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ウェイパ村
旅の記録5 行方不明になる人は自由人(?)
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「ここがウェイパ村よ。まぁ一泊ぐらいは手配出来るけどどうする?」
「唐突に泊まる前提で話を進めるなよ。だが、手配できるなら頼みたいな」
「お主よ、泊まらんのなら野宿する気か?既に日が暮れてるんじゃぞ」
「いや、そうじゃなくてな?普通なら着いたら少し説明入れると思うのだが」
「それなら行きで言ったから要らないと思ったけどもう一回必要かな?」
日向は木で出来たアーチ状の入口にもたれ掛かっていた。
「あ、あれだけだったんだ・・・。ならいらない」
「何ガッカリしているのよ。ここから見ただけでも分かると思うけど何もないのよ」
そう言われ勇者は村をよく見ると確かに言われた通りに何も無かった。木造建築が建ち並び、屋台で野菜や果物、骨董品などが売られていた。そして、日向が言っていた通りに奥に見える海はここからでも分かる程綺麗なものだった。だがあるものが見当たらなかった。
「うん、見た。言われた通りに何もないな。森も」
「あ、森ならまた案内するけどここからじゃ見えないわ」
「ここからじゃ見えないのを森と呼ぶのか・・・。まぁいいか」
日向は勇者が納得したのを見ると中に入って行った。それについて行くように勇者は歩き出した。
「あら、日向ちゃんじゃない。久しぶりだね」
「あ、おばさん。お久しぶりです」
中に入って少し歩くと日向に声をかけてきた女性がいた。見た目は40代半ばで少しふくよかな人だった。それだけ日向が有名人なのかと思った勇者だが、何だかひたしげに話す様子を見ると昔の知り合いかと予想した。そして、日向の話しているおばさんは勇者の方を向き口元を手で隠した後とんでもない発言をした。
「あら、日向ちゃんにも彼氏が出来たのね」
「「違います!」」
日向と勇者は一言一句異ならずにそのおばさんに向かって言ったが、逆にそれがおばさんに確信を持たせることになってしまった。
「いいのよ、隠さなくて。ゆっくり観光でもして行きなさいな。おばさんはここでお暇さしてもらうわね。後は若い者同士でごゆっくり」
おばさんはにこやかに笑いながらその場を後にした。そして、二人の間には暫く沈黙が流れていたが、日向はある事に気がついた。
「あれ?フィーちゃんは?」
「そういや・・・。って日向、顔赤いが大丈夫か?」
「あ、うん。さっきの事に少し怒っていただけだから。本っ当にもう、おばさんは勝手に・・・」
日向はそっぽを向きなが少し頬を膨らましていた。勇者はため息をつき、日向の肩に手を乗せた。
「まぁ気にしても仕方がなくないか?取り敢えず今は魔王を探さないと」
「そうだね。さて、どこから探すかな」
日向は肩に置かれていた手を払い周りを観察し始めた。
「あ、あれ?皆海の方に向かっているけど・・・まだ海開きしていないよね?」
日向が向いている方を見てみるとほとんどの人が近所の人を誘って海の方に歩いていくのが見えた。
「何かのイベントとかあるんじゃないか?」
「それなら宣伝用のポスターがあちらこちらに貼られているはずだけど無いから分からないのよね」
日向が頭を悩ましている所に先程のおばさんがまた来た。
「日向ちゃん何悩んでいるの?」
「あ、またおばさんではないですか」
「またとは何よ。嫌がっているように見えるけど違うかしら」
「違いますよ。ところで今海の方で何があるのですか?」
先程の事をまだ根に持っているのか日向はおばさんと目を合わせようとしなかった。
「それがね、急に可愛らしい置物が置かれていると村中大騒ぎなのよ」
「急ですか?」
「そう、急」
日向はそれを聞くと手を顎の上に乗せ考え出した。
「だから誘いに来たのよ。さ、行くわよ。あ、彼氏さんも」
「ですから、彼氏ではないですよ!」
日向の否定もおばさんには意味がなかったように手を引かれていくのを勇者は親子のように感じた。そして、その後をゆっくりとついて行った。
「ん?魔王、海、置物?もしかして・・・」
何かに気がついた勇者は急いで日向達を追いかけた。
そして、海に着いた一行はその置物を目にすると、日向は驚きの余り言葉を無くし、勇者はボソっと「やっぱりか・・・」と呟いた。
「何であそこでフィーちゃんは固まって・・・いるの?」
