどルナスは仕事で手をよく動かすので、邪魔かなと思って渡せなかったもの。

 だけど、これなら大丈夫!と思ったのが、このマグカップです。ここに描かれている猫、特に眼差しがルナスに似てて可愛かったのでプレゼントしようと思いまして。どうせなら全てセットにして、タイミングを伺い渡そうと持ち歩いてました。」

 はぁ、と説明を終えると白い息と共にやっと渡せるプレゼントを差し出した。

 「あー・・・でも。生まれた喜びをお祝いするには弱いかも知れませんね。研究室に帰ったら、ルナスが大好きなご飯のおかず沢山作りましょうか!」

 ルナスがプレゼントを受けとるとまじまじと見つめている。

 「僕が生まれた喜び・・・。」

 ルナスが少しセンチメンタルな表情をしている。
 こんな雪の中、赤子の自分を路上に放置した親の事を考えているのかも知れない。
 私はプレゼントを持ったままのルナスの手を取り、冬の寒さに冷たくなった手を両手で温めるように包んで引き寄せた。

 「私はとても嬉しいです。ルナスがいるから幸せです。出来るなら私が貴方をもっともっと幸せにしたいです。」
 
 ルナスは私をぼんやり見ると目を細めて照れ笑いする。可愛い。

 守るんだ!酔っぱらいから!

 そして打開策を練るのに頼もしい仲間を見つけた。

 それは真夜中の共有スペース。
 ネムの体に女性のアレを付けてから更にお盛んである二人だ。
 酔っぱらいからルナスを守る為に住み始めた研究室だけど、頼もしい仲間の存在に部屋へ飛び混んでいた。

 「ネム!今良い?相談があるの。」
 「この場面で入る度胸に免じて話すじゃん。」
 「ありがとう。」

 ネムは気だるげに答えてくれた。
 やっぱりネムは優しい。
 共有スペースではテーブルにうつ伏せで上半身を押し付けたネムとその後ろから腰をしっかり支え、密着するラグラ様。

 「な!?お前、状況分かってるのか!?察しろよ。邪魔だ。」

 うん、やっぱりラグラ様の体を借りたメメだ。ラグラ様とは思えない俺様な感じだ。

 「やっぱり!はじめましてメメ。相談があるの。今ラグラ様の意識は寝てる?」
 「寝てるけど、相談とかの前にネムと真っ最中なんだが?終わってからにしろ。」
 「メメとは今しか話せないもの。」
 「ハッ!俺にお願いするならもっと蔑んだ目で高圧的に言え。話はそれからだ。」

 俺様が蔑んで言えと俺様で言う。

 「貴方の事情を構ってる暇無いの、そのまま聞きなさい。躾のなってない魔物ね。」

 要望通り腕を組んで上から目線で言うと、睨まれながらポッと頬を赤らめる。メメは特殊すぎる。

 二人に相談するとあっさり打開策が見つかり。私はぐっすり寝ることができた。
 後は決戦の日に向けて準備するのみ。
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