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第1章 突然の
1-22 わだかまり
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「、、、巡回で来た」
ものすごくドス黒く低い声が聞こえた。
レインってそんな声も発することができたんだな。
薬屋の店内にいないから、休憩室を普通に覗いたレイン。
目が限りなく殺人を犯す者のソレだ。
どちらに対しての殺意だろう。
俺かな?
「俺がティフィではないと説明する前に口をふさがれ抱かれた」
浮気の言い訳かな、コレ。
俺がこういうことを言うようになるとは。
どう見たって事後。
一人は正座させられているのは、どういうプレイかと思われてないよね。
俺の指示で、ルアン王子は素直に正座したけどね。
「コイツ、殺していいか」
「それはやめておけ。これでもジルノア王国の第一王子だ。お前も一度は会ったことがあるだろう?」
「、、、ああ。」
暗い声が怖いよ、レインくん。
俺は魔法でティフィのカラダも、ルアン王子のカラダもさっさと綺麗にした。
この姿を晒していると、レインくんの殺気が爆上がりだ。
散らばっている服を拾い上げて、ルアン王子のものは投げ渡した。
服を着てから、二人をイスに座らせ、俺も元のイスに座る。
「さて、ルアン王子殿下、俺がティフィではないことはすでにわかっただろう」
「、、、ティフィは魔法が使えない。いや、私の前で使えないフリをしていたのなら」
「ティフィは魔力を封印されているから魔法が使えない、で正しい認識だ」
「けれど、カラダの気持ち良くよがる場所はティフィだった。昔と変わらず」
「肉体はティフィのものだからな」
ルアン王子の話を遮った。レインの殺気レベルがまた上がってしまう。
「ルアン王子殿下にティフィが抱かれたことがあるというのは確かだろう。ヤッていてカラダが馴染んだ。良いところに当たる、、、いや、何でもない」
レインの目が俺を見たよー。怖いよー。失言しちゃったよー。
「中身が別人だという話だ。お前、この事実がティフィ本人にバレたら、区別もつかないのかとなじられるぞ」
「うっ」
「ところで、貴方こそこの王子に気があるんじゃないですか?腐っても一国の王子ですよ?」
レイン、、、疑ってる?
「いや、俺自身にはその気はない。この王子の顔、俺とわりと似ているからなあ。言われなくとも王子の方がイケメンだけどさっ。脱ぐと筋肉あるから体格いいし、男として劣等感に苛まれる方が強いというか」
「、、、は?似てますか?」
レインがじっとルアン王子の顔を見る。睨みつけてるようにしか見えないが。。。
「黒目黒髪はそうですが、、、百歩譲って?」
「王子がイケメン過ぎて、比べようがないって?」
俺はレインに言った。
ちょっと傷ついちゃう。
ま、俺の顔なんて覚えてなかろう。
ん?黒目黒髪って、俺のこと覚え。
「いいえ、貴方の方が百倍も素敵ですっ」
覚えてないのかな?
それとも、誰かと勘違い?
「私はジルノア王国の第一王子であった。けれど、愛するティフィを追いかけてきた。弟の第二王子に仕事を引き継いできたので少々時間がかかってしまったが、私の想いは昔と変わらない。私と結婚してくれ」
「いや、だから、中身もティフィが揃ってからプロポーズしてくれ。俺だと返事しようがない」
「あ、嫌そうな顔してる」
そう言ったレインの嬉しそうな顔といったら。。。
俺のほっぺを指でツンツンするんじゃない。
「貴方は俺との責任をとってくれると約束してくれたからね」
「レインが俺を嫌じゃなければね」
俺がね、俺が。
ティフィじゃないよ。
責任取るのが俺で良ければ、いくらでも喜んで取りますよ。
是非ともお嫁に来てください。
「イチャイチャし過ぎだ。何だ、この男は。お前の恋人かっ」
ルアン王子が立ち上って、レインを指さした。
お前、が誰をさしているのだろう?
