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2章 帝国の呪い
2-72 家族の絆、他者との絆
「父上、お忙しそうですね」
久々に次男のディクスを見た気がする。
俺の執務室に来るのはいつぶりだろうか。
彼の肌色は艶やかで健康的だ。
現在、俺は皇太子である長男ベモガーにかなりの仕事を押しつけている。
今のベモガーは顔色も悪く、目の下にクマを作って頑張っている。弟たちに手伝いを頼めば多少は楽になるのにもかかわらず。
俺が忙しいのは、帝国の呪いに関することでできるだけ情報を集めているからだ。
帝国の呪いを研究している魔導士たちの成果は望ましいものではなかった。
何かが邪魔していると思えるほど。
クロウを全面的に信頼できるかというと、いまだに迷っている。
「お前にもベモガーの仕事を手伝ってもらいたいと思っているんだが」
「それは皇帝陛下としての御命令ですか?」
にこやかに問われた。
いつもならこんな確認をせず、多少は手伝いにいくのだが。
「命令ではなく、兄弟として助け合ってほしいという願いだ」
「助け合い、」
目を細められた。
微かに、何を言っているんだか、という表情を浮かべて。
微かとはいえ俺にこんな表情を向けるのははじめて見る。
「命令なら従いますよ、父上。ただ、助け合ってほしいというのは無理なお願いです。我々は長兄のせいで、いえ、長兄のために死ぬ身なのですから」
穏やかな笑みを浮かべて言われた。
今の状況では家族みんなで仲良く、なんてのは絵空事。
皇子は皇帝になるたった一人しか生きられないのが帝国の皇族の掟。
自分たちは死にゆくのに仲良くできるわけがない。
仲良く見えるのなら、それは表面上だけ。
皇帝の命令だから。
「今までなら俺に何も言わずに協力してくれたじゃないか」
「、、、確かにそうでしたね」
ディクスも意外そうな表情を浮かべている。
「けれど、父上も兄上が皇太子になることを決めてから、我々を自由にしてくれていたではありませんか。とはいえ、我々も最低限の仕事はこなしています」
申し訳程度の仕事量だが。
けれど、今後、他の兄弟の手助けなしで仕事をしなければならないのは皇太子である。
手助けをアテにするのは今後のためにはならない。
けれど。
俺は開きかけた言葉を閉じる。
帝国の呪いが今代で解けたら。
それは今、言うべきではない。
期待させるだけさせて裏切ってしまったら。
解呪できなかったら。
兄弟が助け合う未来があると願って、俺は進んでいる。
それでも、間に合わない可能性がないとは言えない。
クロウが言う解呪方法が正しいと立証できる者は誰一人としていないのだ。
「父上も我々の死を望むなら、命令してくだされば従います」
息子の言葉が突き刺さる。
そんなこと望んでいない。
望んでないが、今は何も言えない。
「簡単でしょう」
「何が簡単なものか」
「、、、おかしいですね。精鋭部隊の数人を死地に向かわせているのにもかかわらず、皇帝陛下にはそれを自覚しておられないと」
「死地だと?」
「霊廟付近にいる彼らを見ました。最近、よくいるようですね。皇帝陛下が何を彼らに命令したのかは私にはわかりかねますが、霊廟に何か、隠されているのでしょうか」
ぐっ。
核心をついてくる。
さすがは俺の息子。
「歴代皇帝が眠る霊廟に何かしたら、皇帝陛下以外では処刑されるのが通例ですから、死地に向かわせているという表現は正しいものだと愚考しましたが」
「俺の命令で動いてもらっているんだ。処刑させるわけがない」
「そうですね。公には処刑とされない可能性もありますが、命令であっても霊廟に手を出した時点で死は確定です。それは皇帝の命令だとしても、歴史が証明しています」
そう、皇帝が命令すれば、処刑はされない。
けれど、他の手段を取られてしまうことが多々ある。
皇帝の力は万能ではない。
裏で事故に見せかけ、あるいは病気に見せかけて殺される。皇帝がどんなに阻止しようとしても、いつのまにか手が下されている。
皇帝でも一人を守りきることができない。
