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3章 闇のなか
3-13 家庭教師の本性 ◆アミール視点◆
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◆アミール視点◆
兄上が風邪を引いた。
僕が体調を崩すことはあっても、兄上はいつも元気だった。
頑丈で強くて、いつも笑顔で、泣いている僕のそばに颯爽と現れてくれるヒーローだった。
母上のためにー、が口癖だった兄上は笑わなくなった。
母上に向けていた笑顔は、誰にも向けられることはなくなった。
お父様たちが領地を巡りに出発した。
馬車を借り、短くて一週間、何かあると二週間ほどかけて領地を巡回する。
朝夕は肌寒くなり、穀物の収穫もこの地方ではだいたい終了した。
だから、税の徴収額確定のためにこの時期に動く。
朝食は兄上と一緒に食べられる。兄上はもう家族の夕食時間に戻って来ることはなくなってしまった。夕食を共にすることができない。
兄上が温める魔法を教えてくれた。
これから寒くなるから、こっそりと食事も自分の分だけ温めなさいと。
かけ水も自分が使う分だけかけ湯にしなさいと。
父が雇った家庭教師は魔法を教えてはくれない。
メルクイーン男爵家の当主も長男もF級魔導士、貴方にも魔法の才能はないと。
家族が魔法を使えないから何だというのだろう。だとしたら、兄上にだって魔法の才能はないはずだ。だが、兄上は様々な魔法を使える。
大きな魔法が使えなくとも、便利な魔法は非常に多いと兄上は言う。
兄上には家庭教師がついたことがない。それなのに、誰よりも博識だ。
砦にいる冒険者や父や兄たちより、誰よりもいろいろなことを知っている。
砦の図書室にある本で学んだというが、あの分厚い本をどれだけ読めば、それほどの知識を得ることができるのか。
僕もずっと兄上のそばにいたかった。
砦で冒険者になりたかった。兄上の横に並んで生きたかった。
成人してからこの家から自由になれるとしても、十五歳から冒険者を一から目指すのでは遅すぎる。
バシっと教鞭で手を叩かれた。かなり痛い。ペンを落としてしまう。
「どうしてこんな問題も解けないのか。やはり男爵家の子供はそれだけの頭しかないようだな」
その解き方を教えるのが、家庭教師の仕事のはずなのに。
父たちが家から出発すると、この家庭教師の態度が豹変した。手にしていた教鞭を僕に対して振るうようになってしまった。
街の外れにある湖のそばに保養地がある。有名貴族の屋敷もある。
そこには高位の貴族もいる。その貴族の紹介で、この家庭教師はやって来た。
そこでは一週間に一時間ほど教えているらしい。他の家庭教師も大勢いるため、かなり余った時間にこちらに来ることになった。
昼間、僕以外一週間は家にいない。
けれど、早ければ明日には父たちが戻って来る。
あの父たちに早く帰って来てもらいたいと思ってしまう自分が嫌だと思いながらも、この家庭教師は父たちがいる間は暴力を振るわない。
「この頁の問題を解いていなさい。私は少々席を外します」
コホンと小さく咳をして部屋から出ていった。
トイレか?
まだ解けない問題を解けと言うのは、なぜなのだろう。
わざと鞭で打ちたいからなのではと勘繰ってしまう。
兄上に救けを求めれば、砦での仕事の邪魔をしてしまう。
今は魔物の販売許可証に関わる店や商品の関係で忙しいのだ。
トイレにしては、時間が長い気がした。
この問題を僕が解けるわけがない。解き方を全然教わっていないのだから。
僕は部屋を出た。
家庭教師はトイレにいなかった。
ほんの少し、父の執務室の扉が開いていた。
父が帰ってきたのだろうか?