レインはティフィの恋人かというと違う。
「ルアン王子殿下、レインはトワイト魔法王国の聖騎士レイグ・フォスターだ。一度くらいは挨拶を交わしたことがあるだろう、公式に」
聖騎士はあらゆる国で活動するので、様々な国を訪問する。
「ジニア聖教国に接する我が国に挨拶に来る聖騎士は多い。すべてを覚えていられない」
「、、、ああ、良かった。お前にも欠点があって」
声が冷たくなってしまった。
俺やレインが紹介された人を忘れるというのとは別の意味がある。
俺たちは特に忘れても関係ない。紹介された人が俺たちにとってどうでもいい人たちだからである。
実は王族や高位貴族は、一度紹介された人を忘れるということは失態である。
紹介までされるということは、それなりに関わり合うから、必要だからである。一般の民は彼らに誰彼かまわず挨拶できる立場にないのだ。
そして、彼らには補佐する者たちがいるので、次に会う機会があれば、もちろん思い出すようさり気なく伝えているが、一度でも会った人物を覚えているというのは彼らにとって必要不可欠な能力なのである。
そうでなければ、政敵にヤられる。
聖騎士レイグ・フォスターはトワイト魔法王国の聖騎士だ。
その意味をコイツは知らないと同義の発言をした。
トワイト魔法王国を蔑ろにしたも同じ。
「ティフィにそう言われると、堪えるな」
ルアン王子が本当に辛そうな顔をして俯く。
俺の真意を知って発した言葉ではない。
そういう顔をしていれば、慰めてもらえると思っているのだろうか。
「貴方が他人にそういう態度をとるのを見るのは初めてだ」
レインが感想を漏らしたが、まだ二週間しか経っていない。
「貴方はどんなクズでも受け入れるじゃないか」
クズってグレジルのことですかね?
挿れましたね、ティフィのカラダに。
だって、あの人もティフィと前に関係あったからさー。
「それを言うなら、このルアン王子も受け入れている」
「この王子に対してだけは、貴方の言葉に棘がある。冷たさがある。クズに対しても言葉にのせられていなかった感情が表されている」
「そりゃそうだろ。俺は出身がジルノア王国だが、孤児だ。スラム以下のところで貧しい生活していたこともある。そういう人物が、国全体を豊かにできず、平民を虐げて威張りくさっているジルノア王国の王族、しかも第一王子に会ってしまったんだ。何か思うことがあるのが普通だろ」
「ああ、」
「そーんな恵まれて、平民の税金を絞るだけ絞り取ってその金で育った坊ちゃんが王子をやめて、男を追いかけてきたんだ。王子が愛に生きて素晴らしいとか、俺に言えるわけがない」
できるだけ感情が外に出ないように抑える。
コレは仕方のないことだ。
ルアン王子の責任ではない。
けれど、本来は接点のない、出会うことのない人物のはずだった。
俺は平民で、王族は雲の上の人で。
永遠に交わることのない。
俺がトワイト魔法王国の魔導士序列六位になってなお、ジルノア王国の王族になんか会いたくなかった。
隣国との付き合いで仕方なしに挨拶だけはした。
それだけだ。
挨拶以上話すと、毒しか吐けなくなる。
自分たちは裕福な生活をして、最下級の者には手すら差し伸べることのなかった彼らに。
トワイト魔法王国のグフタ国王もそのことをわかっているからこそ、ただの顔合わせの挨拶だけで終了したのだ。
俺にとっては今さらだ。
あのとき誰も救わなかったのだから。
ジルノア王国の王族なんて必要ないものだと断定したのだ。
「ルアン王子殿下、ティフィとのことは、ティフィが戻って来てから出直してくれ」
帰れ、と言った。
早くここから立ち去ってほしいと告げた。
にもかかわらず。
「それはできない」
「なぜ?」
「ティフィの家に一緒に住むと、ルチタ王国の国王や、この地域の領主の誘いを断ってここに来たのだから」
ルアン王子はこれほどまでに自分勝手な我がまま傲慢バカ王子だったか?
