30 / 181
一日目
一日目:生贄投票⑨
しおりを挟む
「ご……なさ……ごめ……なさ……殺さないでぇ……」
生贄用の椅子に座らされても、まだ鳥頭はめそめそと泣いていた。
「これ、中ではM字開脚になって拘束されてるんだよな……」
ドン引きしながら、サラリーマンの猫多がつぶやく。
「そう、だと思う」
外からだとドアが閉まっていて、中はまったく見えないけれど。この中には、全裸でM字開脚をし両手足を拘束された状態の鳥頭がいる。
「しっかし、こんなところに隠し扉があるとはなぁ」
ロン毛で髭の筆川が、頭をボリボリと掻いた。隠し扉ではないが……。
しかし、コンクリート打ちっぱなしの薄灰色だけで構成された広い部屋の壁に一つだけぽつんと金属でできたドアノブがあるのは、なんだかすごく場違いな感じだ。
僕がドアノブを眺めていると、不意にそれに手が伸ばされ、ガチャガチャガチャ! と、ドアノブを何度か引いてドアを開けようと試みた男がいた。りんちゃんだ。
ドアは開かなかったけれど、
「やだぁ!! 殺さないでぇ~~~!!!」
中にいた鳥頭が怯えて取り乱した。
「ねぇ、なにやってんのヤンキーくん」
「いや……開くかなぁって思ってよォ」
「開くわけないじゃん」
呆れるホスト――屑山に、りんちゃんはムッとした顔一つ見せずに『そっか……うん、そうだよなァ』と納得したようにブツブツとひとり言を言っていた。
生贄用の椅子に生贄が座らされると、生贄のいる部屋――『生贄の間』と呼ぶことにしよう――は施錠されるのか。
いや、この部屋を最初に発見したとき、音を立ててひとりでに開いた。生贄が中に入るとき以外、常に施錠されているのかもしれない。
何はともあれ、拘束された生贄、開かない扉、鍵を持っているのはバリタチのみ。午後七時から翌朝午前六時まで生贄の間の扉を開けて生贄にどうこうできるのは、バリタチだけということだ。
生贄用の椅子に座らされても、まだ鳥頭はめそめそと泣いていた。
「これ、中ではM字開脚になって拘束されてるんだよな……」
ドン引きしながら、サラリーマンの猫多がつぶやく。
「そう、だと思う」
外からだとドアが閉まっていて、中はまったく見えないけれど。この中には、全裸でM字開脚をし両手足を拘束された状態の鳥頭がいる。
「しっかし、こんなところに隠し扉があるとはなぁ」
ロン毛で髭の筆川が、頭をボリボリと掻いた。隠し扉ではないが……。
しかし、コンクリート打ちっぱなしの薄灰色だけで構成された広い部屋の壁に一つだけぽつんと金属でできたドアノブがあるのは、なんだかすごく場違いな感じだ。
僕がドアノブを眺めていると、不意にそれに手が伸ばされ、ガチャガチャガチャ! と、ドアノブを何度か引いてドアを開けようと試みた男がいた。りんちゃんだ。
ドアは開かなかったけれど、
「やだぁ!! 殺さないでぇ~~~!!!」
中にいた鳥頭が怯えて取り乱した。
「ねぇ、なにやってんのヤンキーくん」
「いや……開くかなぁって思ってよォ」
「開くわけないじゃん」
呆れるホスト――屑山に、りんちゃんはムッとした顔一つ見せずに『そっか……うん、そうだよなァ』と納得したようにブツブツとひとり言を言っていた。
生贄用の椅子に生贄が座らされると、生贄のいる部屋――『生贄の間』と呼ぶことにしよう――は施錠されるのか。
いや、この部屋を最初に発見したとき、音を立ててひとりでに開いた。生贄が中に入るとき以外、常に施錠されているのかもしれない。
何はともあれ、拘束された生贄、開かない扉、鍵を持っているのはバリタチのみ。午後七時から翌朝午前六時まで生贄の間の扉を開けて生贄にどうこうできるのは、バリタチだけということだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる