地獄の日常は悲劇か喜劇か?〜誰も悪くない、だけど私たちは争いあう。それが運命だから!〜

紅芋

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仲間同士の戦い

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「何処か見当はないのか?」

 殺が居なくなり、皆が焦っていた中で陽は発言をする。
 その発言に対し、御影とサトリは顔を見合す。
 そうして陽の方を向き、苦笑いで答えた。

「見当がつきすぎて、逆に探し難い……」

「はあ?!」

 陽はつい声を荒げてしまう。
 普通は長年にわたって一緒に居るのならば居場所くらいはわかるのではと。
 だがサトリは少し言い難いことを言う。

「心を読んでなかったから、わからねえ。それと検討がつきすぎるのも奴とずっと一緒にいたからだ」

「あ……」

 陽はサトリの言いたいことがわかってしまい黙り込む。
 この言葉を聞いてしまったら今、サトリと御影がどれだけ辛い思いをしているのかわかってしまうからだ。

 皆まで云うな。

 今、この状況に相応しい言葉はそれしかない。
 サトリと御影の思いは、本人が口に出さないとしている限りは言ってはならない。

「取り敢えず、探しましょう!」

「ああ、そうだな。片っ端からまわっていくか!」

 Mとサトリの言葉を皮切りに陽とMが殺と長年過ごした二人に場所の候補を訊く。
 そして候補を聞いたら四人はわかれて殺を探しに行こうとした。
 だがサトリは、はっとした様な顔で皆を引き止める。

「探し終わったら合流しよう。殺が見つかればそれまでだが、見つけられなかった時に話し合う為に」

 合流する場を皆で決めて探しに出かける。

 閻魔も行きたそうにしていたが、彼には仕事がある。
 だから四人で大丈夫だと言って、颯爽と街へ繰り出した。


 ~~~~


 殺が行きそうな場所。

 美優と真といつも遊んでいた空き地、女殺し事件の際にご飯を食べる為に入った食堂、日向を助ける際に赴いた廃工場、甘味屋、昔通っていた文具店や玩具屋。

 他にも思い当たる場所は沢山ある。
 地獄の街だけではない、天界にも殺は行きそうだ。
 皆が殺を探す。

 皆、考えることが同じで街の人にも聞き込みを行なったが、誰も紅い髪の黒いコートの男は見ていないと言う。
 街に居る人に片っ端から訊いてまわるからこそ時間がかかった。

 だが聞き込みでは有力な情報は得られなかった。
 そのことで皆は焦る。
 最初に決めていた探す場所を探し終えれば、決めていた通りに皆が合流しようと約束の場所である安価で有名な服屋へ向かう。

「見つけたー?」

「見つからなかったのじゃ……」

「僕も……」

「私も……」

 皆の落胆の仕方には、思わず街で歩いていた一般市民が少し離れて歩くくらいだ。
 そして皆は気づいた、殺を探していたらもう夜だったことに。
 皆は焦る。
 皆には家族が居る、心配をかけさせない為に帰らなければならない。

「夜の遅くだから……皆、帰ろう」

「そう……じゃな」

 皆が帰ろうとする。
 そんな中でMはあることを言った。

「家族が居るってこういうことなのですね。……殺様にもこういう家族は居ましたか?!今は従者が待って居ても、子供の頃は一人だったのでは?!……孤独だったのでは?」

 Mの一言でサトリと御影の顔色は青くなる。
 そういえば、殺には帰りを待ってくれる家族は居なかった。
 いつも遊んで帰れば、あの広い屋敷に一人ぼっち。

 それがどれだけ寂しいことか。
 それでも殺は何も言わなかった。
 寂しいと一言も言わなかった。
 それは皆を困らせない為の痩せ我慢だったのだろう。

 殺は皆にいつも言いたいことを言うようにしてきた。
 だが……サトリは唇を噛み締める。
 そうして溢す様に呟く。

「彼奴は何も言ってねえじゃねえか……。それじゃあ俺は……俺たちはわからねえよ!」

 サトリは心底悲しそうに言葉を溢す。
 御影も顔を手で覆って、泣きそうに言う。

「彼奴は大きな子供じゃったのじゃな……。我慢して成長してきた哀れな子供じゃ。儂らは彼奴の笑顔しか見てこなかった、辛い表情など見ていなかった……。それに気づいておれば……待って居てやれる家族になっておれば良かったものを……」

「俺たちは殺に付いている様で殺に寄り添ってなかったんだ……」

 二人の兄は自分の咎を責める。
 そうして何かを思ったのか、サトリが声をあげた。

「皆、夜だけど最後に探したい場所がある!」

「今、姉様に遅くなると連絡している」

「私も同室の人に遅くなるって連絡いれましたわ!」

「お主ら……ありがとう」

 最後に探したい場所。
 その場所はいったい何処なのかと陽とMは歩を進めた。