もし、それなら。
僕の期待は裏切られた。
そこにいたのは、家庭教師。
戸棚を開けたり、引き出しを開けている。
これは。
「男爵家はろくな物がない」
「そこで何をしている」
「ああっ?アミールくーん、私は部屋で問題を解けって言っていましたよねー?もう解けたのかなー?」
家庭教師の顔が歪んで笑顔で聞いてきた。
「解けていません。だから」
「どうやらアミールくんには躾が必要なようですねー。言いつけも守れないのは問題ですねえ」
「それは貴方が」
僕は反論しようとした。
が、家庭教師のゲスな笑みに、僕は自分の行動の間違いに気づいた。僕はこのとき大人を呼びに行くべきだったのだ。
家庭教師は教鞭を手に持っていた。
ゆっくりとゆっくりと近づいてくる。
僕の足でコイツから逃げ切れるだろうか。
「あー、やれやれ。小遣い稼ぎにはなると思ったんですけどねえ。使用人はいないし、親も兄も馬鹿なら、弟も愚かだ。黙って言われたことをやっておけばいいのに。ああ、でも、アミールくんは男爵に告げ口はしないでくれるかもしれませんねえ。カラダに教え込ませれば」
手が伸びて来る。
「兄上ーーーーーっ」
僕は叫んだ。
「ははは、貴方のお父様もお兄様も戻りは早くても明日ですよ」
一瞬だった。
嫌な笑顔を浮かべている家庭教師が吹っ飛んだ、文字通り。
壁に激突した。そして、飾っていた絵画が家庭教師に落ちる。
「ぐっ」
「アミール、大丈夫かっ」
現れたのは、僕のヒーローだ。
「あ、兄上、兄上ーーーーっ」
ぎゅむっと縋りつく。
僕は泣いた。大粒の涙が溢れてきた。
兄上は僕の頭をポンポンとたたいた。
「クロがニヨニヨしながら家が危ないかもよー、と言ったから、もしやと思ったけど」
「何だ、お前は。侯爵様がご紹介した家庭教師にこんなことをして許されると思うのか」
すでに家庭教師には笑顔がなかった。立ち上がるのも痛さをこらえて必死のようだ。
「侯爵様ー?」
反対に、黒い笑顔を浮かべたのは兄上の方。蔑んだ目で家庭教師を見ている。
「ダメだねー、家庭教師殿。外国にかぶれているのか?この国では当主様や領主様ならともかく、爵位に様はつけない。敬称が含まれているからねえ。そんなことさえも知らずに人に物を教えていたのか?」
兄上の言うとおりである。
国によって敬称の付け方は異なる。この領地の領民が父を領主様と呼ぶが、男爵様とは呼ばない。反対に男爵様と呼ばなければならない国もあり、つけないと不敬で罰せられるところもあるらしい。国外に行くことがあるのなら注意、と兄上から聞いたことがある。
「何をっ、この子供がっ。私が侯爵様に言えばっ、こんな男爵家などすぐに潰してくれるっ」
兄上が白い魔剣を家庭教師の喉笛に突きつける。
「へえー?じゃあ、言ってごらんよ。この地はメルクイーン男爵領。この意味も分からぬ家庭教師なら、たかが知れる」
「だから、何だと言うのだっ。それに子供がいくら言い訳したところで、男爵も私の意見を聞くに違いない」
家庭教師が吠えた。僕にも意味がわからないが、この家庭教師にもわからないらしい。
「子供だけじゃない。俺もいる」
ナーヴァルさんも来てくれた。いや、兄上が連れてきたのだろう。クロ様が家が危ないと言えば、家には僕と家庭教師しかいない。もしものことを考えて、対処してくれたのだろう。
「たかが冒険者が」
「たかが冒険者でも、この地は王命が出ている土地だと知っている。メルクイーン男爵領では魔の大平原を管理する代わりに、この地に自分よりも高位の貴族が来たとしても、それらの者が犯罪を犯せば処罰をこの地で与えることができる。また、従わない貴族に命令を出すこともできる。この地に来るならそれぐらい知っておけ」
「なっ、だが、冒険者がいくら侯爵様に言ったところで」
「はっ、お前の言っている侯爵様は、保養地に屋敷があるハーラット侯爵だろ。じゃあ、俺の名で手紙を出しておいてやる」
「だから、それが何の意味が」
「俺は王都にいたときの知り合いだ。アイツにはかなりの恩を売っている。貴族の知り合いなんていらないと思っていたが、人脈とはこういうときに使えるもんだな」