ここに来るというルアン王子からの手紙などの残骸もこの家には存在していなかった。
コイツはティフィの都合がどうかを一切考慮しないのだろうか。
王族特有の、すべてが自分たちの思い通りになると、まだ思っているのか。
王子をやめてきたと言ったのに。
それに。
この街で一年は過ごしているティフィが心変わりしているかもしれないと、露ほども考えないのだろうか。
ものすごくドス黒く低い声が聞こえた。
レインってそんな声も発することができたんだな。
薬屋の店内にいないから、休憩室を普通に覗いたレイン。
目が限りなく殺人を犯す者のソレだ。
どちらに対しての殺意だろう。
俺かな?
「俺がティフィではないと説明する前に口をふさがれ抱かれた」
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「コイツ、殺していいか」
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「、、、ああ。」
暗い声が怖いよ、レインくん。
俺は魔法でティフィのカラダも、ルアン王子のカラダもさっさと綺麗にした。
この姿を晒していると、レインくんの殺気が爆上がりだ。
散らばっている服を拾い上げて、ルアン王子のものは投げ渡した。
服を着てから、二人をイスに座らせ、俺も元のイスに座る。
「さて、ルアン王子殿下、俺がティフィではないことはすでにわかっただろう」
「、、、ティフィは魔法が使えない。いや、私の前で使えないフリをしていたのなら」
「ティフィは魔力を封印されているから魔法が使えない、で正しい認識だ」
「けれど、カラダの気持ち良くよがる場所はティフィだった。昔と変わらず」
「肉体はティフィのものだからな」
ルアン王子の話を遮った。レインの殺気レベルがまた上がってしまう。
「ルアン王子殿下にティフィが抱かれたことがあるというのは確かだろう。ヤッていてカラダが馴染んだ。良いところに当たる、、、いや、何でもない」
レインの目が俺を見たよー。怖いよー。失言しちゃったよー。
「中身が別人だという話だ。お前、この事実がティフィ本人にバレたら、区別もつかないのかとなじられるぞ」
「うっ」
「ところで、貴方こそこの王子に気があるんじゃないですか?腐っても一国の王子ですよ?」
レイン、、、疑ってる?
「いや、俺自身にはその気はない。この王子の顔、俺とわりと似ているからなあ。言われなくとも王子の方がイケメンだけどさっ。脱ぐと筋肉あるから体格いいし、男として劣等感に苛まれる方が強いというか」
「、、、は?似てますか?」
レインがじっとルアン王子の顔を見る。睨みつけてるようにしか見えないが。。。
「黒目黒髪はそうですが、、、百歩譲って?」
「王子がイケメン過ぎて、比べようがないって?」
俺はレインに言った。
ちょっと傷ついちゃう。
ま、俺の顔なんて覚えてなかろう。
ん?黒目黒髪って、俺のこと覚え。
「いいえ、貴方の方が百倍も素敵ですっ」
覚えてないのかな?
それとも、誰かと勘違い?
「私はジルノア王国の第一王子であった。けれど、愛するティフィを追いかけてきた。弟の第二王子に仕事を引き継いできたので少々時間がかかってしまったが、私の想いは昔と変わらない。私と結婚してくれ」
「いや、だから、中身もティフィが揃ってからプロポーズしてくれ。俺だと返事しようがない」
「あ、嫌そうな顔してる」
そう言ったレインの嬉しそうな顔といったら。。。
俺のほっぺを指でツンツンするんじゃない。
「貴方は俺との責任をとってくれると約束してくれたからね」
「レインが俺を嫌じゃなければね」
俺がね、俺が。
ティフィじゃないよ。
責任取るのが俺で良ければ、いくらでも喜んで取りますよ。
是非ともお嫁に来てください。
「イチャイチャし過ぎだ。何だ、この男は。お前の恋人かっ」
ルアン王子が立ち上って、レインを指さした。
お前、が誰をさしているのだろう?