ようやく言葉を取り戻した日向は勇者に聞いた。勇者はおばさんが既に魔王の近くに行っていることを確認すると説明を始めた。
「魔王は吸血鬼と魔王のハーフでな、吸血鬼は流れる水に触れると身動きが取れないんだよな・・・。だから、多分僕達が目を離している隙に海に行き水に触ったらあぁなったって言うことで間違いはないはず。で・・・」
「どうやって回収するかでしょ?私に任せて!」
日向は胸をドンッと叩き、胸を張った。そして、回れ右をして魔王の所に向かって歩き出した。勇者はついて行ったらまずいと思いその場でどうやって回収するのかを見学をした。
「皆、離れて!」
日向が大声でそう叫ぶと魔王の周りにいた人々は日向の方に顔を向けた。
「私は氷の魔女日向。たまたま通りすがろうとした時にこの置物が急に現れたって聞いたから調査する事にしたの」
日向が魔王の近くに行くにつれ近くの人は後ろに黙って下がって行った。周りの人は唐突の魔女の登場に唖然としている中ある男の人が声を振り絞って言った。
「ほ、本当にお前が魔女なら証明してみろよ!あと、何故調査する必要があるのか教えろよ」
日向はため息をつくと杖を体の前に持ち下を向いた。
「氷の神ダイアよ、私に力を貸して頂戴!」
顔を上げそう叫ぶと日向の体が急に光だした。すると、先程まで持っていた杖がなくなり着ていた服は鎧に変わっていた。氷のような見た目をした鎧は動きやすそうな甲冑で腰からスカートのように白い布が彼女の脛ぐらいまで伸びていた。
「これでいいかな?魔女専用の技、衣装」
周りの人は初めて本物の衣装を見て唖然といた。
「で、調査する理由は最近魔物の動きが活発でね、魔王が何かしらの動き出したのかと思うから急に現れた置物を調べる。何も無かったらここにまた戻すわ」
日向は魔女の証明を終えたのを確認し、元の姿に戻った。そして、周りを見てこう言った。
「そこの人、私の部屋までこれを持っていくの手伝いなさい」
日向が指をさした相手は勇者だった。勇者はゆっくりと魔王に近づきどうやって持ち上げるか悩んでいた。
「それにしても何故こんな形なんだろうね。左足を上げ右手を水に手をつけるって言う」
勇者は右足と腰を持ち水から離すと魔王が少し動いた。
「少しばかりこの形を保ってくれ。事情は後で話す」
それを聞いた魔王は状況を掴めない状況だが、コクリと小さく頷き体に力を入れた。そして、三人はその場を後にした。
「唐突に泊まる前提で話を進めるなよ。だが、手配できるなら頼みたいな」
「お主よ、泊まらんのなら野宿する気か?既に日が暮れてるんじゃぞ」
「いや、そうじゃなくてな?普通なら着いたら少し説明入れると思うのだが」
「それなら行きで言ったから要らないと思ったけどもう一回必要かな?」
日向は木で出来たアーチ状の入口にもたれ掛かっていた。
「あ、あれだけだったんだ・・・。ならいらない」
「何ガッカリしているのよ。ここから見ただけでも分かると思うけど何もないのよ」
そう言われ勇者は村をよく見ると確かに言われた通りに何も無かった。木造建築が建ち並び、屋台で野菜や果物、骨董品などが売られていた。そして、日向が言っていた通りに奥に見える海はここからでも分かる程綺麗なものだった。だがあるものが見当たらなかった。
「うん、見た。言われた通りに何もないな。森も」
「あ、森ならまた案内するけどここからじゃ見えないわ」
「ここからじゃ見えないのを森と呼ぶのか・・・。まぁいいか」
日向は勇者が納得したのを見ると中に入って行った。それについて行くように勇者は歩き出した。
「あら、日向ちゃんじゃない。久しぶりだね」
「あ、おばさん。お久しぶりです」
中に入って少し歩くと日向に声をかけてきた女性がいた。見た目は40代半ばで少しふくよかな人だった。それだけ日向が有名人なのかと思った勇者だが、何だかひたしげに話す様子を見ると昔の知り合いかと予想した。そして、日向の話しているおばさんは勇者の方を向き口元を手で隠した後とんでもない発言をした。
「あら、日向ちゃんにも彼氏が出来たのね」
「「違います!」」
日向と勇者は一言一句異ならずにそのおばさんに向かって言ったが、逆にそれがおばさんに確信を持たせることになってしまった。
「いいのよ、隠さなくて。ゆっくり観光でもして行きなさいな。おばさんはここでお暇さしてもらうわね。後は若い者同士でごゆっくり」