どんなに命令しても、人を生き返らせることはできないのだ。
「我々は皇帝陛下の命令にかかわらず死ぬ運命にあるわけですが、」
俺は息子たちのその死ぬ運命をどうにかしたいとあがいているのだが。
本人たちに言えるわけもない。
けれど、その努力を息子たちに一番わかってほしいと思ってしまうのも事実だ。
やるせない気持ちでいっぱいになる。
「彼らに協力すれば、皇帝陛下が我々に煩わされることもなくなるのでしょうか」
「それでは」
それでは意味がないと叫ぶところだった。
解呪しても息子たちが亡くなっていれば何の意味もない。
生きてもらいたいが故に解呪したいのに。
想いを伝えたいが、それは解呪した後に話すべきことである。
「お前たちはこの件にかかわるな」
そう言うのが精一杯。
「それは兄弟全員ということですか」
「そうだ」
「ベモガー兄上もかかわっていないのですか」
「ああ、かかわっていない」
「そうですか」
ディクスは頭を下げ、執務室から出て行った。
重苦しい空気のまま嫌な静寂が残る。
椅子に深く身体を預けて。
「はあーっ」
極大のため息を吐いた。
辛い。
いつもだったら、思い立ったが吉日、即断即決が俺の信条。
隠し事や腹に溜めておくというのが苦手である。
上流階級のヤツらは日常的にやっているようだが、俺は本音で生きてきた。
それが許される地位だからこそ、傍若無人、唯我独尊でもやってこれた。
その上で、自分は何を言われても気にしないタイプだと思い込んでいたが、そうではなかったようだ。
敵国とまではいかなくとも他国の人間には何を言われてもどこ吹く風。どんな悪意に塗れた言葉だろうと、口で何を言われても負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。
はずだったのに、身近な者たちにはどうも弱いし痛い。
ポシュからも、ディスクからも、批判の目や言葉が受け止めきれない。
今までの無条件の信頼が、自分の行為で評価されている。しかも、悪い方に向かっているのは気のせいではないだろう。
このまま自分の行いを突き進めば、彼らに批判から批難に変わるのはそう遠い未来ではない。
ナナキからの視線はたいてい呆れているが、仕方ないと付き合ってくれている。
その点はありがたく思うが、俺に隠れて水面下で何かやるのはやめてほしい。俺が関わるとため息を吐くしかない状況になるからだというのはわかっているが。
ただ、ナナキとの良い関係が構築されていると感じるのもつい最近、クロウが来てからのような気がする。
今、考えてみると、ナナキが幼い頃は極力会わないように避けられ、、、他から調整されていたように思える。
年齢が離れている兄弟だから、という以上の配慮があったに違いない。
俺にとってはたった一人残った可愛い弟だったとしても。
別に俺も実力がわからないわけではない。
クロウ・リティは敵国の人間ながら、実力を認めているからこそ捕虜であっても自由な言動を許していた。
懐柔しようとしているから、というのが最大の理由でもあるが。
懐柔できたら帝国にとって有益だが、もし懐柔できなくても、この国に居座らせておくだけでも構わない存在でもある。他国に渡すよりかはどんなにいいか。
昔、我が精鋭部隊の魔導士として活躍していたグランツへの苦言の場に、俺は偶然居合わせた。
アレはグランツに対しての攻撃だ。
けれど、あの怒涛の苦情が俺に向かってしまったらと思うと、恐ろしい気がする。いや、俺に言わず、ナナキに言っているのか。俺に直接言うとため息吐く案件なんだろうからな。ナナキの笑顔がゴートナー文官に似てきたなと思える今日この頃。綺麗な笑みだが、冷たく冷ややか、真夏なのに。
グランツにとっても面と向かってあそこまで言う人物ははじめてだっただろうが、クロウの薬部屋の魔導士見習であったとしても、クロウからすると敵国の人間である。
それでも、彼は浅い付き合いの見習のために行動したのである。
彼はリンク王国において何も主張せず、耐えに耐えてきた人間だとは信じられないくらいである。