 ~~~~

 街の郊外の小高い丘。
 そこに皆が立っていた。

「此処が……探したい場所?」

「ああ、昔に殺とよく遊んだ場所だ」

「弁当を持って出かけたものじゃのう!」

 二人は昔を思い出して少し笑顔になる。
 笑っていた殺を思い出して。
 たとえ、辛い表情も浮かべていようが笑顔もあった。
 そう思って、帰って来る殺に笑顔で居られる様にした。

 その時だった。

「……!避けろ!」

「え?きゃあ!!」

 ヒュンと何かが飛んで来る音が聞こえたと同時に皆が爆風に巻き込まれる。
 何者かの攻撃を読んでいたサトリと御影は其々に陽とMを抱えて間一髪避けた。

「何者だ!!……え?」

「如何だい?驚いたー?」

 サトリは目を疑った。
 そこには栗色の髪の男の前で闇の球の弾幕を作り、攻撃を繰り出そうとしている殺が居たからだ。
 陽は絶句している。
 まさか先ほどの攻撃は殺のものかと。
 そうしていると殺は笑う。

「私がしたに決まってるではないですか!馬鹿なのですか?」

 殺は馬鹿にしている風に笑っていた。
 人を見下した様な目で殺は四人を見つめる。
 そんな目を殺がするわけがないと御影は栗色の髪の男に大きな声をあげる。

「お主!殺を操っているのじゃろう!?」

「操ってないよ。殺の意思だもん!嘘だと思うなら其処のサトリ妖怪が心を読めば良いじゃん!」

「言われなくとも!」

 サトリは殺の心を読む。
 するとサトリは絶句した。
 彼が読んだ心は操られてのものではない、純粋な殺意だったからだ。
 そうして殺が翠の仲間の一員になれたこと、血が繋がったことを誇っている心が読めたのだ。

「嘘だろ……殺、其奴らと血が繋がって?!」

「何だと!?サトリ!」

「ははは!殺は俺たちの家族になったんだ。あの時に渡した果実は俺たちの血を創る核になるんだ!」

 栗色の髪の男は「如何だ!絶望したか?」と笑っている。
 皆は黙る。

「核を破壊するには殺を倒さねばならない!お前たちに出来るか?出来ないだろ!ははは!」

 皆は暫し沈黙をした。
 そう、暫しの間だ。
 その時間が過ぎれば皆は行動を起こす。

「うォォォォォォォ!!!」
「うォォォォォォォ!!!」
「うォォォォォォォ!!!」
「うォォォォォォォ!!!」

「なっ!?」

 皆は刀や鞭を構えて殺に突進する。
 それに栗色の髪の男は焦る。

「何でだ!?」

「殺を連れて帰りたいんでねー!要するに帰らすには殺を倒せば良いんだろ?攻略方法ありがと、ヒャッハぁぁぁぁぁぁ!」

「この外道共が!殺!倒せ!」

 殺は弾幕を皆に浴びせさせようする。
 だが皆は避ける。
 それを見た殺は刀を抜き出す。
 そうして刃を構えて憎悪を現した。

「この外道共め!」

 さあ、仲間同士の争いとはどうなるのか?
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