レインはティフィの恋人かというと違う。
「ルアン王子殿下、レインはトワイト魔法王国の聖騎士レイグ・フォスターだ。一度くらいは挨拶を交わしたことがあるだろう、公式に」
聖騎士はあらゆる国で活動するので、様々な国を訪問する。
「ジニア聖教国に接する我が国に挨拶に来る聖騎士は多い。すべてを覚えていられない」
「、、、ああ、良かった。お前にも欠点があって」
声が冷たくなってしまった。
俺やレインが紹介された人を忘れるというのとは別の意味がある。
俺たちは特に忘れても関係ない。紹介された人が俺たちにとってどうでもいい人たちだからである。
実は王族や高位貴族は、一度紹介された人を忘れるということは失態である。
紹介までされるということは、それなりに関わり合うから、必要だからである。一般の民は彼らに誰彼かまわず挨拶できる立場にないのだ。
そして、彼らには補佐する者たちがいるので、次に会う機会があれば、もちろん思い出すようさり気なく伝えているが、一度でも会った人物を覚えているというのは彼らにとって必要不可欠な能力なのである。
そうでなければ、政敵にヤられる。
聖騎士レイグ・フォスターはトワイト魔法王国の聖騎士だ。
その意味をコイツは知らないと同義の発言をした。
トワイト魔法王国を蔑ろにしたも同じ。
「ティフィにそう言われると、堪えるな」
ルアン王子が本当に辛そうな顔をして俯く。
俺の真意を知って発した言葉ではない。
そういう顔をしていれば、慰めてもらえると思っているのだろうか。
「貴方が他人にそういう態度をとるのを見るのは初めてだ」
レインが感想を漏らしたが、まだ二週間しか経っていない。
「貴方はどんなクズでも受け入れるじゃないか」
クズってグレジルのことですかね?
挿れましたね、ティフィのカラダに。
だって、あの人もティフィと前に関係あったからさー。
「それを言うなら、このルアン王子も受け入れている」
「この王子に対してだけは、貴方の言葉に棘がある。冷たさがある。クズに対しても言葉にのせられていなかった感情が表されている」
「そりゃそうだろ。俺は出身がジルノア王国だが、孤児だ。スラム以下のところで貧しい生活していたこともある。そういう人物が、国全体を豊かにできず、平民を虐げて威張りくさっているジルノア王国の王族、しかも第一王子に会ってしまったんだ。何か思うことがあるのが普通だろ」
「ああ、」
「そーんな恵まれて、平民の税金を絞るだけ絞り取ってその金で育った坊ちゃんが王子をやめて、男を追いかけてきたんだ。王子が愛に生きて素晴らしいとか、俺に言えるわけがない」
できるだけ感情が外に出ないように抑える。
コレは仕方のないことだ。
ルアン王子の責任ではない。
けれど、本来は接点のない、出会うことのない人物のはずだった。
俺は平民で、王族は雲の上の人で。
永遠に交わることのない。
俺がトワイト魔法王国の魔導士序列六位になってなお、ジルノア王国の王族になんか会いたくなかった。
隣国との付き合いで仕方なしに挨拶だけはした。
それだけだ。
挨拶以上話すと、毒しか吐けなくなる。
自分たちは裕福な生活をして、最下級の者には手すら差し伸べることのなかった彼らに。
トワイト魔法王国のグフタ国王もそのことをわかっているからこそ、ただの顔合わせの挨拶だけで終了したのだ。
俺にとっては今さらだ。
あのとき誰も救わなかったのだから。
ジルノア王国の王族なんて必要ないものだと断定したのだ。
「ルアン王子殿下、ティフィとのことは、ティフィが戻って来てから出直してくれ」
帰れ、と言った。
早くここから立ち去ってほしいと告げた。
にもかかわらず。
「それはできない」
「なぜ?」
「ティフィの家に一緒に住むと、ルチタ王国の国王や、この地域の領主の誘いを断ってここに来たのだから」
ルアン王子はこれほどまでに自分勝手な我がまま傲慢バカ王子だったか?
ここに来るというルアン王子からの手紙などの残骸もこの家には存在していなかった。
コイツはティフィの都合がどうかを一切考慮しないのだろうか。
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