おばさんはにこやかに笑いながらその場を後にした。そして、二人の間には暫く沈黙が流れていたが、日向はある事に気がついた。
「あれ?フィーちゃんは?」
「そういや・・・。って日向、顔赤いが大丈夫か?」
「あ、うん。さっきの事に少し怒っていただけだから。本っ当にもう、おばさんは勝手に・・・」
日向はそっぽを向きなが少し頬を膨らましていた。勇者はため息をつき、日向の肩に手を乗せた。
「まぁ気にしても仕方がなくないか?取り敢えず今は魔王を探さないと」
「そうだね。さて、どこから探すかな」
日向は肩に置かれていた手を払い周りを観察し始めた。
「あ、あれ?皆海の方に向かっているけど・・・まだ海開きしていないよね?」
日向が向いている方を見てみるとほとんどの人が近所の人を誘って海の方に歩いていくのが見えた。
「何かのイベントとかあるんじゃないか?」
「それなら宣伝用のポスターがあちらこちらに貼られているはずだけど無いから分からないのよね」
日向が頭を悩ましている所に先程のおばさんがまた来た。
「日向ちゃん何悩んでいるの?」
「あ、またおばさんではないですか」
「またとは何よ。嫌がっているように見えるけど違うかしら」
「違いますよ。ところで今海の方で何があるのですか?」
先程の事をまだ根に持っているのか日向はおばさんと目を合わせようとしなかった。
「それがね、急に可愛らしい置物が置かれていると村中大騒ぎなのよ」
「急ですか?」
「そう、急」
日向はそれを聞くと手を顎の上に乗せ考え出した。
「だから誘いに来たのよ。さ、行くわよ。あ、彼氏さんも」
「ですから、彼氏ではないですよ!」
日向の否定もおばさんには意味がなかったように手を引かれていくのを勇者は親子のように感じた。そして、その後をゆっくりとついて行った。
「ん?魔王、海、置物?もしかして・・・」
何かに気がついた勇者は急いで日向達を追いかけた。
そして、海に着いた一行はその置物を目にすると、日向は驚きの余り言葉を無くし、勇者はボソっと「やっぱりか・・・」と呟いた。
「何であそこでフィーちゃんは固まって・・・いるの?」
ようやく言葉を取り戻した日向は勇者に聞いた。勇者はおばさんが既に魔王の近くに行っていることを確認すると説明を始めた。
「魔王は吸血鬼と魔王のハーフでな、吸血鬼は流れる水に触れると身動きが取れないんだよな・・・。だから、多分僕達が目を離している隙に海に行き水に触ったらあぁなったって言うことで間違いはないはず。で・・・」
「どうやって回収するかでしょ?私に任せて!」
日向は胸をドンッと叩き、胸を張った。そして、回れ右をして魔王の所に向かって歩き出した。勇者はついて行ったらまずいと思いその場でどうやって回収するのかを見学をした。
「皆、離れて!」
日向が大声でそう叫ぶと魔王の周りにいた人々は日向の方に顔を向けた。
「私は氷の魔女日向。たまたま通りすがろうとした時にこの置物が急に現れたって聞いたから調査する事にしたの」
日向が魔王の近くに行くにつれ近くの人は後ろに黙って下がって行った。周りの人は唐突の魔女の登場に唖然としている中ある男の人が声を振り絞って言った。
「ほ、本当にお前が魔女なら証明してみろよ!あと、何故調査する必要があるのか教えろよ」
日向はため息をつくと杖を体の前に持ち下を向いた。
「氷の神ダイアよ、私に力を貸して頂戴!」
顔を上げそう叫ぶと日向の体が急に光だした。すると、先程まで持っていた杖がなくなり着ていた服は鎧に変わっていた。氷のような見た目をした鎧は動きやすそうな甲冑で腰からスカートのように白い布が彼女の脛ぐらいまで伸びていた。
「これでいいかな?魔女専用の技、衣装」
周りの人は初めて本物の衣装を見て唖然といた。
「で、調査する理由は最近魔物の動きが活発でね、魔王が何かしらの動き出したのかと思うから急に現れた置物を調べる。何も無かったらここにまた戻すわ」
日向は魔女の証明を終えたのを確認し、元の姿に戻った。そして、周りを見てこう言った。
「そこの人、私の部屋までこれを持っていくの手伝いなさい」
日向が指をさした相手は勇者だった。勇者はゆっくりと魔王に近づきどうやって持ち上げるか悩んでいた。
「それにしても何故こんな形なんだろうね。左足を上げ右手を水に手をつけるって言う」
勇者は右足と腰を持ち水から離すと魔王が少し動いた。
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