ナーヴァルさんの笑顔で、家庭教師は恐怖の顔になった。言葉が怖かったのか、表情が怖かったのか僕には判断がつかない。
だが、兄上が剣を下げた瞬間に、家庭教師は立ち上がった。
「冒険者風情の言葉を侯爵様が聞くはずもないっ」
家庭教師は言い捨てて外へ逃げた。待たせていた馬車に飛び乗っていった。
近所の人たちも騒ぎを聞きつけたようで、家の周囲に来ていた。
「アミール、大丈夫だったか?」
「兄上、兄上ーっ」
あの家庭教師がいなくなって、ホッとした。
それなのに、涙はそれ以上に流れてきた。
久々の兄上にしがみつく。
「さて、どうするかな」
兄上はボソリと呟いた。
兄上が風邪を引いた。
僕が体調を崩すことはあっても、兄上はいつも元気だった。
頑丈で強くて、いつも笑顔で、泣いている僕のそばに颯爽と現れてくれるヒーローだった。
母上のためにー、が口癖だった兄上は笑わなくなった。
母上に向けていた笑顔は、誰にも向けられることはなくなった。
お父様たちが領地を巡りに出発した。
馬車を借り、短くて一週間、何かあると二週間ほどかけて領地を巡回する。
朝夕は肌寒くなり、穀物の収穫もこの地方ではだいたい終了した。
だから、税の徴収額確定のためにこの時期に動く。
朝食は兄上と一緒に食べられる。兄上はもう家族の夕食時間に戻って来ることはなくなってしまった。夕食を共にすることができない。
兄上が温める魔法を教えてくれた。
これから寒くなるから、こっそりと食事も自分の分だけ温めなさいと。
かけ水も自分が使う分だけかけ湯にしなさいと。
父が雇った家庭教師は魔法を教えてはくれない。
メルクイーン男爵家の当主も長男もF級魔導士、貴方にも魔法の才能はないと。
家族が魔法を使えないから何だというのだろう。だとしたら、兄上にだって魔法の才能はないはずだ。だが、兄上は様々な魔法を使える。
大きな魔法が使えなくとも、便利な魔法は非常に多いと兄上は言う。
兄上には家庭教師がついたことがない。それなのに、誰よりも博識だ。
砦にいる冒険者や父や兄たちより、誰よりもいろいろなことを知っている。
砦の図書室にある本で学んだというが、あの分厚い本をどれだけ読めば、それほどの知識を得ることができるのか。
僕もずっと兄上のそばにいたかった。
砦で冒険者になりたかった。兄上の横に並んで生きたかった。
成人してからこの家から自由になれるとしても、十五歳から冒険者を一から目指すのでは遅すぎる。
バシっと教鞭で手を叩かれた。かなり痛い。ペンを落としてしまう。
「どうしてこんな問題も解けないのか。やはり男爵家の子供はそれだけの頭しかないようだな」
その解き方を教えるのが、家庭教師の仕事のはずなのに。
父たちが家から出発すると、この家庭教師の態度が豹変した。手にしていた教鞭を僕に対して振るうようになってしまった。
街の外れにある湖のそばに保養地がある。有名貴族の屋敷もある。
そこには高位の貴族もいる。その貴族の紹介で、この家庭教師はやって来た。
そこでは一週間に一時間ほど教えているらしい。他の家庭教師も大勢いるため、かなり余った時間にこちらに来ることになった。
昼間、僕以外一週間は家にいない。
けれど、早ければ明日には父たちが戻って来る。
あの父たちに早く帰って来てもらいたいと思ってしまう自分が嫌だと思いながらも、この家庭教師は父たちがいる間は暴力を振るわない。
「この頁の問題を解いていなさい。私は少々席を外します」
コホンと小さく咳をして部屋から出ていった。
トイレか?
まだ解けない問題を解けと言うのは、なぜなのだろう。
わざと鞭で打ちたいからなのではと勘繰ってしまう。
兄上に救けを求めれば、砦での仕事の邪魔をしてしまう。
今は魔物の販売許可証に関わる店や商品の関係で忙しいのだ。
トイレにしては、時間が長い気がした。
この問題を僕が解けるわけがない。解き方を全然教わっていないのだから。
僕は部屋を出た。
家庭教師はトイレにいなかった。
ほんの少し、父の執務室の扉が開いていた。
父が帰ってきたのだろうか?