けれど、アレが素なのかもしれない。
黒髪の平民という足枷がなくなった今なら、俺にだって何でも言えるのだから。
今まで言えなかった鬱憤をグランツで晴らしたわけではないだろうし。
久々に次男のディクスを見た気がする。
俺の執務室に来るのはいつぶりだろうか。
彼の肌色は艶やかで健康的だ。
現在、俺は皇太子である長男ベモガーにかなりの仕事を押しつけている。
今のベモガーは顔色も悪く、目の下にクマを作って頑張っている。弟たちに手伝いを頼めば多少は楽になるのにもかかわらず。
俺が忙しいのは、帝国の呪いに関することでできるだけ情報を集めているからだ。
帝国の呪いを研究している魔導士たちの成果は望ましいものではなかった。
何かが邪魔していると思えるほど。
クロウを全面的に信頼できるかというと、いまだに迷っている。
「お前にもベモガーの仕事を手伝ってもらいたいと思っているんだが」
「それは皇帝陛下としての御命令ですか?」
にこやかに問われた。
いつもならこんな確認をせず、多少は手伝いにいくのだが。
「命令ではなく、兄弟として助け合ってほしいという願いだ」
「助け合い、」
目を細められた。
微かに、何を言っているんだか、という表情を浮かべて。
微かとはいえ俺にこんな表情を向けるのははじめて見る。
「命令なら従いますよ、父上。ただ、助け合ってほしいというのは無理なお願いです。我々は長兄のせいで、いえ、長兄のために死ぬ身なのですから」
穏やかな笑みを浮かべて言われた。
今の状況では家族みんなで仲良く、なんてのは絵空事。
皇子は皇帝になるたった一人しか生きられないのが帝国の皇族の掟。
自分たちは死にゆくのに仲良くできるわけがない。
仲良く見えるのなら、それは表面上だけ。
皇帝の命令だから。
「今までなら俺に何も言わずに協力してくれたじゃないか」
「、、、確かにそうでしたね」
ディクスも意外そうな表情を浮かべている。
「けれど、父上も兄上が皇太子になることを決めてから、我々を自由にしてくれていたではありませんか。とはいえ、我々も最低限の仕事はこなしています」
申し訳程度の仕事量だが。
けれど、今後、他の兄弟の手助けなしで仕事をしなければならないのは皇太子である。
手助けをアテにするのは今後のためにはならない。
けれど。
俺は開きかけた言葉を閉じる。
帝国の呪いが今代で解けたら。
それは今、言うべきではない。
期待させるだけさせて裏切ってしまったら。
解呪できなかったら。
兄弟が助け合う未来があると願って、俺は進んでいる。
それでも、間に合わない可能性がないとは言えない。
クロウが言う解呪方法が正しいと立証できる者は誰一人としていないのだ。
「父上も我々の死を望むなら、命令してくだされば従います」
息子の言葉が突き刺さる。
そんなこと望んでいない。
望んでないが、今は何も言えない。
「簡単でしょう」
「何が簡単なものか」
「、、、おかしいですね。精鋭部隊の数人を死地に向かわせているのにもかかわらず、皇帝陛下にはそれを自覚しておられないと」
「死地だと?」
「霊廟付近にいる彼らを見ました。最近、よくいるようですね。皇帝陛下が何を彼らに命令したのかは私にはわかりかねますが、霊廟に何か、隠されているのでしょうか」
ぐっ。
核心をついてくる。
さすがは俺の息子。
「歴代皇帝が眠る霊廟に何かしたら、皇帝陛下以外では処刑されるのが通例ですから、死地に向かわせているという表現は正しいものだと愚考しましたが」
「俺の命令で動いてもらっているんだ。処刑させるわけがない」
「そうですね。公には処刑とされない可能性もありますが、命令であっても霊廟に手を出した時点で死は確定です。それは皇帝の命令だとしても、歴史が証明しています」
そう、皇帝が命令すれば、処刑はされない。
けれど、他の手段を取られてしまうことが多々ある。
皇帝の力は万能ではない。
裏で事故に見せかけ、あるいは病気に見せかけて殺される。皇帝がどんなに阻止しようとしても、いつのまにか手が下されている。
皇帝でも一人を守りきることができない。
どんなに命令しても、人を生き返らせることはできないのだ。
「我々は皇帝陛下の命令にかかわらず死ぬ運命にあるわけですが、」
俺は息子たちのその死ぬ運命をどうにかしたいとあがいているのだが。
本人たちに言えるわけもない。
けれど、その努力を息子たちに一番わかってほしいと思ってしまうのも事実だ。
やるせない気持ちでいっぱいになる。
「彼らに協力すれば、皇帝陛下が我々に煩わされることもなくなるのでしょうか」
「それでは」
それでは意味がないと叫ぶところだった。
解呪しても息子たちが亡くなっていれば何の意味もない。
生きてもらいたいが故に解呪したいのに。
想いを伝えたいが、それは解呪した後に話すべきことである。
「お前たちはこの件にかかわるな」
そう言うのが精一杯。
「それは兄弟全員ということですか」
「そうだ」
「ベモガー兄上もかかわっていないのですか」
「ああ、かかわっていない」
「そうですか」
ディクスは頭を下げ、執務室から出て行った。
重苦しい空気のまま嫌な静寂が残る。
椅子に深く身体を預けて。
「はあーっ」
極大のため息を吐いた。
辛い。
いつもだったら、思い立ったが吉日、即断即決が俺の信条。
隠し事や腹に溜めておくというのが苦手である。
上流階級のヤツらは日常的にやっているようだが、俺は本音で生きてきた。
それが許される地位だからこそ、傍若無人、唯我独尊でもやってこれた。
その上で、自分は何を言われても気にしないタイプだと思い込んでいたが、そうではなかったようだ。
敵国とまではいかなくとも他国の人間には何を言われてもどこ吹く風。どんな悪意に塗れた言葉だろうと、口で何を言われても負け犬の遠吠えにしか聞こえなかった。
はずだったのに、身近な者たちにはどうも弱いし痛い。
ポシュからも、ディスクからも、批判の目や言葉が受け止めきれない。
今までの無条件の信頼が、自分の行為で評価されている。しかも、悪い方に向かっているのは気のせいではないだろう。
このまま自分の行いを突き進めば、彼らに批判から批難に変わるのはそう遠い未来ではない。
ナナキからの視線はたいてい呆れているが、仕方ないと付き合ってくれている。
その点はありがたく思うが、俺に隠れて水面下で何かやるのはやめてほしい。俺が関わるとため息を吐くしかない状況になるからだというのはわかっているが。
ただ、ナナキとの良い関係が構築されていると感じるのもつい最近、クロウが来てからのような気がする。
今、考えてみると、ナナキが幼い頃は極力会わないように避けられ、、、他から調整されていたように思える。
年齢が離れている兄弟だから、という以上の配慮があったに違いない。
俺にとってはたった一人残った可愛い弟だったとしても。
別に俺も実力がわからないわけではない。
クロウ・リティは敵国の人間ながら、実力を認めているからこそ捕虜であっても自由な言動を許していた。
懐柔しようとしているから、というのが最大の理由でもあるが。
懐柔できたら帝国にとって有益だが、もし懐柔できなくても、この国に居座らせておくだけでも構わない存在でもある。他国に渡すよりかはどんなにいいか。
昔、我が精鋭部隊の魔導士として活躍していたグランツへの苦言の場に、俺は偶然居合わせた。
アレはグランツに対しての攻撃だ。
けれど、あの怒涛の苦情が俺に向かってしまったらと思うと、恐ろしい気がする。いや、俺に言わず、ナナキに言っているのか。俺に直接言うとため息吐く案件なんだろうからな。ナナキの笑顔がゴートナー文官に似てきたなと思える今日この頃。綺麗な笑みだが、冷たく冷ややか、真夏なのに。
グランツにとっても面と向かってあそこまで言う人物ははじめてだっただろうが、クロウの薬部屋の魔導士見習であったとしても、クロウからすると敵国の人間である。
それでも、彼は浅い付き合いの見習のために行動したのである。
彼はリンク王国において何も主張せず、耐えに耐えてきた人間だとは信じられないくらいである。
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