もし、それなら。
僕の期待は裏切られた。
そこにいたのは、家庭教師。
戸棚を開けたり、引き出しを開けている。
これは。
「男爵家はろくな物がない」
「そこで何をしている」
「ああっ?アミールくーん、私は部屋で問題を解けって言っていましたよねー?もう解けたのかなー?」
家庭教師の顔が歪んで笑顔で聞いてきた。
「解けていません。だから」
「どうやらアミールくんには躾が必要なようですねー。言いつけも守れないのは問題ですねえ」
「それは貴方が」
僕は反論しようとした。
が、家庭教師のゲスな笑みに、僕は自分の行動の間違いに気づいた。僕はこのとき大人を呼びに行くべきだったのだ。
家庭教師は教鞭を手に持っていた。
ゆっくりとゆっくりと近づいてくる。
僕の足でコイツから逃げ切れるだろうか。
「あー、やれやれ。小遣い稼ぎにはなると思ったんですけどねえ。使用人はいないし、親も兄も馬鹿なら、弟も愚かだ。黙って言われたことをやっておけばいいのに。ああ、でも、アミールくんは男爵に告げ口はしないでくれるかもしれませんねえ。カラダに教え込ませれば」
手が伸びて来る。
「兄上ーーーーーっ」
僕は叫んだ。
「ははは、貴方のお父様もお兄様も戻りは早くても明日ですよ」
一瞬だった。
嫌な笑顔を浮かべている家庭教師が吹っ飛んだ、文字通り。
壁に激突した。そして、飾っていた絵画が家庭教師に落ちる。
「ぐっ」
「アミール、大丈夫かっ」
現れたのは、僕のヒーローだ。
「あ、兄上、兄上ーーーーっ」
ぎゅむっと縋りつく。
僕は泣いた。大粒の涙が溢れてきた。
兄上は僕の頭をポンポンとたたいた。
「クロがニヨニヨしながら家が危ないかもよー、と言ったから、もしやと思ったけど」
「何だ、お前は。侯爵様がご紹介した家庭教師にこんなことをして許されると思うのか」
すでに家庭教師には笑顔がなかった。立ち上がるのも痛さをこらえて必死のようだ。
「侯爵様ー?」
反対に、黒い笑顔を浮かべたのは兄上の方。蔑んだ目で家庭教師を見ている。
「ダメだねー、家庭教師殿。外国にかぶれているのか?この国では当主様や領主様ならともかく、爵位に様はつけない。敬称が含まれているからねえ。そんなことさえも知らずに人に物を教えていたのか?」
兄上の言うとおりである。
国によって敬称の付け方は異なる。この領地の領民が父を領主様と呼ぶが、男爵様とは呼ばない。反対に男爵様と呼ばなければならない国もあり、つけないと不敬で罰せられるところもあるらしい。国外に行くことがあるのなら注意、と兄上から聞いたことがある。
「何をっ、この子供がっ。私が侯爵様に言えばっ、こんな男爵家などすぐに潰してくれるっ」
兄上が白い魔剣を家庭教師の喉笛に突きつける。
「へえー?じゃあ、言ってごらんよ。この地はメルクイーン男爵領。この意味も分からぬ家庭教師なら、たかが知れる」
「だから、何だと言うのだっ。それに子供がいくら言い訳したところで、男爵も私の意見を聞くに違いない」
家庭教師が吠えた。僕にも意味がわからないが、この家庭教師にもわからないらしい。
「子供だけじゃない。俺もいる」
ナーヴァルさんも来てくれた。いや、兄上が連れてきたのだろう。クロ様が家が危ないと言えば、家には僕と家庭教師しかいない。もしものことを考えて、対処してくれたのだろう。
「たかが冒険者が」
「たかが冒険者でも、この地は王命が出ている土地だと知っている。メルクイーン男爵領では魔の大平原を管理する代わりに、この地に自分よりも高位の貴族が来たとしても、それらの者が犯罪を犯せば処罰をこの地で与えることができる。また、従わない貴族に命令を出すこともできる。この地に来るならそれぐらい知っておけ」
「なっ、だが、冒険者がいくら侯爵様に言ったところで」
「はっ、お前の言っている侯爵様は、保養地に屋敷があるハーラット侯爵だろ。じゃあ、俺の名で手紙を出しておいてやる」
「だから、それが何の意味が」
「俺は王都にいたときの知り合いだ。アイツにはかなりの恩を売っている。貴族の知り合いなんていらないと思っていたが、人脈とはこういうときに使えるもんだな」
ナーヴァルさんの笑顔で、家庭教師は恐怖の顔になった。言葉が怖かったのか、表情が怖かったのか僕には判断がつかない。
だが、兄上が剣を下げた瞬間に、家庭教師は立ち上がった。
「冒険者風情の言葉を侯爵様が聞くはずもないっ」
家庭教師は言い捨てて外へ逃げた。待たせていた馬車に飛び乗っていった。
近所の人たちも騒ぎを聞きつけたようで、家の周囲に来ていた。
「アミール、大丈夫だったか?」
「兄上、兄上ーっ」
あの家庭教師がいなくなって、ホッとした。
それなのに、涙はそれ以上に流れてきた。
久々の兄上にしがみつく。
「さて、どうするかな」
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